名前には『森の人』という意味があるんだ!
絶滅しそうって本当なの?
環境破壊に密猟、野生のオランウータンは危機的状況にあるんだ、、、
オランウータンは動物園で飼育されていることや、動物番組で取り上げられることも多いため、みなさん1度は見たことがあるのではないでしょうか。
霊長類ではゴリラやチンパンジー並みに有名な動物ですよね。
分類的にも人間に近いとされているオランウータンですが、現在絶滅の危機に瀕しているのを知っていますか?
このことは、決して私たちと無関係というわけじゃないんです。
高い知能とけた外れの握力を持つ森の賢者『オランウータン』に迫ってみましょう。
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オランウータンはヒト科!?知能が高いって本当?
オランウータンは霊長目・ヒト科・オランウータン属に分類される哺乳類です。
ヒト科、つまり我々人間と近い遺伝子を持っているということになります。
実際にオランウータンと人間が別々の進化を遂げだしたのは今から約1300万年前。つまり1300万年前までは同じ生き物だったんです。
知能も高いし、遺伝子的にもかなり近いんでしょ?
でもオランウータンも人間と共通するものを持っているんだ!
現在の人間はアフリカ大陸に生息しているチンパンジーやゴリラから進化したと考えるのが一般的です。
しかし、オランウータンと人間の体の特徴には共通点が28個もあり、こちらを起源とするという意見もあるんです。
オランウータンの歯や脳、髪が長く伸びるところが人間にとっても似ているんだ!
さらにオランウータンの知能は霊長類の中でも高く、チンパンジーにも引けを取りません。
人間で言うと4歳児ほどの知能があり、道具を使えるのはもちろん、季節を感じることもできるんです。
実際に枝を使ってはちみつや虫をとったり、噛んだ葉っぱをスポンジ代わりに水を飲んだりすることが確認されています。
さらに季節によって食べられるフルーツを知っている、自分専用のベッドを作るなど、他の動物では考えられないような行動を見せてくれることも、、、
by Wikimedia
人間に近いって言われるのも分かるよね!
オランウータンは英語でなんていうの?発音は?
冒頭でも紹介しましたが、オランウータンという名前には『森の人』という意味があります。
これはマレー語の「orang(人) hutan(森) 」が語源です。
もともとは、現地海岸部に住んでいる人たちが、森の奥に住んでいる人たちに対して使っていた呼び名でしたが、ヨーロッパ人が勘違いしたことでオランウータンを指すようになりました。
現地の発音は「オーラァン(グ)ゥタァン(ヌ)」が正解。
英語の発音は「オゥレァングテァン」です。日本語読みとはだいぶ程遠いですよね、、、
オランウータンの生息地はどこ?種類ごとの違いは?
以前まで、オランウータンには1種類のみが存在し、各地域によって亜種となっているという考えが一般的でした。
しかし現在は3種類に分けられることが分かっています。
・スマトラオランウータン「Pongo abelii」
・ボルネオオランウータン「Pongo pygmaeus」
・タパヌリオランウータン「Pongo tapanuliensis」
身体的な特徴に大きな違いはありませんが生息地が違います。
また、交配することが可能とも言われていますが、生まれた子どもは死亡する確率が高いようです。これはそれぞれが亜種ではなく別種であるということの裏付けにもなりますね。
生息地に関しては、ボルネオオランウータンがマレーシアのボルネオ島、スマトラオランウータンとタパヌリオランウータンはインドネシアのスマトラ島に生息しています。
この辺りは東南アジアの熱帯雨林。
彼らは樹上棲で、一生のほとんどを木の上で過ごします。しかも人間が立ち入ることのできない起伏の激しい泥沼の湿地帯が生息地です。
謎多き霊長類と呼ばれるのも無理がないですよね、、、
実は3種類のうち「タパヌリオランウータン」は2017年に新種認定されました。
それまではスマトラオランウータンの亜種と思われていましたが、遺伝子の明らかな違いが見つかり、別種とされています。
しかもボルネオオランウータンよりも古くにスマトラオランウータンから分離したと言われています。
スマトラ島の火山活動により生息地が分断され、独自の進化を遂げたのでしょう。
氷河期には海水面が今より低かったから渡れたと考えられているよ!
オランウータンの特徴!大きさや体重は?フランジって何?
by WIkimedia
オランウータンには種類がありますが、体の大きさの違いはありません。
体長はオスが100~150㎝、メスは80~120㎝ほど。体重はオスが60~110㎏、メスは40~50㎏です。
オスの方がメスより1回り大きくなります。
これは霊長類の中ではゴリラの次の大きさです。
また、オランウータンのオスは顔の両脇に平べったい出っ張りを持ちます。
「フランジ」と呼ばれるこの出っ張りは、力のあるオスのみが持ちます。
力のない弱いオスにはいつまでたってもフランジができず体も小さいままですが、強いオスがいなくなったり、ケンカで勝ったりすると急にフランジが作られます。
そして、1度でもフランジが作られるとなくなることはありません。
一緒にご飯を食べることも珍しくないんだ!
