地球上には珍獣と呼ばれる生き物がたくさんいます。
その中でも、特に不思議な3種類の生き物を「世界三大珍獣」としています。
それが「ジャイアントパンダ」「コビトカバ」そして、今回の主人公「オカピ」です。
オカピは20世紀になって発見されたとても珍しい動物です。ウマ、シマウマ、キリンを混ぜ合わせたような体の特徴を持っています。
それはまるで、人間が作った合成獣「キメラ」のようです。
その姿は「森の貴婦人」と呼ばれるほどに美しく、まさに幻の動物です
オカピとはどんな動物なんでしょうか?
日本では、どこに行けばオカピに会えるのでしょうか?
世界三大珍獣のひとつ、オカピの正体に迫りましょう。
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森の貴婦人「オカピ」の特徴!大きさや体重はどれくらい?
オカピ | |
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学名 | Okapia johnstoni |
英名 | Okapi |
生息地 | コンゴ民主共和国 |
体長 | 1.9~2.5m |
肩高 | 1.5~2m |
体重 | 200~250㎏ |
オカピは体長1.9~2.5m、肩から地面までの高さは1.5~2mにもなります。
体重は200~250kgです。
キリンの体重は1000kg以上になるため、オカピはキリンに比べたら小柄ですね。
胴体部分は明るい茶色です。
体毛は短く、油分を含んでつやつやしています。湿度の高い森林で暮らしているため、水を弾くためだと考えられています。
ビロードのように美しいこの毛皮は「森の貴婦人」と呼ばれる理由でもあります。
オカピの一番の特徴は前足と後ろ足のしましまです。この特徴によってシマウマと勘違いされていました。
しましまは森で身を隠すカムフラージュの役割があると考えられています。
40cmにもなる長いベロ、毛皮を被ったツノなども特徴です。
オカピの生息地
オカピはコンゴ民主共和国の森林地帯に生息しています。
通常は標高500~1000mの間に分布しています。
ウガンダにも生息していたとされていますが、現在は絶滅しています。
オカピを飼育している動物園
日本でオカピに会える動物園は3ヶ所あります。
・よこはま動物園ズーラシア
・上野動物園
・横浜市立金沢動物園
よこはま動物園ズーラシアのオカピ
実は日本で初めてオカピを飼育、展示したのはズーラシアなんです。
1997年にオープンに先駆けて、アメリカからオスとメスのペアが贈られました。
メスの「レイラ」とオスの「キィァンガ」です。
その後2頭はゆっくり環境に慣らされ、1999年に一般公開されました。
レイラとキィァンガは2000年に「ピッピ」というメスの子どもを産んでいます。
オカピの繁殖はもちろん日本で初でしたし、その後も繁殖に成功しているのはズーラシアのみです。
さらにその後2回の出産(内1頭は誕生直後に死亡)を経験したレイラは2014年2月に残念ながらこの世を去っています。
レイラが遺してくれたオカピの繁殖成功という功績は、日本の動物園の宝とされています。
さらにレイラの愛娘であるピッピはアメリカからやってきたオスの「ホダーリ」との間に男の子の「トト」を授かっています。
これは2006年のことですので、レイラはしばらくおばあちゃんだったわけですね。
ズーラシアはその後もオカピの繁殖に成功しています。
なんと3世代にも渡っているんです。
「頑張ってくれてありがとうございます」って言いたいですね。
上野動物園のオカピ
上野動物園はオカピ以外にも三大珍獣を飼育しているのが有名ですね。
コビトカバ、ジャイアントパンダ、オカピを1度に見れるのは上野動物園だけです。
上野動物園のオカピは「カセンイ」というメスで、一時期は繁殖のためにズーラシアにお引っ越ししていたこともありました。
しかしなかなか繁殖に繋がらなかったため、戻ってきています。
金沢動物園のオカピ
横浜市の金沢動物園ではズーラシアに最初にやって来た「キィァンガ」が飼育されています。
1997年に日本にやって来たキィァンガは現在国内最年長のオカピです。
彼の遺伝子はレイラと同じく、国内で繁殖しまオカピに受け継がれいます。
オカピの性格
オカピの詳しい生態については長年謎だとされてきました。
しかし、動物園で飼育されるようになり、オカピがどんな動物なのかが分かってきたんです。
オカピはとても臆病な性格をしているようです。
神経質なところがあるんですね。
ズーラシアにやってきた来た当初は、ヘリコプターの音にビックリしてしまうほどだったみたいです。
無理もないですね。生息地は森の奥深くです。
ヘリコプターなんて見たこともないでしょうからね。
また、野生のオカピを見つけるのはユニコーンを探し出すほど難しいと言われています。
警戒心が強く、なかなか姿を現さないんですね。
一方で飼育員に対してはフレンドリーな一面も見せているようです。
オカピってどんな動物?
ではあらためて、オカピとはどんな動物か説明します。
オカピは偶蹄目・キリン科・オカピ属の哺乳類です。
現存のオカピ属はオカピのみです。
意外にもキリンの仲間なんです。
共通点もいくつかあります。後ほど紹介しますね。
オカピは英名も「Okapi」です。
これは現地の言葉で「森のウマ」という意味です。
発見当初はシマウマの一種だと考えられていました。しかし後に研究が進み、オカピは蹄が2つ持ち、食べ物を反芻(はんすう)することが判明しています。
反芻とは飲み込んだ草を何度も口に戻して噛みなおすことです。
シマウマなどのウマの仲間は蹄が1つ、反芻もしません。
この点で、オカピはウマの仲間ではないことが分かりました。
偶蹄目って何?
