空中の支配者にして鳥類最大最強の種類が多い猛禽類ですが、その中でもさらに最強と言われるのが「オウギワシ」です。
オウギワシは猛禽類最大クラスの大きさに規格外の握力、そしてクマよりも長く強力なかぎ爪を持つ、まさに空の怪物です。
英名は、
「Harpy eagle(ハーピー・イーグル)」
ハーピーとはギリシャ神話に登場する怪鳥のことで、その名の通り怪物なみのポテンシャルを秘めています。
オウギワシとはどんな鳥なんでしょうか?
また、最強と言われる理由とは一体何なのでしょうか?
最強の握力を持つ怪鳥「オウギワシ」に迫ってみましょう。
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オウギワシってどんな鳥?
オウギワシはタカ目タカ科の鳥で、オウギワシ属にはこの種類しか存在しません。
鋭い爪とクチバシを持つ猛禽類の仲間です。
全長は1mほどですが、翼を広げた翼開長は2mにもなります。
体重は7.5㎏と重く、大きさは猛禽類でも最大クラスです。
一般的に、オスよりもメスの方が大きくなります。(オスは全長90㎝、体重は4~5㎏とメスより一回り小柄です)
猛禽類特有の鋭い爪は13㎝にもなり、クマを超える長さです。
頭の羽が特徴的で、これが扇に見えることからオウギワシと名付けられています。
尾羽も比較的長く、ボーダーが入るのが特徴です。
体色は白と黒が中心となったシンプルなカラーリングです。
どちらかと言うとグレーですね。
色合いもかっこいいです。
2年ごとに繁殖活動を行います。
寿命は25~35年ほどだと言われています。
オウギワシの生息地
中央アメリカから南米にかけての熱帯雨林に生息しています。
木のてっぺん近く、高い位置に巣を作ります。
生息地はジャングルですが、木々の間をスルスルと飛ぶことができます。
大きな体に似合わぬ器用さを持っているんですね。
また、中央アメリカに位置するパナマ共和国の国鳥に指定されています。
オウギワシの食べ物はナマケモノ!?
オウギワシは完全肉食性で、哺乳類、爬虫類、両生類、他の鳥類などを捕食します。
基本的には大きさに合った獲物を捕まえますが、ナマケモノやサル、イグアナなど、比較的大型の動物も捕食します。
これを可能にしているのがオウギワシの握力です。
ただでさえ握力の強い猛禽類の中でも特に強い握力を持ち、大型の獲物でさえも軽々しく持ち上げることができます。
羽ばたく力も強いということですね。
胸筋が発達しているのでしょう。
ナマケモノを掴んだまま飛行する映像は有名ですね。
普通、あれほど重い動物をつかんで飛ぶことなんてできません。ナマケモノは鋭い爪で木に張り付いていることもあります。
パワーがけた違いなんですね。
また、ナマケモノの仲間であるアリクイの中で、樹上で生活している『ヒメアリクイ』もオウギワシの獲物。
こちらは、昼間には丸くなって枯葉などに擬態しているため、なかなか見つけられません。
さらにジャングルの中を自由に飛び回ることができる器用さもオウギワシの武器です。
本来なら動物たちの防御の役割を果たす木々も、オウギワシの飛行技術ならすり抜けることができます。
まさに空の支配者ですね。食べられる方はたまったもんじゃないでしょう。
南米にたくさんいる「グリーンイグアナ」もオウギワシが獲物としている動物です。
鋭い爪で木にしがみついているイグアナでも、最強の握力で引きはがすことができるんです。
オウギワシに天敵はいるの?
オウギワシは南米食物連鎖のトップにいる動物です。
野性に天敵はいません。
強いて言うなら、密漁者が唯一の天敵ではないでしょうか。
それ以外の動物は、オウギワシの敵ではないようです。
大型の動物は地面にいますからね。
空や木の高い位置を拠点にしているオウギワシには手出しできないでしょう。
オウギワシの握力
数いる猛禽類の中で、オウギワシを最強だと言わしめているのが、その桁外れに強い握力です。
猛禽類というのは、長い爪とくちばしを持った鳥類です。
獲物を掴んで空を飛ぶため、基本的にどの種類も握力は強いです。
そんな猛者たちをはねのけて、最強の握力を持つと言われているのがオウギワシです。
その握力なんと140㎏!
