ディンゴはオーストラリア大陸にいるイヌ科の肉食動物です。
見た目は大型の柴犬って感じですが、中身はオオカミそのものでとても獰猛なんです。
実はディンゴがオーストラリアに入ってきたのは、人間に連れてこられたからなんです。
飼い犬が野生化してしまいました。
つまり外来種ですね。
ディンゴのせいで絶滅してしまった動物もいるくらい、生態系に与えたダメージは大きかったと言われています。
ただディンゴもディンゴで、この地方にしかいない動物です。
実は彼らもある理由で数が減っているんです。
ディンゴとはどのような動物なんでしょうか?
また、人間との関係とは!
今日はオーストラリア大陸の食物連鎖の頂点に君臨する「ディンゴ」に迫ります。
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ディンゴは犬?オオカミ?
ディンゴは食肉目・イヌ科・イヌ属・タイリクオオカミの亜種です。
私たちがペットとして飼っている「イエイヌ」も、ディンゴと同じくタイリクオオカミの亜種です。
つまり、ディンゴもイエイヌも、タイリクオオカミを家畜(ペット)として飼い始めたのが起源なんです。
そのため、ディンゴとイエイヌは交配が可能です。
後述しますが、この「ディンゴとイエイヌの混血」は、純粋なディンゴが数を減らす原因となっています。
ディンゴがオーストラリアに来た歴史
ディンゴは数千年前にオーストラリアの先住民族が連れ込んだイヌです。
その後、アボリジニが飼いならしました。
残飯の処理や寒いときに抱いて寝るなど、かなりかかわりの深い関係だったようです。
その後次第に野性化するディンゴが増え、今のような獰猛な野犬となったのです。
ディンゴの登場によりフクロオオカミやオーストラリア大陸のタスメニアデビルは絶滅してしまいました。
しかし、現在のオーストラリアにとってディンゴは、生態系を安定させている存在とも言われています。
ちなみにディンゴは別名「wild dog(野犬)」と呼ばれます。
ディンゴは柴犬に似ている?
ディンゴは体長100cmほど、体重は10~15kgほどです。
だいたい中型犬~大型犬ほどの大きさですね。
体重が軽いので、かなりスマートな体つきです。
ただ、全体的にがっしりしていて、筋肉質です。
体色は金色や赤みがかった黄色です。
イエイヌと遺伝子的に近いものがありますが、表情に愛らしさはなく、野性味溢れる荒々しい顔立ちです。
立ち耳とカラーが柴犬に似ていますが、あんなにかわいらしくはありません。
ディンゴの生息地はオーストラリアのどこ?
ディンゴはオーストラリア全土に生息しています。
ただ、タスマニア島には存在していません。これはタスマニア島がオーストラリア大陸から分離したあとにディンゴが入ってきたためです。
砂漠、森林、草原地帯と幅広い範囲で暮らしています。
ちなみにディンゴはタイ、マレーシアなどの東南アジアを通過してオーストラリア大陸に上陸しました。
そのため、東南アジアに現在生息している在来犬もディンゴとされています。(アジアのディンゴがオーストラリアのディンゴの祖先的な位置にいます)
ディンゴの生態!群れを作る
ディンゴは単独、または群れで生活します。
群れの数は多くても10頭ほどです。
社会性が高くコミュニケーションもとりますが、吠えることはなく、遠吠えや鼻の音で会話をするようです。
ちなみに、群れのリーダーはメスです。
ディンゴの食べ物は何?
ディンゴは肉食性に近い雑食性です。
ネズミやウサギなどのげっ歯類、鳥類、爬虫類、ワラビーなど小型の哺乳類を食べます。
雑食性なため、意外と果実などの植物も食べます。
狩りは単独で行うこともありますが、基本的には群れで協力して行われます。
ディンゴとフクロオオカミのライバル関係!
ディンゴが生息しているオーストラリア大陸には、元々「フクロオオカミ」という肉食性の有袋類が生息していました。
フクロオオカミの生前の写真
ディンゴとフクロオオカミは食性が一致していたため、ライバル関係にありました。
しかし、フクロオオカミが単独で行動していたのに対し、ディンゴは群れで行動していました。
生き残るのに長けていたのはディンゴでした。
その結果、フクロオオカミはディンゴとの生存競争に破れ、オーストラリア大陸から絶滅してしまいました。
フクロオオカミは、唯一ディンゴがいなかったタスマニア島では生き残ることができましたが、タスマニア島では人間による駆除に合ってしまいます。
結果として1936年に絶滅してしまいました。
ちなみにタスマニア島に生息しているタスマニアデビルが、元々オーストラリア大陸にも生息していたことが化石により判明しています。
オーストラリアのタスマニアデビルも、ディンゴとの生存競争に破れてしまったんです。
ディンゴがものすごく優れた動物であることが分かりますね。
有胎盤類は有袋類よりも生き残る面で優れているんです。
ディンゴの繁殖!赤ちゃんはどんな姿?