オランウータンの握力はどれくらい?ゴリラとどっちが強い?
オランウータンは腕が極端に発達していて、足の2倍ほどの長さがあります。
樹上で生活している彼らは、枝をつかむことに長けていて、体重を支えられるだけの優れた握力を持っています。
あれほどの巨体を支え続けられるということで、握力は推定でも400~500㎏あると言われています。
ただ、一説によると350㎏以上にはならないという意見も、、、
ゴリラの平均握力も500㎏はあると考えられており、両者ともに動物界トップクラスの握力だと言えますね。
しかもオランウータンの好物はドリアンです。ドリアンの実は10m以上の高さにでき、そこから落ちても割れません。
それを彼らは素手で割ります。とんでもない握力ですよね。
オランウータンとは桁が違うね!
ゴリラとオランウータンでは、どちらの握力が強いかという疑問が多くありますが、体重が重いゴリラに軍配が上がりそうですね。
オランウータンの生態!食べ物は何?
オランウータンは基本的に単独で行動します。
決まった縄張りは持たず、オス、メスとその子ども、さらに若いオスが一緒にご飯を食べる様子が観察されることもあります。
食性は雑食性ですが、基本的には果実を好んで食べます。
ドリアンやライチ、イチジクなど、質の良い果実があればそれを食べ続けます。
しかし生息地によっては果実が少ない時期もあり、そうなると果実で蓄えた脂肪を消費しながら、葉っぱや樹皮で飢えをしのぎます。
完全草食性と思われがちなオランウータンですが、アリやシロアリを食べることも多く、過去に数例だけ小型哺乳類を食べた記録もあります。
テナガザルの死体を食べただけでなく、スローロリスを捕食したことが観察されているんです。
機会さえあれば肉食もするんですね。
目の前を通っちゃったのかな、、、
オランウータンはベッドを作る!?
オランウータンは昼行性で夜間は樹上に巣を作ります。
この巣はまるでベッドのような造りになっていて、枝のしなり、つまりスプリングにもこだわっているそう、、、
しかも日替わりでベッドを変える、お気に入りのフルーツを枕元にセットするなど、人間顔負けのこだわりっぷりです。
しかも自然豊かで眺めはよさそうだし、、、
オランウータンの性格は優しい?怖い?
オランウータンは単独生活を好む性格をしています。
人間で言うところの「職人気質」って感じですね。
例えばチンパンジーにおもちゃを与えるとすごく喜び、あっという間に壊してしまうことが多いのですが、オランウータンは違います。
おもちゃをじーっと観察し、長いときは数週間も観察しつくした後にゆっくり触り始めるそうです。
とっても慎重なんですね。
さらに溺れている鳥のひなを優しく助けるオランウータンも観察されています。
オランウータンの寿命はどれくらい?長寿って本当?
オランウータンの詳しい寿命はまだはっきりと分かっていません。
ただ、最近の研究では野生のオランウータンの平均寿命は少なく見積もってもオスで58歳、メスで53歳以上だと考えられています。
飼育下ではさらに長生きの個体もいます。
例えば2017年に残念ながら息を引き取った多摩動物公園のジプシー(♀)は推定62歳でした。
オランウータンに天敵はいるの?
完全樹上性のオランウータンのは基本的に天敵となる肉食動物がいませんが、子どもはニシキヘビに捕食されてしまうことがあります。
また、地上ではスマトラトラやウンピョウに捕食されることもあります。
やはり、1番の天敵は人間でしょう。
人間のさまざまな活動が、オランウータンの生活を脅かしているんです、、、
オランウータンは絶滅危惧種!?理由は?
オランウータンは全ての種類が絶滅危惧種です。
しかもレッドデータブックのカテゴリーは3種類とも「絶滅危惧ⅠA類(CR)」
近い将来、地球上から姿を消してしまう可能性が最も高いカテゴリーです。
理由は人間にあります。
焼き畑や原生林の農園化など、生息地は開発され続け、ペットや展示のための乱獲も行われています。
こうした、人間とオランウータンの関係ははるか昔から行われていたと考えられています。
実際に17世紀まではタイ、マレーシア半島、ベトナム、中国南部にも彼らが生息していたことが歯の発見から分かっていますが、現在は絶滅しています。
野生のオランウータンは2004年時点でスマトラ島に約6500頭、ボルネオ島に約54000頭、合計約60500頭だと考えられています。
多いときにはスマトラ島には38万頭、ボルネオ島には42万頭、マレーシア半島に34万頭、ジャワ島にも少なくとも10万頭もの個体が生息していたとされているため、いかに生息数が減っているかが分かりますね、、、
参考:オランウータンQ&A
まとめ
オランウータンは現在絶滅に最も近い霊長類の一種です。
原因は人間です。
わたし達が普段何気なく使っている製品の中にも、オランウータンの生息地が関係しているものがあるかもしれません。
この優しくておとなしい、人間に近いほど賢い動物「わたし達の親戚」を守っていきたいものですね。
ぼく達にもできることがあるはずだよ!
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