ベンガルヤマネコは原始的な、野生のネコ科動物です。
東南アジアを中心に生息しています。
イエネコの一種「ベンガル」が、ベンガルヤマネコとイエネコの交配種であることは有名ですね。
また、日本に2種類のみ生息するヤマネコ「イリオモテヤマネコ」と「ツシマヤマネコ」がベンガルヤマネコから分離した亜種であることが判明しています。
ベンガルヤマネコとはどんなネコなんでしょうか?
また、飼育されている動物園は日本にもあるのでしょうか?
原始的なネコ「ベンガルヤマネコ」に迫ります。
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ベンガルヤマネコの特徴
Foto by Wikimedia
ベンガルヤマネコは食肉目・ネコ科の哺乳類で、属はPrionailurus属です。
体長は45~60cm、体重は3~7kgと、イエネコとほとんど同じ大きさです。
全体的に淡い茶色っぽい体色で、黒いブチが全身に入ります。
頭から肩にかけて4~5本の黒いシマシマ模様が入っています。
英名は「Leopard cat」です。「Leopard」はヒョウという意味です。
ヒョウとベンガルヤマネコに分類的な共通点はありませんが、ヒョウ柄模様が入るため、こう名付けられたようです。
見た目はほとんどイエネコです。
アメショーの茶色っぽい感じにも見えますね。
ベンガルヤマネコの生息地
ベンガルヤマネコは東南アジアの熱帯雨林に生息しています。
低地から3000m以上の山地まで幅広くに分布しています。
ちなみにチベットやモンゴル、ロシアなどに生息しているマヌルネコは、ベンガルヤマネコから分離したネコ科動物だと考えられています。
乾燥地帯は嫌うようで、川などの水辺を好んで住みかとします。泳ぐ姿が目撃されたこともあります。
森林にも適応していて、木登りも得意としています。
ベンガルヤマネコの食べ物は何?
ベンガルヤマネコは肉食性で哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫類など大きさに合っている動物であれば何でも食べます。
水を嫌がることがないため、サワガニといった水棲動物も食べちゃいます。
得意な木登りで、コウモリなんかも食べるそうです。
ベンガルヤマネコとベンガル
ペットとして人気のベンガルは、ベンガルヤマネコとイエネコの交配により誕生した猫です。
1970年代に「野生のヤマネコはネコ白血病に対する抗体を持っているのではないか?」という仮説がたてられ、ベンガルヤマネコとイエネコを交配させて実験を行ったんです。
これがベンガル誕生のきっかけになりました。
ベンガルはベンガルヤマネコ特有の野性的な見た目にも関わらず、温和な性格の甘えん坊な猫です。
このギャップが人気で、世界中の愛猫家によって愛されています。
しかもベンガルヤマネコの「水を嫌がらない」という特徴を受け継いでか、猫では珍しく水浴びが大好きです。
ベンガルヤマネコの亜種
日本には現在国の天然記念物に指定されているヤマネコが2種類います。
「ツシマヤマネコ」と「イリオモテヤマネコ」です。
どちらも離島という限られた地域に生息している、日本の固有種です。
実はツシマヤマネコとイリオモテヤマネコは、遠い昔にベンガルヤマネコから分離した亜種だということが、遺伝子の調査で分かっています。
ツシマヤマネコ
長崎県対馬にのみ生息しているヤマネコです。
中国や朝鮮半島に生息しているアムールヤマネコとはほぼ同じ亜種だと言われています。
生息地の開発にる生息地やエサとなる小動物の減少、イエネコの流入による感染症の流行によって数を激減させています。野良犬や野良猫による補食も確認されています。
交通事故も深刻な問題です。
現在の生息数は100頭ほどだと言われていて、絶滅危惧種に指定されています。
獣医師達による感染症流行の対策や地元住民によるエサ場の確保によって保護活動が進められています。
また、遺伝子を残すため、日本各地の動物園が飼育による保護に取り組んでいます。
1971年に国の天然記念物に指定されています。
イリオモテヤマネコ
沖縄県の西表島にのみ生息する固有種です。
1965年という20世紀に入ってから発見されたという珍しい歴史を持っています。
熱帯地方のマングローブや林の中で暮らしています。
生息地の破壊、交通事故、野良犬による捕食、他の動物用の罠にかかるなどして個体数が激減しています。
また、イエネコによる遺伝子汚染や感染症の流行も問題視されています。
現在は100匹前後まで減少しています。
イリオモテヤマネコの生息している一部の地域を自然保護区に指定するなどの保護対策が進められています。
また、飼い猫にマイクロチップを埋め込む、ネコの飼い方の指導徹底、道路標識で運転手に注意を呼び掛けるなどの保護活動が西表島で行われています。
1977年に国の特別天然記念物に指定されています。
ベンガルヤマネコはペットにできない!?
