世界には変わった方法で身を守る生き物がたくさんいますよね。
その中でもかなりの捨て身な護身術を使う生き物がいます。
それが「ツノトカゲ」です。
どんな護身術かというと、目から血をビームみたいに噴射するんです。
その量なんと体内の血液の3分の1!
まさに捨て身です。
驚くべき方法で身を守るツノトカゲとは、どんな生き物なんでしょうか?
また、ペットとして飼育することはできるのでしょうか?
砂漠のビームトカゲ「ツノトカゲ」に迫ってみましょう。
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ツノトカゲってどんなトカゲ?
ツノトカゲは有鱗目・ツノトカゲ科・ツノトカゲ属の爬虫類です。
広く分類するとイグアナに近いグループなようです。
ツノトカゲの仲間は現在10~15種類が確認されています。
その中で最も有名なのがサバクツノトカゲです。
ツノトカゲの生息地
ツノトカゲの仲間は北アメリカ大陸のアメリカ合衆国西部、カナダ南部、メキシコ北西部、グアテマラにかけて分布しています。
比較的標高の低い砂漠地帯や乾燥地帯に生息しています。
ほとんど植物がなく、あったとしても乾燥地帯に適応した草がまばらに生えているような場所で暮らしています。
ツノトカゲの特徴
全長7~13cm
平たい体にずんぐりしたお腹、短い鼻が特徴なため「Horned toad(ツノのあるカエル)」とも呼ばれます。
頭部や体全体にトゲ状の突起を持っていて、これが名前の由来ですね。
このツノで種類を区別することもできるようです。
サバクツノトカゲは大きなツノが2本、額ノアタリニ生えていて、このツノが根本で接していないのが特徴です。
体色は灰褐色に黒色の斑紋が不規則に入ります。
そこに黄褐色、赤褐色の小さな斑紋が入り混じります。
個体差が大きくバラエティに富んでいます。
この体色とトゲトゲの体によって周囲の地形に擬態しています。
体に比べてしっぽが細く、幅広いのも特徴です。
ツノトカゲの生態
ツノトカゲの仲間は昼行性です。
昼間は岩場などで日光浴をすることがあります。
基本的には朝方と夕方に活動が活発になる「薄明薄暮性」なようです。
ただし、夜間に活動することもあります。
ツノトカゲの食べ物
ツノトカゲは肉食性に近い雑食性です。
主食はアリです。
200匹以上のツノトカゲの胃の内容物を調べた結果、食べているエサの50%がアリであることが分かっています。
ただし、バッタやクモなどの昆虫、小さな甲虫も食べます。
狩りはトゲや体色で擬態した状態で行います。
じーっと動かずに待ち構え、獲物がツノトカゲの目の前を通った瞬間に一気に襲いかかり、丸飲みにします。
ずんぐりした体型に似合わず、素早く動けるんですね。
また雑食性のツノトカゲは植物を食べこともあります。
水分の多い果実を食べることが分かっています。
砂漠地帯で生活しているため、水分補給目的のようです。
ツノトカゲの天敵
ツノトカゲは周囲の環境に擬態しています。
さらに体中にトゲも持っています。
それでも捕食されてしまうことがあります。
主な天敵がタカ、鳥、コヨーテ、ヘビなどです。
砂漠地帯とは言え、なかなか獰猛な肉食動物が多いんです。
しかも、砂漠地帯に家を建てて暮らし始めている人間も多く、放し飼いにした飼い犬がちょっかいを出してくる場合もあります。
特にツノトカゲが生息している地域には、毒があるヘビ、動きが速いヘビなど、様々なヘビが生息しています。
ガラガラヘビは毒があるうえに一瞬のスピードも速く、ツノトカゲには手ごわい相手です。
ツノトカゲはガラガラヘビの時は走って逃げる、それでも追いかけてくるヘビには背中の棘でガードするといったふうに、ヘビによって防衛手段を変えることが分かっています。
襲ってくるヘビがどのような性質を持っているか分かっているんですね。
また、タカのような優れた視覚を持っている相手の場合は、体をできるだけ低くして身を隠します。
さらに、コヨーテなどの犬の仲間が襲ってきた場合には最終手段に出ます。
目から血を噴射する!
