「サバンナの掃除屋」とも呼ばれるブチハイエナ。
ハイエナには他の肉食動物が仕留めた獲物の残りを食べたり、それを横取りしたりするイメージがありますよね?
ちょっと悪者って感じもするんじゃないですか?
ディズニー映画「ライオンキング」のハイエナが意地汚いキャラクターで描かれていたので、そんなイメージを持つのもしょうがないとは思います。
しかし、ハイエナは横取りばかりする動物じゃないんです!
ちゃんと自分達でも狩りをするんです。
しかもかなり上手だという、、、
ハイエナはどんな狩りをするのでしょうか?
普段の生活はどんな感じ?
サバンナ最強クラスの捕食者「ハイエナ」の真実をお話しします。
ハイエナには種類がある!?
ハイエナをイメージするとき、ほとんどの人が「泥棒」とか「横取り」などを思い浮かべるのではないでしょうか?
また「死肉を漁ってばっか」なんて思われているかもしれません。「サバンナの掃除屋」と呼ばれるのもこれが理由ですよね。
しかしハイエナがいつも死肉を漁るような生活をしているわけじゃないんです。
実はハイエナにも種類があって、それぞれ姿はもちろん食べ物も違います。
現存のハイエナ科の仲間は4種類です。
・ブチハイエナ
・シマハイエナ
・カッショクハイエナ
・アードウルフ
シマハイエナとカッショクハイエナは死肉を漁ることも多く、雑食性なため昆虫やフルーツなんかも食べます。
アードウルフはシロアリを主食としている珍しいタイプのハイエナです。
この中でテレビなどでもよく登場する、最もメジャーなハイエナが「ブチハイエナ」です。
ブチハイエナは完全に肉食性で、食べている60%もの獲物は自分で捕まえているんです。
ブチハイエナは狩りの名手
ブチハイエナは体長160cm以上にもなり、体重は80kgを越えることも珍しくありません。
ハイエナの仲間では最大で、大型犬よりも大きくなります。
良い体格をしているだけでなく、群れで行動します。
普通に考えて単独で狩りをするより、群れで協力して狩りをする方が狩りの成功確率は上がりますよね。
アフリカに生息しているイヌ科の動物「リカオン」は最大で50頭にもなる大規模な群れを作ります。
リカオンはチームワーク抜群の狩りを行い、アフリカNo.1の狩り成功率を誇ります。
群れというのは強力な武器になるんです。
ブチハイエナはリカオンほどの群れにはならないものの、体格は遥かに優れています。
しかも基本的にハイエナが狙うのは弱っている動物や子どもです。
最高時速65kmで走り、群れで協力して子どもと親を引き剥がし確実に仕留めます。
スタミナは動物界トップクラスです。
「所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬだけだ」って言葉そのままの生き方ですよね。
ハイエナの容赦しない姿勢と確実に生き残るための効率の良い狩りが、サバンナトップクラスの狩りの名手と言われる理由なんです。
卑怯とかずるいなんてことはありません。
動物の世界では当たり前のことなんです。
だって人間より卑怯な動物なんてこの世にはいませんから。
ハイエナと天敵ライオンとのライバル関係
ブチハイエナに天敵はいるのでしょうか?
結論から言うと、ブチハイエナの天敵はライオンだけです。
ライオンが獲物を食べている周りに、ハイエナが群がっている映像をよく見ませんか?
普通に考えると「ハイエナがライオンの獲物を横取りしようと、隙をうかがっている」って思っちゃいますよね。
でもちょっと待ってください。
何度も言いますが、ブチハイエナは狩りの名手です。
実はハイエナが仕留めた獲物を、ライオンが横取りしていることの方が多いんです。
先ほどの映像もそんな場面かもしれません。
ライオンは意外にも狩りが上手くありません。
成功率はせいぜい20%ほどです。
そのためハイエナやヒョウ、チーターが仕留めた獲物を横取りすることで食い繋ぐこともしばしば。
「百獣の王」と呼ばれるのはこれが理由です。
ハイエナにとってライオンは獲物を横取りする泥棒です。しかし体格差がありすぎるため、手出しできないんです。
群れで戦えば追い払えるかもしれませんが、ライオンも群れで行動していますよね。
実はライオンが群れを作っているのは、ハイエナに対抗するためだとも言われているんです。
ネコ科で群れを作るのはライオンだけですよね。
ブチハイエナという強力な相手にも対抗できるように、同じように群れで行動し始めたと考えられています。
アフリカのサバンナで食物連鎖の頂点に君臨しているのは、間違いなくライオンとブチハイエナです。
ライオンはブチハイエナを見つけると、食べる目的でもないのに殺します。
ブチハイエナもライオンの子どもを殺すことがあります。
どちらも最強の座をかけて、日々争っているんです。
両者は強力なライバル関係にあると言えますね。
ハイエナのアゴはアフリカにとって重要!?
