ウミイグアナもその1つだよ!
凶暴なの?
海藻しか食べなくておとなしいんだよ!
ウミイグアナはその名の通り、海で生活しているイグアナです。
ガラパゴス諸島という完全に隔離された環境が生んだ、世界で唯一海を泳ぐイグアナです。
彼らは海で暮らすため、様々な進化をしてきました。
そこには爬虫類だからこその悩みもあるんです。
ガラパゴスが生んだ奇跡の海洋爬虫類『ウミイグアナ』に迫ってみましょう。
好きなところにジャンプできます
ウミイグアナってどんなイグアナ?
ウミイグアナは有鱗目・イグアナ科・ウミイグアナ属の爬虫類です。
ウミイグアナ属には1種類のみが存在します。
一属一種という珍しいタイプの動物です。
とっても成功しているグループなんだよ!
ウミイグアナは頭からしっぽの先まで120〜150cmほど。結構大型なんです。
ただ、胴体よりもしっぽの方が長くなります。
顔はいかつく、発見者のダーウィンからは『醜い、おぞましい』なんていう言われようでした。
ゴジラみたいだ、、、
ウミイグアナの生息地『ガラパゴス諸島』ってどんなとこ?
ウミイグアナはガラパゴス諸島にのみ生息している固有種です。
世界中探しても、他にこれほど不思議なイグアナは存在していません。
ガラパゴス諸島は南アメリカ大陸のエクアドルが領地としている島の総称です。
南米大陸から900km離れていて、大小123個もの島からできています。
ガラパゴス諸島は火山活動によって誕生しました。
つまり、大陸から分離したわけではないんです。
ウミイグアナの祖先は南米に生息していたんだ!
この距離を泳げるはずはないんだ!
ウミイグアナがガラパゴス諸島に存在している理由として、最も濃厚なのは『流木などの漂流物につかまって、たどり着いた』という説だそうです。
そこから数百万年かけて生息数を増やし、進化してきたんですね。
しかも大人が襲われることはないんだ
南米はイグアナの楽園とも呼ばれているんだよ!
ガラパゴス諸島の島々に生息しているウミイグアナは、島によって色などの特徴が違います。
亜種となっているんですね。
唯一、北半球で生活できるペンギンだよ!
ウミイグアナはリクイグアナから進化した!?
もちろんウミイグアナは最初から海で生活していたわけではありません。
ガラパゴス諸島にはもう一種類『ガラパゴスリクイグアナ』というイグアナが生息しています。
その名の通り陸生のイグアナで、こちらがウミイグアナの起源です。
リクイグアナの一部が海に活動範囲を広げたことでウミイグアナが誕生しました。
食べ物を求めて海に進出した、ということですね。
他の地域にもイグアナはいるんでしょう!
ウミイグアナが海で暮らせるわけ!暗い色が大切!?
ウミイグアナをはじめとする爬虫類は、人間などの哺乳類と違って体温を一定に保つことができません。
爬虫類は体温が下がってしまうと活動できなくなります。
ガラパゴス諸島は暖かいイメージがありますが、海水は結構冷たいんです。
ウミイグアナは泳ぐことで体温が奪われるため、何らかの方法で上げないと最悪の場合死んでしまいます。
そこで、ウミイグアナは1日の大半を日光浴に費やします。
太陽光で体温を上げ、泳ぎに備えている、ということですね。
集団で日光浴するウミイグアナ
水で生きる爬虫類は、実は命がけなんだ!
無駄なエネルギーを消費しないため、ウミイグアナは日光浴中ほとんど動きません。
もう分かりますよね?
天敵が多い地域では満足に日光浴ができず、泳ぎ続けることなんてできないんです。
『天敵のいないガラパゴス諸島だからこそ、海という過酷な環境に進出することができた』というわけです。
そしてウミイグアナの体色も、重要な役割を持っています。
黒は光を吸収する色ですよね。
彼らが黒っぽく、暗い体色なのは熱を効率よく吸収するためなんです。
日光浴の時短に役立っています。
ウミイグアナの生態!泳ぎのプロで食べ物は海藻!
