モフモフな毛皮でとっても大きな体をしているんだ!
それとは違うの?
分類は全然違うけど!
ジャコウウシはグリーンランドなど、極寒地帯に生息しているウシ科の動物です。
彼らは氷河期を乗り越えた、いわば生きた化石。
優れた保温機能をもつ毛皮によって、今日まで生き残ってきました。
しかし、ジャコウウシはその毛皮によってピンチに立たされています。
それは遠く離れたわたし達と、決して無関係というわけではないんですよ。
ジャコウウシの生態は?
バイソンとは違うの?
モフモフでちょっと臭いかも、、、
『ジャコウウシ』にせまってみましょう。
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ジャコウウシとバイソンの違いは?
ジャコウウシは偶蹄目・ウシ科・ジャコウウシ属に分類される哺乳類です。
偶蹄目はカバ、ウシの仲間を含む哺乳類です。
ジャコウウシと同じウシの仲間で、姿と生息地がよく似ている動物に『バイソン』がいます。
それぞれの違いを見ていきましょう。
まず分類ですが、どちらも偶蹄目・ウシ科です。
しかし、ウシ科の中で下位分類、つまりさらに細かく分けてみると、
ジャコウウシ・・・ヤギ亜科
バイソン ・・・ウシ亜科
というように違いが出てきます。
また、ツノの形はジャコウウシが根元から下に曲がり、先がカールしているのに対し、バイソンのツノは上向きに生えています。
ジャコウウシは貴族の髪型みたいでかわいいな〜!
さらい体毛も違います。
バイソンは頭部周辺の毛がモジャモジャで下半身に向かい短くなります。ジャコウウシは全体的に毛が長く、地面につくほどです。
こうやって比べると違いがよく分かるね!
ジャコウウシの生息地はどこ?
ジャコウウシは現在、カナダ北部とグリーンランドに自然分布しています。
その他の地域ではノルウェー、アラスカ、ロシア(シベリア)などに人為的に移入されています。
赤が自然分布地、青が人為敵に持ち込まれた地域
これはヒヅメを持つ陸上生物の中では最北端に生息していることになります。
つまり最も寒い地域に生息している有蹄類はジャコウウシってわけですね。
ジャコウウシは何千年、もしかしたら何万年も前から北極圏で生活してきました。
マンモスが生きていた時代から現在まで生き残っている草食動物としては最大の大きさです。
まさに『生きた化石』ですね。
現在のジャコウウシ達の祖先は、マンモスと共にこの地球の上を歩いていたんです。
ジャコウウシが猛烈な氷河期を生き残れたのは毛皮のおかげ。
なんと-40℃もの極寒でも耐えられるんだとか、、、
天然の防寒着なんです。
ジャコウウシの特徴!大きさや重さはどれくらい?
by WIkimedia
ジャコウウシは体長2〜2.5m、体重は220〜360kgです。
オスは最大600kg以上になることも。メスは一回り小さく、体重が300kgを超えることは稀です。
肩から地面までの高さ(肩高)は110〜150cmにもなります。
特徴的なツノはオスメス両方に生えますが、オスのツノの根本は幅広くなります。
ヒヅメは平たく、急斜面でも安定して登り降りするのに役立ちます。
ジャコウウシの毛皮!キヴィアックとは?
ジャコウウシは寒さにとても強い毛皮を持ちます。
先ほども説明しましたが、-40〜-60℃にも耐えられるという超優秀な毛皮です。
寒さに強い秘密は2段構造の体毛。
分厚く固い外側の体毛はブリザードにも耐えられます。しかも冷たい地面に横たわるときは毛が内側に折りたたまれ、座布団の役割も果たすんだとか。
そして内側の柔らかくきめ細かい体毛は保温効果に優れています。
こちらは『Qiviuk(キヴィアック)』と呼ばれる高級毛皮。なんとカシミアよりも高性能で、世界三大超高級獣毛の1つとされています。
どれも極寒に強い素材なんだよ!
キヴィアックは一説によると1kg数十万円で取引きされるんだとか、、、
まさに超高級獣毛ですね。
ジャコウウシの匂いは臭い!?麝香って何?
