実はノグチゲラっていうキツツキの仲間なんだ!
意外だね!どんな鳥なの?
沖縄の北部「やんばる」と呼ばれる地域には変わった生き物がたくさんいます。
ここにしかいない「固有種」も多く、ノグチゲラもそんな沖縄の固有種のひとつです。
鮮やかな赤色に包まれたこの美しい鳥は、沖縄を象徴するシンボル「沖縄の県鳥」に指定されています。
そんなノグチゲラは今、絶滅の危機にあります。
そこには人間が深く関わっているんです。
ノグチゲラとはどんな鳥なのでしょうか?
絶滅しそうな理由は?
沖縄が誇る幻の美鳥「ノグチゲラ」に迫ってみましょう。
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ノグチゲラってどんな鳥?特徴は?
ノグチゲラはキツツキ科・ノグチゲラ属の鳥類です。
ノグチゲラ属は一種類のみです。
一属一種と呼ばれる珍しいタイプですね。
全長は30cmほど、翼の大きさは片方15cmほどです。
オスとメスの羽根の色は全く違います。
オスは頭頂部が鮮やかな赤い色ですが、メスは地味な黒っぽい色です。
子どもの頃はオスメス関係なく頭頂部は赤くなります。
求愛もメスがするんだって!
この羽の色には地面の色に溶け込む、擬態の役割があります。
ノグチゲラが生息している沖縄県の北部、やんばるには地面に天敵となる肉食動物がいません。
そのため、ノグチゲラのオスと巣だったばかりの子どもは地面をつついてエサとなる昆虫やクモを探します。
空にはカラスなどの天敵がいるため、それらに見つからないように地面に溶け込む色をしているんです。
メスは木をつついて獲物を探すため、木のような地味なカラーリングをしているというわけです。
ジツツキだね!
ノグチゲラの名前の由来は野口さん!?
ノグチゲラが新種として発見されたのは1887年という比較的最近のことなんです。
このとき発見に関わったとされるのが「野口さん」という方です。
和名の由来でもありますし、学名の「Sapheopipo noguchii」は「野口さんの特別なキツツキ」という意味です。
ノグチゲラの鳴き声はどんな感じ?ドラミングって?
ノグチゲラは子どもが盛んに鳴き声を上げる姿がよく見られます。
特に子どもが巣立った初夏には親も合わせた大合唱がやんばるの森に響きます。
ノグチゲラはキツツキの仲間なので、ドラミング(くちばしを木に高速で打ち付けて音を鳴らす)もよく行います。
縄張りの主張やペアを呼ぶ目的なようです。
ノグチゲラの生態!
毎年春になるとノグチゲラは巣作りを開始します。
巣の完成までは1ヶ月以上かかる場合もあるため、早いものは冬から作りはじめ、春に間に合わせることもあります。
巣穴は木の6~7mの高さに作られることが多く、深さは30~40㎝もあります。
そのため、直径30㎝以上ある太い木にしか巣を作ることができません。樹齢で言えば40年以上が望ましいようです。
ノグチゲラは一度ペアになると、どちらかが死んでしまうまで寄り添い続けます。
毎年同じ相手と子どもを作るんです。
卵は2個産みます。
巣穴に卵を産むと、日中は夫婦が交代しながら温めますが、夜はオスが温めます。
2週間ほどでヒナが孵ります。
ヒナは体温調節が苦手なため、引き続き卵と同じスタイルで温め続けます。
ヒナに与えるエサは虫や木のみです。
ノグチゲラは木の実をとるのがうまく、枝に逆さまになりながら器用につっつきます。
また、オスは地面の中のムカデやクモ、メスは木の中の幼虫をとります。
ヒナは食欲旺盛なため、1日中せっせとエサを運びます。
だいたい4週間ほどでヒナは巣立ちますが、しばらくは巣の周りに留まって、親からエサをもらいながらさらに成長していきます。
働き者なんだね
ノグチゲラは絶滅危惧種!そして天然記念物!?
ノグチゲラは深刻なまでに数を減らしています。
生息数は現在のところ600羽とも言われ、レッドデータブックのカテゴリーは「絶滅危惧ⅠA類」です。
近い将来絶滅してしまう可能性が極めて高い状況です。
1972年には天然記念物に、1977年には国の特別天然記念物に指定され、国をあげて保護に力が入れられています。
沖縄県の東村では「ノグチゲラ保護条例」が制定されていて、保護地域への無断立ち入りや騒音に対して罰則が下されます。
ノグチゲラは警戒心が強く、少しでも人間の姿を感じてしまえば、巣を放置してヒナを見殺しにしてしまいます。
ノグチゲラの生息地に立ち入らないことが大切なんです。
ノグチゲラが生息数を減らしている理由は?
ノグチゲラが数を激減させているのは、天敵の存在に理由があります。
もともと地面に天敵がいないために、土の中の虫を獲物としているノグチゲラです。地面を住処としている肉食動物が現れてしまったら、何の抵抗もできずに捕食されてしまうでしょう。
そこの現れたのが、人間が持ち込んだネコやマングースです。
イエネコが野生化し、野良猫になるとノグチゲラを襲ってしまいます。
また、ハブの駆除目的で導入されたマングースも、ハブではなくノグチゲラを襲っていることが、マングースの胃の検査で判明しています。
マングースは昼行性で、ハブは夜行性です。
そもそも両者は出会っていなかったんです。
しかもハブよりも安全に仕留められる生き物がいれば当然そちらを襲いますよね。
ノグチゲラはマングースの格好の餌食となりました。
沖縄の生態系を壊しているんだよ!
そして、人間が増えることでカラスも増えてしまいます。
カラスは生命力が強く、人間が出すごみなどでどんどん増えてしまいます。
ノグチゲラの巣をカラスが漁っているところも観察されているため、問題視されているんです。
以前までここまで多くなかった天敵が、ノグチゲラを激減させているということですね。
さらにノグチゲラが生息している地域は開発が進んでいる場所でもあります。
ダムや道路建設、農地開発や森林伐採で生息地は減少しています。
以前までは恩納村にも生息していたようですが、開発による分断で現在は絶滅してしまっています。
やんばるの限られた地域にしか生息できていないんです。
まとめ
ノグチゲラは沖縄のやんばるにしか生息していない固有種です。
その美しい見た目は、他にいないほど魅力的です。
キツツキの仲間ということで、鳴き声だけじゃなく木をつっつく音も生息地では聞けます。
特徴的なドラミングは、やんばるを代表する野生の音ですね。
外来種の影響で数を激減させています。
人間が持ち込んだネコやマングース、そして人間とともに増えていくカラスが、ノグチゲラを襲っているんです。
天敵がいなくて地面に降りていた習性が、あだとなっているんです。
あたり前ですが、ペットは最後まで責任を持って面倒見ましょう。
そんなこともできない人にペットを飼う資格はありませんおね。
マングースに関しては現在、駆除が進められています。
この動物も人間の勝手に振り回された動物ですよね。
かわいそうですけどノグチゲラは沖縄にしかいません。優先して守るべきですね。
沖縄に行く機会があったら、やんばるでノグチゲラの鳴き声や音を探してみてください。
ドラミングはノグチゲラのみしか行わないため、すぐ見つかるかもしれませんよ。
また遊びに来てね~
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