マングースの仲間

 

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 更新日:2018年8月18日

沖縄のマングースはハブを食べない!?逆に駆除されているのはなぜ?

沖縄は那覇市を少しでも離れると、道路脇に藪が繁っています。
この藪から藪に、道路を横断して移動するマングースを、何度か見たことがあります。

マングースは100年以上前、毒蛇「ハブ」やネズミなどの害獣を駆除することが目的で、沖縄に持ち込まれました。

しかし、マングースはハブを食べることはありますが、ハブしか食べないわけではないんです。
そのため「沖縄に元から生息していた固有種を減らす」という、生態系に深刻なダメージを与えてしまっています。

マングースが沖縄に持ち込まれたきっかけはなんだったのでしょうか?
また、マングースが与える生態系へのダメージはどのくらいなのでしょうか?

今日は、沖縄が抱える、マングースの問題についてのお話です。

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マングースってどんな動物?


マングースは食肉目・マングース科の哺乳類の総称です。
そのため、マングースと言っても様々な種類が存在しています。
現存のマングースは13属、30種ほどです。

主にアフリカ大陸に多くの種類が生息していますが、インド、中国南部、タイ、マレーシア、インドネシアといった東南アジア、アフガニスタンやイラン、パキスタンなどの西アジアに生息している種類もいます。

足が短く、体が長いのでイタチのような見た目をしていますが、顔が丸く、鼻も短いのがマングースの特徴です。また、耳も丸っこいです。

昼行性で、ほとんどの種類は単独で暮らしていますが、コビトマングースのように群れを作る種類もいます。

すべての種類が雑食性です。
栄養になるものは何でも食べているようです。

 

沖縄にいるマングースの特徴


沖縄に持ち込まれたマングースは「フイリマングース」という種類です。
インド、中国南部、ミャンマーやイラン、アフガニスタンなどが原産国です。

フイリマングースは東南アジアに生息しているジャワマングースに姿が似ていたため、亜種だと考えられていました。
しかし、その後の調査で別種であることが判明しています。

体長25~40cm、体重0.4~1kgほど。
一般的にはオスよりメスの方が大きいです。

木に登ったり、穴を掘ったりはしない地表性です。
主に単独で生活しています。

 

沖縄にマングースが持ち込まれた理由

沖縄に初めてマングースが導入されたのは、今から100年以上も前の1910年です。明治の終わりかけです。
マングースの導入を持ちかけたのは、動物学の権威だった東京大学の「渡瀬 庄三郎名誉教授(1862-1929)」でした。たった一人の人間によって提案され、持ち込まれることになったんです。

当時、沖縄の人たちにとって、サトウキビの収穫は重要な収入源でした。
しかし、ネズミにサトウキビを食べられてしまう被害が多く、さらにそのネズミを狙って毒蛇のハブが農民を噛んでしまう事故も多発していました。
害獣に悩まされていたんです。

そこで、渡瀬教授がマングースの導入を提案しました。
教授がインドに出張に行ったときに、マングースとコブラを戦わせているショーを見たそうです。


そこでコブラの毒を恐れずに勇敢に戦うマングースを見て「害獣に悩む沖縄の人達を助けられるのではないか?」と閃いたんです。
そして、ガンジス川周辺で捕獲されたマングース15~17匹が船便で沖縄に運び入れられました。

 

マングースはヒーロー!

沖縄県民にとって、マングースはまさにヒーローでした。

ネズミだけでなくハブも食べてくれるということは、農作業の危険が無くなりますからね。
現在でこそ血清が作られていますが、当時ハブに噛まれるということは、腕や足、最悪の場合は命を失う危険性もあったんです。

マングースは「期待の星(ホープ)」として、日本中の期待を背負うことになりました。

繁殖力の高いマングースはすぐにその数を増やしました。
15頭ほどの個体数は50年ほどで3万頭にまで増えたそうです。

 

マングースは奄美大島にも!

沖縄本島のさらに北、鹿児島県の奄美大島にもハブが存在していました。

マングースがハブを食べることは1970年代に入ってからも信じられていました。そして1979年、沖縄のマングースが奄美大島に導入されます。

奄美大島のマングースは2000年までに1万頭にまで増加しています。

しかし、それからしばらく経った1980年代に、重大な事実が判明します。

 

マングースはハブを食べていなかった!

1980年代に入り、研究者がマングースの胃の内容物を調べた結果、ほとんどの個体がハブを食べていなかったんです。

理由としてはマングースが昼行性なのに対し、ハブは夜行性です。
つまり、両者はほとんど出会わないんです。

さらにマングースは雑食性です。
ハブだけを食べるわけではありません。

マングースはハブの毒に耐性を持っているわけではないんです。
噛まれればもちろん死んでしまいます。
ハブのように危険な毒を持った生き物を食べなくても、簡単に食べられる生き物が他にいれば、そちらを優先して食べるんです。

マングース導入から80年以上が経過してからこの過ちに気づいたんです。
遅すぎたような気がするのは私だけでしょうか?

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マングースはヤンバルクイナを食べている!?