ハイエナがサバンナの掃除屋と呼ばれるのは、他の動物の食べ残しや骨までもきれいに食べてくれるからです。
動物の骨はもちろん固く、肉も時間が経つとカッチカチになります。
こんなものを食べられるのはハイエナのみです。
これを可能にしているのが、頑丈で強力なアゴです。
固い骨でもボリボリとかみ砕き、食べられるところは残さず食べきります。
そして強力な消化酵素をもった胃で、骨までも完全に消化、吸収することができます。
ただ、肉をかみ切るのは苦手なようで、食べ始めは内臓から、つまり獲物のおしりに顔を突っ込まなくてはいけないんです。
ちょっとカッコ悪いですね、、、
アフリカ大陸は過酷な環境です。
餓死はもちろん、病死も頻繁に発生しています。
死体は腐ります。そんなものがゴロゴロしていては、衛生的にも問題ですし、伝染病が頻繁に発生するかもしれません。
ハイエナが動物の死骸を食べてくれることで、アフリカの環境は最悪な状況にならなくて済んでいるのかもしれませんね。
ちなみに骨まで食べるハイエナのウンチは白っぽいみたいです。
ちゃんと消化できているんですね。
『ヒゲワシ』という鳥も死肉を食べます。
このワシは大きい骨を上空50mから落とし、岩に叩きつけて粉々にする習性があります。
ハイエナと同じく、死骸から発生する病気を予防してくれている掃除屋ですね。
ハイエナの群れは女王がリーダー
ブチハイエナは「クラン」と呼ばれる群れを作ります。
群れは最大で40頭にもなり、メスが中心となっています。
リーダーはメスです。
体格もオスよりメスの方が大きいみたいですよ。
群れの絆は強く、争いも起こりません。
他の群れと鉢合わせしても極力ケンカは起こさないようにしているんです。
意外にも社会性に優れた動物で、無駄な争いはしない主義なんですね。
子育ても協力して行い、自分の子ども以外にも授乳することがあります。
子どもを守ることに力を入れていて、1年後も生きている子どもの割合は60%を越えます。
サバンナはもちろん、野生の世界でもトップクラスの生存率です。
群れの存続がどれだけ大事かということを分かっているんですね。
さらにケガをした仲間に食べ物を与えてあげることも分かっています。
思いやりを大切にしているんです。
ここまでくると「悪者」のイメージとはかけ離れていますね。
サバンナの秩序を守る、正義の存在に見えてきました。
女王がいるなんてアリやハチみたいですよね。
哺乳類でメスが群れのリーダーになる動物は結構いて、例えば『ハダカデバネズミ』の群れには女王だけでなく、兵隊や建設係、さらに布団係までいるんですよ。
完全にアリの習性ですよね。
まとめ
ハイエナはその見た目とイメージから、意地悪な卑怯者というレッテルを張られてしまっていたんです。
もちろんそんなことはありませんでした。
むしろ狩りは上手く、群れの絆も深い!
良いイメージしか無かったんですね。
ライオンの方が泥棒ですよね。
しかし彼らも生きるのに必死!
野生の世界では泥棒なんて当たり前なんです。
ハイエナが強力なアゴで掃除してくれているおかげで、アフリカのサバンナは今の状態を維持できているのかもしれません。
悪者とは思わずに、感謝するべき存在ですよね。
皆さんもハイエナに対するイメージが変わったのではないでしょうか?
今日からハイエナのことをかっこいい正義の味方と思うようにしませんか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
おもしろい記事ありがとうございます。
ただ通常ライオンはハイエナを捕食しないので、「天敵」と書くのは誤りです。
ある生物を捕食や寄生によって殺す他の生物さん
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、ライオンがハイエナを捕食することは滅多にありません。確かに「天敵」という言葉はふさわしくありませんよね、、、
ただ、今回はハイエナという動物をピックアップするうえで、ライオンとの関係は避けて通れないと判断し、最も分かりやすい言葉が「天敵」だと思って使わせていただきました。
ハイエナにとってライオンはこちらに危害を加える恐れのある動物、しかも獲物を横取りするかもしれない「天敵」であると、わたしは考えております。
あくまでハイエナ目線で記事を書いたうえでの判断です。
なにとぞ、ご了承いただければ幸いです。
今後もよろしくお願いします。
ありがとうございました。