ペンギンの仲間

 

公開日:



 更新日:2022年6月25日

皇帝ペンギンの生態まとめ!ヒナはかわいいけど子育ては世界一過酷!?

オオカミ先生
コウテイペンギン(皇帝ペンギン)はその名の通り世界一大きいペンギンだよ!
しかも世界一過酷な子育てをする動物とも言われているんだ!
ニコ丸
過酷!?
そ、そんなに大変なの?
オオカミ先生
子育てする場所は-60℃だし、エサが取れる海までは160㎞も離れているんだ!
オスは120日間飲まず食わずで卵を温めるんだよ!
ニコ丸
120日!?
もうめまいが、、、

 

ペンギンといえば南極大陸に生息しているイメージですが、意外にも南極より北の大陸を住処としているペンギンがほとんど。
アデリーペンギンとコウテイペンギンのみが南極で暮らします。

コウテイペンギンの大きさはペンギン界最大!
まさに皇帝です。

彼らが世界一過酷な子育てをする理由とは?

家族の絆も世界一
「コウテイペンギン」がおくる子育てのドラマを紹介します。

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コウテイペンギン(皇帝ペンギン)ってどんなペンギン?

コウテイペンギンはペンギン目・ペンギン科・オウサマペンギン属の鳥類です。
オウサマペンギン属はコウテイペンギンとオウサマペンギンの2種類のみが存在しています。

コウテイペンギンは全長130cm、体重は45kgにも達する、世界で最も大きなペンギンです。
低学年の小学生くらい大きいんです。

寒い環境でも耐えられるように分厚い脂肪を蓄えていて、体温を逃がさないように頭と翼(フリッパー)は小さめです。
頭は黒ですが、唇がピンク色です。
そして首から胸の上部にかけて黄色っぽい色をしています。

英語の「Emperor penguin」がそのまま和名になっています。
これは先に発見されはオウサマペンギン「King penguin」よりも体が大きいことが由来と言われていますが、本当かどうかは分かっていません。

オオカミ先生
オウサマペンギンが世界で2番目に大きいんだよ!
きっと王様よりも上の称号を考えて、皇帝が付けられたんだね!
ニコ丸
オウサマペンギンにとても似ているんだって!
でもオウサマペンギンの方が黄色の部分が濃くて、オレンジに見えるんだよ!

オウサマペンギン

 

コウテイペンギンの生息地は南極!

ペンギンと言えば南極のイメージが強いですよね。
しかし意外にも南極にいるペンギンは2種類だけなんです。

コウテイペンギンはその内の1種類です。
最も地球の南側で暮らしているペンギンということになりますね。

ニコ丸
ちなみにもう1種類は「アデリーペンギン」だよ!
目が大きくてコウテイペンギンとは全然似ていない種類だね!

 

コウテイペンギンは決まった縄張りを持っていない珍しいペンギンです。
普段は同じコウテイペンギン同士、海岸近くでまとまって生活しています。

 

 

コウテイペンギンに天敵はいるの?

巨体を誇るコウテイペンギンは、地上には天敵がいません。
地上最大の肉食動物「ホッキョクグマ」はその名の通り北極にしかいないため、彼らがペンギンに出会うことはないんです。

 

海の中になると話は別で、ヒョウアザラシやシャチといった天敵がいます。
いくらコウテイペンギンが大きくても、それよりも遥かに大きな捕食者を相手にはどうすることもできません。
シャチには丸飲みに、ヒョウアザラシには肉を食いちぎられます。

また、南極に生息するナンキョクオオトウゾクカモメは体長50cmにもなるハンターです。
コウテイペンギンの卵や子どもを狙ってきます。

ニコ丸
寒い地域だけど外敵はいるんだね!
大きくても安心はできないんだ!

 

コウテイペンギンの生態!潜水の達人!?

コウテイペンギンは肉食性です。
魚やイカが主食ですが、オキアミといった小さな甲殻類も獲物としています。

陸ではほとんど寝てばかりいるコウテイペンギンですが、海に入ると泳ぎのプロです。
弾丸のように海を泳ぎます。

 

ペンギンの中で最も深く、そして長く潜ることができ、水深560m、27分間も潜水した記録があります。
水深の浅いところを泳ぐこともあり、その場合は潜水時間も長くなります。
泳ぐときの羽ばたく回数に関係しているようで、深く潜るときはその分多く羽ばたく必要があり、潜水時間も短くなります。

オオカミ先生
だいたい237回羽ばたくと息継ぎするそうだよ!
コウテイペンギンに取り付けた測定器で判明したんだ!
ペンギンが羽ばたくと加速するから、その回数を数えたんだよ!

 

アザラシはペンギンが海に飛び込むときに海中で迎え撃つことが多い捕食者です。
何度も上陸と潜水を繰り返していたら、それだけ襲われるリスクも上がります。

コウテイペンギンは1回の潜水時間を長くすることで、天敵に襲われるリスクを軽減しているんですね。

不思議なことにコウテイペンギンはどんなに遠くに泳いでも、必ず海に入った場所から陸に上がります。
どのようにして方向を感じているのかは分かっていません。

ニコ丸
北極と南極を移動する「キョクアジサシ」も、長い距離を間違わずに飛べるんだ!
鳥類の方向感覚はずば抜けているんだね!

