ウンピョウという動物を知っていますか?
ピョウということで、ヒョウの仲間だと思いますよね。
ウンピョウはヒョウと同じネコ科動物ですが、ヒョウとは違う分類に属しています。
ライオンやヒョウなどのヒョウ属、ヤマネコやイエネコなどのネコ属の中間だと言われているんです。
東南アジアのジャングルに生息しているウンピョウですが年々数を減らし、絶滅の心配もされています。
ウンピョウとはどのようなネコなんでしょうか?
絶滅の危機に瀕しているのはどうして?
雲のように美しい模様を持つ「雲豹(ウンピョウ)」に迫ります。
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ウンピョウってどんなネコ?
ウンピョウは食肉目・ネコ科・ウンピョウ属に分類される哺乳類です。
ウンピョウ属にはこの種類しか存在していません。
一属一種と呼ばれる動物です。
名前にヒョウが入りますが、分類的にはヒョウよりも早くに独立したことが遺伝子の調査で分かっています。
ウンピョウはヒョウやライオンなどの「ヒョウ属」と、イエネコやヤマネコなどの「ネコ属」の中間に位置しています。
飼育下での寿命は17年が最長です。
野生のウンピョウの寿命は少し短く、11年ほどだと考えられています。
ウンピョウの特徴!
ウンピョウは体長60~100cm、体重は20kgほどで、イエネコより少し大きくなります。ヒョウが体長150cm、体重は最大で90kgにもなるため、それよりはかなり小柄ですね。
しっぽは80~90cmと、体長と同じくらい長くなります。
彼らの手足の平は大きく、樹上で安定した移動を行うのに適しています。
ウンピョウは体の側面に、黒い縁取りの美しい模様が入ります。
これが雲のように見えることから「雲豹(ウンピョウ)」と名付けられました。
顔の特徴として、アゴが大きくがっしりしていて、噛む力がとても強いことがあげられます。
犬歯はとても長く、根元に埋まっている部分と比べると3倍も長さがあります。これはネコの仲間では最長です。
サーベルタイガーを思わせるほどで、生き残りではないかとも言われています。
また、ベロの構造上吠えることができません。
これはユキヒョウと同じ特徴です。
ウンピョウの生息地はどこ?
中国南部、インド東北部、ミャンマー、ラオス、インドネシア、ベトナム、タイなどの東南アジアの熱帯雨林に生息します。標高2000~3000mを中心に生息し、同じ地域に生息するヒョウやトラなどの大型ネコ科動物を避けるような場所で暮らしています。
基本的には樹上生活ですが、狩りの際には地上に降りることもしばしば。
夜行性で、群れは作らず単独で行動します。
この辺はヒョウと同じですね。
ウンピョウの食べ物は何?
ウンピョウは完全に肉食性で、樹上のカニクイザルやロリスなどのサルの仲間や鳥類を獲物とします。
イノシシやシカなどの陸棲の哺乳類を襲うこともあり、その際は地上に降りてきます。
長いしっぽは木の上でもバランスを保つことに役立ち、素早く動くことができます。
また、後ろ足のみで木にぶら下がることもでき、樹上から地上の獲物に襲いかかることができます。
木登りだけでなく泳ぎも得意で、魚を捕まえるのもお手の物。
オランウータンを襲うこともあります。
樹上、地上、水中の動物を獲物とする、オールマイティーなハンターですね。
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ウンピョウの子育て
野生でのウンピョウの繁殖はあまり知られていません。
飼育下では12月~3月ほどが繁殖期なようです。
妊娠期間は90日前後で、1回の出産で普通は2頭の赤ちゃんを産みます。
育児はメスが行います。
子どもは20日前後で歩き回るようになり、6週間ほど経過すれば木登りの練習を始めます。
生後4~5ヶ月で離乳し、10ヶ月ほどで独立していきます。
独立したウンピョウは2年で性成熟します。
絶滅危惧種のウンピョウ
ウンピョウはペットや展示用として世界中で人気です。
また、美しい毛皮もかなりの人気です。
そのため、生け捕りや毛皮目当ての乱獲で生息数が激減しています。
さらにウンピョウの生息している森林は開発が進んでいて、彼らの住処は年々減少、、、
実際に台湾に生息していたウンピョウは絶滅しています。
東南アジアの固体は生き残っていますが生息数は少なく、現在の野生のウンピョウは1万頭ほどしかいないという現状です。
絶滅危惧種、ワシントン条約に登録され、国際的に保護されています。
しかし、それでもウンピョウの乱獲は続いています。
法的に保護されているにも関わらず、なぜウンピョウは乱獲されているのでしょうか?
