なんとブサイクな動物ランキングで第5位に選ばれたんだ!
まさか鼻が大きいからブスなの?
それ以外にも変なところがいっぱいなんだよ!
インドネシア、マレーシア、ブルネイという東南アジアの3ヶ国が領土としている「ボルネオ島」
ここは熱帯雨林のジャングルが広がる動物の楽園です。
テングザルはそんなボルネオ島にしかいない固有種です。
大きな鼻は見れば見るほど哀愁を感じますよね。
しかも性格はとーっても温厚なんです。
テングザルはどんな生活をしているのでしょうか?
川に飛び込むって本当?
特大の鼻はモテ男の証!
「テングザル」に迫りましょう。
好きなところにジャンプできます
テングザルの生息地「ボルネオ島」ってどんな島?
ボルネオ島は東南アジアに浮かぶ島です。面積は日本全体の1.9倍ほどの広さがあります。
この島はマレーシア、インドネシア、ブルネイという3ヶ国が領土として保有する「世界で最も多くの国が保有する島」です。
最古の熱帯雨林とも呼ばれ、高温多湿な環境です。
沖縄の倍の雨が降るんだって!
テングザルはこのボルネオ島にしか生息していない固有種です。
昼行性で、昼間は森の奥で生活していますが、夜になると川岸の木に移動します。
海水と淡水が交わるマングローブ林を好んで住処としているため、夕暮れに川を下りながら探せばすぐに見つけられます。
ボルネオ島にはテングザルの他にカニクイザルやテナガザル、オランウータンなどの霊長類も生息しています。
これらは完全に樹上性で、ほとんど地上には降りてきません。
他にも絶滅危惧種のスマトラサイも、スマトラ島だけでなくボルネオ島にもわずかながら生息しています。
世界最小のサイにして最も原始的な特徴を持っている珍しい動物です。
テングザルの特徴!鼻が大きいのはなぜ?
テングザルはオスの体長が75cm、体重は20kgほど、メスの体長は65cmで体重は10kgほどです。
一番の特徴はやっぱり大きな鼻ですよね。
鼻が大きくなるのはオスだけで、メスはシュッとした顔立ちです。
こんなに特徴的な顔を持つサルの仲間は他にいません。
そのためテングザルは、イギリスの「醜い動物保存協会」という団体が決めた「ブサイクな動物ランキング」の第5位に輝いています。
ひどいのか名誉あるのか
ちなみにランキング第1位は深海魚の「ブロブフィッシュ」だよ!
親とは似ていないんだ
テングザルのオスの鼻はどうして大きくなるのでしょうか?
実はオスの鼻は強さと繁殖力の高さを表しているんです。
鼻が大きいオスは体が大きく、睾丸も発達することが最近の研究で明らかになっています。
つまり鼻が大きければ大きいほどメスからモテるというわけです。
さらに鼻が大きいオスほど低い声で鳴くことも分かっています。
この声にメスが引き寄せられ、大きなハーレムを作り上げます。
つまり無駄な争いが減るってことなんだよ!
同じように変な特徴でメスにモテるのがバビルサだよ!
テングザルは鼻が邪魔って本当?
テングザルの鼻は年をとるごとに大きくなります。
モテモテのオスは鼻が特大なんですが、残念なことに口もとにまで伸びてしまうため、食べるときにとっても邪魔なんだそうです。
いちいち鼻をどかしながら食べるのはめちゃくちゃめんどくさそうですよね。
モテるオスにも悩みがあるというわけです。
他に伸ばすところはなかったのかな?
テングザルの生態!食べ物は何?