ディンゴは1年に1回繁殖期を迎えます。
オーストラリアの哺乳類の多くは有袋類で、袋(育児嚢)を持っています。
ディンゴはオーストラリア以外の大陸からやってきたため、もちろん育児嚢は持っていません。
このディンゴの繁殖形態も、有袋類ゆり優れている点であるため、フクロオオカミやタスメニアデビルに生存競争で勝てたポイントでもあります。
1回の出産で5匹の赤ちゃんを産みます。
この時、群れで行動している場合はリーダーのメスが下位のメスが産んだ子どもを殺してしまう場合があります。
子どもは6~8ヶ月で親離れします。
ちなみに野生下のディンゴの寿命は5~6年と、一般的なイエイヌに比べてもかなり短いです。
ディンゴの性格!人間になつくの?
ディンゴはとても獰猛な性格をしています。
野生のディンゴは人間に対して全く懐かないと言われています。
ただし、赤ちゃんの頃から飼育していれば、人に対慣れることもあるようです。
この辺はイエイヌと近いだけのことはありますね。
元々はアボリジニの飼い犬だったので、飼育できないことは無いはずです。
ただ、長い間人間との関わりが無くなっていったため、人を敵視するようになったのかもしれません。
ディンゴはペットとして飼育できるの?
ディンゴをペットにすることはオーストラリア政府によって禁止されています。
飼い犬が祖先とはいえ、獰猛な性格のディンゴです、ペットにするのは危険ですからね。
ただ、ディンゴとイエイヌの交配種「ディンゴ・ハイブリッド」を雑種として飼育している人は結構いるみたいです。
ディンゴ・ハイブリッドはディンゴのようなたくましい肉体に、イエイヌの従順さを持っているため、意外と人気なんです。
ディンゴと人間の関係!駆除されている!?
ディンゴは家畜を襲うことがあるため、しばしば害獣として駆除されていました。
年間通しても、かなりの数のディンゴが殺されてしまっていたため、対策として全長5320㎞にもなる「ディンゴフェンス」が設置されています。
ディンゴフェンスはオーストラリアの牧羊地域である東南部にディンゴが入れないようにする目的で作られました。
1880年に作り始められ、1885年に完成しました。
ディンゴ・ハイブリッドの存在
ディンゴはイエイヌと遺伝子が近いため、交配することができます。
ディンゴとイエイヌのミックスは「ディンゴ・ハイブリッド」と呼ばれています。
イエイヌはヨーロッパ人と共にオーストラリアに入ってきました。
牧羊犬として重宝されていましたが、一部が逃げ出し、ディンゴと繁殖してしまったんです。
ディンゴとイエイヌは亜種ではありますが、同じ種です。
交配しても問題ないどころか、適応力の高いハイブリッドになるため、寿命も長くなります。
現在、ディンゴ・ハイブリッドはディンゴ全体の3分の1にもなると言われていて、純粋なディンゴはフレーザー島などの離島にのみ存在します。
混血がディンゴを絶滅の危機に追い込んでいるんです。
ディンゴは人間を襲う!?襲撃事件を紹介!
ディンゴは元々は飼い犬でしたが、野生化したことで獰猛になり、人を襲うことがあります。
キャンプ場で少女が消えてしまい、母親が疑われ、逮捕されてしまいましたが、30年後にディンゴの巣から少女の衣類が見つかったという事件は衝撃的でした。
少女はディンゴに食べられてしまっていたんです。
母親は30年後にようやく無罪とされています。
これ以外にも、ディンゴによる死亡事故は、過去10年で6件以上報告されています。
まとめ
ディンゴは人間が持ち込んでしまったがために、その土地の固有種を絶滅に追いやったという過去を持っています。
フクロオオカミを絶滅させたのはやはり大きな問題ですね。
ただ、現在はディンゴ自体が、野生動物の一種として、大切にされているようです。
イエイヌとの混血はかなり深刻です。
ディンゴとは似ても似つかないミックス犬が野生化して凶暴になるのはやっぱりつらいです。
人間の都合で振り回されたディンゴですが、純潔のディンゴが生き残ってくれることを祈りたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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