体だけじゃなくてツノも大きいという、超巨大生物なんだ!
なんかトナカイと似てるけど違うの?
その辺も合わせて紹介していこう!
ヘラジカはヨーロッパやアメリカ、カナダなどの北半球に生息しているシカの仲間です。
日本ではトナカイが有名なので、ヘラジカとトナカイを間違ってしまうこともあるのですが、見た目は全然似ていません。
地球最大のシカ『ヘラジカ』に迫ってみましょう。
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ヘラジカの大きさや重さ!世界最大って本当?
photo by PickPik
ヘラジカは頭からおしりまでの長さ(頭胴長)が2~3m、肩から地面までの高さ(肩高)は1.5~2mにもなります。
体重はオスが380~700㎏、メスは200~490㎏です。オスの方が大きくなりますね。
身体に比べると短くてかわいいね!
正確な情報じゃないみたいだけど、、、
この体格はシカの仲間では世界最大です。
しかも2番目に大きいとされるワピチ(アメリカアカシカ)の大きさをはるかに超えます。
ヘラジカの大きさが分かるよね!
シカの仲間は偶蹄類です。
偶蹄類にはさらに最大級の『アメリカバイソン』がいます。
バイソンは最大で体重が900~1000㎏にもなるため、ヘラジカよりも重いです。
ただ、バイソンの肩高が最大186㎝なのに対し、ヘラジカは2mを超えます。
世界最大級なのは間違いないね!
人間と比べるとこんな感じ!
巨体ですが意外に速く走ることができ、時速50㎞以上のスピードを出せます。
しかも足がスノーシューズのように平べったいため、雪でも結構なスピードを出せるみたいです。
後述するようにヘラジカは生息している地域によって亜種となっていて、大きさにも違いがあります。
小型とされている亜種でも体重が400㎏を超えるため、世界最大のシカだということが分かりますね。
ヘラジカの特徴!ツノがすごい!
photo by wikimedia
ヘラジカはオスのみが特徴的なツノを持ちます。
ツノは左右の先から先までが1.2~1.8mの間で伸び、最大で2mを超えることもあります。
重さは20㎏ほどにもなるため、相当巨大なツノです。
さすが最大のシカ!
ヘラジカのツノは春の終わりから初夏にかけて成長します。
始めは『ベルベット』という羽毛のような毛でおおわれいて、中に血管が通っています。血液にのせて枝分かれしたツノに栄養を運ぶわけですね。
ベルベットがある間はツノは成長を続けます。そして夏の終わりまででツノの成長が止まると、血管が乾き始め、ベルベットがはがれていきます。
秋の初めには骨がむき出しのツノが完成します。
ツノは冬には抜け落ち、また春の再生を待ちます。
ベルベットにおおわれた成長途中のツノ
photo by Needpix
ヘラジカのもう一つの特徴と言えるのが、オスのみが持つ、顔から垂れ下がっている肉睡(にくすい)と呼ばれる皮膚です。『ベル』や『デュラップ』とも呼ばれます。
なぜデュラップが必要なのか、その正確な理由は分かっていません。ただ、有力だという説もあります。
・発情期にオスがメスにデュラップをこすりつけ、自分の香りを伝える説
・デュラップの大きさや形状が優れたオスの証だという説
謎多き動物なんだな~!
photo by pixhere
ヘラジカとトナカイの違いはなに?
ヘラジカと比較されるシカの仲間にトナカイがいます。
みなさんも先ほどから紹介しているヘラジカの写真を見て『あれ?これトナカイじゃないの?』と思っていませんか?
