ネズミの仲間

 

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 更新日:2022年6月25日

ハダカデバネズミには女王がいる!?寿命は30年でガンにもならない!

オオカミ先生
アリといえば、女王がいて兵隊がいてっいうように階級があるよね!
実は同じような階級社会を作るネズミがいるんだ!
ニコ丸
ネズミがアリみたいな生活をしているの?
も、もちろんネズミみたいにかわいいんだよね?
オオカミ先生
裸で出っ歯なネズミだよ!
ちょっとグロテスクだけど、人によってはかわいいって言うかもね、、、

 

ハダカデバネズミは20世紀後半になって発見された、とても珍しいネズミの仲間です。
地面に巣穴を掘るうえに女王、王様、兵隊、働き係といった役職がある、まるでアリのような生活をしています。
しかもふとん係までいるんだとか!

ハダカデバネズミの詳しい生活とは!?

キモいけどかわいい!?
社会的なネズミ「ハダカデバネズミ」に迫ります。

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ハダカデバネズミってどんな動物?

ハダカデバネズミはネズミ目・デバネズミ科・ハダカデバネズミ属の哺乳類です。
デバネズミ科はアフリカ大陸に分布しているグループで、その名の通りものすごく出っ歯なのが特徴です。
全ての種類が地中生活です。

ニコ丸
巣穴を掘るための出っ歯なんだよ!
穴堀のプロなんだ!
オオカミ先生
しかも歯を出したまま口を閉じられるんだ!
口に土が入ることなく穴堀ができるね!

 

ハダカデバネズミ属は1種類のみが存在しています。
一属一種と呼ばれる珍しいタイプです。

 

ハダカデバネズミの特徴!目は退化しちゃった!?

ハダカデバネズミをはじめとするデバネズミの仲間は、全てが地中で生活しているため、視覚が弱くなっています。
光がほとんど届かない世界では、目は必要ないんですね。
その代わり聴覚や嗅覚が発達していて、音や匂いで周りの環境を探ります。

ハダカデバネズミの体長は10~13cmほど、体重は最大でも70gほどです。
体は細長く、穴で生活するのに適しています。

名前の通り全身の体毛が薄く、はげているように見えます。
地肌のピンクが透けるほど毛が薄いんです。
はげていることで毛が引っ掛かることなく、巣穴の中をスムーズに移動できます。

ニコ丸
普通のネズミは引き返すときはUターンするんだけど、ハダカデバネズミはバックができるんだ!
オオカミ先生
実は細かい毛が生えているんだよ!
しかもセンサーみたいに触れたら分かるんだ!

 

聴覚、嗅覚、そして毛による触覚をフル活用することで、暗い地中でも生活できるんです。

 

 

ハダカデバネズミの生息地はどこ?

ハダカデバネズミはアフリカ大陸の東部に分布しています。
国で言うとエチオピア、ジブチ、ケニア、ソマリアが生息範囲です。

何度か説明している通り、彼らは完全に地中で生活しています。地上に出ることはまずありません。
そのため、発見は20世紀後半に入ってからと、かなり遅れてしまいました。

嗅覚に優れている地上の肉食動物ですら、ハダカデバネズミを見つけることはありません。
人間が彼らを見つけられなかったのも無理はないですね。

ニコ丸
唯一の天敵はヘビなんだって!
ヘビは狭い巣穴だろうとお構いなしに侵入できるし、暗くても相手の温度を感じることができるからね!
オオカミ先生
ピット器官っていうんだ!
ヘビが優れた捕食者なのはこれが理由だね!

 

ハダカデバネズミの生態!真社会性動物で女王がいる!?

ハダカデバネズミにはとってもおもしろい生態があります。
例えば、哺乳類なのに体温調節が苦手なところがそうです。

通常、哺乳類は周りの環境に関係なく体温を一定に保とうとします。
恒温動物という言葉を聞いたことがないでしょうか?

