ツンツン地面をつつきながら歩くとってもかわいい姿はまさに「田んぼのアイドル」
タマシギってオスとメスが普通とは反対って本当なの?
タマシギはメスが求愛してオスが子育てする変わった習性を持っているんだよ!
しかもメスはたくさんのオスと夫婦になるんだ!
どうしてそんな変わった生態になったのかな?
詳しくみていこう!
タマシギはメスの方が派手で求愛もメスがします。
世界的に見ても珍しいことなんです。
一体どうしてでしょう?
イクメンだらけの逆ハーレム鳥「タマシギ」に迫ります。
好きなところにジャンプできます
タマシギってどんな鳥?
タマシギはチドリ目・タマシギ科・タマシギ属の鳥類です。
現在地球上に存在するタマシギ科の仲間は、本種とオーストラリアタマシギ、ナンベイタマシギのみです。
・目の回りが勾玉(まがたま)に見えたから
・メスがオスを手玉に取っているから
・翼に玉のような模様があるから
タマシギ科の仲間は湿地や河辺、田んぼなどを住処としています。
タマシギも同じで、地面を突っつくようにして水辺や泥の中の昆虫やミミズ、貝類を食べます。
体長は22~28cmほどでメスの方が若干大きくなります。
ただ、ヤンバルクイナはタマシギと違って飛べないんだ!
タマシギはメスが求愛する!?
タマシギの面白いところはオスよりもメスの方が羽の色が派手なところでしょう。
これはメスが求愛することの現れです。
普通、求愛をする種類の鳥はオスが派手な羽を持つことで、メスの気を引きます。
しかしタマシギのオスは地味な羽の色をしていて、稲や草に溶け込むような体色です。
メスはオスよりも赤みの強いカラーリングで結構派手です。
繁殖期は4~10月で、この時期のメスはクチバシの赤みが強くなり、オスに対してアピールします。
結構猛烈にアピールするようです。
そして無事にオスと夫婦になり交尾を済ませると、オスが作った巣の中に4個の卵を産みます。
タマシギは逆ハーレムを作る!
鳥類の多くは一夫一妻性です。
おしどり夫婦という言葉があるくらい、生涯を共にするペアが多いんです。
鳥類の90%が一夫一妻性とも言われています。
しかしタマシギは違います。
交尾を済ませて産卵を終えたメスは急に態度を変え、オスのもとから去っていくんです。卵を置いて、、、
その後メスがどうするかというと、なんと別のオスとも交尾を行うんです。
もちろん猛アピールはその都度行われます。
タマシギは世にも珍しい一妻多夫という「逆ハーレム」な状態を作り上げる鳥なんです。
なんだか信じられない言葉だね、、、
タマシギはオスが子育てする!?
さて、メスが去ってしまったタマシギの巣ですが、卵とオスが取り残されていますよね。
卵を温めるのもヒナを育てるのもオスの役目です。
羽でしっかり卵を包み込みヒナが孵るまで守ります。
さらに、孵化した後も羽の中にヒナをかくまって天敵から守るんです。
天敵はチョウゲンボウやトンビなどの猛禽類です。
こうやって外敵からヒナを守るだけでなく体温で温めるんだ!
猛禽類は目がとてもよく、上空からヒナを狙ってきます。
タマシギのオスとヒナは枯れ草のような色なため、周囲の環境に溶け込むことができます。
地味なカラーリングはこのために必要だったんですね。
また、ヒナは孵化したばかりの頃は体温調節が苦手です。
そのためお父さんが羽の中で温めてあげます。
オスはヒナが巣立つ40~70日間の間付きっきりでヒナを守ります。
タマシギのオスはイクメンパパなんです。
ではどうしてタマシギは、オスが子育てをするのでしょうか?
水辺で暮らすタマシギには洪水というリスクが常に付いて回ります。
いつ流されて、家族もろとも死んでしまうか分からないんです。
タマシギはオスの方が数の割合として多いと言われています。
そこでメスよりも数が多いオスが巣作り、卵の温め、子育てを引き受けることで、確実に子孫を残せるようにしているというわけです。
メスが子育てを行っているときに洪水が発生すると、メスとヒナの両方が死んでしまう可能性があります。
そうなると、オスだけが増えてしまい、最終的には繁殖できずに滅びてしまうかもしれません。
タマシギはメスがひたすら産卵を行うことで、確実に繁殖していけるように進化したんですね。
お父さんが育児を担当するのにはこんなに深い理由があったんだ!