テングザルのもう1つの特徴が中年おやじのような太鼓腹です。
木の上でくつろいでいる姿なんてもはやおっさんですよね。
オスもメスも立派なお腹です。
このお腹にはテングザルの食べ物が関係しています。
テングザルはサルの仲間では珍しく、完全に草食性です。
普段はマングローブの葉っぱを主食としています。
本来は消化することが難しい葉っぱですが、テングザルは見事にエネルギーに変えることができます。
なんとウシと同じような反芻(食べた葉っぱを何度も口に吐き戻して消化する方法)をすることができるんです。
反芻する霊長類はテングザルのみです。
葉っぱを発酵させる微生物を大量に保有しないといけないため、内臓が大きくなりその分お腹も出てしまいます。
テングザルのお腹もあれと一緒の理由ってことだね!
テングザルは川に飛び込む!?
テングザルは指の間に水かきを持っています。
普段は木の上で平和に暮らしていますが、急に川に飛び込むことがあるんです。
そして水かきを使って上手に泳ぎます。
一体なぜ、わざわざ川に飛び込むのでしょうか?
テングザルが食べ物としているのは葉っぱ以外にもあります。
それが熟していないフルーツです。
他のサルが食べないような青くてまずいフルーツを食べているんです。
フルーツは葉っぱよりも栄養があるため、定期的に食べる必要があります。
いち早く見つけて、いち早く食べるため、最短距離で移動する必要があります。
それが「泳ぐ」という行動に繋がっているんです。
お目当てのフルーツがある対岸の木まで、誰よりも先にたどり着くため、今日もテングザルは川にダイブします。
もちろん消化には大きなお腹が役に立っています。
葉っぱを食べるのもおかしいよね、、、
もっと栄養のある食べ物があるはずじゃないの?
これにはテングザルの性格が関係しているんだよ!
テングザルの性格はとっても温厚!
テングザルはサル界でも屈指の平和主義者です。
彼らは争い事を極端に嫌います。
オスが大きな鼻になるのも、できるだけケンカせずにメスをゲットするためでしたよね。
さらに自分より小さなカニクイザルが近づいてくると寝床を譲って立ち去ることも分かっています。
テングザルが葉っぱを食べるのも、他のサルがフルーツを食べる邪魔をしたくないからです。
ボルネオ島は粘土質の地面なため、意外にもフルーツが実りにくいんです。
葉っぱならそこらじゅうにありますよね。
これなら食べ物ををめぐって争うことなんてないんです。
そして熟していないフルーツも、他のサルは食べません。
サルにはグルメな種類が多いんです。
ニホンザルが柿のおいしいところだけ食べて、残りを捨ててしまうことも観察されています。
テングザルは誰も食べないようなフルーツを食べることで、これまた争い事を避けているんですね。
ケンカするくらいなら苦労した方がマシなんだね!
見習いたいものです、、、
テングザルは絶滅危惧種!
テングザルは絶滅危惧種に指定されています。
レッドデータブックのカテゴリーは「絶滅危惧ⅠB類(EN)」です。
対策しなければ、近い将来絶滅してしまう可能性がとても高いカテゴリーです。
理由は生息地の開発です。
テングザルが住処としている森林は、燃料となるアブラヤシのプランテーションに植え変えられています。
アブラヤシの葉っぱは食べることができませんし、果実はなりません。
生息地が分断され、繁殖できないテングザルが続出しているんです。
さらに寝床のマングローブはエビの養殖場に変えられています。
こうなるとテングザルは生活できなくなります。
また、サルの体は昔から薬になると信じられてきました。
狩猟もテングザルを減らしている原因です。
でも密猟者はいるみたいだよ、、、
最も絶滅に近い哺乳類と言われているのはテナガザルの仲間だね!
まとめ
テングザルはブサイクな動物第5位のサルです。
大きな鼻はメスにモテるために必要だったんですね。
彼らは葉っぱを食べたり、わざわざ川を渡って熟していないフルーツを食べたりと、動物界でもトップレベルの平和主義者です。
自分よりも小さなサルに寝床を譲るのは驚きですよね。
この温厚な性格を、人間も見習うべきではないでしょうか?
生息地の開発は深刻な問題です。
テングザルは近い将来絶滅してしまうかもしれません。
植林などの対策が、急ピッチで進められています。
小さなことでいいから、自然を守ることを始めてみないかい?
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