皆さんはクマと聞いて、どの種類のクマを思い浮かべますか?
ホッキョクグマ、ヒグマ、ツキノワグマなどメジャーなクマを思い浮かべる人が多いと思います。
もしかしたらマレーグマやジャイアントパンダといった、マイナーなクマを思い浮かべる人もいるかもしれませんね。
では、メガネグマはどうでしょう?
このクマを思い浮かべる人はそうそういないのではないですか?
そもそもでメガネグマというクマを知らない人がほとんどなのではないでしょうか?
メガネグマは南米に生息しているクマです。
限られた地域にしかいないため、幻のクマとも呼ばれます。
メガネグマとはどんなクマなんでしょうか?
また、見れる動物園は日本にもあるのでしょうか?
南米のおしゃれ熊「メガネグマ」に迫ります。
好きなところにジャンプできます
メガネグマってどんなクマ?
メガネグマ | |
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学名 | Tremarctos ornatus |
英名 | Spectacled bear Andean bear |
生息地 | 南米アンデス山脈 |
体長 | 120~200㎝ |
体重 | 130~200㎏ |
レッドリスト カテゴリー | 絶滅危惧種Ⅱ類 (VU) |
メガネグマは食肉目・クマ科・メガネグマ属の哺乳類です。
メガネグマ属にはこの種類のクマしか存在していません。
食肉目は別名ネコ目ともいい、ネコ科、イヌ科に代表されるように、肉を主食としているグループです。
クマ科の動物は世界中にも幅広く分布していて、比較的成功しているグループと言えます。
ただ、意外にもクマと呼ばれる動物は世界中に8種類しかいないんです。
メガネグマの名前の由来は?
メガネグマは目の回りを縁取るかのように、白や黄色っぽい色の模様が入ります。
これが、眼鏡に見えることからこの名前がつけられました。
また、英名は「Spectacled bear」といいます。
こちらも「眼鏡をかけたクマ」という意味なので、和名と同じですね。
もう1つの英名「Andean bear」は「アンデスのクマ」という意味です。
こちらはメガネグマの生息地が由来です。
メガネグマの生息地はどこ?
メガネグマは南米のアンデス山脈に生息しています。
北アメリカ大陸にはグリズリー(ハイイログマ)やアメリカクロクマなどが生息していますが、南米大陸にはメガネグマしかクマの仲間は存在していません。
メガネグマは主に、標高4000mほどの湿度の高い森林地帯を好んで住みかとしていますが、エサを求めて山を下りることもあります。
草原地帯や海岸沿いの砂漠地帯でも目撃されています。
メガネグマの特徴はやっぱり眼鏡!
メガネグマの体長は最大で200cm、体重は150kgにもなります。
また、メスはこれより一回り小さく、体重は80kgほどまでにしかなりません。
最大で3m、500kgにもなるクマ界最大のホッキョクグマと比べると小柄ですね。
メガネグマの特徴でもある目の回りの模様は、実は全ての個体に入っている訳ではないんです。
中には模様がはっきりしていなくて、眼鏡には見えないものや、模様自体が入っていないものもいます。
個体差が激しいんですね。
最初に発見されたメガネグマの模様がはっきりしていたんでしょう。
ちなみに学名の「ornatus」は「装飾された」という意味があります。
学名からすでにおしゃれ感がありますね。
体の色は黒や赤っぽい褐色です。
体毛は長く、ふさふさしています。
メガネグマの生態!木の上にベッドを作る!?
メガネグマは単独で行動します。
そのため、他の個体と出会うことはほとんどなく、出会うとしても繁殖期くらいです。
夜行性で、昼間は木の上に作った巣で休んでいます。
この巣は枝を集めて作られたもので、木の上なのに平らなスペースになっています。
居心地が良いのか、何日もこの巣に座っていることがあるそうです。
まさに木の上のベッドですね。
メガネグマの食べ物はほとんど植物!
メガネグマは雑食性です。
主に果実や野イチゴ、ハチミツ、サボテンなどを食べます。
限りなく草食性に近いんです。
先程説明した、木の上のベッドで何日も座っているのは、果実が熟すのを待っているからだそうです。
結構食にこだわりがありそうですね。
硬い木の皮や植物の球根でも噛み砕ける頑丈なアゴを持っています。
他にも、昆虫や小型哺乳類、鳥類なども捕食します。
哺乳類はウサギ、ネズミ、シカ、ラマを捕食することが確認されています。
食肉目なため、完全に草食性になるのは難しいようです。
メガネグマは臆病な性格
メガネグマはとてもおとなしい性格をしています。
生息地でも人を避けるように山奥で生活していて、人の気配を感じると木の上に逃げてしまいます。
クマと言えば危険生物のイメージですが、メガネグマが人を襲うことはありません。
ただ、危害を加えられると話は変わるようで、牛を1撃で仕留めることもできるみたいです。
この辺はさすがクマって感じですね。
この見た目でおとなしいとなると、とてもかわいらしいですよね。
おとなしいクマと言えば東南アジアに生息している世界最小のクマ「マレーグマ」が代表ですが、メガネグマも優しさでは負けていないようですね。
メガネグマの子育てはどんな感じ?
