野生の世界は弱肉強食です。強いものだけが生き残ることができます。
そんな厳しい世界でも食物連鎖の頂点に君臨している生物がいますよね。
ライオンやトラ、タカやワシなどがそれで、それぞれの地域で最強と言われている動物たちです。
そんな中、地球規模の食物連鎖の頂点に君臨していると言われている動物がいます。
つまり地球最強です。
それが「シャチ」です。
シャチと言えば英名「Killer whale(殺し屋クジラ)」 の海のギャングですよね。
クジラクラスの巨体に群れを作る、まさに最強の生物です。
シャチに天敵はいないのでしょうか?
地球最強生物「シャチ」の生態に迫ります。
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シャチの特徴
シャチは偶蹄目・マイルカ科・シャチ属の哺乳類です。
(クジラ目やクジラ偶蹄目とも呼ばれます)
平均的な大きさはオスは体長6~7m、体重3500㎏~5500㎏、メスは体長5~6m、体重1500㎏~3500㎏です。
マイルカ科の仲間では最大です。
クジラとイルカの違いは大きさで「4m以上がクジラ、以下がイルカ」とされています。そのためシャチは正確にはクジラに分けられます。
ただ、シャチとしてのイメージが強いので、クジラでもイルカでもない「シャチ」と呼ばれることが多いです。
目の回りの白い部分は「アイパッチ」と呼ばれ、
・群れの位置確認
・獲物に進行方向を分からなくさせる
・自分自身を小さく見せる
などの効果があると言われています。
背ビレが長く、特にオスだと2m近くにもなります。
これは早く泳ぐためで、時速80kmで泳いでも体が左右にぶれないのは背ビレのおかげです。
時速80kmで泳げるのは海洋哺乳類では最速で、バンドウイルカに並びます。
シャチの食性
シャチは肉食性です。
クジラやアザラシなどの哺乳類、魚類などを食べます。
また、海鳥やペンギンなども食べます。
実はシャチにもタイプがあり、エサや生活様式なんかが違っているんです。
クジラのみを食べるシャチ、クジラ以外の哺乳類も食べるシャチ、魚のみを食べるシャチというようなタイプに分かれているんです。
シャチの知能
シャチはとても賢い動物です。
地球上の生物で、人間の次に知能が高いと言われているのがイルカの仲間です。
しかも調教師いわく、イルカよりもシャチの方が物覚えがいいんだとか。
シャチの知能の高さは狩りからも分かります。
クジラの呼吸のタイミングを先読みし、待ち受けることで窒息死させたり、氷の上のアザラシを集団で波を起こして海に引きずり込んだりと、頭を使った狩りを行います。
さらには魚をくわえて海鳥を口元に誘導し食べてしまった、という記録まであるんです。
人間顔負けの頭のよさですよね。
どうすれば最短で、効率よく、安全に狩りを行えるかを考えているんです。
シャチに天敵はいないのか!?
体格、頭脳、身体能力など、ハンターとして必要な全ての要素を持っているシャチですが、果たして天敵はいるのでしょうか?