爬虫類に代表される変温動物は、周りの環境によって体温が変化します。
そのため低温では活動できず、動けなくなります。

オオカミ先生
ワニやトカゲは頻繁に日光浴をするよね!
体温を上げる目的があるんだ!

 

ハダカデバネズミが暮らしている地中は、温度の変化がほとんどありません。
体温を一定に保つ能力が必要ないため、彼らは恒温性が発達していないんです。
寒ければ仲間同士くっつき合い、逆に暑ければトンネルの奥の涼しい場所に避難して体温を調節します。

そしてもう1つ、ハダカデバネズミのおもしろいところが、真社会性な生態を持つことです。
真社会性とは、ハチやアリに見られる生態です。
繁殖できるのは女王のみ、他は兵隊などの様々な役職につきます。
そして群れの中に繁殖能力のないものが存在します。

ニコ丸
あとは共同で子育てするのも真社会性の特徴だね。
最優先は子ども達なんだ!

 

ハダカデバネズミは女王を中心とした群れを作ります。
群れの数は平均70~80匹、多ければ300匹にもなります。
繁殖するのは女王のみ、複数いる王は女王から求められればひたすら繁殖活動を行います。

女王は群れの上下関係をはっきりさせるため、常に巣穴の中を巡回しています。
そして階級の低いメスにおしっこをかけます。
不思議なことに、女王からおしっこをかけられたメスは繁殖できなくなるんです。

オオカミ先生
女王は他のメスに戦いを挑まれ、殺されてしまうこともあるんだ!
強いメスが女王になるんだね!

 

役職による体の大きさの違いはほとんどありません。
さらに女王が巣穴を通るときは全員があお向けに寝て腕をあげる姿勢をとります。
これがハダカデバネズミ風の敬礼なんですね。

ちなみに王が巣穴を通るとき、すれ違うものは王の下に入り込み、踏まれます。
これも上下関係を示しているのでしょう。

このような真社会性な生態を持つ哺乳類はハダカデバネズミと「ダマラランドデバネズミ」の2種類のみです。

オオカミ先生
リカオンとかハイエナとか、メスが群れのリーダーになる動物は他にもいるんだ!
でも群れの中に繁殖できない個体が存在するのはこの2種類だけなんだよ!

 

ハダカデバネズミの兵隊は天敵と戦う!?

ハダカデバネズミの天敵はヘビです。
先程説明した通り、陸上の肉食動物は、地中から出てこないハダカデバネズミを捕まえることはできません。
ヘビのみが細長い巣穴に入れるんです。

ヘビが侵入してくると、ハダカデバネズミの兵隊が戦いを挑みます。
ただ、ヘビを撃退するわけではないんです。
自ら食べられるために突っ込みます。
そしておとりが食べられている間に仲間がその穴を塞いでしまうんです。

ニコ丸
1匹が犠牲になることで何百という群れの仲間が助かるんだね!
群れを最優先に考えているんだ!

 

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ハダカデバネズミにはふとん係もいる!

ハダカデバネズミには他にも役職があります。
巣穴を掘り進める「建築係」は下級な階級の仕事です。

そして、さらに驚きの役職が「ふとん係」です。
子どもの下敷きになってひたすら動かずに過ごすという、かなり地味な係がいるんです。

床のように敷き詰められているのがふとん係

ハダカデバネズミが体温調節を苦手としているという説明はしましたね。
特に子どもの頃は大人よりもはるかに苦手です。
温度と共に体温が下がってしまい、そのまま死んでしまう恐れも、、、

ふとん係は子どもが正常に育つための重要な役割なんです。
雑用的な仕事でも甘く見てはいけませんね。

ニコ丸
大人の体温に触れることで、子ども達は徐々に体温調節を覚えていくんだよ!

 

ハダカデバネズミは老化が遅く、寿命が長い!?

ハダカデバネズミと同じくらいのネズミ、例えば「モルモット」の寿命は4~8年ほどです。
これくらいがネズミの仲間の寿命としては通常でしょう。

しかしハダカデバネズミはこの何十倍も長生きします。
なんと30年以上生きることが確認されているんです。

ニコ丸
こんな小さな体で30年も生きるの!?
犬よりも長生きなんだね!

