リカオンはアフリカに生息しているイヌ科の動物です。
親、兄弟などの血縁関係のあるもの同士、大勢の群れを作ることが有名で、その絆はとても深いです。
群れで協力して狩りを行うため、狩りの成功率は世界で見てもトップクラスです。
そんなリカオンは現在、生息数を激減させていて、絶滅の危機に瀕しています。
理由はもちろん人間にあります。
リカオンとはどんな動物なんでしょうか?
絶滅しそうな原因とは一体?
今日は、サバンナ屈指の狩りの名手「リカオン」についてのお話です。
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リカオンの特徴
Foto by Wikimedia
リカオンは食肉目・イヌ科・リカオン属の哺乳類です。
リカオンのみでリカオン属を構成しています。
「Lycaon」という名前は、学名からそのままつけられていて「オオカミ」という意味があります。
体長は70~120cm、体重は20~35kgほどです。
前足の高さ「肩高」は70cm近くになり、足がスラッと長いのが特徴です。
大きさで言えばドーベルマンなどの大型犬と同じくらいの大きさです。
イヌ科では珍しく、足の指は4本です。
全身に短く硬い体毛が生えています。
黒や白、黄色っぽいオレンジなどのブチ模様が不規則に入ります。
模様は個体差が強く、観察する時の個体識別にも利用されます。
ごく稀に、ブチ模様が入らない、一色の個体も存在するようです。
耳がとても大きく、丸みをおびています。
大きな耳は血管を冷やす効果があり、体温調節の役割があります。
気温の高いアフリカのサバンナで生きていくのに必要なパーツですね。
リカオンの英語の名前は「野良犬」って本当!?
リカオンは英名も「Lycaon」と呼ばれることがあるのですが、もう一つ呼び名があります。
それが「Wild dog」です。和訳すると「野生の犬」「野犬」という意味です。
つまり「野良犬」ということになります。
リカオンの生息地
リカオンはアフリカ大陸の南部、中部、東部の草原やサバンナ、半砂漠地帯に生息しています。
熱帯雨林と砂漠を除くアフリカの全地域に生息していましたが、大陸北部と西部の個体は絶滅しています。
リカオンの生態!群れのリーダーはメス!?
Foto by Wikimedia
リカオンは30頭ほどからなる「パック」と呼ばれる群れを作ります。
群れは親、兄弟、息子などの血縁関係で構成されていて、ほとんどがオスです。オスの比率はメスの2倍にもなりますが、群れのリーダーはメスです。
産まれた子どもがオスの場合は群れに留まります。群れの一員として一生を過ごすんです。
メスの場合は成熟すると群れを離れます。そして他の群れに加わり、子孫を残していくんです。
なんだかライオンとは逆な感じがしませんか?巣立つのはメスなんです。
群れには序列があり、特にメスの上下関係には絶対的なものがあります。
下位のメスが子どもを産んでも、上位のメスに殺されてしまうこともあるんだとか、、、
厳しい世界ですね。女社会は恐ろしいです。
ただ、群れの団結力はとても強く、普段から毛づくろいでコミュニケーションを取り合い、ケガや病気の仲間にもしっかりエサを運んであげます。
社会性に優れた動物だと言えますね。
体の小さいリカオンが過酷なアフリカのサバンナで生き残るためには、群れで行動するのが一番効果的なんです。
群れの秩序の乱れは命の危険にも繋がります。
団結力がリカオンにとって最大の武器なんです。
ちなみにアリのように女王がいる哺乳類もいます。
『ハダカデバネズミ』は兵隊や布団係までいるとっても変わった社会性を持っているネズミなんです!
リカオンは狩りをするかどうかをくしゃみで決めている!?
