ハイエナと言えばサバンナの掃除屋。
肉食で猛獣のイメージが強く、ちょっと怖いと思っている人も多いのではないでしょうか。
そんなハイエナのイメージをひっくり返してくれるのが『アードウルフ』です。
名前は少し強そうですが、アードウルフはシロアリを食べるハイエナなんです。
アリクイのようにペロペロと、なめるようにシロアリを食べる姿に、かわいいと思う人が続出しています。
今日はアリを食べるキュートなハイエナ『アードウルフ』に迫ってみましょう。
好きなところにジャンプできます
アードウルフ『ツチオオカミ』はハイエナの仲間!?
アードウルフは別名『ツチオオカミ』といいます。
しかしオオカミの仲間ではなく、食肉目・ハイエナ科・アードウルフ属に分類されています。
つまりハイエナの仲間ですね。
アードウルフが巣穴で生活すること、そして見た目がイヌ科動物に見えることがツチオオカミの由来だと考えられます。
・ブチハイエナ
・シマハイエナ
・カッショクハイエナ
・アードウルフ
ハイエナの仲間は、見た目はイヌ科に似ていますが、ジャコウネコの仲間から独立したと考えられています。
そのため、近縁な動物はマダガスカル島のフォッサ、沖縄で外来種として問題視されているマングースなどです。
ブチハイエナはどろぼうのイメージがあるけど、実は世界でもトップクラスに優れたハンターなんだよ!
アフリカ大陸で食物連鎖の頂点に君臨しているんだよ!
アードウルフの特徴!大きさや重さはどれくらい?
アードウルフはハイエナの仲間では最小です。
全長は70~110㎝、体重は8~14㎏と、犬で例えるなら中型犬ほどの大きさしかありません。
ハイエナ科は「ブチハイエナ>シマハイエナ=カッショクハイエナ>アードウルフ」というように大きさが変わっていきます。
ブチハイエナは最大80㎏以上まで大きくなる、まさにハイエナの王様です。
ブチハイエナは完全に肉食性らしいし、、、
アードウルフの体の特徴は他にもあるんです。
全身の毛は荒く、そして長く、胴体部分には黒い縦縞が入ります。このしましまは足にも入り、足としっぽの先端部分はだんだん黒みが強くなっていきます。
また、後頭部から背中、しっぽのあたりまでの毛が鬣(たてがみ)のようになり、これが学名の「Proteles cristatus(房毛のある)」の由来にもなっています。
特に顔がとっても小さいから区別はできるはずだよ!
アードウルフの生息地はどこ?
ハイエナ科の4種類はインドから西のアジア諸国、そしてアフリカ大陸にかけて分布しています。
アードウルフはアフリカ大陸の北東部~東部、南部が生息地です。
彼らは乾燥したサバンナ地帯や林を好み、深い森林は住処としないようです。
また、アードウルフはエサとなるシロアリが多い場所を住処としていて、しかも特定のシロアリがいる地域にしか生息していません。
そのため、生息地は狭くなり、開発の影響をもろに受けてしまうんです。
もしかしたら絶滅危惧種に登録される、、なんてことにもなりかねないね!
アードウルフの生態や性格!食べ物はシロアリ!?
アードウルフは夜行性で、昼間は巣穴で休んでいます。
この穴は自分で掘ることもありますが、ツチブタやトビウサギ、ヤマアラシの古巣を利用することがほとんどです。
冬場の寒い間は巣穴にいる時間が長くなり、寒さをしのぎます。
単独で行動することがよく観察されますが、ペアで一緒にいることも多いようです。
縄張り意識はとても高く、肛門腺や陰部から臭いの強い物質を絞り出すことで、アリ塚などにマーキングします。
また、前足にも臭腺があり、これらを駆使することで、1日に最大200か所にマーキングすることもあるんです。
だからマーキングを頻繁にすることで、外敵が縄張りに侵入するのを事前に阻止したいんだね!