 

コウテイペンギンの子育ては世界一過酷!?

コウテイペンギンの繁殖は、世界一過酷だと言われています。
一体なぜなのでしょうか?

オオカミ先生
過酷な理由をあげていこう!

理由その1. 繁殖の季節が過酷!

コウテイペンギンは4月から繁殖期を迎えます。
普通に考えると春先から夏にかけてかと思いますよね。
南半球では季節が逆です。この時期に秋から冬場を迎えます。

南極の冬は一日中太陽が上がらない「極夜」という現象が起こり、気温は-60℃まで下がります。
猛吹雪「ブリザード」も吹き荒れ、生物が生きられそうもない環境になります。

 

ニコ丸
どうしてこんな時期に赤ちゃんを産むの?
オオカミ先生
理由は2つ考えられるよ!

・寒い時期だと天敵がいないから
・赤ちゃんが巣立つ頃にエサの多い季節を迎えられるから

 

理由その2. 繁殖地が過酷!

コウテイペンギンは普段、海沿いの沿岸で生活しています。
エサ場まで近いため過ごしやすいんですね。

しかし繁殖期になると、海から160kmも離れたら内陸に歩き出します。
何万羽ものペンギンが大移動を始めるんです。

オオカミ先生
繁殖期は4月頃から始まるよ!
みんなで話し合ったかのように、同時に大移動を始めるんだ!

 

 

海では泳ぎのプロでも、ペンギンは陸を歩くのが下手です。
そのため、繁殖地までは2週間以上もかかってしまいます。
中には途中で力尽きてしまうものも、、、
コウテイペンギンの繁殖がどれ程過酷かが分かってきたでしょう?

ニコ丸
どうしてこんか場所で繁殖するの?
わざわざ死にに行ってるようなものじゃん!
オオカミ先生
これにも天敵の存在が関係しているんだよ!
ここまで内陸に行けば襲われる心配がないんだ!

 

コウテイペンギンは体が大きいため、卵も大きく、ヒナが孵るまでの期間も長いんです。
安心して子育てに専念できる場所を繁殖地に選んでいるんですね。

ニコ丸
なるほど!
過酷だけど安心できる場所でもあるんだね、、、

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理由その3. 飲まず食わずでちょ~過酷

無事に繁殖地まで辿り着けたら、今度はパートナー探しです。
オスは鳴き声を上げてメスを求めます。
大きくて長い時間鳴けるオスはそれだけ体が大きく、肺活量も優れています。
メスはそれを聞き分けるんです。
メスがOKを出せば、オスは拒絶することなくメスを迎えます。

オオカミ先生
コウテイペンギンは目がとてもいいんだけど、耳もずば抜けているんだ!
同じ見た目のオスを声で聞き分けるんだよ!
ニコ丸
確かに見分けがつかないよね、、、

 

ちなみに繁殖地で求愛するのは1万羽くらいです。
1度でもパートナーになれば、相手が死なない限り一生を共にするため、相手が決まっているペアはすぐに繁殖活動を始めます。

ペアになれば、今度は交尾、産卵です。
交尾から2週間ほどでメスは1個の卵を産みます。
そして卵をオスに預けます。

受け渡しは素早くしないと卵が低温で死んでしまいます。
しかし焦りすぎると割れてしまうことも、、、
素早く、そして慎重にしないといけないんです。

オスには「抱卵嚢(ほうらんのう)」という、だぶついた皮膚がお腹にあり、卵を足に置いてこの皮膚で包んでひたすら温めます。

 

お分かりだと思いますが、ここまでオスもメスも飲まず食わずです。
移動と繁殖を合わせると、だいたい1ヶ月くらい何も食べていません。

ニコ丸
1ヶ月も絶食して大丈夫なの?
オオカミ先生
コウテイペンギンは分厚い脂肪を持っているからこれくらいは大丈夫なんだ!
本番はこれからだよ!
ニコ丸
うぅ~
大変すぎるよ、、、

 

理由その4. メスがいなくなってからが過酷

メスは産卵で体力を一気に消耗してしまいます。
そのため、すぐにでもエサを食べないと力尽きてしまいます。

ニコ丸
だからオスに卵を預けるんだね!

 

無事にオスが卵を温め始めると、海を目指して来た道を戻り始めます。

残されたオスはメスが戻るまで、ひたすら我慢します。
食べられるのは雪のみ、オスの戦いが始まるんです。

オオカミ先生
何度も言うけど、気温は-60℃、風速200kmのブリザードが吹き荒れる不毛地帯だよ!

 

この地獄を乗り切るため、オス同士は協力します。
「ハドル」と呼ばれる円陣を作るんです。
ハドルはまさにおしくらまんじゅう!
みんなの体温で温め合うというわけです。

 

ハドルは常に波打つように移動しています。
外側のペンギンはブリザードをもろに食らってしまうため、定期的に交代するんです。

オオカミ先生
みんなで協力しないと絶対に乗り越えられないよね!
頑張れお父さん!

