クジラやイルカの仲間

 

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 更新日:2018年8月6日

アマゾンカワイルカはピンクイルカ!?ちょっと怖い伝説の淡水性イルカ

イルカといえば海に住んでいるイメージですが、実は川に住んでいるイルカもいるんです。

アマゾンカワイルカはその名の通り南米アマゾンに生息しているイルカで、世にも珍しい淡水生のイルカです。
体の色がきれいなピンク色をしているため「ピンクイルカ」とも呼ばれています。

アマゾンカワイルカは3500万年前のクジラの仲間と同じ体の特徴を持っていると言われていて「生きた化石」と呼ばれることもあります。

しかし、アマゾンカワイルカなどのカワイルカのグループは、生息地の開発、船との事故などによって絶滅の危機に瀕しています。

アマゾンカワイルカとはどんなイルカなのでしょうか?

数々の伝説も残している「アマゾンカワイルカ」に迫ってみましょう。

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アマゾンカワイルカってどんなイルカ?

アマゾンカワイルカ
学名Inia geoffrensis
英名Boto
Pink dolphin
生息地南米アマゾン川
体長2.3~2.8m
体重100~160㎏

 

アマゾンカワイルカはクジラ目・アマゾンカワイルカ科・アマゾンカワイルカ属の哺乳類です。
世界に4科のみが存在する淡水生の「カワイルカ」のうちの1種です。
ちなみにカワイルカと呼ばれるイルカとは「ヨウスコウカワイルカ」「ガンジスカワイルカ」「ラプラタカワイルカ」です。

アマゾンカワイルカは現地では「Boto(ボト、ボートー)」と呼ばれます。
他にも別名が多く「Pink dolphin」「Amazon dolphin」「Amazon river dolphin」などと呼ばれています。

現存のアマゾンカワイルカ属には3種類が存在しています。その内アマゾンカワイルカは2亜種に分けられます。
・「アマゾンカワイルカ」
(学名:Inia geoffrensis

2亜種
Inia geoffrensis geoffrensis
Inia geoffrensis humboldtiana

・「ボリビアボト」
(学名:Inia boliviensis

元々は「Inia geoffrensis boliviensis」としてアマゾンカワイルカの亜種とされていましたが、2008年に独立種とされました。

・「アラグアイアンボト」
(学名:Inia araguaiaensis

2014年に新種だと判明したアマゾンカワイルカの仲間です。カワイルカで新種が発見されたのは100年以上ぶりです。
絶滅の心配のあるアマゾンカワイルカにとって新種の発見はとても喜ばしいことです。

 

アマゾンカワイルカの生息地

アマゾンカワイルカは南米のアマゾン川に生息しています。
アマゾン川は独立している地域が多くあります。
アマゾンカワイルカは隔絶された環境によってそれぞれの種類に分かれていきました。

それぞれの種類、亜種が生息している流域を見てみましょう。


南米大陸の北部にはアマゾンカワイルカとその亜種である「Inia geoffrensis humboldtiana」が分布しています。

中部にはボリビアボトが、そして東部にはアラグアイアンボトが生息しています。

 

アマゾンカワイルカの歴史

アマゾンカワイルカは現生する海棲のイルカよりも、かなり原始的なイルカだと言われています。
カワイルカの誕生よりも後に誕生したのがバンドウイルカなどの海棲のイルカなんです。

 

太古にクジラの一部が東南アジア、中国、南米の川に生活の拠点を移したんです。
それぞれのカワイルカに地理的な接触は一切ありません。
しかし体の特徴はかなり似ています。

このように、遺伝的な繋がりがない生き物同士の体の特徴が似ていくことを「収斂進化(しゅうれんしんか)」と言います。

カワイルカは収斂進化の代表として、動物の進化の研究にとっても大切な動物なんです。

 

アマゾンカワイルカの特徴


アマゾンカワイルカはオスの体長が2.8m、メスは2.3mです。体重は100~160㎏にもなり、カワイルカの中では最大の種類です。

口吻(口の先)が細長く、狭い川の中や木の間でも魚を捕まえるのに適しています。
また、通常イルカの頸椎はくっついていて、首を縦にしか振ることができません。
しかしアマゾンカワイルカの頸椎はくっついていないため、左右にも首を振ることができます。
さらに背ビレは退化して跡のコブだけが残っています。
木々の隙間なども自由に泳ぎ回ることができるんですね。

口の中には25~35対の歯が並んでいます。
歯は先に行くほど鋭く、後ろに行くほど平たくなっています。
鋭い歯で魚を確実にとらえ、後ろの歯はカニなどの固い甲殻類を噛み潰すのに適しています。

アマゾンカワイルカは別名「ピンクイルカ」とも呼ばれるほどきれいなピンク色をしていることがありますが、実はこれはオスだけなんです。


オスは結構気性が荒く、度々オス同士でケンカをします。
この時についた傷がピンク色に変化していくのです。
よりピンク色の面積が多いオスほど激戦を制しているため、メスによくモテるのだそうです。

また、通常イルカの頸椎はくっついていて、首を縦にしか振ることができません。
しかしアマゾンカワイルカの頸椎はくっついていないため、左右にも首を振ることができます。
木々の隙間なども自由に泳ぎ回ることができるんですね。

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アマゾンカワイルカは目が悪い!?


