地上最大の肉食動物と言われているホッキョクグマ!
オスは最大で2.5m、体重は800kgにも達する、圧倒的な体格を持っています。
ホッキョクグマは名前の通り、北極圏の寒い地域に生息しています。
そのため、極寒にも耐えられるような分厚い脂肪を蓄えているんです。しかし、大型の動物を仕留めるために、全身が筋肉のように発達しています。
重いうえに強い!まさに地上最強です。
そんなホッキョクグマは現在、生息数を激減させています。
そこには地球温暖化が関係しているんです。
ホッキョクグマはどんな生活をしているんでしょうか?
また、絶滅しそうな原因とは?
地上最大にして最強の肉食動物「ホッキョクグマ」に迫ります。
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ホッキョクグマの分類
ホッキョクグマは食肉目・クマ科・クマ属の哺乳類です。
現在地球上に存在しているクマ科は全部で8種類です。
意外にも少なく感じますね。
その中で、ホッキョクグマと同じクマ属のクマは「アメリカグマ」「ツキノワグマ」「ヒグマ」です。
そして、ホッキョクグマに最も近いと言われているのが「ヒグマ」
ホッキョクグマとヒグマは交配も可能で、ハイブリッドも存在しています。
ホッキョクグマは英語でなんと言う?
ホッキョクグマは別名「しろくま」や「白熊」とも言いますよね。
これは正式名称ではなく、あだ名みたいな感じです。
では英語ではなんと言うのでしょうか?
ホッキョクグマの英名は「Polar Bear」です。
「polar」には北極や南極などの「極地」という意味があります。
「北極のクマ」という、和名と同じような意味があったんですね。
ホッキョクグマの生息地
名前の通り、ホッキョクグマは北極に生息しています。
ただし、北極圏だけでなく、アメリカ北部やユーラシア大陸北部にも分布しています。
流氷の上で生活しているため、沿岸地域が生息地です。
ホッキョクグマの特徴
ホッキョクグマはオスの体長が200~250㎝、体重は400~600㎏です。最大800㎏もの個体も記録されています。
メスは体長180~200㎝、体重は200~350㎏と、オスより一回り小さくなります。
寒い地域への適応や冷たい海の中でも泳げるように、分厚い脂肪が蓄えられています。
アラスカやロシアなどの、サケやマスを食べている地域のヒグマと体長は変わりありませんが、オスの体重はこれを越えます。
※ヒグマの最大体重は500㎏
そのためホッキョクグマは「地上最大の肉食動物」と呼ばれています。
顔は他のクマに比べると鼻が長く、泳ぐのに適しています。
また、足裏の肉球や鼻以外は体毛で被われているため、氷の上でも歩き続けることができます。
ちなみに地上最大の動物はアフリカゾウです。
体重は最大10tにもなるため、ホッキョクグマよりもはるかに大型ですね。
ホッキョクグマは白じゃなくて黒い!?
シロクマの愛称でも呼ばれるホッキョクグマは、全身が白い体毛で被われています。
実は白に見える体毛は透明なんです。
しかもその先にある皮膚は黒なんです。
ではなぜ、真っ白に見えるのでしょうか?
ホッキョクグマの体毛が透明なのは、太陽光を通して、効率よく体温を上昇させるためです。
皮膚が黒いのは、その光を吸収させるためですね。黒は光を吸収する色です。
しかも毛は中が空洞になっていて、熱を溜め込むこともできる造りになっています。
ホッキョクグマが白く見えるのは、透明な体毛に光が入り、乱反射を起こして真っ白に見えているからなんです。
ホッキョクグマの体毛と皮膚
ホッキョクグマは透明な体毛、黒い皮膚、分厚い脂肪によって、北極では貴重な熱を太陽の光から吸収し、厳しい環境を生き抜いていたんですね。
ちなみに動物園のホッキョクグマの体毛には汚れが入り込んだり、コケが生えていたりします。
この状態は「ミドリグマ」とも呼ばれます。
うーん、、、
これはあんまりきれいじゃないですね、、、
ホッキョクグマの生態
ホッキョクグマは基本的に単独で行動しています。
多くても、母と子が一緒に行動する程度です。
1日あたり70kmを移動することもあり、1年で1,120kmもの距離を移動した例も観察されています。
時速6.5kmの速度で約65kmの距離を泳ぐことができることも分かっており、体に似合わず相当タフです。
ホッキョクグマの繁殖
ホッキョクグマの繁殖期は3~6月です。
10~11月になると、妊娠したメスは海辺を離れ、内陸の森などに穴を掘って冬ごもりを始めます。
そして11月末から1月上旬に出産します。子どもの数は1~4頭で、基本的には2頭です。
4月頃母子は穴を出て、海岸に向かいます。
子グマは28ヶ月間は母親と一緒に生活します。
そして、生後5~6年で性成熟します。
ホッキョクグマの寿命は25~30年だと言われています。
ホッキョクグマの食べ物
ホッキョクグマは雑食性ですが、限りなく肉食性に近いです。
獲物はアザラシが9割を占め、セイウチ、海鳥やその卵、イッカクやシロアザラシ、クジラの死骸などです。
氷が解けて獲物が取れなくなるとコンブやイチゴなどを食べることもあります。
アザラシを捕食する際は、氷を掘って巣穴にいる個体を襲ったり、氷上にある呼吸用の穴や流氷の縁で待ち伏せたりします。
氷の上にいる個体には気づかぬように忍び寄る方法も行います。
嗅覚が優れているため、獲物を見つけるのは得意なようです。
ちなみに北極にはペンギンが存在していません。
地球の反対側、南極やその周辺に生息しているため、ホッキョクグマとペンギンが出会うことはないんです。
ホッキョクグマの天敵
ホッキョクグマの天敵は人間とシャチです。
イヌイットはホッキョクグマの肉を食べる伝統がありますし、ヨーロッパの探検隊は食料が尽きると、ホッキョクグマを捕獲して食べていました。
また、毛側は保温の効果が絶大で、重宝されてきました。
流氷が減っていることで泳ぐ機会が増えたホッキョクグマはシャチに襲われる危険も増しています。
ホッキョクグマがいかに巨体を持っていても、シャチはその何倍も大きくなるし、獰猛です。
抵抗もできずに捕食されてしまうことがほとんどです。
ホッキョクグマには毒がある?