人間の倍以上もあるんです。
木にしがみついているナマケモノやサルを軽々と引きはがせるのも納得ですね。
しかも13㎝もあるかぎ爪というおまけつき、、、
本気で握られたらって考えると恐ろしいですね。
最大で7㎏もの重さの獲物を掴んだまま飛行していたという記録もあるんです。
猛禽類には握力の強い種類が多く、中には動物の大きな骨を持って飛び上がり、岩に落として割る「ヒゲワシ」というものもいます。
骨を消化できる強力な胃液を持っているため、このような芸当ができるんです。
オウギワシの突撃は弾丸より強烈!?
オウギワシは時速65~80㎞で飛翔します。
そのスピードのまま獲物にタックルします。
強力なかぎ爪とジャングルでも落ちないスピード、そして140㎏もの握力が合わさって、タックル時の衝撃のエネルギーはライフル銃の3倍になるとも言われています。
恐ろしいですね。
こんなエネルギーでタックルされたらひとたまりもありません。
人間も襲うの?
最強と言われるオウギワシですが、人間を襲うことはあるのでしょうか?
結論から言うと、オウギワシが人間を襲うことは無いでしょう。
オウギワシなどの猛禽類は、つかんで飛べる大きさの獲物を捕らえます。
獲物をその場で食べるのではなく、巣に持ち帰ってヒナに与える必要があるためです。
歩く能力が弱いため、ヒョウなどのように獲物を引きずることはできません。
そのため、人間のような大きな獲物を捕らえる選択はしないんです。
ただし、人間側がオウギワシに危害を加えた場合は別です。
その場合は全力で攻撃してくるはずです。
特に、ヒナに対して危害を加えた場合は、相手を殺す勢いで攻撃してくるはずです。
弾丸以上のタックルをくらいたくなければ、オウギワシにちょっかいを出すべきじゃないですね。
オウギワシは数を減らしている!?
最強と言われているオウギワシですが、近年ではその数を減らしつつあります。現在では300羽ほどしか生息していないようです。
理由は人間による森林伐採、密猟などです。
もともと2年に1回しか繁殖活動を行わないオウギワシです。これらの影響でどんどん数を減らしています。
森林伐採は世界中で問題視されています。
いくらオウギワシがたくましくても、住む場所が無くなってしまってはどうしようもありません。
また、アラブ系の富裕層の間では、猛禽類をペットとすることが多々あります。
猛禽類最強と言われるオウギワシを、彼らが欲しがるのは当たり前ですよね。
そのため密猟者が後を絶ちません。
現在、準絶滅危惧種に指定されています。
オウギワシの絶滅を心配したパナマ共和国は、オウギワシを国鳥に指定しています。
国鳥の密猟には厳罰が下るため、密猟者も減ってきているようです。
献身的な保護活動により、オウギワシは数を増やしつつあります。
オウギワシはペットで飼えるの?
オウギワシの取引にはワシントン条約が関係してきます。
輸入は厳格に規制されているため、オウギワシをペットショップで見かけることはまずありません。
闇ルートでは高額で取引されることもあるようですが、もちろん厳しい罰則を受けます。
ペットで飼おうという考えは持たない方がいいですね。
オウギワシは日本の動物園で見れるの?
現在日本の動物園でオウギワシを見ることのできる施設はありません。
オウギワシは絶滅危惧種に指定されていますし、パナマ共和国が保護活動を行っている鳥です。
そのため、国際的な取引にはワシントン条約が関係してくるため、厳しく規制されています。
日本にオウギワシがやってくる可能性は低いでしょう。
ブラジルの動物園では飼育されているようです。
まとめ
オウギワシが最強と言われる理由は、
・猛禽類最大の部類に入る大きさ
・13㎝にもなるかぎ爪
・140㎏以上にもなる強力な握力
・弾丸以上にもなるタックル
・ジャングルでもスピードを落とさない飛行能力
などが挙げられますね。
私的には見た目も本当にかっこいいと思っています。
シンプルなのに迫力がありますよね。
カラーも素敵です。
オウギワシが、数多くいる猛禽類の中でも最強だと言われる理由が分かったのではないでしょうか。
絶滅の危機が心配されていますが、保護活動も進み、数も増やしつつあります。
タフなオウギワシのことですから、きっとこの危機を乗り越えてくれるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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