 

理由その5. ヒナが生まれても過酷

産卵から2ヶ月後、ヒナが孵ります。
しかしメスはまだ戻りません。

オオカミ先生
産卵で消耗した体力が元に戻るまでは時間がかかるんだね!
移動期間を含めるともう少しでメスが帰って来るよ!あと少しの辛抱だ!

 

オスはメスが戻るまではヒナにエサを与えないといけません。
しかしここまで飲まず食わずです。
胃に食べ物が残っていたとしても充分な量ではありません。

そこで、オスは自分の体をヒナに与えるんです。

ニコ丸
えっ!?
自分を食べさせるの?

自分といっても、胃や食道の粘膜を剥がして与えるだけです。
それでもかなりの自己犠牲精神ですけど、、、

オオカミ先生
人間も極限まで食べないと「自己消化」といって、粘膜を消化吸収する機能があるんだよ!
まあ普通は起こらないけどね、、、

 

コウテイペンギンがヒナに与える粘膜を「ペンギンミルク」といいます。
実際に白っぽいそうです。

母親が帰るまで、父親はペンギンミルクでヒナの空腹を満たしてあげます。

オオカミ先生
ここで力尽きちゃうお父さんもいるみたいだよ!
お母さん、早く帰ってきて!

 

理由その6. ヒナが奪われるから過酷

母親はヒナの元に帰ると、胃に貯めているエサを吐き戻して与えます。
ペンギンの胃には消化を遅らせる酵素があり、ある程度のエサを新鮮なまま胃に蓄えることができるんです。

そして、必死に耐えてきたオスがエサを取りに行く番です。
海岸までの移動期間を合わせると120日もの間、オスは飲まず食わずだったということになります。
体重は40%も減ってしまいます。

ニコ丸
120日はヤバイでしょ!
お父さんおつかれ!いっぱい食べてね!

 

オスもある程度食べるとヒナと母親はの元に戻ります。
今度は両親が交代でヒナの面倒を見るんです。

ただ、メスが戻って来たとき、すでに力尽きてしまっているオスもいます。
そうなるとペンギンミルクを食べることができず、ヒナも死んでしまいます。

帰ってきたメスは自分の子どもがいないことで混乱し、他のペアの子どもを奪ってしまうこともあるんです。
親は自分の子どもを奪われないように必死に守ります。

この争いでヒナが命を落としてしまうこともあるんです。

ニコ丸
最後の最後まで過酷なんだね、、、

 

コウテイペンギンは保育園「クレイシ」を作る!?

ある程度までヒナが大きくなると、両親はヒナを置いてエサを食べに行きます。
この時、ヒナは「クレイシ」という保育園のような場所に預けられます。
ヒナの集団生活が始まるんです。

 

オオカミ先生
クレイシには次の役割があると考えられているよ!

・集団生活でヒナが体温調節しやすくなる
・天敵が近付きにくい
・強いヒナだけが生き残る

オオカミ先生
オオトウゾクカモメがヒナ襲うことがあるんだ!
弱いにヒナが食べられてしまい、強いヒナが残る!
ふるいにかけるような感じだね!

 

「クレイシでヒナを守るのは繁殖活動ができなかった個体」という考えがあります。
しかし、このような個体が繁殖地に残るのを疑問視する声もあります。

エサを与えに親が戻ると、ヒナは一斉に鳴き声をあげます。
すごいことに、親は我が子の声を聞き分けられるんです。

ニコ丸
コウテイペンギンの耳が良いことはさっきも説明したよね!
見た目だけじゃいくら親でも見分けられないんだって!

 

親ペンギンは夏の12月頃までヒナにエサを与えます。
そして、ある時期からピタッとヒナのところに来なくなります。

この頃には換毛しているヒナは空腹に耐えられなくなり、親の足跡を辿って海岸に向かいます。
これが巣立ちですね。

 

海までの1ヶ月の道のりでもオオトウゾクカモメが襲ってきます。
これを撃退しないと本当の大人にはなれません。

ニコ丸
最後の試練だね!
あと少しだよ!頑張って!

 

そして海が見えるとすぐにダイブしてエサを捕まえ始めます。

 

オオカミ先生
4年ほど経つとヒナも親と同じように過酷な繁殖を開始するんだ!
コウテイペンギンがたくましい理由が分かったよね!

 

まとめ

世界一過酷な子育て、、、
コウテイペンギンがこんな繁殖方法をするのは、天敵に食べられたくないという我が子を思う気持ちからだったんですね。

ブリザードという普通なら小さなヒナは死んでしまうような環境でも、父親の懸命な保護があるからこそ、安心して生き延びることができます。
ペンギンミルクという自分を犠牲にするような食べ物を与えるなんて、愛情以外感じませんよね。

ニコ丸
すごいドラマだったね!
毎年こんなことが行われているなんて信じられないよ!
最後まで読んでくれてありがとう!

 

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