イヌの仲間

 

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エゾオオカミとニホンオオカミの違いって?絶滅理由やその影響とは?

【オオカミ先生】
『日本にもその昔、オオカミがいたことは知っているよね?』
【ニコ丸】
『ニホンオオカミでしょう?
絶滅しちゃったんだよね、、、』
【オオカミ先生】
『そうそう!
実は、もう1種類『エゾオオカミ』っていうのもいたんだよ!』

 

ニホンオオカミは本州、四国、九州に幅広く分布していたオオカミです。
現在は絶滅してしまったことで有名ですよね。

日本には北海道に『エゾオオカミ』というオオカミも生息していたことを知っていますか?
こちらも残念ながら絶滅してしまいましたが、ニホンオオカミとは別種なのでしょうか?

今回は日本にいた2種類の『オオカミ』に迫ってみましょう。

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エゾオオカミとニホンオオカミは違う種類?

エゾオオカミとニホンオオカミは現在のところ『別亜種』とされています。
亜種とは、同じ種類の動物が別の地域で生活している間に、体の特徴(色や大きさなど)などが少し変化したものです。

【ニコ丸】
『亜種って他にもいるの?』
【オオカミ先生】
『亜種の代表的な例は『トラ』や『ヒグマ』だよ!
『ベンガルトラ』と『スマトラトラ』・『エゾヒグマ』と『グリズリー』なんかは聞いたことあるかな?』
【ニコ丸】
『あるある!
これが亜種なのか、、、』

 

現在『オオカミ』と呼ばれている動物は、全てが『ハイイロオオカミ』です。
ハイイロオオカミの亜種が世界中に散らばり、地域ごとの特徴を持ち、名前も与えられているんです。

『タイリクオオカミ』はユーラシア大陸に幅広く生息しているハイイロオオカミです。
そのため、タイリクオオカミがいろんな地域にまたがることでいろんな亜種が生まれたと考えられています。

【オオカミ先生】
『タイリクオオカミも含む、すべてのオオカミを『ハイイロオオカミ』と呼ぶってことだね!』

 

日本に生息していたニホンオオカミとエゾオオカミもハイイロオオカミの亜種とする考えが一般的です。

エゾオオカミはアラスカやカナダなどに生息しているオオカミと遺伝的な特徴が似ています。
北海道は1万年前、ユーラシア大陸とつながっていました。エゾオオカミはその時期に北海道に渡り、大陸が分離した際に取り残され、独自の特徴を作っていったのでしょう。

ニホンオオカミは朝鮮半島を経由して、日本にやって来たと考えられています。
ただ、日本列島は20万年前にはすでに大陸から切り離されていたとも言われているため、ニホンオオカミがいつハイイロオオカミから分かれたのかわ現在も研究が行われているそうです。
ニホンオオカミをハイイロオオカミとは完全な別種とする説もありますが、オオカミの歴史の浅さを考えると、まだまだ亜種とする説の方が有力なようです。

【オオカミ先生】
『ニホンオオカミのご先祖様のオオカミもすでに絶滅しているという説もあるんだ!
まだまだニホンオオカミが一つの『種類』だったという考えは捨てきれないんだよ!』

 

『ブラキストン線(津軽海峡線)』という言葉もあり、北海道とそれ以外の日本列島に生息している生物は大きく違っています。
エゾオオカミとニホンオオカミは、ハイイロオオカミの亜種という共通点はありますが、日本に来た歴史は違います。

 

エゾオオカミの大きさや重さ!ニホンオオカミと比べてみよう

エゾオオカミの頭から胴体までの大きさ(体長)は120~130㎝ほど、体重は30~35㎏ほど、しっぽの長さは27~40cmほどとされています。
オオカミは基本的にオスの方がメスより一回り大きいので、エゾオオカミもオスの方が大型だったと考えられます。

エゾオオカミの剥製

一方のニホンオオカミは体長95~114㎝、体重は15㎏ほど、しっぽは30㎝ほどだったとされています。

ニホンオオカミの剥製

他の地域にいるオオカミと比べると、大型とされるシベリアオオカミ(ツンドラオオカミ)の体重が40㎏ほどですので、エゾオオカミは中型のオオカミといったところでしょうか。
ニホンオオカミはさらに小型です。中型犬ほどのサイズとされているため、オオカミの中でも小さかったのが分かりますね。

 

【ニコ丸】
『哺乳類は寒ければ寒いほど大型になるから、比較的南の方にいるニホンオオカミも小型になったのかもね』

 

エゾオオカミとニホンオオカミの絶滅理由は何?