沖縄の北部に広がる森林地帯を「山原(やんばる)」といいます。
この地域には、ここにしかいない様々な固有種が存在しているのですが、ヤンバルクイナもそんな沖縄の固有種の一種です。

ヤンバルクイナは天敵のいなかった沖縄では飛ぶ必要がなかったため、翼が小さくなっています。
ほとんど飛ぶことができないんです。

そこにマングースは目をつけました。
危険なハブではなく、飛ばずに歩いているヤンバルクイナは、マングースの格好の餌食となりました。

 

他にもマングースは、オキナワキノボリトカゲなどの固有種を食べていることも判明しています。

 

マングースとアマミノクロウサギ

奄美大島に導入されたマングースも、沖縄本当と同じ状況でした。

ハブはほとんど食べずに、奄美大島の固有種「アマミノクロウサギ」に手を出していたんです。
マングースがアマミノクロウサギの巣穴に入っていることが確認されています。

アマミノクロウサギは繁殖力がものすごく低いことが分かっています。
これも天敵がいない地域に適応したためだと言われています。

マングースによる捕食でどんどん数を減らしてしまっています。

 

他にもケナガネズミというものすごく珍しい固有種も捕食されていることが確認されています。

 

他にもあった、マングースの被害!

沖縄の固有種を減らす原因となっているマングースですが、これは海外でも起こっています。
海外でも沖縄や奄美大島と同じく害獣駆除の目的で、マングースを導入している地域があるんです。
ウミガメの仲間であるタイマイの卵を食べていたり、モーリシャスでは固有種のモモイロバトの生息を脅かしています。

また、ニワトリを食べることもあるため、養鶏にも被害を与えています。
さらに、マンゴー、タンカン、バナナなどを食べることがあるため、農業にも悪影響を与えています。

他にも、人獣共通感染症である「レプトスピラ症」の原因菌を媒介することも判明しています。
レプトスピラ症は高熱などを引き起こす伝染病で、重症化すると死亡してしまうこともある、恐ろしい病気です。

現在、マングースは「世界の侵略的外来種ワースト100」に選定され、もちろん「日本の侵略的外来種ワースト100」にも選定されています。

 

マングースが特定外来生物に


マングースが環境や生態系に与えるダメージをは深刻です。
そのため、1993年には奄美大島が含まれている名瀬市が駆除に乗り出しました。
ここからマングースの駆除が始まります。

1996年には環境省と鹿児島県が本格的なマングースの生態、分布域の調査を始めます。
これが外来種対策の初めての事例となりました。

2005年にマングースは「特定外来生物」に指定されています。
そして「マングースバスターズ」という専門的な集団が結成されることになります。

マングースバスターズは定期的にマングースの生息域に入り、罠を仕掛けるという地味な駆除方法を行っています。
駆除は沖縄本島と奄美大島で進み、これまでに2万匹近いマングースが駆除されてきました。

ヤンバルクイナやアマミノクロウサギの危機的な減少はストップできています。

他にも千葉県の房総半島で「アカゲザル」が外来種として問題視されています。
こちらもマングースと同じように人間の手によって持ち込まれ、逃げ出し、そして駆除されています。

 

マングースの完全駆除は難しい!

しかし、マングースを完全に駆除するのはなかなか難しいようです。
生息密度が低下することで、罠にかかりにくくなっているんです。
そのため、現在はマングース1匹当たりに対するコストが高すぎるとされ、事業仕分けにより廃止される寸前だったんです。

マングースは繁殖力が強いため、少しでも駆除の手を休めれば再び増えてしまい、これまでの努力が水の泡になってしまいます。

この時は研究者だけでなく、一般人も必死に抗議し、なんとか廃止は免れました。

 

マングースが沖縄に持ち込まれた背景

マングースが害獣対策として沖縄に導入されたのは、東京大学の渡瀬教授がその可能性を信じたからです。

しかし、先にマングースの生態を理解していれば、ここまで大変なことにならなくて済んだのではないでしょうか。
東京大学の名誉教授です。無知だったとは思えません。

実は渡瀬教授は他にも「ウシガエル」「アメリカザリガニ」の導入にも絡んでいるそうです。
ウシガエルは食用として、アメリカザリガニはウシガエルのエサとして持ち込まれています。
そして現在、どちらも日本にもとからいた原生種を脅かしている特定外来生物です。

この時代は、外来種が生態系に与えるダメージを考えることなく、人間の利益のみを考えていた傾向にあるようです。
渡瀬教授も、もしかしたら生態系に何らかの影響を与えることが分かっていたかもしれません。
そうだとしたら、それを差し引いても、人間が豊かになることを優先したということになりますね。

過去に絶滅してしまった動物も、同じような理由で排除されて来ました。

過ちに気づいたときには遅すぎたんですね。

マングースの件に関しては、固有種が絶滅する前に気付けてよかったとは言えますね。

 

まとめ

マングースが沖縄や奄美大島に導入されたのは、ハブやネズミといった害獣を駆除することが目的だったんです。
しかし、マングースはハブよりも仕留めやすいヤンバルクイナやアマミノクロウサギを食べていることが判明しました。

人間が持ち込んだマングースによって、大切な固有種がいなくなっていたかもしれないんです。
危ないところでした。

しかし、マングースも勝手につれて来られて、勝手に嫌われて、勝手に駆除されてしまっています。
一番の被害者はマングースだったのではないでしょうか?
そう考えてしまいます。

沖縄でマングースを見かけて際は、少しだけマングースのことも考えてあげてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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