でも地域によっては増えすぎて駆除されることもあるんだよ!
ニホンカモシカは日本のみに生息している固有種。
太古の姿をそのまま残している原始的な動物で、生物学的にも貴重なため天然記念物に指定されました。
その後、生息地の開発や狩猟によって数を減らし、国の特別天然記念物に昇格しています。
しかし、ニホンカモシカは地域によっては駆除が許可されているのを知っていますか?
ニホンカモシカはどこでどんな生活をしているのでしょうか?
天然記念物なのはなぜ?
そして駆除されている理由は?
日本が誇る珍獣『ニホンカモシカ』の知られざる生態に迫ってみましょう。
好きなところにジャンプできます
ニホンカモシカはシカじゃなくてウシ!?
ニホンカモシカは偶蹄目・ウシ科・カモシカ属に分類されます。
偶蹄目(ぐうていもく)はウシやシカ、ヤギなど、蹄(ひづめ)を2つ持つグループです。
最近ではクジラやイルカも偶蹄目に分類されるため、地球上の幅広い地域で繁栄しているグループだと言えますね。
ニホンカモシカはシカと名付けられていますが、分類上はウシやヤギに近い仲間です。
見た目はどちらかというとシカに見えます。そのためシカと名付けられたんですね。
1. 獣の皮で作った敷物を氈(かも)と呼ぶから
2. 肉が鴨のようにおいしいから
3. 山岳(かま)に住んでいるから
4. 上から見ると鳥が走っているように見えるから
カモシカの毛皮は昔から役立てられていたんだね!
東北地方のマタギの間では『アオジシ』や『アオ』と呼ばれるんだ!
ニホンカモシカの特徴!カモシカのような足は悪口!?
ニホンカモシカは体長100〜120cm、体重30〜45kgほどです。
オスとメスに体格の違いはありません。
全身に暗い体毛が生えますが、北に行けば行くほど白っぽくなります。
体の色に関しては地域差が強いようです。
肩から地面までの高さ(肩高)は70cmほど。
ずんぐりしていて、意外と足が短いんです。
蹄は断崖でも移動しやすいように広がるつくりになっています。
これはヤギに多い特徴ですね。
よく女性の美脚を褒めるとき『カモシカのような足』といいますが、ニホンカモシカをイメージすると悪口になってしまいますよね。
カモシカは漢字で書くと『羚羊』です。レイヨウとも読みますね。
アフリカのウシ科動物『レイヨウ』は足がすらっとしている美脚動物です。
カモシカとレイヨウを混同してしまい、このような勘違いな褒め言葉が生まれてしまったと考えられています。
ガゼルとかレイヨウは日本にはいないから、近い仲間のカモシカを代わりに使ったのかもね!
ニホンカモシカの角(ツノ)はどんな感じ?
ニホンカモシカの特徴といえば角ですね。
先が尖っていて枝分かれせず、少しだけ後ろにカールしているのが特徴。
長さは8〜15cmほど、オスとメス両方に生えます。
ニホンカモシカの角は骨でできているため、抜け落ちたり生え変わったりすることがありません。
年輪のように成長し、これがニホンカモシカの年齢を判断する基準にもなります。
これがシカとウシの違いでもあるよ!
ニホンカモシカの生息地!日本のどこに分布しているの?
ニホンカモシカは日本の固有種です。
北海道と沖縄を除く本州、四国、九州に分布しています。
ブナやミズナラといった広葉樹の多く生える森林地帯に生息しています。
基本的には標高1000〜2000mの高山地帯に生息していますが、地域によっては低地に出てくることもあります。
中には海岸地帯にまで進出しているものも観察されています。
生息地が変わってきている原因は、ニホンカモシカが好む低木などが減少してしまっていることにあります。
また、同じ地域に生息することの多いシカが増加していることも問題視されています。
控えめな性格なんだね、、、
ニホンカモシカの生態!食べ物は何?
ニホンカモシカは草食性です。
草、木の葉、新芽を主食とし、木の皮やフルーツなども食べます。
地域によってはササを主食としているものもいるようです。
雪の多い地域でも冬眠しません。そのため季節によっては食べ物に困ってしまうこともあります。
この場合は前足で雪を掘り起こし、食べられそうな植物は何でも食べています。
95種類以上の植物を食べているという研究結果も出てきているんです。
ウシ科なので食べたものを何度も噛み直す『反芻(はんすう)』を行います。
よくニホンカモシカが崖の上で身動きせずにじーっとしていることが見られます。
『アオの寒立ち』と呼ばれるこの行動は「断崖で横になることができないため、ひたすら立って反芻しているのではないか」と考えられています。
基本的に単独で行動しますが、繁殖期には親子やペアで一緒にいることも観察されています。
ニホンカモシカは目に下に臭腺を持っていて、ここをこすりつけることで縄張りを主張します。
ニホンカモシカの子育て!子供はどんな姿?