 

ハダカデバネズミが長生きな理由はその代謝の低さにあります。
つまりエネルギーの消費が少ないんです。

哺乳類は恒温動物です。
体温を一定に保つため、じっとしていても常にエネルギーを消費(基礎代謝)しています。
さらに呼吸によって酸素を取り込むことで、細胞は常に酸化しています。
これが老化の原因です。

しかしハダカデバネズミは体温調節をほとんど行わないため、普段から使っているエネルギーも少なくて済みます。基礎代謝はものすごく低いということになります。

その結果、ネズミの仲間とは思えないほどの寿命を獲得できたのです。

 

ハダカデバネズミは酸素がなくても生きられる!?

ハダカデバネズミには驚くべき能力があります。
なんと、酸素がなくても18分間生きられることが分かったんです。

ハダカデバネズミの巣穴はもともと酸素の濃度がとても低く、人間なら死んでしまうような二酸化炭素の量になります。
狭い巣穴に何百匹という群れが生活しているんですから、無理もありませんよね。
普段から低酸素状態で生きているんです。

そして極限まで酸素がなくなると意識をなくし、呼吸を止めます。仮死状態になるんですね。
再び酸素の量が回復すると呼吸を開始し、活動し始めます。

しかも無酸素状態が続いても後遺症は残りません。
酸素がない間は「フルクトース」という糖質の一種をエネルギーとしているんです。

この能力は「脳卒中や心臓発作が脳に与えるダメージを軽減させられるかもしれない」と、研究が進められています。

オオカミ先生
病気で脳に酸素が行き渡らないと、障害が残ってしまうかもしれないんだ!
ハダカデバネズミは救世主になれるかもしれないね!

 

ハダカデバネズミはがんに耐性が!?じゃあ死因は何?

ハダカデバネズミには、まだまだ驚くべきところがあります。
なんと、がんに対しても耐性があるんです。

実験によりがんを進めるガンマ線や発ガン物質を打ち込んでも、さらには腫瘍を移植してもハダカデバネズミにはがん細胞ができませんでした。
普通のマウスなら即死レベルです。

この理由はまだまだ研究段階ですが、ハダカデバネズミが持つヒアルロン酸が、がんを抑制している可能性があるようです。
彼らの細胞のヒアルロン酸は密度がとても高いことが分かっています。
狭い巣穴でもスムーズに移動できるように、皮膚の張りを維持する必要がありますよね。
それがヒアルロン酸の密度が高い原因です。

ニコ丸
皮膚に張りが出るついでにがんも防いじゃっているんだね!

 

さらにはハダカデバネズミの酸素消費量が少ないことも、がんを防いでいる理由だと考えられています。
細胞が酸素と結び付くことで起こる酸化(サビ)が、がんの原因です。
それが少ないのですから、がんを発生させにくいのも分かりますよね。

現在、ハダカデバネズミとがんの関係については研究が進められています。
もしかしたら、がんの発症を防ぐ手懸かりが見つかるかもしれませんね。

老化が遅く、がんもできないハダカデバネズミですが、寿命は30年ほどです。
しっかり年を取るんです。
死因は天敵に襲われることや寿命によるものが多いようです。

 

まとめ

ハダカデバネズミはアフリカの地中で生活しています。
ネズミなのにアリやハチみたいな真社会性を築き上げます。
見た目だけでなく、生活スタイルもヘンテコなんですね。

兵隊は自らを犠牲にして群れを守り、ふとん係はひたすら子ども達を温め続けます。
小さいけれど、仲間思いでたくましい動物なんです。

極限までに酸素が少ない場所で生活しているため、代謝が低く、寿命は30年近くまで長くなります。
がんに耐性があるのも驚きですね。
人間の救世主は、この奇妙なネズミなのかもしれませんね。

ニコ丸
最後まで読んでくれてありがとう!
また遊びに来てね!

 

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