現在、ベンガルヤマネコをペットとして飼うことはできません。
ヤマネコの中でも比較的生息数が安定している種類だったため、ちょっと前まではペットにできる唯一のヤマネコでした。
現在はワシントン条約に登録されています。
国際的な取引には政府の許可が必要ですし、もし無許可で取引してしまうと罰則が発生します。
個人的に飼うのは不可能ですね。
野生のネコなので、一般家庭で飼育するのはそもそもで現実的じゃないですよね。
ベンガルヤマネコを飼育している動物園
日本でベンガルヤマネコを飼育している動物園は4ヵ所あります。
・福岡市動物園(福岡県福岡市)
・上野動物園(東京都上野)
・大阪市天王寺動物園(大阪府大阪市)
・大宮公園小動物園(埼玉県さいたま市大宮)
福岡市動物園のベンガルヤマネコ
福岡市動物園ではメスのコマチというベンガルヤマネコを飼育しています。
コマチは警戒心が強く、岩や木の陰に隠れてしまうことが多いですが、目がクリクリした美人です。
2017年にオスのベンガルヤマネコ「ベガ」が亡くなってしまったため、現在はコマチのみです。
また、福岡市動物園ではツシマヤマネコの保護飼育も行っています。
繁殖にも成功していて、現在8頭のツシマヤマネコが飼育されています。
そのうち子どもは5頭もいます。遺伝子の保護が進んでいますね。
ベンガルヤマネコとツシマヤマネコを見比べるのも楽しそうですよね。
上野動物園のベンガルヤマネコ
上野動物園では夜の森でベンガルヤマネコが飼育されています。
全部で7頭が飼育されています。
オスとメスを同じ展示場で飼育していたため、2011年に赤ちゃんが生まれています。
上野動物園でベンガルヤマネコの出産が確認されたのは2000年以来だそうです。
家族で過ごすベンガルヤマネコが見られるかも!
天王寺動物園のベンガルヤマネコ
天王寺動物園ではセイというオスのベンガルヤマネコが飼育されています。
警戒心の強さが凄まじく、普段は展示場の後ろの方の壁の隙間にいます。
飼育員の間では「セイ君の定位置」と呼ばれているそうです。
たまーに見える位置まで来るそうですが、木の陰で身を伏せているだけだそうです。
警戒心丸出しなところはかわいいですね。
※2019年4月追記
天王寺動物園のセイ君は残念ながら2018年11月に亡くなってしまいました。
すみっこを愛するセイ君の姿はもう見られませんが、わたし達の心に残り続けると思います。
大宮公園小動物園
埼玉県大宮にある小規模な動物園です。
ベンガルヤマネコは現在オス、メス1頭ずつが飼育されています。
2013年より同居を開始しているため、赤ちゃんが生まれる可能性もあります。
メスが10才を超えているのが気になるところですが、かわいい赤ちゃんを見られる日が来ることを願っています。
まとめ
・ベンガルヤマネコは東南アジアにいる原始的なネコ
・森の中で暮らしていて、泳ぐこともある
・ベンガルはベンガルヤマネコとイエネコの交配種
・イリオモテヤマネコとツシマヤマネコはベンガルヤマネコの亜種
・ワシントン条約に指定されていて、ペットにはできない
・現在日本で飼育している動物園は4ヵ所
・福岡市動物園にはツシマヤマネコもいる
ベンガルヤマネコは原始的な野生のネコです。
野性感あふれる見た目は魅力的ですよね。
イリオモテヤマネコやツシマヤマネコの祖先ということで、日本と無関係ではありません。
ベンガルを飼っている人も、ベンガルヤマネコは特別な存在でしょう。
ベンガルヤマネコが飼育されている動物園がお近くにあれば、ぜひ見に行ってください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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