ウンピョウが指定されているワシントン条約の附属書Ⅰでは、野生のウンピョウの商業的な取引は禁止されています。
しかし、飼育下で繁殖したウンピョウに関しては規制がないんです。
そのため、飼育された個体だと偽って輸出入を行う業者が後を絶ちません。
さらに近年トラが生息数を減らしていることで、ウンピョウに狙いをつけている密猟者が増えています。
トラにも匹敵する美しい毛皮を求めている人も多いんだとか、、、
しかも骨や牙は漢方薬になると今でも信じられています。
トラが減少したことで、ウンピョウを商業的な取引に利用する業者が増えているということですね。
実際にウンピョウの故郷である東南アジアとは遠く離れたアフリカで、ウンピョウを飼育している施設もあります。
法を悪用している悪徳業者です。
これ以上ウンピョウが減る前に、規制や保護を進めてほしいですね。
ウンピョウを飼育している動物園
ウンピョウはワシントン条約に指定されているため、国際的な取引が規制されています。
取引には国同士の政府の許可が必要なため、個人的にウンピョウを飼うのは不可能です。
でも安心してください。日本にもウンピョウを飼育している動物園があるんです。
3ヶ所紹介します。
・福岡市動物園
・よこはま動物園ズーラシア
・高知県立のいち動物公園
福岡市動物園のウンピョウ
2016年に発生した熊本地震により、熊本市動植物園が被災してしまいました。そのため、福岡市動物園ではウンピョウ2頭を受け入れて飼育しています。
オスのジュールとメスのニーナです。
どちらもズーラシア生まれです。
2頭とも人懐っこく、声をかけると振り向くことがあるそうです。
たまーに寄ってくることもあるそうな。
見てみたいですね。
被災地からやってきたということで、たくましく生き抜いて欲しいです。
ちなみに熊本動物園は獣舎が破損したため、ウンピョウ以外にも大型肉食動物を福岡の各動物園に預けています。
ユキヒョウは大牟田市動物園に、アムールトラは到津の森公園にそれぞれ受け入れてもらっています。
よこはま動物園ズーラシアのウンピョウ
ズーラシアでは3頭のウンピョウが交代で展示されています。
2007年には赤ちゃんも生まれたということで、繁殖にも力が入っていますね。
展示場も広く、アクロバティックな動きをすることもあるようです。
運が良ければ逆立ちが見れるかも!
高知県立のいち動物公園のウンピョウ
高知県の、のいち動物公園にはオスの「リュウ」というウンピョウが暮らしています。
リュウは2009年にズーラシアから引っ越してきた子で、2003年ズーラシア生まれです。
日本で生まれた個体が元気に育っているのは嬉しいですね。
今後も繁殖が成功すれば、お近くの動物園でウンピョウを見ることができるかもしれませんね。
まとめ
・ウンピョウは雲のように美しい模様から「雲豹」と名付けられた
・ヒョウではなく、イエネコとヒョウの中間的な位置に分類している
・ウンピョウは東南アジアに生息している
・木登りが得意で樹上生活に適応している
・狩りの際は地面に降りることがある
・ネコ科で1番長い犬歯を持っている
・開発や乱獲によって数を減らしている
・日本で見ることができる動物園は3か所
・熊本動物園は被災してしまったため、福岡市動物園に預けている
ウンピョウは名前の通り、美しい模様を持っていますね。
毛皮が欲しいのは分かりますが、殺してまで手に入れる必要はないです。
絶滅も心配されているため、絶対に守らなくてはいけません。
実際に台湾の個体は絶滅したということなので、他の地域のウンピョウも心配ですよね。
密猟は本当にやめてほしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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