最後の手段だね、、、
何度も説明している通り、アードウルフはシロアリを主食としています。
ただ、シロアリだけでなく他の昆虫、小型哺乳類、鳥類、動物の死骸などを食べることもあります。
シロアリを食べるときは、穴を掘り返すわけではなく、地上からなめ取ります。
通常、アリクイやセンザンコウなど、アリを食べる動物のベロは細長く進化していますが、アードウルフのベロはそこまで長くありません。
その代わり粘着性の強い唾液によって、シロアリをしっかりキャッチできます。
驚くべきことに、アードウルフはシロアリを音と匂いで探し当てます。
兵隊アリがエサを食べているときや動くときに発するわずかな音、そしてアリ同士が情報伝達に使用する分泌液(化学物質)の匂いまでかぎ分けているんです。
厳しい環境で生き残るために身に着けた能力だね!
アードウルフは歯がボロボロって本当?
ハイエナと言えば骨までバリバリとかみ砕いてしまうイメージですよね。
実際、ブチハイエナは強力なあごと消化液で骨を消化できるサバンナの掃除屋です。
しかし、アードウルフはシロアリを食べています。
アリを食べるのに歯は必要なのでしょうか?
アリを食べる代表のアリクイは『貧歯目(ひんしもく)』に分類されます。
つまり歯がないグループ、ということになりますね。
アリを食べるのに歯は必要ないんです。
考えてみてください。
わたし達人間が毎日噛まなくて済むようなご飯ばかり食べていたら、、、
あごの筋肉は衰え、歯なんてなくなっちゃいそうですよね?
アードウルフも同じです。
シロアリを食べ続ける彼らの歯は、成長と共に抜けてしまうんだとか、、、
「噛まなくても平気だから歯が抜けても大丈夫!」ってことですね。
むしろ進化しているように感じるけど、、、だって必要ないものはいらないもんね!
アードウルフは日本の動物園にいるの?
さて、これほどまでにおもしろい生態を持っているアードウルフですが、動物園でその姿を見られるのでしょうか?
残念ながらアードウルフを飼育している動物園は日本にはないようです、、、
調べてみたのですが、全くヒットしませんでした。
アードウルフはペットとして飼育できる!?
動物園にいないアードウルフですが、ペットにすることもできないような気がしますよね?
しかし、なんとアードウルフはペットとして飼育できるんです。
通常、野生動物の取引を国際的に規制している『ワシントン条約』に指定されている動物は、国動詞の許可なしに輸出入することはできません。
ただ、ワシントン条約には付属書Ⅰ~Ⅲまで存在していて、Ⅲであれば対象動物の原産地証明書があれば取引が可能です。
アードウルフは絶滅の危険性はありませんし、ワシントン条約の付属書はⅢです。
そのため、個人でも飼育可能です。
ただし値段は200万円近く、、、
なかなか手に入らないうえにハイエナです。
それ相応の値段は覚悟したほうがいいですね。
アードウルフはハイエナだよ!危険かもしれないから『特定動物』に指定されているんだ!
アードウルフをはじめとするハイエナ科の動物は人の命や身体、その財産に危害を加える恐れがあるため、特定動物として各都道府県知事の許可をもらわなくては飼育することはできません。
しかも許可をもらうためには厳しい基準を満たさなくてはいけないんです。
1.飼養施設の構造や規模に関する事項
・一定の基準を満たした「おり型施設」などで飼養保管する
・逸走を防止できる構造及び強度を確保する
2.飼養施設の管理方法に関する事項
・定期的な施設の点検を実施する
・第三者の接触を防止する措置をとる
・特定動物を飼養している旨の標識を掲示する
3.動物の管理方法に関する事項
・施設外飼養の禁止
・マイクロチップ等による個体識別措置をとる(鳥類は脚環でも可能)
参照:環境省-特定動物(危険な動物)の飼養又は保管の義務について
アードウルフをペットにするのは現実的じゃないね、、、
他人にも危害を加える恐れがあるんだから、、、
まとめ
アードウルフはハイエナなのにシロアリを食べる不思議な動物です。
小さい体に小さい頭、歯が抜け落ちてしまうこともかわいらしいですよね。
残念ながらアードウルフを飼育している動物園は日本にはありません。
ペットにできはしますが、値段や特定動物ってことを考えると、、、
ちょっと難しいかもしれませんね。
でも地球上にこんなおもしろい動物がいるって思うと、ちょっと楽しくなりませんか?
世界は広いですよね!
他にもおもしろい動物を紹介しているよ!よかったら見ていってね~!
この記事へのコメントはありません。