サルの仲間

 

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 更新日:2022年6月25日

ワオキツネザルはマダガスカルの固有種!性格は?ペットにできる?

アフリカ大陸の東側にある小さな島「マダガスカル島」
この島は珍しい動物の宝庫として知られています。
小さな島に暮らす約25万種類の動物のうち、90%もの種類が他の大陸には存在していない固有種なんです。
アフリカ大陸から分離したため、独特の生態系を築いていったんですね。

ワオキツネザルはマダガスカルを代表する、原始的なサルの仲間です。
サルとは思えない顔つきですが、立派な霊長類、つまり私たち人間の祖先とも言える動物なんです。

ワオキツネザルはマダガスカルで、どのような生活をしているのでしょうか?

マダガスカルのファンキーザル「ワオキツネザル」に迫ってみましょう。

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ワオキツネザルの分類は?

ワオキツネザルは霊長目・キツネザル科・ワオキツネザル属に分類される哺乳類です。
ワオキツネザル属にはこの種類しか存在しません。
一属一種と言われる、珍しい動物ですね。

 

キツネザル科の仲間は約60種類が確認されていますが、全てがマダガスカル島に生息しています。
原始的なサルの仲間で、原猿類とも呼ばれます。

大昔、マダガスカル島がインド亜大陸から分離した後に、キツネザルの祖先がアフリカ大陸から漂流したか、もしくは泳いでたどり着いたのが始まりだと言われています。
そこで独自の進化を遂げ、60種類という数に別れていったんです。

世界にはこのように漂流によって他の島に住み着いた動物がいます。
例えばガラパゴス諸島の『ガラパゴスゾウガメ』や『ウミイグアナ』です。

 

ワオキツネザルの生息地、マダガスカル島とは?

ワオキツネザルが生息しているマダガスカル島は、日本の面積(378000km2)の約1.5倍(587000km2)の広さを持つ、アフリカ大陸の南東に浮かぶ島国です。

今から約2億年前の地球にはゴンドワナ大陸と呼ばれる、とても大きな大陸がありました。
今のアフリカ大陸、インド亜大陸、オーストラリア大陸、南アメリカ大陸などが1つに繋がった巨大な大陸です。

このゴンドワナ大陸にはマダガスカル島も含まれていました。

そして、それから徐々にゴンドワナ大陸が、大陸プレートの動きによって分裂していき、マダガスカル島もアフリカ大陸から分離しました。
約8800万年前にはインド亜大陸からも分離し、今のようなどこの大陸にも属さない、完全な離れ島になったんです。

マダガスカル島に取り残された動物たちは、隔絶された環境の中で、独自の進化を遂げていきます。
そのため、マダガスカル島の動物の内90%にも及ぶ種類が、他のどの大陸にも存在していない固有種です。

・アフリカ大陸
・アジア大陸
・ヨーロッパ大陸
・オセアニア大陸
・北アメリカ大陸
・南アメリカ大陸
・南極大陸
これら7大陸に生息している動物たちは、それぞれの生態系を築いています。
マダガスカル島は動物の種類が豊富すぎるため「第8の大陸」とも呼ばれます。

 

ワオキツネザルの特徴!「ワオ」って何?

ワオキツネザルは体長38~45cm、体重は2.3~3.5kgほどです。
かなりほっそりした体型です。

 

しっぽは50~60cmと、体長よりも長くなります。
このしっぽには白黒の縞模様が入っています。
これが和名の由来です。
輪っか模様が入ったしっぽ「輪尾」で「ワオ」です。
ちなみに英名は「Ring tailed lemur(輪っかのしっぽのキツネザル)」ですので、和名と同じですね。

シマシマは白が12~13、黒が13~14本だそうです。
ちなみにしっぽの先端は真っ黒です。

長いしっぽは群れの仲間同士、コミュニケーションにも役立っています。
いろんな動かし方で会話しているんですね。

体全体の色はグレーで、お腹や手足の先端は白っぽい色をしています。
後ろ足には鉤ヅメがあり、グルーミングに使用されます。

顔は、サルの仲間なのに鼻がとんがっています。
これがキツネザルと呼ばれる理由ですね。
ワオキツネザルは鼻と目の回りが黒く、瞳は黄色です。

 

ワオキツネザルの性格は?

ワオキツネザルはとても穏やかな性格をしています。
しかも好奇心旺盛で、人間が見ているものを横で一緒に見ていることもあるようです。

ワオキツネザルは10匹以上の群れを作りますが、オスよりもメスの方が強いんです。
エサを食べている時にオスを邪魔者扱いして追い払うことは日常茶飯事、オスのエサをメスが奪っちゃうこともあるんです。

メスは気が強いみたいですね。

別の群れとの縄張り争いのケンカもメスが行います。
「ジャンプファイティング」と呼ばれるケンカで、爪で相手を蹴り合います。しかも子どもを背負ったままの時もあるようです。
流血するほどの激しいケンカだそうで、ここでもメスの気の強さが分かりますね。

 

オスは3年半という定期的な期間で群れから離れて、別の群れに合流するようです。

ちなみにワオキツネザルは昼行性です。
夜は木の上で仲良く固まって眠っているようです。

 

メスの気が強い動物は結構います。
リカオンやハイエナは群れのリーダーがメスになるくらいなんです。

 

中にはハダカデバネズミのようにアリのような女王を持つ動物もいます。

 

ワオキツネザルのジャンプ力!