まずはヘラジカとトナカイを比べてみましょう。
1番の違いはツノですね。
トナカイは上に向かって、ヘラジカは横に向かって生えます。ちなみにトナカイはオスにもメスにもツノが生えます。
また、顔の印象も違いますよね。
トナカイは『シカ』って感じの顔ですが、ヘラジカは特徴的な、ヘラジカにしかない顔です。鼻が長いですよね。
ヘラジカにしかない顔としか言いようがないよ~、、、
あとはデュラップ(アゴの垂れ下がった皮膚)や体の大きさも違います。
どっちがどっちか覚えておけば今後間違うことはなさそうですよね。
北欧ではお土産屋さんでトナカイやヘラジカのグッズが数多く売られているそうです。
知らなければあまり馴染みのないヘラジカですが、現地ではトナカイ以上にグッズが多いらしく、シカをモチーフにしたグッズの7~8割はヘラジカグッズらしいですよ。
ヘラジカの生息地はどこ?それぞれの違いは?
ヘラジカは北アメリカ大陸、北ヨーロッパ、ユーラシア大陸の北部に分布しています。
国で言えば、アメリカ、ロシア、中国、エストニア、カナダ、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、ラトビア、リトアニアが生息地です。
スウェーデンやノルウェーでは国の動物『国獣(こくじゅう)』に指定されるほど代表的な動物です。
巨体にふさわしい呼び名だよね!
地球上でも北の方、寒い地域に生息しています。
汗をかけないヘラジカは暑い地域では生きていけないんです。
哺乳類をはじめとすす『恒温動物(体温を一定に保つ動物)』は寒い地域なほど巨大化すると言われています。
ヘラジカも周りの環境に合わせて巨大化していったんですね。
気になる人は調べてみてね!
これほど幅広い地域、しかも大陸をまたいで分布しているヘラジカですので、生息地域によって亜種化しています。
基本的には学名『Alces alces』という種類なのですが、体の大きさなどが地域によって違うようなんです。
例えばロシアのシベリアやカムチャッカ半島という特に寒い地域の亜種は最大の亜種です。
他にもアラスカ州の亜種も巨体です。
比較的暖かい地域の亜種は小型なのだそうですが、それでも400㎏は超えるのでヘラジカの遺伝子はしっかり持っていますよね。
こんなふうに大陸をまたいで同じ種類の動物が存在しているのは、大陸同士が大昔に繋がっていたという仮説を立てられますよね。
もしくは氷河期に海氷で渡ることができたのかもしれません。
同じ種類ってことなんだ!
大陸をまたいで生息しているヘラジカですので、呼び名も地域によって異なります。
中国やロシア、アメリカでの呼び名が違うのは分かりますが、ヨーロッパとアメリカでの呼び名も違うんです。
アメリカのヘラジカは『Moose(ムース)』と、ヨーロッパのヘラジカは『Elk(エルク)』と呼ばれます。
おもしろいことに、アメリカでエルクを指す動物は『アメリカアカシカ』です。
これはヨーロッパ人がはじめてアメリカ大陸を訪れた際にアメリカアカシカをヘラジカ、つまりエルクの仲間だと勘違いしてつけてしまったんだそうです。
その後、アメリカ大陸のヘラジカはインディアン語で『樹皮をはぎ取り食べるもの』という意味のムースが定着していきました。
ヘラジカが道路に!?標識もあるって本当?
ヘラジカの生息地である多くの国で、ヘラジカと車や鉄道との衝突が問題視されています。
例えばノルウェーでは2000年から2017年までの間に、年間平均1900頭(車両事故1200頭、鉄道事故700頭)ものヘラジカが交通事故で命を落としています。
冬になると深い雪に覆われる地域では、ヘラジカは雪の浅い道路や鉄道周辺に集まるのだそうです。移動しやすいからでしょう。
皮肉にも雪から避難している場所が最も危険な地域なんです。
ノルウェーでのヘラジカの死亡割合
交通事故が減っている地域もあります。
看板での注意喚起や教育などが実を結んでいるようですが、そもそもヘラジカの生息数が減っているとの見方もあるんです。
参考文献:ECOSYSTEM MOOSE
ヘラジカの生態!食べ物は何?