偶蹄目(ぐうていもく)とは別名「ウシ目」とも言われ、ウシ、キリン、カバ、ブタなど、蹄(ひづめ)が2つの動物のグループです。「蹄が偶数」という意味ですね。
この蹄は中指と薬指にあたります。
地球上でもかなり繁栄しているグループで、現在はクジラやイルカも「鯨偶蹄目」として、近い遺伝子を持つとされています。
一方のシマウマですが、こちらは蹄が1つです。
中指のみが蹄に変化していて、奇数なため、奇蹄目(きていもく)とされています。
他にもサイは蹄が3つ、ロバは後ろ足の蹄が1つで奇蹄目の仲間です。
サイの蹄は3本
どちらも蹄を持つため、有蹄類(ゆうているい)とも言われます。
偶蹄目は有蹄類全体の90%を占めています。
オカピはキリンの祖先!?ワンダーネットを持つ!
オカピがキリンの仲間であることは、その頭蓋骨の形状によって明らかになりました。
そのため、オカピは別名「森のキリン」とも呼ばれます。
オカピには他にも、キリンと同じ特徴があります。
・耳まで届く紫色の長いベロ、皮膚に被われたツノ
・同じ側面の前足と後ろ足を前に出す歩き方
・ワンダーネットと呼ばれる後頭部にある毛細血管
※ワンダーネットのおかげで、オカピやキリンは頭を急激に上下させても立ちくらみを起こしません。
これはオカピがキリンの祖先であることを表していました。
オカピは1000万年も前から姿を変えていない、原始的な動物なんです。生きた化石とも呼ばれます。
森林で暮らしていたものが草原に生活拠点を変えたのがキリンです。
キリンは、高い位置にある葉っぱを食べるため首を長くし、襲われるリスクを下げるために体を大きく、そして群れで行動するようになったと考えられているんです。
オカピの生態
オカピの野生での詳しい生態に関しては、まだまだ分かっていないことが多いです。
単独か母親と子どもの親子で行動していることは分かっています。
また、基本的に昼行性ですが、夜間にも活動することがあるようです。
この点はキリンとは違うところですね。
聴覚、視覚が発達しています。
研究者でもなかなか発見できないのは、オカピが人間の存在にいち早く気づけるからでしょう。
天敵はヒョウです。
オカピの鳴き声
オカピは基本的に人間が聞こえる声で鳴くことはありません。
オカピの声帯は不完全で、声を出すのに適していないんです。
ただ、人間が聞こえないほどの周波数を出しているということが、実験により分かっています。
音を視覚的に写すことができるカメラを用いた実験で、オカピが低周波数で会話していることが判明しているんです。
原始的な動物だからこその能力ですね。
オカピの食べ物
オカピは草食性です。
長いベロで葉っぱや果実をからめ取って食べます。
これはキリンと同じ特徴ですが、オカピは地面に生えているシダ類も食べます。
食事中はハエが集まってくるため、長いベロをムチのように使い、バチバチ叩いて追い払います。
オカピの繁殖!赤ちゃんはどんな感じ?
ズーラシアで繁殖に成功したことにより、オカピの繁殖方法が分かっています。
飼育下での妊娠期間は440~458日です。これはキリンと同じくらいで、動物の中では比較的長いです。
通常、1回の出産で1頭の赤ちゃんを産みます。
生まれたばかりの子どもの体重は14~30kg程度です。
体高は75cm程で、生後30分経過する頃には自分で立ち上がることができます。
授乳期間は半年から1年程です。
生後3年程で大人と同じくらいの大きさまで成長します。
また、飼育下ではメスが1年7ヵ月、オスが2年2ヶ月で繁殖できることが分かっています。
オカピの寿命
オカピの寿命は15年が平均的だと言われています。
ただ、金沢動物園のキィァンガは20歳を越えていますし、最長30歳を越えた例もあるんです。
飼育下では長生きする傾向にあるみたいですね。
オカピは絶滅危惧種!?
現在オカピは2013年に「絶滅危惧種ⅠB類(EN)」に指定されています。
生息地の開発や毛皮や肉目的の密猟によって、数を激減させているんです。
現地は保護区になっていますが、武力衝突や不法侵入が多く、法的な規制が間に合っていないんだとか、、、
ウガンダの個体群はすでに絶滅してしまったとされています。
レッドデータブックに登録されていますが、さらなる保護が求められています。
本当に幻の珍獣になってしまう前に、保護が進められることを祈るばかりです。
まとめ
オカピは世界三大珍獣のひとつにされるほど、原始的で不思議な体を持っています。
シマウマだと思われていましたが、キリンのは祖先だったんですね。
オカピが1000万年前から姿を変えずに生き残れてきたのも、その臆病な性格から、森の奥深くでひっそりと生きてきたからなんですね。
ズーラシアはオカピの繁殖にも成功している貴重な動物園ですね。
海外からのオカピを受け入れ続ければ、オカピの種の保全に繋がります。
この美しい珍獣を残していくため、これからも繁殖が成功してくれると嬉しいですね。
皆さんもぜひ、この森の貴婦人と呼ばれる幻の珍獣を見に行ってみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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