ジャコウウシの名前の由来は『麝香(じゃこう)』です。
麝香は英語で『ムスク(musk))』
ジャコウウシの英名が『muskox』で、『ox』にはウシという意味があるため和名と同じ由来ですね。
麝香とはジャコウジカの臭腺から取れる匂い物質のことで、古来より香料や薬として利用されてきました。
ジャコウウシには足や目の下に臭腺を持ちます。
普段はこの臭腺から出る分泌物をいたる所にこすり付けてマーキングします。
そしてオスは繁殖期になると興奮し過ぎて目の下の臭腺から普段よりも多くの分泌物を出すそうです。
これが麝香と似た匂いなのが名前の由来だそうですが、ジャコウウシのはものすごく臭いんだとか、、、
麝香とは名ばかりですね。
こっちは香水の原料になっているそうだよ!
ポップコーンみたいに香ばしい匂いがするんだって!
ジャコウウシの生態!群れで子どもを守る!?
ジャコウウシは夏には水辺や湿地帯で小規模な群れを作って生活し、冬には最大100頭にもなる群れを作り、雪の少ない山の斜面で過ごします。
by Wikimedia
群れのリーダーは最年長のメス。群れのメンバーはメスとその子どもたちです。
オスは単独、またはオスのみの群れで活動します。
強いオスのみがメスから気に入られるんだね、、、
食性は草食性です。
夏場は草や花で栄養を蓄え、冬場はヒヅメで雪を掘り起こして根っこなどを探して食を繋ぎます。
繁殖期は夏場で、この時期にはオスとメスが合流します。
そして冬を乗り切った4〜5月に1頭の赤ちゃんを出産します。
ジャコウウシは仲間の団結力が高いことで有名です。
寒いときやオオカミなどの外敵に襲われているときは子どもを中心にした円陣を組み、ツノを外側に向けます。
がっちり組んでしまえば子ども達に手出しできませんよね。
ジャコウウシは絶滅危惧種!?理由は毛皮!?
仲間意識の強いジャコウウシですが、いくら頑丈な円陣を組んでも、人間の兵器の前では無力です。
過去には毛皮目当てで乱獲が起こり、すでに絶滅してしまった地域もあります、、、
そういった地域には再導入され、復活が期待されているんです。
カナダやノルウェー、シベリアなどでは保護の対象とされています。キヴィアックの収穫数も厳密に決められ、懸命なる保護活動が進められているんです。
現在、レッドデータブックのカテゴリーは『低懸念(LC)』
絶滅の心配はありませんが、重大な問題がまだ残っています。
それが地球温暖化です。
ジャコウウシは寒さにめっぽう強い半面、暑さにはとても弱く、生息地は寒い地域に限ります。
現在、地球温暖化の影響で住処をなくしているジャコウウシが増えているんです。
日本から遠く離れたツンドラ地帯ですが、わたし達の生活が悪影響を与えていることを決して忘れてはいけませんよね、、、
ホッキョクグマもその1つだよ、、、
ジャコウウシは日本の動物園にいる?
飼育している動物園は日本にあるの?
ジャコウウシは過去には千葉県の日本カモシカセンターで最大5頭が飼育されていましたが、2001年に最後の個体が死んでしまいました。
残念ながら、現在ジャコウウシを飼育している施設は日本にはありません。
寒い地域で生活することなんかも似ているよね!
ジャコウウシの肉はどんな味?
ジャコウウシは毛皮だけでなく、肉も重宝されます。
毛皮と同じように数量を決められたうえ、許可を得たうえで狩猟されるようです。
組織的な狩猟の場合、グリーンランドに住んでいる場合に許可されますが、ハンターライセンスを持っている人に限ります。
体臭はちょっときついジャコウウシですが、肉はどんな味なのでしょうか?
実はジャコウウシの肉はかなりの美味だそうです。家畜として飼育されている牛の肉以上なんだとか。
しかもビタミンB群を豊富に含み、低カロリーでジューシーとのこと。
ぜひ食べてみたいですね。もちろん正規品のみに限りますが、、、
まとめ
ジャコウウシは太古の地球を歩いてきた生きた化石です。
大規模な絶滅が起こった氷河期を生き残れたのは、桁外れに優れた毛皮のおかげだったんです。
マンモスですら滅んでしまったのに、本当にすごいですよね。
毛皮や肉目当てで乱獲され、絶滅の心配もあったジャコウウシですが、懸命なる保護でその数を回復させつつあります。
生きた化石が本当に幻の化石になってしまう前に、わたし達も考え方を変えなくてはいけませんよね。
地球温暖化が彼らに悪影響を与えているわけですから、、、
動物を守ることはわたし達を守ることでもあります。
少しでいいから何か始めてみませんか?
また遊びに来てね!
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