カワイルカの仲間は視覚が退化しているものがほとんどです。
特にヨウスコウカワイルカやガンジスカワイルカは視力が弱いと言われています。

アマゾンカワイルカの目も海にいるイルカに比べるとかなり小さいです。
アマゾンカワイルカが暮らしているアマゾン川は木から染み出してくるタンニンで水が濁ることが多いため、普段から視力に頼らない生活をしています。
ただ、完全に盲目というわけではなく、下方向以外(膨らんだ頬で下が見えない)は結構見渡すことができるようです。

目の代わりに使っているのが音の反響を利用したエコーロケーションです。
イルカやクジラが得意とすることは有名ですが、アマゾンカワイルカも使用できます。

アマゾンカワイルカは他のイルカに比べると額が丸く、脂肪がよく詰まっています。
この脂肪は「メロン」と言って、音を増幅させる役割を持っています。
メロンの大きいアマゾンカワイルカは、それだけ拾える音も多くなります。

アマゾン川は植物のタンニンが水に溶け込んでいて、1m先も見えないほど濁っています。
視界の悪いアマゾン川でも自由自在に泳ぎ回れるのは、優れたエコーロケーションを使っているからなんですね。

 

アマゾンカワイルカの食べ物

アマゾンカワイルカは肉食性です。
獲物としているのは魚、カニ、カメなどです。

頸椎がくっついていないため、隙間に逃げ込んだ魚を追いかけるのはお手の物です。
海底に潜んでいるカニなどはエコーロケーションで見つけることができます。

そして、鋭いはと平たい歯を使い分けることで、いろんな種類の獲物を食べることができます。
カメなんかも奥歯で潰せるんです。

まさに川で生きることに適応しまくったイルカですね。

 

アマゾンカワイルカの生態

アマゾンカワイルカは単独か2頭で行動します。
ただ、まれに3頭以上の群れを作ることがあります。20頭の群れを作っている例もあるんです。

毎年3月になるとアマゾン川は氾濫し、巨大な海のようになります。


この時期に体の色のがグレーのイルカ、つまりメスのイルカはオスから離れるように森の奥深くに移動します。
オスはこの時期になると気性が荒くなり、いたるところでケンカが起こります。
「メスはこれに巻き込まれないように身を隠しているのではないか?」と考えられているんです。

 

アマゾンカワイルカの繁殖

アマゾン川の水が引くころ、アマゾンカワイルカは繁殖期を迎えます。
狭くなった川にオスとメスが集まってきます。

ここで、よりピンク色が鮮やかなオス、つまりケンカの跡の多いオスがモテるというわけです。

また、アマゾンカワイルカのオスは、メスに水草や枝を加えて持ってくることが分かっています。
くわえたまんまスピンジャンプしたり、水面を叩いたりするんです。
これを行うのがオスだけなこと、そしてメスがいる場所でしかしないこと、さらに高確率でケンカが勃発することなどが分かっています。
これらを踏まえると、オスがメスへのアピールで道具を使っていることが推測されます。
高級車を乗り回す人間の男性のようですね。
求愛に道具を使うのは人間とチンパンジーとアマゾンカワイルカのみです。

アマゾンカワイルカがいかに賢いかが分かりますね。

 

アマゾンカワイルカは絶滅の心配が!?

カワイルカはイルカの中でも、かなり絶滅が心配されている動物です。
水質汚染やダム開発、肉目的の乱獲によって、元から少ない数をさらに減らしているんです。

ヨウスコウカワイルカは2006年に絶滅したと言われています。
ガンジスカワイルカも生息数が激減しています。

アマゾンカワイルカは、比較的安心できるほどの生息数を保っています。
少なくとも10万頭の生息は確認されています。

しかし、現地住民による乱獲、船の事故は増加しているんです。

魚を食べるアマゾンカワイルカを、目の敵にしている漁師が駆除してしまうんです。
また、ナマズ漁のエサとして、アマゾンカワイルカの肉を利用する漁師もいます。
漁網に引っかかってしまう事故も増えています。

さらに視界の悪いアマゾン川では船を避けることが難しく、スクリューにぶつかって命を落としてしまうアマゾンカワイルカもいます。

アマゾンカワイルカは、アマゾンの伝説では魔力を持つ存在とされてきました。
人間の男性に姿を変えたアマゾンカワイルカが、人間の女性を妊娠させ川に帰っていくというものです。
また、水中都市に迷い込ませるという言い伝えもあります。

そんな神とも言えるようなアマゾンカワイルカを人間が殺してしまうというのは考えられないことでした。

人間がもたらした便利さが、アマゾンカワイルカへの敬意を忘れさせているのかもしれません。

 

アマゾンカワイルカが見れる水族館はあるの?

残念ながらアマゾンカワイルカを飼育している水族館は日本にはありません。
ただ、1970年代に鴨川シーワールドで、アマゾンカワイルカが飼育されていたようです。

これは実際に鴨川シーワールドの記録に残っています。
鴨川シーワールドの記録

 

まとめ

アマゾンカワイルカは原始的なイルカとして、とても価値のある生き物です。
今海で生きているイルカよりも古い特徴を持っているんですね。

世界中のカワイルカの仲間は絶滅の危機に瀕しています。
アマゾンカワイルカも無関係ではないですね。
現地住民が駆除したり捕獲したり、さらには船との事故を起こしてしまってりと、数が減っていることは事実です。

この不思議な生き物を何とか守ってほしいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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