ニホンカモシカの繁殖期は毎年9~11月頃です。
基本的にオスは1頭のメスとペアになりますが、縄張りに他にメスの縄張りが被っている場合は複数のメスと子どもを作ることがあります。
妊娠期間は200日前後。1頭の子どもを出産し、メスだけで育てます。
子どもは半年ほどで乳離れします。
speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”ookami.png” name=”オオカミ先生”]厳しい冬に出産するのは、子どもが乳離れする時期にエサが豊富になる必要があるからなんだね!
お母さんは冬場を何とか切り抜けなければいけないんだ、、、[/speech_bubble]
子どもは1年ほどで独立します。
このとき母親が我が子に突進する場面がよく見られます。
ニホンカモシカは激しい縄張り争いをすることが多く、いくら我が子でも近くにいれば戦わなくてはいけません。
母親は子どもができるだけ遠くに離れるように、心を鬼にして突進するんです。
確かに自分の子どもとこんなケンカしたくないな、、、
野生での寿命は詳しく分かっていませんが、10~15年ほどだと考えられています。
飼育下だと20年近く生きるそうですので、野生では天敵の存在が関係しているようです。
天敵はツキノワグマ。
日本最大の動物にして、ニホンカモシカを唯一捕食できる存在ですね。
また、野生化した飼い犬に襲われることもしばしばだそうです、、、
ニホンカモシカが特別天然記念物!その理由は?
ニホンカモシカは氷河期から姿を変えていない、原始的な特徴を持つ動物とされています。
生物学的にもかなり貴重とされ『生きた化石』と呼ばれる動物です。
珍獣パンダと同じくらい貴重な動物なんだね!
学術的価値が国に認められ、1934年(昭和9年)に国の天然記念物に指定されました。
その後、第二次世界大戦後の食料難で、肉や毛皮目的に乱獲されます。
生息地の開発も進み、乱獲と合わさって生息数が3000頭程まで激減、、、
事態を重く見た政府が1955年(昭和30年)に「特別天然記念物」に引き上げた、というわけです。
・生きた化石と呼ばれるほど貴重な動物
・乱獲で生息数を減らす
・生息地の開発でさらに数を減らす
もし見つけても手出しせずに、それぞれの市で担当している課に連絡しよう!
近づくと親が逃げていくこともあるんだ!興奮させないように見守ろうね、、、
ニホンカモシカと同じようにヤギに近いウシ科の動物『ジャコウウシ』も毛皮目的で乱獲された過去を持ちます。
現在はカナダ政府などに保護され、生息数を回復させています。
ニホンカモシカは絶滅危惧種!?生息数は減っている?
ニホンカモシカは国の特別天然記念物ですが、レッドデータブックのカテゴリーは『低懸念(LC)』です。
一時期3000頭まで生息数を減らしましたが、現在は絶滅の恐れはなさそうです。
特別天然記念物という保護が、ニホンカモシカ絶滅のピンチを救ったんですね。
駆除が許可される場合もあるんだよ、、、
ニホンカモシカが駆除されている理由!
ニホンカモシカは増えすぎてしまうと、農作物を食い荒らしてしまうという問題点を抱えています。
こうなると特別天然記念物と言えども害獣です。
なんとかしないと人間の生活に支障が出てしまいますよね。
長野県、岐阜県、愛知県など、一部の県では毎年100頭程度が駆除され、個体数を調整しています。
駆除が許可される県は今後増えてくる可能性もあります。
ニホンカモシカが農作物を食べるのは「生息地の開発でエサが少なくなっているから」というのが大きな原因のようです。
シカとの生存競争に負けてしまい、本来の住処とは違う場所で生活しなくてはならなくなっているのも関係していそうですね。
そして「ニホンオオカミ」の絶滅も、シカやニホンカモシカを増やしている要因です。
確かにツキノワグマはニホンカモシカを捕食しますが、草食性が強く、完全な天敵と言える存在ではないのかもしれません、、、
どれが欠けてもこんな風に問題が起こってしまうんだよ!
ニホンオオカミはもういないから手遅れだね、、、
ニホンカモシカの肉は食べられる?味は?
合法的にニホンカモシカの駆除が行われている県では、合法的に肉を食べることができます。
出回ることは少ないようですが、猟の関係者などの間で食べられているそうですよ。
シカではなくウシの仲間なので、肉の臭みは少なく、かなりおいしいと評判です。
「鴨のようにおいしい肉」という名前の由来も紹介しましたよね。
もし駆除が許可されている場所に行く機会があったら、ぜひ食べてみたいですね!
なんてったって特別天然記念物だからね!
まとめ
ニホンカモシカは原始的な特徴を持つ生きた化石です。シカではなくヤギに近い仲間だったんですね。
生息数の減少も合わさって、特別天然記念物に指定されています。
ただ、増えすぎてしまったことで駆除もされているなんて皮肉な気がします。
人間が原因で絶滅しそうになり、そして駆除もされている、、、
ちょっと人間に振り回されすぎですよね。
日本にも珍獣って呼べ動物がいるんだね!
また遊びに来てね!
この記事へのコメントはありません。