メガネグマの妊娠期間は160~225日で、通常1~2頭の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは1ヶ月ほどは自力で歩くことができないため、母親にしがみつきながら移動します。
子どもと母親の生活は8ヶ月間ほど続きます。
その後独り立ちし、オスなら生後5年ほど、メスなら4~6年で子どもを作れる体になります。
メガネグマの寿命は?
メガネグマの寿命は、飼育下では25年ほどです。ただ、最長で36年生きた記録もあります。
寿命は一概には言えないみたいですね。
野生下での寿命は、もう少し短くなる可能性があります。
メガネグマは絶滅しそう!?
メガネグマは現在、絶滅危惧種に指定されています。
レッドデータブックのカテゴリーは「絶滅危惧種Ⅱ類(VU)」です。
絶滅の危険性がものすごく高いわけではないのですが、対策を行わないと、近い将来絶滅してしまう可能性が充分にあります。
個体数の正確な数字は分かっていませんが、一説によると3000頭ほどとも言われています。
南米の限られた地域にのみ生息しているため、元々の生息数が少ないんです。
そこに生息地の開発、毛皮や肉目的の狩猟という問題が合わさって、一気に数を減らしてしまったんです。
また、農産物を荒らすこともあるため、駆除されてしまうこともあります。
ワシントン条約に記載され、野生のメガネグマの取引は規制されています。
しかし、法的な保護を無視して、密猟されていることも事実なようです。
メガネグマはとても珍しい動物です。
「へ~過去にはこんなクマがいたんだ!」って、未来の子どもたちが思わなくても済むように、守っていきたいですね。
メガネグマはパディントンのモデル!?
イギリスの絵本「くまのパディントン」のモデルはメガネグマだと言われています。
作家のマイケル・ポンドは最初、アフリカからイギリスを目指すパディントンの話を思いつきましたが、アフリカにクマの仲間が存在していなかったため、メガネグマがいるペルーをパディントンの出発地としたんです。
メガネグマが見れる動物園はどこ?
さて、とても珍しいメガネグマですが、日本でも見れる動物園があるんです。
現在飼育が確認できている動物園は3ヶ所です。
・東山動物園(愛知県名古屋市)
・大阪市天王寺動物園(大阪府大阪市)
・よこはま動物園ズーラシア(神奈川県横浜市)
東山動物園のメガネグマ
東山動物園には、オスの「キリシマ(22歳)」とメスの「ミカエラ(19歳)」というメガネグマが飼育されています。
キリシマは2016年3月に、ズーラシアから繁殖のためにレンタルされたメガネグマです。
ミカエラとの繁殖が目的です。
キリシマは水浴びが好きなようで、運がよければプールで遊ぶ姿を見れるかもしれません。
天王寺動物園のメガネグマ
天王寺動物園にはオスの「ダイスケ(27歳)」とメスの「プッペ(25歳)」が飼育されています。
同じ展示場内に2頭が飼育されていますが、お互いに距離を置きながら移動するみたいです。
どちらも高齢なので、夏の暑いときにはのんびり氷菓子を食べながら生活しているみたいですよ。
ズーラシアのメガネグマ
よこはま動物園ズーラシアではメガネグマの繁殖に成功しています。
2014年にはミウが双子の赤ちゃんを産んでいます。
赤ちゃんはオスとメスの1頭ずつでした。
もしかしたら、今後他の動物園で繁殖を行うかもしれません。
日本の動物園にメガネグマが増えたら嬉しいですね。
また、父親のルイスは暑がりで、夏場には冷たい床で伸びきっていることもあるようです。
肉球まで見えてかわいいですよね。
ルイスはとにかくダラダラすることが好きみたいですね。
まとめ
メガネグマは顔の模様がメガネに見えるおしゃれなクマです。
南米のアンデス山脈の限られた森林にのみ生息しています。
ほとんど草食性で、おとなしい性格なため、人間に危害を加えることはありません。
しかし、逆に人間から駆除や生息地開発、乱獲といった被害を受けています。
日本でも、メガネグマを飼育している動物園があります。
繁殖にも成功しているため、まだまだ見れる動物園が増えるかもしれませんよ。
密かに楽しみにしておきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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