ワオキツネザルは木の上でエサを食べる樹上性です。
ただ、木から木への移動の時は地面に降りてきます。

 

地面の歩き方は4足歩行です。しっぽを高々と持ち上げて歩きます。
ちなみに地面を2足で横っ飛びにジャンプしなが移動するのは「ベローシファカ」という、同じキツネザルの仲間ですので、お間違いなく、、、

しかし、ワオキツネザルのジャンプ力もすごいんです。
3m以上も飛び上がることができ、人間も軽々とジャンプで越えちゃいます。
このジャンプ力を活かして、獲物の昆虫を捕まえたり、天敵から逃げたりします。

さすがは原始的な動物ですね。
身体能力が高すぎます。

 

ワオキツネザルの食べ物は何?

ワオキツネザルは雑食性です。
主なエサは昆虫、小型のカメレオン、フルーツ、草、花などです。
エサを求めて5km以上を1日で歩き回ることも普通みたいです。

 

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ワオキツネザルの日光浴

ワオキツネザルは原始的な動物です。
そのため、体温調節が苦手なようです。

 

体温を上げるために、お腹を太陽に向けて日光浴を行います。
しっぽでバランスをとって器用に座ります。

日本で飼育されているワオキツネザルは、ストーブにお腹を向けて、日光浴の代わりとします。
マダガスカル島よりも気温が低くなる日本では、ストーブなどの暖房器具が欠かせないんです。

 

ワオキツネザルの天敵は?

マダガスカル島にも肉食動物が存在しています。
「フォッサ」というマングースの親戚のような動物で、大型になると全長2mほどにもなります。

フォッサはマダガスカル島の食物連鎖の頂点に立っていて、ワオキツネザルも捕食してしまいます。

 

また、ボア科のヘビも、キツネザルを食べてしまうことがあります。

意外にもマダガスカル島には、危険な動物がいるんです。

 

ワオキツネザルは絶滅危惧種

現在、ワオキツネザルは絶滅危惧種に指定されています。
レッドデータブックのカテゴリーは「絶滅危惧種ⅠB類(EN)」です。
対策を行わないと、近い将来絶滅してしまう可能性があるレベルです。

森林の伐採や焼き畑などの生息地の開発、放牧動物の増加によるエサ不足が問題視されています。
また、ペット用としての捕獲、食用としての乱獲は現在も行われていると言われています。

法的に保護されていますが、密猟も行われているようです。

 

ワオキツネザルはペットにできる?

ワオキツネザルはペットとして飼育することができません。

絶滅危惧種だけでなく、ワシントン条約にも指定されていて、取引には国同士の許可が必要なんです。

数年前まではペットショップで販売されていたようです。
そのため、飼育されているワオキツネザルを見たことがある人も多いみたいです。
現在では違法ですのでご注意ください。

個人的に飼育するのは無理ですね。

 

ワオキツネザルに会える動物園はここ!

ペットにできないワオキツネザルですが、日本にも飼育している動物園があります。
現在確認できている動物園は7ヶ所です。

・旭山動物園(北海道)
・大森山動物園(秋田県)
・八木山動物公園(宮城県)
・夢見ヶ崎動物公園(神奈川県)
・富士サファリパーク(静岡県)
・日本モンキーセンター(愛知県)
・到津の森公園(福岡県)

 

では、主な動物園のワオキツネザルを紹介します。

 

旭山動物園のワオキツネザル

旭山動物園ではサル舎でワオキツネザルが飼育されています。

本来の環境よりもはるかに寒い北海道です。
そのため、ワオキツネザルが日光浴や暖房で、頻繁に体を温める姿を見ることができます。

 

日本モンキーセンターのワオキツネザル

愛知県の日本モンキーセンターは日本で唯一、霊長類専門の動物園です。

ワオキツネザルが飼育されているコーナー「Waoランド」では、間近でワオキツネザルを見ることができます。
本当に手の届きそうな位置まで来てくれるんです。

また、冬になると集団でストーブに当たる姿が見られます。

到津の森のワオキツネザル

福岡県北九州市にある到津の森公園は、自然との共存をテーマにした動物園です。

ここでは「マダガスカルの世界」というゾーンがあり、ワオキツネザルを見ることができます。
総勢20頭以上のワオキツネザルが飼育されていて、赤ちゃんも生まれています。

 

現在2つの群れに分かれているようで、争い合う姿も見られるかもしれません。
野生の姿に近いと言えますね。

 

まとめ

ワオキツネザルは固有種の宝庫、マダガスカル島にのみ生息する原始的なサルです。
隔絶された環境だからこそ、ここまでユニークな進化ができたんでしょう。

絶滅の可能性もあります。
環境破壊が原因ですので「私たちにも何かできることがあるのでは?」と考えてしまいますね。

お近くの動物園でワオキツネザルが飼育されていたら、ぜひ会いに行ってください。
きっと癒されること間違いなしですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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