天敵というのはシャチを食べてしまう可能性がある動物です。
つまりシャチより強いかどうかですよね。
シャチが出会う確率のある動物で比べてみましょう。
シャチvsクジラ
地球上でシャチと大きさで競えるのはクジラくらいです。
シャチはクジラを食べますが、襲うクジラはコククジラやクロミンククジラといった、比較的小柄な種類です。
しかし、世界には30mを越えるシロナガスクジラもいますし、歯のある動物最大のマッコウクジラもいます。
マッコウクジラは15mにもなります。
基本的にシャチはシロナガスクジラやマッコウクジラの大人、特にオスのクジラには攻撃をしかけません。
子クジラをターゲットにする場合はありますが、親クジラの攻撃を受けるとシャチですら命の危険があるため、あまり狙うことはないようです。
群れで行動するシャチが、集団で大型のクジラを襲えば仕留めることは可能だと考えられます。
ただし、シャチ側にも多大な被害が出ることは間違いないので、襲うことはないようです。
無謀な戦いはしない主義なんですね。
賢いシャチだからこそでしょう。
シャチvsホオジロザメ
海の危険生物の代表「サメ」ですが、その中でも特に危険で、人喰いザメとして恐れられるのが「ホオジロザメ」です。
ジョーズのモデルになったことは有名ですね。
サメは何万年も前から姿を変えていない、原始的な生物です。
進化する必要がないくらい完成した体を持っているということですね。
イルカを襲うこともあるホオジロザメですが、シャチならどうでしょう。
結論から言うと、ホオジロザメでもシャチには手も足も出ないでしょう。
大きさを比べてみましょう。
シャチ | ホオジロザメ | |
---|---|---|
5.5~6m | 全長 | 4~5m |
5000kg | 体重 | 1000㎏ |
体格が全く違うため、ホオジロザメはシャチに近付きませんし、存在を感じると逃げていくそうです。
アフリカでは肝臓だけが抜き取られたホオジロザメの死体が打ち上がっていることがよくあるそうです。
シャチが栄養満点のサメの肝臓だけを食べて、残りは捨てているんだとか、、、
サメすらもシャチにとってはおやつ同然なんです。
しかも群れで活動していますからね。人喰いザメといえど勝ち目なんてありません。
シャチvsシロクマ(ホッキョクグマ)
シロクマことホッキョクグマは地上最大の肉食動物です。
最大で3m、体重は600kgにもなります。
しかしお分かりのように、シャチはその倍近く大きいです。体重は10倍近く重いですね、、、
しかし、ホッキョクグマには前足があります。
巨大なセイウチですら仕留めてしまう怪力ですが、シャチには通用しないのでしょうか?
シャチはホッキョクグマを捕食するとき、ホッキョクグマをくわえたまま猛スピードで海深く潜っていくそうです。
ホッキョクグマが手も足も出ないほどのスピードで海の中を引きずり回し、窒息死させるんだとか、、、
容赦ないですね。
海の王者の前では、地上の王者は手も足も出ないんです。
シャチの天敵は人間!?
最強と言われるシャチにとって、唯一と言える天敵が人間です。
人間のみがシャチを殺して食べることができる生物です。
もちろん生身の人間では、シャチに危害を加えることはできません。
兵器を持っていることが前提条件です。
武器を持っていれば、人間は海に入らずにシャチを攻撃することができます。
シャチは海から出ると無力ですし、陸にいる人間を攻撃することもできません。
人間の並外れた頭脳が、シャチにとっては一番の脅威なんです。
欧州のシャチは絶滅の危機が
シャチはエサの種類や体の特徴によってタイプが分けられています。
それぞれ住んでいる海域も違うのですが、欧州付近にもシャチが生息しています。
しかし現在、欧州のシャチは絶滅の危機に瀕しているんです。
この地域は工場からの廃水を垂れ流しにしていたという過去があります。
この廃水のなかにはとても有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)も含まれていました。
PCBは自然にかえりにくい成分で、微生物や魚の体に蓄積し、それを食べたイルカやシャチの脂肪組織にも蓄積してしまいます。
これを生体濃縮といい、毒素は食物連鎖を繰り返すごとに強くなります。
シャチの脂肪組織から母乳を通して子どもにも移ってしまい、体の弱いシャチに育ってしまいます。
この地域のシャチの小型化や繁殖力の低下が問題視されていて、近い将来絶滅するとも言われています。
PCBは1987年に規制されるまで各地の工場で廃水と一緒に流されていて、多くの海洋生物にダメージを与えています。
地域によって亜種といった、独自の生態系を作るのが動物です。
他の地域に同じ種類の動物がいるとはいえ、絶滅には変わりありません。
人間の勝手な都合で絶滅してしまった動物はたくさんいます。
欧州のシャチが絶滅しないように守ってほしいですね。
まとめ
シャチは巨体と身体能力によって、地球上の食物連鎖の頂点に君臨しています。
大きい、頭がいい、群れで行動するという、まさに最強の動物ですね。
サメもクジラもホッキョクグマも、シャチの前には無力です。
そんなシャチの唯一の天敵が武器を持った人間です。
人間は頭脳で繁栄してきた生物です。
この繁栄によって一体どれ程の生き物が絶滅してきたのでしょうか!?
欧州のシャチが絶滅しないように祈りたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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