エゾオオカミとニホンオオカミ、どちらも約100年前に絶滅してしまいました。
エゾオオカミは1894年、ニホンオオカミは1905年を最後に目撃情報は無く、この年が絶滅した年だとされています。

一体何が原因だったのでしょうか?

残念ながら、どちらのオオカミも、人間が原因で絶滅したと考えるのが有力です。

エゾオオカミの絶滅理由

エゾオオカミは北海道の開拓によりシカが減ってしまうと、人間の家畜である馬などを襲うようになりました。
その結果、駆除されるようになりました。

【オオカミ先生】
『1877年当時は、懸賞金がかけられるほど、駆除の対象になっていたんだよ、、』
【ニコ丸】
『家畜を守るだけじゃなく、お金のために駆除する人も増えちゃったんだね、、』

 

さらに、牧場拡大の助言のためにアメリカからやってきた『エドウィン・ダン』という人物が『ストリキニーネ』という毒物を使った駆除を日本人に教えました。
これによりエゾオオカミの虐殺は加速し、同時期に起こった大雪によるシカの大量死とも合わさって、エゾオオカミは絶滅へのカウントダウンを開始してしまいます、、

10年で3000頭ものオオカミが殺されました。

そして、1896年の毛皮商人の証言を最後に、エゾオオカミは姿を消してしまいました。

 

ニホンオオカミの絶滅理由

ニホンオオカミが絶滅してしまったのは、人間が持ち込んが飼い犬が関係しているとされています。
日本にもともといなかった外国の飼い犬が、狂犬病やジステンパーといった伝染病を持ち込んでしまったんです。

免疫のなかったニホンオオカミはこれに耐えられず、一気に数を減らします。
さらに狂犬病で凶暴になったニホンオオカミを駆除する人間もあらわれ、どんどん減ってしまいます。
開発による住みかの減少も合わさり、ニホンオオカミはついに絶滅してまいました。

1905年に奈良県にて捕獲されたニホンオオカミが最後の個体とされています。

【オオカミ先生】
『日本では昔から、オオカミの骨を魔除けとしていたんだって!
それがはやって、オオカミの骨目当てで乱獲したっていう記録もあるんだとか、、、』
【ニコ丸】
『それも絶滅の原因になってそうだね、、』

 

エゾオオカミの生き残りはいる?目撃情報は?

残念ながら現在までエゾオオカミの目撃情報はありません。
ニホンオオカミに関しては、何件か目撃例がありますが、確かな証拠も無く、デマだろうと言われています。

オオカミは目立ちますし、生きていれば目撃情報や遠吠えを聞いたなどのタレコミもあるはずです。

エゾオオカミの生き残りがいるという考えは、もはや絶望的でしょう、、

【ニコ丸】
『オオカミはとことん用心深く、人に近づかないんだ!
もしかしたら、どこか人里離れた場所にいるかも、、、』
【オオカミ先生】
『未開拓地があれば生き残りがいるかもしれないけど、日本にそんなとこありそうにないね』

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エゾオオカミとヒグマの関係!ヒグマが草食化した!?

エゾオオカミが生息していた北海道には、エゾヒグマが生息しています。
そのヒグマですが、北海道のエゾヒグマが草食化しているのを知っていますか?

北海道大学と京都大学の研究チームが骨に含まれる栄養素を研究した結果、1920年よりも前は、ヒグマはシカや昆虫などの陸上動物やサケを主に食べていました。しかし、現在は植物を中心とした食生活に変わってしまっているんです。

この時期に何があったのでしょうか?

大きな原因は森林の開発やサケ漁の本格化とされています。
単純に獲物が少なくなってしまったということです。

しかし、もう一つの原因がオオカミの絶滅とも言われているんです。

ヒグマは実は、単独でシカなどの大型で素早い獲物を狩ることが難しかったと考えられています。素早い動物をしとめるには、ヒグマは小回りがきかなかったのでしょう。
では、どうやって肉を食べていたか?