リカオンは狩りを行う前に「ラリー」と呼ばれる集会を行います。
ラリーでは体をなめ合ったり、頭をぶつけあったりして狩りに行くためのやる気を高めていると考えられています。
ラリーではリカオンが頻繁にくしゃみをする姿が観察されています。
犬は興奮したときにくしゃみをすることが多いのですが、リカオンも同じです。
狩りの前ということで、興奮が高まっているのでしょう。
このくしゃみ、実は選挙のような役割を持っていて、くしゃみが多ければ狩りに出かける確率が高くなるんだとか。
狩りに行くかどうかをくしゃみの数、つまり多数決で決めているんです。
上位のオスほど少ない回数のくしゃみでも良いようなんですが、下位のオスだと多い回数じゃないと狩りに行きません。
くしゃみが少ないと狩りには行かず、その場で寝てしまうこともあるそうです。
みんなのやる気があるかどうかをくしゃみの数で判断しているんですね。
人間顔負けの社会性の高さです。
リカオンの狩り
リカオンの狩りは、明け方や夕暮れの薄明薄暮のタイミングで行われます。
群れで行います。
リカオンは持久力がずば抜けている動物で、1日に10㎞ほどを移動し続けることができます。
ひたすら獲物を探すんです。
基本的に小型~中型の哺乳類をターゲットにしますが、まれに大型哺乳類を狙うこともあります。
ターゲットを定めると、一気に追いかけ、弱った個体や幼獣を見つけ出します。
時速60㎞で何十分も走り続けることができるという持ち前の持久力でひたすら追跡し、群れで分担して左右前後から攻撃を仕掛けていきます。
獲物を仕留めると一気に食べます。
ライオンやハイエナに横取りされるのを防ぐためです。
たらふくお腹に詰め込んだら巣に戻り、子どもたちを優先に、吐き戻した獲物を与えます。
どんな場合でも、獲物を食べるのは子どもたちからです。
子どもたちは群れの未来を担っている存在です。
いつだって、群れの存続を最優先に考えているんですね。たくましい動物です。
ちなみにリカオンはハイエナよりも小柄ですが、食べる量はハイエナと同じくらいです。
持久力が最大の武器のリカオンです。必要なエネルギーもそれだけ多くなるということですね。
リカオンの狩りは成功率No.1
集団で狩りを行うリカオンの狩りの成功確率は80%を超えると言われています。
卓越したチームワークを持っているからこそ、これほどの数字をたたき出しているんです。
これほど狩りを成功させる肉食動物はなかなかいません。
アフリカでは間違いなく1番優れていますし、世界的に見てもトップクラスです。
ライオンの狩り成功率が20%ほど、チーターでも50%です。
また、同じように群れで狩りをするオオカミですらも、10%ほどしか成功しません。
チームワークと規格外の群れの数が、リカオンを世界トップクラスのハンターにしているんです。
ジャンプするのが有名で、リカオンの獲物でもあるよ!
リカオンと天敵ハイエナ
リカオンの天敵と言えば、ライオンとハイエナがあげられます。
特にハイエナはリカオンの獲物を横取りすることもあるためお互いにバチバチです。
しかし、自然界では珍しいこともあります。
なんと、リカオンとハイエナが歩み寄っている映像があるんです。
最初はリカオンがハイエナを警戒していましたが、徐々に鼻を近づけていきます。
最終的にはじゃれ合っているようにも見えます。
まるで絵本のようなシーンです。
お互いにどのようなやり取りをしていたのでしょうか?
リカオンは絶滅危惧種!?
リカオンはしばしば家畜を襲うことがあるため、害獣として駆除されてしまいます。
また、交通事故、狩猟や毒物による罠などでどんどん数を減らしてしまいました。
さらに、ペットとして持ち込まれた犬から、犬ジステンパーなどの伝染病が感染してしまっています。
追い打ちをかけるかのように生息地の開発は進み、5万頭いたリカオンは現在8000頭ほどまで激減してしまいました。現在はもっと減って、3000頭ほどとも言われています。
地域によっては絶滅してしまったグループもあります。
絶滅危惧種ⅠB類に指定され、保護が必要な状況です。
リカオンはペットにできる?
リカオンをペットにすることはできません。
リカオンは絶滅危惧種に指定され、ワシントン条約にも記載されています。
取引には国際的な許可が必要で、政府が関係してきます。
また、リカオンは野性的な性質を持っていますし、体臭がかなりきついそうです。
群れでのコミュニケーションには臭いが必要ですが、ペットとして飼うには不向きですね。
個人が飼育するのは現実的じゃないです。
リカオンがいる動物園
ペットにすることができないリカオンですが、日本でも飼育している動物園があります。
・富士サファリパーク
・よこはま動物園ズーラシア
ズーラシアのリカオン
よこはま動物園ズーラシアは多くの動物を展示している動物園です。
リカオンも飼育されています。
まとめ
・リカオンはイヌ科の動物で、大型犬くらいの大きさ
・大きな耳は体温の調節に役立っている
・30~40頭にもなる強大な群れで行動している
・群れは血縁関係のあるオスがほとんどで、リーダーはメス
・産まれたメスは成熟すると群れを出て、他の群れに合流する
・狩りの前にラリーという集会を開き、士気を高めている
・狩りに行くかどうかをくしゃみで判断している
・狩りは集団で行い、成功率は80%を超える
・開発や駆除、飼い犬からの伝染病の流行によって激減している
・日本内にリカオンを飼育している施設はある
リカオンの社会性はすごいですね。まさに人間顔負けです。
子どもからエサを食べるなんてのは、人間のような一面ですよね。
絶滅が心配されています。
なんとか生き残ってほしいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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