アカゲザルはインド、ネパール、中国などに生息しているサルです。
オナガザル科・マカク属という、ニホンザルと同じ分類に分けられています。
本来日本には生息していないアカゲザルですが、房総半島に住み着いてしまい、外来種と化しています。
しかもニホンザルと子どもを作ってしまうことも、、、
そうなると駆除される運命しか待っていません。
アカゲザルは本来、どこでどんな生活をしているのでしょうか?
外来種となってしまった経緯は?
ニホンザルの親戚!でも動物実験の実験台に、、、
『アカゲザル』に迫ってみましょう。
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アカゲザルの分類!オナガザル科・マカク属ってどんなサル?
アカゲザルは霊長目・オナガザル科・マカク属に分類されます。
オナガザル科はその名の通り、長いしっぽを持っているグループですが、中にはニホンザルのように進化の過程で失ったものもいます。
また、しっぽで物や枝をつかめないのも特徴です。
マカク属はアフリカの言語から派生したポルトガル語『macaco』が由来です。
これには『サル』という意味があります。
さらにマカク属にはニホンザルも含まれるから、馴染みのあるサルが多いんじゃないかな!
アカゲザルの生息地はどこ?
アカゲザルは西アジアから東アジアにかけて分布しています。
国で言えばアフガニスタン西部、インド、チベット、ブータン、ネパール、ミャンマー、中国南部、ベトナム北部、タイ北部です。
樹上性で、基本的には山地の森林地帯に生息していますが、平野、湿地、草原地帯など、幅広い地形に適応できます。
また、標高3000m以上のヒマラヤ山脈に分布していることも分かっているため、垂直方向の適応力も高いことが伺えます。
人間に慣れてきているんだね、、、
アカゲザルの特徴や大きさ!ニホンザルとの違いは?
アカゲザルは頭からおしりまでの頭胴長が45〜65cm、体重は4.5〜9kgです。
メスよりオスの方が大型になり、メスの平均体重が5〜6kgなのに対しオスは8kgまで大きくなります。
最大12kgのオスも観察されているため、メスとの大きさは結構あるようです。
体色は全体的に赤っぽい褐色で、顔は紅色です。
背中と手足の先が暗い色をしています。
アカゲザルの由来は赤っぽい体色ってことですね。
幅広い地域に分布しているということは、気温も様々ということです。
寒い地域のアカゲザルほど分厚い毛皮を持ち暑い地域は薄い、というように特徴も様々、、、
適応力の高さが分かりますね。
ぱっと見た感じ、ニホンザルにとてもよく似ていますが、しっぽの長さという大きな違いがあります。
ニホンザルのしっぽは長くても10cmほど。ほとんど無いに等しいのですが、アカゲザルは20〜30cmのしっぽが生えます。
アカゲザルの生態!食べ物は何?
アカゲザルは雑食性です。
基本的にはフルーツや小さな木の実、木の皮、穀類などを好んで食べます。
トカゲやカエル、昆虫などの小型動物も獲物としています。
時には水に入って魚を捕らえることもあるため、水を全く怖がらないようです。
昼行性で10〜50頭からなる群れで行動します。
群れの中には複数のメス、オス、若い個体、赤ん坊などが入り乱れていて、群れで産まれたオスは成熟すると違う群れに合流し、メスは基本的に同じ群れに留まります。
ただ、群れの数が100頭ほどになるとメスを中心とした新たな群れに分散していくようです。
アカゲザルは人間の髪の毛を糸ようじにする!?
仏教やヒンドゥー教の寺院では、アカゲザルはハヌマーン、つまり神聖な動物として大切にされています。
人間が危害を加えることはなく、観光客からもかなり人気なようです。
最近、寺院で暮らしているアカゲザルが、観光客の髪の毛を抜いてしまうことが頻発しています。
なんと抜いた髪の毛を糸ようじにしているんです!
ものすごくきれい好きだと思いませんか?
道具を使えることもビックリですが、まさか髪の毛を糸ようじにしちゃうとは、、、
さすがは霊長類!
僕たちよりも器用かも、、、
アカゲザルは実験動物!?どんな実験をされたの?
寺院では神聖な生き物として大切にされているアカゲザルですが、先進国では実験動物として扱われています。
過去には信じられないような実験が、アカゲザルを用いて行われていたんです。
ロケットに乗せられたアカゲザル
1940〜60年代には、人間の代わりにロケットにアカゲザルを乗せて宇宙に飛ばす実験が行われていました。
2010年以降も動物を宇宙に打ち上げる実験は行われていますが、技術が発達した現在は生きたまま帰還できることがほとんど。
ただ、初期の頃はやはり死亡してしまうケースが多かったようです。
例えば1949年、アメリカのV2ロケットに乗せられたアカゲザルのアルバートII世は、宇宙へは行けたものの着陸時にパラシュートが開かず墜落死しています。
死亡してしまいましたが、アルバートII世は最初に宇宙に行ったサルということになりました。
その後1959年のアカゲザルエーブルは、アメリカの中距離弾道ミサイルに乗り、宇宙に打ち上げられた後無事に生還しています。
この時エーブルと一緒にリスザルのベーカーも乗っていたため、彼らは初めて宇宙から生還したサルということになりました。
今の宇宙科学があるのは実験台となった彼らのおかげなんだな~!