体温調節を重要としているウミイグアナは、長い時間泳げるわけではありません。
1日1時間ほどです。
彼らの主食は海藻。
こんな短時間で、1日分の海藻を食べなくてはいけないんです。
泳ぐ能力が優れていないと、十分な量は食べられませんよね。
ウミイグアナのしっぽは長いだけでなく、少し扁平していて縦長です。
このしっぽをワニみたいにくねくね動かし、たくみに泳ぎます。
さらに、彼らは鋭い爪も持っています。
流れの激しい海でも、爪を岩に食い込ませることで、流される心配がありません。
しっぽと爪、両方を駆使することで、短時間しか潜れないデメリットをカバーしているんです。
ウミイグアナはくしゃみでカツラができちゃう!?
世界最大の爬虫類『イリエワニ』は、淡水と海水が混ざる汽水域で生活し、短時間なら海水にも入れます。
ただ、ウミイグアナほど海での生活に慣れてはいません。
海で泳ぎすぎると、体内の塩分濃度が上がります。
さらに海藻を食べるとなると余計です。
生死にも関わるため、濃度を調節しなければ、海で生活なんてできません。
ウミイグアナは『塩腺』という、余分な塩分を排出する器官を持っています。
塩分はこの器官からくしゃみによって鼻水と一緒に排出されます。
ウミガメは涙で塩分を排出するんだって!
ウミイグアナの頭の上が白くなっているのは、水分が蒸発して、塩だけが残っているからです。
これがカツラに見えるって話題になることも、、、
塩っからそうだね!
ウミイグアナとリクイグアナのハイブリッドもいる!?
ウミイグアナとガラパゴスリクイグアナは元は同じ動物でしたが、長い時間をかけてそれぞれ別々の生き物に別れていきました。
現在は分類の『属』から違う動物です。
通常、動物は分類が同じ『属』同士でないと子どもを作ることはできません。
もちろん飼育下でしか生まれてないけどね!
近年、ウミイグアナとリクイグアナが交配して生まれた『ハイブリッドイグアナ』というものが存在しています。
リクイグアナのような見た目ですが、ウミイグアナのような鋭い爪を持っているんです。
地球温暖化によって海藻が激減し、エサを求めて陸に上がったウミイグアナが、リクイグアナと子どもを作ったしまったのが原因です。
残念なことに、ハイブリッドイグアナには繁殖能力がありません。
遺伝子の違う生き物同士が交配したため、産まれた子どもは正しい体の機能を持っていないんです。
滅びるのみの運命。かわいそうですよね。
なんとかしなくちゃって考えずにはいられないよ!
エサが取れず、やせ細ってしまったものも増えているんだ!
ウミイグアナと人間の関係!絶滅危惧種!?
ウミイグアナは現在、絶滅危惧種に指定されています。
レッドデータブックのカテゴリーは『絶滅危惧II類(EN)』です。
対策をしなくては、近い将来絶滅してしまう可能性が高い位置にいます。
原因は地球温暖化だけではありません。
ガラパゴス諸島には元々、哺乳類がいないことを説明しましたね。
しかし人間が入り込んだことで、ペットの犬や猫、貨物に紛れたネズミなどが持ち込まれてしまいました。
これらの動物は現地で野生化し、生態系を壊しています。
ウミイグアナの子どもや卵も襲われています。
さらに、食用として人間に狩られてしまうこともあるんです。
現在、野生動物保護のための国際条約『ワシントン条約』に登録されているため、捕獲は禁止されています。
ガラパゴス諸島自体が保護されているため、個体数は回復しつつありますが、油断はできない状態です。
まとめ
ウミイグアナは海を泳ぐ唯一のイグアナです。
ガラパゴス諸島という特別な環境だからこそ、こんな奇跡なような動物が生まれたんですね。
体温を奪われる恐れのあるダイビングは、爬虫類だからこそ危険な行為なんです。
それでも、
・日光浴で体温を上げ
・体色で日光を効率よく吸収し
・しっぽでたくみに泳ぎ回り
・爪で激しい海流を乗り切る!
爬虫類の弱点を、すばらしい進化で乗り越えていますね。
地球温暖化や人間が持ち込んだ外来種、これらがウミイグアナを絶滅の危機に追い込んでいるのはショックですよね。
絶滅という最悪の結果は避けなくてはいけません!
小さなことからでも始めてみよう!
最後まで読んでくれてありがとうね〜!
この記事へのコメントはありません。