しかも動物の骨を食べるんだ!
あんな硬いの食べられるの?
頭もいいよね!
ヒゲワシは高山地帯の岩山に生息している大型の猛禽類です。
死肉を食べている彼らは、獲物の骨まで食べてしまうことが知られています。
猛禽類特有のキリッとした顔に鋭い爪、くちばし、、、
かっこいいですよね。
硬い獲物でもへっちゃら!
骨まで食べちゃう空の支配者『ヒゲワシ』の生態に迫ってみましょう。
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ヒゲワシの名前の理由!英語ではなんて言う?
ヒゲワシは喉からくちばしの付け根にかけて、ふさふした黒い羽を生やしています。
これがヒゲに見えることが名前の由来です。
学名の『Gypaetus barbatus』には『ヒゲを生やした』という意味があるため、和名と同じ由来ですね。
英名は『Bearded vulture』です。
これには『ヒゲを生やしたハゲワシ』という意味があります。
ヒゲワシはヒゲワシ属として独立していますが、死肉を漁るところがハゲワシと同じです。
そのため、このような英名が付けられました。
英名もヒゲが由来になっているんですね。
ちなみに英語で『Bald eagle(ハゲワシ)』はアメリカの国鳥『ハクトウワシ』のことです。
顔が白い羽に覆われていて禿げているように見えるため、こんなかっこ悪い名前が付けられました。
名前が残念過ぎるね、、、
ヒゲワシの特徴!大きさはどれくらい?
ヒゲワシは全長100〜115cm、体重は最大5.7kgです。
猛禽類の多くはオスよりメスの方が大型になります。
ヒゲワシもオスが100cm、メスが110cmとメスの方が少し大型です。
翼を広げた翼開長は最大3m。
これは猛禽類でもトップクラスの大きさです。
大きいのがワシ、それより小柄なのがタカ!
ヒゲワシの生息地!どこに分布しているの?
ヒゲワシはユーラシア大陸ではアジア中部、中東、ヨーロッパ南部に分布し、アフリカ大陸では北西部、東部、そして南部にも生息しています。
渡りを行うわけではありませんが、幅広い範囲に生息していますね。
特にエチオピア北部に広がる高山地帯、世界自然遺産にも登録されている『シミエン国立公園』はヒゲワシの王国です。
死んだ動物に群がるハゲワシのはるか上空を、悠然とヒゲワシが飛んでいます。
ほとんど羽ばたかなくても飛んでいられるんだ!
ヒゲワシがいる日本の動物園!
ヒゲワシは残念ながら日本には生息していません。
ただ、静岡市立日本平動物園では日本で唯一、ヒゲワシが飼育されています。
1985年に中国から友好の証として、ペアのヒゲワシが贈られました。
残念ながらオスは2016年に死んでしまいましたが、メスのクリッパーは現在も飼育されています。
speech_bubble type=”ln” subtype=”L1″ icon=”ookami.png” name=”オオカミ先生”]1985年から飼育されているってことは30年以上も生きているんだ!
もうだいぶ高齢なんだよ![/speech_bubble]
ヒゲワシの寿命は40年ほど。
クリッパーが贈られた当初の年齢は分かりませんが、彼女を見られるのは残りわずかでしょう。
機会があれば、日本唯一のヒゲワシを見てあげてください。
ヒゲワシの生態!食べ物は亀や骨!?強靭な胃液で溶かしちゃう!
ヒゲワシは死肉や腐肉を食べます。
死肉食と呼ばれる、ハゲワシなどと同じ食性です。
ただ、ヒゲワシはかなり臆病な性格をしています。
動物園でも飼育員が部屋に入ってくるとビックリしてしまう場面がよく見られるそうです。
そのため、ヒゲワシは動物の死骸を見つけてもすぐには食べに行きません。
ライバルが多いタイミングは避け、肉がほとんど無くなった頃ようやく降り立ちます。
そして、残骸となった獲物の骨を食べ始めます。
実は動物の骨は栄養満点。
カルシウムはもちろん、タンパク質や脂肪も豊富に含まれています。
ヒゲワシの大好物はヤギやウシの大腿骨。
骨髄には特に栄養が詰まっています。
この時使う技が「骨落とし」です。
上空50mもの高さから小さな岩場に、何度も何度もピンポイントで骨を落とすことで、大きな骨も食べやすい大きさに割れます。
しかも硬い甲羅を持つ亀ですら、岩に叩きつけることで食べてしまいます。
骨落としの応用「甲羅落とし」ですね。
何年も練習を重ねて初めて一人前になれるんだよ!
桁外れの握力が、これほどの芸当を可能にしています。
猛禽類は握力の強い種類が多く、南米の『オウギワシ』は最強の握力を持つとも言われています。
ちゃんと消化できているのかな、、、?
ヒゲワシの胃には強力な胃酸が入っています。
硬い骨でも強靭な胃液で消化できちゃうんです。
この胃酸のおかげで、食事の8割を動物の骨に頼っています。
無駄な争いも避けられるうえ、栄養満点の骨も食べられる、、、
ヒゲワシが大型になれるのは骨という効率のよい食材を食べているからなんですね。
部屋の中では骨落としができないから飼育員が砕いてあげているけどね、、、
骨落としが見られる貴重な映像です。3分15秒あたりで骨を落とします。
ヒゲワシは地球を掃除している!?
腐肉を食べているヒゲワシは、地球にとってかけがえのない存在です。
死骸を放置すると、そこから伝染病が蔓延してしまいます。
そうなるとその地域の動物、もちろん人間も大変なことになってしまう可能性があります。
不毛の大地と化してしまうんです。
ヒゲワシをはじめとする死肉食の動物は伝染病の予防という、とても重要な役割を担っています。
サバンナの掃除屋と呼ばれるのはこのためだね!
ヒゲワシが赤くなるのはなぜ?
ヒゲワシは本来、白い羽毛が特徴的な鳥です。
しかし、中には赤いヒゲワシも観察されています。
ヒゲワシには鉄分が多く含まれている土に、体をこすり付ける習性があります。
特に年を重ねているものほど、赤くなることが多いようなので、赤い色には高い地位を表す効果があるのかもしれません。
また、土には細菌の発生を抑えるはたらきもあるため、感染症の予防が目的かもしれません。
ヒゲワシが赤くなる詳しい理由は、まだ判明していないようですね。
ヒゲワシの保護状況!絶滅の心配はあるの?
ヒゲワシは太古から怪鳥とされてきました。
例えばアラビアンナイトに登場する『ロック』という、ゾウを掴んで飛び去ってしまう巨大なワシは、ヒゲワシがモデルとされています。
握力が強いため、子どもを連れ去ってしまうという根拠のない伝説が広まってしまい、ヒゲワシは駆除の対象とされてきたんです。
現在、レッドデータブックのカテゴリーは『準絶滅危惧種(NT)』です。
近い将来、絶滅してしまう可能性は十分にあります。
ワシントン条約に指定され、野生のヒゲワシは国際的に保護されています。
個人が飼育することはできません。
まとめ
ヒゲワシは骨を食べるという信じられない生態を持っています。
しかも食べやすい大きさにするため、天空から落とすとは、、、
猛禽類は賢いものが多いですね。
同時に伝説の怪鳥として恐れられ、駆除されてきた悲しい過去も持っています。
死骸を掃除して伝染病の蔓延を防いでくれている動物です。
もし絶滅してしまうと、多くの犠牲が出てしまいそうですよね。
地球のため、そして生き物のためにも絶対に絶滅させてはいけない動物の1つです。
最後まで読んでくれてありがとうね〜!
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