オオカミの獲物を横取りしていたんです。

オオカミは群れで狩りをします。仲間同士協力して、素早い草食動物だって仕留められます。

そのオオカミが絶滅してしまい、シカを食べなくなっていったということでしょう。
その結果、エゾヒグマの草食化が進んでしまったというわけです。

【ニコ丸】
『ヒグマにとってオオカミは、肉を食べるために必要な存在だったということか、、』

 

日本でオオカミを復活させる必要があるって本当?

今、日本の森林が破壊されています。
理由はシカです。

【ニコ丸】
『シカ!?
シカがなんで環境を破壊するの?』

 

シカは草食性で、目に届く範囲の草木をすべて食べつくしてしまう動物です。
さらに、一夫多妻制で、どんどん数を増やします。しかも日本で彼らを食べる生き物は存在しません。

天敵がいないシカは数を増やしまくり、森を枯らすほどの食害を引き起こしているんです。

紀伊半島の大台ケ原はシカの食害により回復不可能な状態です。
かつては昼間も暗くなるほどの森林でしたが、現在、木々は枯れ果て、草原を残すのみとなりました。

1980年代から急増しだしたシカは、低地から高山帯まで、食害を広げています。植生学会の調査によると、全国の48%の森林で食害の被害があり、20%では草花の減少や土壌の流出などが起こっています。

森林がなくなると、昆虫が減り、鳥類が減り、小動物が減ります。生態系が破壊されるということです。
いろんな動物が絶滅してしまうかもしれないんです。

さらに木がなくなることで根っこで支えられていた土壌がゆるみ、大雨が降ると土砂崩れを起こしてしまいます。
最近でもたくさんの人が土砂崩れで亡くなっていますよね、、

【ニコ丸】
『ん~、、、これは対策が必要だね!』

増えすぎたシカを駆除するためにはどうすればいいでしょうか?

ハンターによる狩猟も方法としてはありますが、高齢化が進み、現実的に厳しいです。
毒物による駆除は自然の摂理を考えると、やってほしくありませんよね。

【ニコ丸】
『毒殺でオオカミを絶滅させたのに、同じような方法をシカに使うのは嫌だな~、、』

 

カギを握るのがオオカミです。
日本にオオカミを復活させ、生態系を安定させ、シカの数を減らすことが最も効果的なんです。

実際、アメリカのイエローストーン国立公園でも、絶滅したオオカミを再導入しています。その結果、増えすぎた『エルク』というシカが減少し、食べつくされていた森林が蘇ったんです。
生態系が安定したことで、緑が復活し、減少していた動物たちも復活していきました。

日本でも同じような活動が必要だと思いませんか?

オオカミが生き物を狩りつくすことはありません。生き物は絶妙なバランスで生態系を保っています。
かつて人間の手によって崩してしまった生態系を、再び人間の手によって復活させるんです。

自然を未来につなぐためにも、一日も早いオオカミの復活が望まれています。

【オオカミ先生】
『オオカミは病気の獲物を優先して襲うんだって!
伝染病の流行も抑えられるってことだね!』

 

【ニコ丸】
『オオカミはどこから連れてくるの?』

日本にオオカミを復活させるために北半球に生息する『ハイイロオオカミ』を連れてくることになるでしょう。
もともと日本にいたニホンオオカミはハイイロオオカミの亜種であるため、生態系を崩すことありません。外来種とは違うんです。

 

オオカミは怖くない!

【ニコ丸】
『日本にオオカミが復活すると、襲われないか不安になるね
大丈夫なの?』

オオカミは臆病な動物です。
人前に姿を現すことはめったにありません。
実際、オオカミが住む地域の人も『遠吠えは聞こえるけど、姿は見たことない』と言っているようです。

でも、昔話などで悪役のイメージが定着しすぎて、オオカミを怖いと思う人は多いでしょう。
だからこそ、オオカミ復活の必要性を多くの人に知ってもらい、広めていく必要があるんです。

オオカミは悪役ではなく、ヒーローなんです。

 

まとめ

ニホンオオカミもエゾオオカミも人間の手によって絶滅してしまいました。
目撃情報もなく、残念ながら生き残りはいないでしょう。

増えすぎたシカによる食害を何とかするには、オオカミが必要です。
オオカミが怖いというイメージが少しでも減り、日本の生態系が元のような状態に戻ることに期待せずにはいられませんね。

【ニコ丸】
『みんなもオオカミを応援しよう!
最後まで読んでくれてありがとう!またね~』

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