ホッキョクグマの肝臓には高濃度のビタミンAが含まれています。
ビタミンAは必須栄養素ですが、過剰摂取は命の危険すらあります。
ビタミンCなどの水溶性ではなく脂溶性なため、排出することができないんです。
イヌイットはホッキョクグマの肝臓は食べませんし、イヌにも与えません。
さらに、ホッキョクグマをはじめとするクマ肉には旋毛虫という寄生虫が寄生していることが多く、食べることで旋毛虫症にかかってしまうおそれもあります。
過去には死亡例もあるんです。
ホッキョクグマは共食いする!?
ホッキョクグマは巨体を維持するため、1日に12000~14000カロリーを必要としています。
これは、1週間にアザラシ1頭を仕留めなければいけない量です。
そのため、餓死してしまうホッキョクグマも多くいます。
食べ物に困ったホッキョクグマのオスは、子グマを食べることがあります。
また、妊娠中のメスが襲われた記録もあります。
ちょっと衝撃的ですが、自然界で共食いは珍しいことではないようです。
食べ物に困れば、草食性のカバでさえも共食いすることがあるようですし、、、
ホッキョクグマは歩きながら冬眠する!?
ホッキョクグマが獲物にありつけるのは、11月~7月までの氷が海に張っている期間です。
つまし、7月~11月までの期間はほぼ絶食状態になるんです。
この時期は陸に上がり、冬眠状態に入ります。
ただし、ヒグマなどの冬眠とは違います。
なんと、歩きながら冬眠するんです。
通称「歩く冬眠(walking hibernation)」とも呼ばれます。
体温を下げ、代謝を下げることでエネルギーの消費を抑えます。
空腹を紛らわすためにじゃれ合うこともあるようです。
氷が再び復活する10月下旬には、いち早く獲物にありつくために、数百頭のホッキョクグマが沿岸に集まるようです。
ホッキョクグマは地球温暖化で絶滅しそう!?
ホッキョクグマは氷が張った海で狩りを行います。
つまり、ホッキョクグマにとって流氷は生きるために必要な足場なんです。
地球温暖化の影響で北極圏の氷が解け始めているのは有名な話ですよね。
この影響で長距離を泳ぐはめになっているホッキョクグマが増えています。
獲物の捕獲も難しくなり、餓死してしまうホッキョクグマも続出しているんです。
さらに、シャチに捕食されることも増えています。
現在ホッキョクグマは絶滅危惧種に指定されています。
レッドデータブックのカテゴリーは「絶滅危惧種ⅠB類」です。
近い将来絶滅する恐れがあるんです。
私たちが起こしてしまっている地球温暖化の悪影響が、遠く離れたホッキョクグマにまで及んでいるなんて衝撃的ですよね。
痩せてしまっているホッキョクグマの写真を見るたびに胸が痛んでしまいます。
また、先ほど紹介したホッキョクグマの共食いも、流氷が減って獲物にありつけていないからこそ増えていることなんです。
温暖化が続いてしまえば、ホッキョクグマの共食いも増えてしまいます。
子グマが減るということは、絶滅に拍車が掛かるということです。
あんな悲しいシーンは見たくないですよね。
「私たちにも何かできることがあるはずだ!」
そう思わないわけにはいきません、、、
ちなみに日本から遠く離れた、南米のガラパゴス諸島にも温暖化の影響が及んでいます。
海水温の上昇でウミイグアナのエサである海藻が減っているんです。
ウミイグアナは唯一海で生活しているイグアナ、珍獣です。
さらにカナダやグリーンランドに生息しているジャコウウシも地球温暖化の影響を受けています。
ホッキョクグマと同じように生息地が減っているんです。
寒さに強いジャコウウシですが、暑さにはめっぽう弱いようです、、、
まとめ
・ホッキョクグマは地上最大の肉食動物
・分厚い脂肪は寒い地域で生きていくために必要
・実は体毛は透明で、皮膚は黒い
・雑食性だが、肉食性に近い
・11月~7月は流氷の上で、それ以外は大陸で生活する
・陸にいる4ヶ月間は絶食状態
・歩きながら体温と代謝を下げ、冬眠する
・温暖化の影響で流氷が減り、絶滅の危機が
・獲物が仕留められず、共食いすることも
ホッキョクグマが絶滅しそうな原因に、地球温暖化が関係しているのはショックですよね。
私たちの生活がホッキョクグマを苦しめていたんです。
なんとか温暖化を食い止めて、ホッキョクグマを助けたいと思いませんか?
まずは小さなことからでも始めてみましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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