『絶望の檻実験』完全に隔離されたアカゲザル
まず名前が怖いですよね、、、
この実験は生まれて間もないアカゲザルの赤ちゃんを母親から引き剥がし、誰とも接することのない檻に1年間閉じ込めるという内容です。
実験の結果、閉じ込められたアカゲザルは精神に異常が起こり、群れに戻されてもいじめられたり餓死したりするケースがあったそう、、、
運良く成長して子どもを作っても、虐待してしまうという結果に終わってしまうことがほとんどだったとのことです。
1年間誰とも接しなければ、他人との関わり方が分からなくなるのは当たり前ですよね、、、
母親の愛情を知らないのですから、我が子に愛情を注げなくなるのも当たり前な気がします、、、
この実験から、子どもは親や周りとの接点がなければ、正常に育たないことが分かったそうな。
ん〜、必要な実験だったのかな?何とも言えないね、、、
アカゲザルは仲間に電気ショックを与えられるか、、、?
この実験はアカゲザルに仲間意識があるかどうかを判断するものです。
部屋をガラスで区切り、それぞれの部屋にアカゲザルを1匹ずつ入れ、引けば自分の部屋にエサが出てくるが、もう片方の部屋の仲間に電気ショックが流れるレバーを設置します。
この実験の結果、ほぼ全員のアカゲザルがレバー引くのをやめたそうです。
仲間がつらい思いをするなら空腹を選ぶ、、、
アカゲザルには仲間意識がしっかりあるんですね。
これも何な実験なのかね、、、?
母親の代わりにロボットに抱かせたアカゲザルの赤ちゃん
これも幼少期に母親の愛情が必要かどうかの実験です。
産まれてすぐのアカゲザルの赤ちゃんを母親から引き剥がし、ロボットの母親に抱かせます。
このロボットは定期的に母乳を与える機能があり、赤ちゃんは母親だと勘違いしてしまうそうです。
まず、機械の部分が露出したロボットの場合、赤ちゃんは正常には育ちませんでした。
栄養面は問題なかったのですが、学ぶ心が備わってなく、好奇心のない子どもに育ってしまったんです。
次に、温もりを感じさせるためにロボットに布を巻きました。
すると子どもは正常に育っていったそうです。
ただ、その子が群れに戻されると、仲間からいじめられたり、自分や自分の子どもを傷つけたりしてしまいました。
これも失敗です、、、
そこで布を巻いたロボットである程度育った子どもを、同じくらいの年齢の仲間とふれあう機会を設けました。
すると子どもは問題なく育ち、群れに戻っても正常に過ごせました。
ようやく成功です。
この実験は
『母親の温もり、そして友達と遊ぶことが子どもの成長には不可欠!虐待はやめましょう』
ということを伝えたかったのでしょう。
人間の生活の陰に、実験台となった動物がいることを忘れたらいけないよ!
アカゲザルの外来種問題!
アカゲザルは世界が指定する『侵略的外来生物ワースト100』に入っています。
さらに日本では特定外来生物に指定、つまり駆除の対象とされているんです。
外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるもの
参照:環境省、日本の外来種対策
この中でアカゲザルが問題視されているのは生態系への被害、特に『ニホンザルとの交配』です。
ニホンザルは日本にしかいない固有種。アカゲザルと交配してしまうと雑種が生まれてしまい、遺伝子汚染となります。
詳しく紹介するよ!
アカゲザルとニホンザルのハイブリッドが千葉県で駆除された件
2017年2月、千葉県富津市の高宕山自然動物園(たかさごやま)でニホンザルとアカゲザルの交雑種(ハイブリッド)計57頭が殺処分されました。
この動物園では檻でニホンザルを飼育していましたが、飼育施設の老朽化により、彼らは普通に外に出入りできていたとのことです。
運の悪いことに、千葉県房総半島の最南端では施設から逃げ出したアカゲザルが野生化していました。
1995年にアカゲザルが認識され、2005年に特定外来生物法が制定されてから本格的に駆除が始まりました。
が、時すでに遅し、、、
すでにニホンザルとアカゲザルの交配進み、何世代にも渡ってハイブリッドが誕生していたのです。
アカゲザルとニホンザルの違いはしっぽにあるため、通常であれば見分けることができます。
しかし何世代にも渡って生まれたハイブリッドとニホンザルを見分けるのは簡単じゃありません。
高額な遺伝子の調査が必要なほど、、、
ハイブリッドの判明が遅れてしまい、結果的にこれほどの数のサルが殺処分されてしまったというわけです。
法律上駆除するしか方法がなかったってことだね、、、
さらに、野生のニホンザルとアカゲザルの交配も心配されています。
1956年、高宕山はニホンザルの生息地として天然記念物に指定されています。
つまり日本有数のニホンザルの生息地なんです。
アカゲザルはニホンザルと同じように、オスが群れから離れ、違う群れに合流する習性を持っています。
アカゲザルのオスがニホンザルの群れに入ると、ニホンザルのメスはハイブリッドを妊娠してしまいます。
ニホンザルがアカゲザルを違う種類の動物だとして追い払うようなことはありません。
それほど近縁な種類同士なんです。
このような遺伝子汚染を防止するため、本格的にアカゲザルの駆除が行われ、これまでに1000匹以上が処分されました。
人間が持ち込んで、ずさんな管理しかしてこなかったから逃げ出して、そして駆除される、、、
さらにずさんな檻にいたニホンザルとのハイブリッドも殺される、、、
人間が犯した罪は人間が償うのは当たり前ですが、殺されるサルたちはたまったもんじゃないですよね。
これも人間の身勝手が招いた悲劇だよね、、、
まとめ
アカゲザルは生息地では神とされることもある動物です。
髪の毛を糸ようじにするのは笑えますよね。
頭もとってもいいのでしょう。
実験動物として人間から重宝されてきましたが、ひどい実験も受けてきたようです。
さらに施設から逃げ出してしまったため駆除される、、、
アカゲザルは人間に振り回されている、1番の被害者なのかもしれません。
みんなは飼い始めたペットを最後まで責任を持って面倒みようね!
またね〜!
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