タマシギの鳴き声はどんな感じ?
タマシギのメスは繁殖期になると、オスへのアピールのために盛んに鳴き声をあげます。
夜行性なため、夕方から夜にかけてメスの鳴き声がよく聞こえるようになります。
「ホーッホーッ」とフクロウのような鳴き声で、距離が離れていると「コンッコンッ」とも聞こえます。
そのため「コンコンドリ」と呼ぶ地方もあるようです。
この美声がオスを引き寄せているんだね
繁殖期以外でも、オスがヒナに対して鳴き声で呼び掛ける様子も見られます。
4匹のヒナの面倒を一気にみるのは大変ですよね。
鳴き声でコミュニケーションをとる必要があるんです。
特に上空に天敵が現れたときはときは、すぐに伏せさせる必要があります。
お父さんの指示がヒナの命運を分けるんです。
タマシギの生息地はどこ?
タマシギはサハラ砂漠より南のアフリカ大陸、マダガスカル島をはじめ、オーストラリア東部、東南アジア、中国南部、そして日本に分布しています。
日本では本州の中部地方から南の地域に多く生息しています。1年中日本に留まる「留鳥(りゅうちょう)」です。
東北地方に生息することはまれですが、最近では宮城県や山形県で繁殖が確認されています。分布域は広がっているようです。
日本の寒い地域に生息しているタマシギは、冬になると南の方に移動します。
渡り鳥というほどでもないですが、繁殖しやすい場所を選んでいるようです。
タマシギに田んぼは必要不可欠!
タマシギの生活や繁殖に、田んぼは無くてはならない環境です。
まずタマシギのメスが求愛を始めるのは、イネの背が低い田植え直後です。
見晴らしがよく、相手を見つけるのにはこの時期がぴったりです。
イネがある程度成長し、周りから見えづらい環境になると巣作りを行い、ヒナを育てます。
天敵からは発見されにくく、草に隠れた虫も多くなります。
そして、イネが伸び切ったころにヒナが巣立ちます。
この時期にも天敵には見つかりにくく、ヒナは安全に巣立つことができます。
タマシギが田んぼを利用し始めたのは、記録がないほど大昔です。
人間の生活に合わせて、タマシギも適応していったんですね。
タマシギは絶滅危惧種!?
タマシギは現在、日本の環境所が設定しているレッドデータブックの「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されています。
日本国内で数を減らしているんです。
県によっては「絶滅危惧ⅠA類」に指定しています。その県で絶滅の危機に瀕しているんです。
主な原因は生息地である田んぼの減少です。
特にタマシギが好んで住処とする、1年中水が張っている湿田が減っています。
逆に秋になると水を抜いて、春先に再び水を貯える「乾田」が増えているんです。
また、水田を畑としても利用できるように「圃場整備(ほじょうせいび)」が行われることも多く、タマシギの減少に拍車がかかっています。
人間が農業を効率よく行うための整備で、苦しむことになる生き物がいる、、、
この事実を頭の隅に入れておいてください。
田んぼのアイドルが日本からいなくなってしまわないように、守っていきたいですね。
まとめ
タマシギはメスが求愛しオスが子育てするだけでなく、メスが他のオスとも子どもを作るという、とても変わった性質を持っている鳥です。
種を残すために数の多いオスが子育てに奮闘し、メスは少しでも多くのオスとペアになるというたくましい生き方を貫いているんですね。
日本では田んぼで見られ、田んぼの成長に合わせて繁殖活動も行います。
田んぼの利点を利用しているんです。
人間と上手に共存できていますよね。
稲作の衰退によってタマシギも数を減らしています。
近い将来日本で見られなくなってしまうかもしれないんです。
こんなアイドルが見られなくなるなんて、寂しいですよね。
わたしたちにも何かできることはあるかもしれません。
無関係ではいられませんよね。
また遊びに来てね~
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