ヘラジカは草食性の動物です。
夜明けから夕暮れまで1日かけて30㎏以上もの植物を食べます。
主な食べ物はモミやイチイなどの葉っぱ、樹皮、松ぼっくり、つぼみなどです。
また、夏にはスイレンなどの水草も好んで食べます。その際、水に入るだけでなく、潜水をする様子も観察されています。
水に入って水草を食べるヘラジカの親子
photo by PIXY ORG
ヘラジカの子育てはどんな感じ?寿命は何年?
ヘラジカは初秋に繁殖期を迎え、オスは複数のメスとハーレムを作ります。
この時期、ハーレムをめぐってオス同士でバトルする様子が見られます。ツノを使いすぎると絡み合って取れなくなり、最悪の場合そのまま死んでしまうこともあるようで、ツノの使用はそこそこにとどまるようです。
photo by Needpix
からまって死んじゃったら元も子もないよね、、、
春から夏にかけてがヘラジカの出産シーズンです。
多くの場合は1頭の赤ちゃんを産みますが、まれに双子や三つ子も生まれるようです。
赤ちゃんは産まれたその日に立ち上がり、生後数週間で泳げるようになります。
半年ほどで離乳し、次の繁殖期に母親が妊娠するまで、母親と一緒に行動します。
子持ちの母ヘラジカは凶暴です。
人間にさえも突撃してきます。
ただ、ヘラジカの子どもが、無事大人に成長できる確率はそれほど高くありません。
一説によると、子どもの半数は捕食によって命を落としてしまします。
大きいからあんまり狙われないんだね!
ヘラジカの寿命は平均して15~20年です。
ヘラジカの天敵は?ダニも怖い!?
ヘラジカの天敵はクマやオオカミ、人間、そしてダニです。
体の大きなヘラジカはクマやオオカミの複数回分の食事になります。
特に出産後にエネルギーを必要としているヒグマはヘラジカを好むようです。
クマにもくらわせるんだよ!オオカミは死ぬことがあるし、クマでも放心状態にできるんだ!
また、人間の狩猟もヘラジカには脅威です。
巨大なヘラジカはハンターの獲物にふさわしいのかもしれません。
そして最近問題視されているのがダニです。
地球温暖化が原因で暖かくなった冬にはダニが多く発生します。
複数のダニによる吸血でヘラジカは貧血を起こし、最悪の場合死んでしまいます。
さらにダニを追い払おうと体をこすってしまい、毛が抜けてしまうと低体温症の恐れもあります。
ダニをはじめとする吸血寄生虫の影響で、地域によっては40%ものヘラジカが減少したとの報告もあるんです。
はるかに大きなヘラジカを殺しちゃうんだな~、、、
ヘラジカは現在、レッドデータブックのカテゴリーが『低危険種(LC)』です。
複数の大陸や国で生息が確認されているため、安定した生息数が確認されていますが、ダニや温暖化で生息数は減っているようです。
ものすごいスピードで絶滅しちゃった動物もいるしね、、、
ヘラジカは日本にいるの?
ヘラジカは現在日本の動物園では飼育されていません。
過去には神奈川県川崎市の『夢見ヶ崎動物公園』で2頭の姉妹『ユキ』と『ポロウ』が飼育されていました。
しかし2012年にユキが、そして後を追うように姉のポロウが2013年に亡くなりました。
家畜伝染病予防法により輸入が厳しいため、今後ヘラジカが日本の動物園に来ることは難しいかもしれません。
ユキちゃんとポロウちゃんの存在は日本にとって貴重なものだったのですね。
ありがとうって言いたいね!
まとめ
ヘラジカは世界最大のシカです。
特徴的なツノにより、存在感がさらに大きくなっていますよね。
大陸をまたいで生息しているヘラジカは、国によっては国獣に指定していることもあり、昔から人間と関わってきた動物なのでしょう。
狩猟や地球温暖化で生息数が減りつつあります。
本当の伝説になってしまう前に、この巨大なシカを守っていきたいものですね。
何かできることがないか考えてみてね!
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