ツノトカゲの最終手段は「目から血を噴射する」ことです。
血のような体液を噴射しているのではなく、正真正銘の血です。
首の筋肉で血の流れを止め、目の周りに血液をためます。
そして目の端にある管から一気に噴射するんです。
最長1.8mも飛ばせるんです。
この血には、犬やコヨーテが嫌がる、悪臭を放つ化学成分が含まれていることが分かっています。
ツノトカゲが食べているアリの体内にある「蟻酸(ギサン)」という成分から作られる物質で、刺激臭があります。
この血を犬が嫌がる口や鼻、目などの粘膜に狙いを定めて発射するんです。
外してしまえっても何度か打つことができます。
こんな自己防衛手段を持つ動物は、世界広しと言えどもツノトカゲの仲間のみです。
しかも1度に噴射する血の量は体内の血液の3分の1にもなります。
相当な覚悟がないとできない芸当です。
でも大丈夫です。
ちょっとぐったりしてしまいますが、数日休めば血液は回復するみたいです。
まさに捨て身の必殺技です。
過酷な環境で生き残るために身につけた技なのでしょう。
動物は追い込まれると何するか分かりませんね。
ツノトカゲの繁殖
ツノトカゲは卵生です。
繁殖期は4から5月です。
1度に産む卵は2~16個で、通常2回産卵します。
卵は56~60日で孵化します。
ちなみに平均的なツノトカゲの寿命は8~10年ほどです。
ツノトカゲの飼育は難しい!
サバクツノトカゲは爬虫類愛好家の間でもかなり人気の種類です。
ただし、飼育はとても難しいらしく、長期間の飼育に成功した例はないそうです。
ツノトカゲを飼う前に「飼育が難しく、生半可な覚悟では失敗してしまう」ということを前提としておきましょう。
ツノトカゲの販売価格
ツノトカゲの値段の相場は5000円~10000円です。
個体の大きさや状態、年齢などによって値段の差はありますが、ほとんどのペットショップでこのくらいの値段なようです。
しかし、お分かりのことだと思いますが、爬虫類の飼育には様々な機材が必要です。
ツノトカゲの飼育方法
ツノトカゲを飼い始める前に、準備するものを紹介します。
本来の生息環境に、できるだけ近づけるのが理想ですね。
・60~90cmクラスの水槽
ツノトカゲはイグアナなどに比べるとかたは小さいですが、あまり小さい水槽だとストレスを与えてしまいます。
神経質な面もあるため、長生きに繋げるためにも大型の水槽を用意しましょう。
・UVライト&バスキングライト
昼行性の爬虫類の飼育に欠かせないのが紫外線ライトとバスキングライトです。
紫外線はカルシウムの合成を助けるビタミンDを作るために必須です。
UVライトで丈夫な体づくりをサポートしましょう。
また、トカゲは変温動物なため、温度が低いと活動できなくなります。
バスキングライトは日光浴の役割を果たしてくれます。
水槽内に日光浴ができるホットスポットを作ってあげましょう。
温度は30℃を維持できるように設定し、本来生息してある環境に近づけてあげましょう。
・爬虫類用の砂
砂漠地帯で生活しているためツノトカゲには砂が必要不可欠です。
現在は爬虫類飼育用の砂も販売されています。
ただ、ツノトカゲを飼育する際には少し厚めに敷いてあげましょう。
・流木、水飲み場
野生の環境に近づけるためにも、ツノトカゲが身を隠したり、安心できる場所を作ってあげるのも大切です。
流木を置いてあげると効果的です。
また、水飲み場も必要なため水入れは忘れずに。
全てそろえるのにだいたい2万円弱かかります。
ツノトカゲのエサ
昆虫食のツノトカゲはアリを主食としています。
ただ、アリをエサとして与えるのは少し難しいので、コオロギで代用できます。
ただ、大きすぎると食べない場合があるため、小さいコオロギを選びましょう。
エサは2日に1度のペースで与えます。
本来の習性を忘れさせないためにも、生きているコオロギを与えると効果的です。
ピンセットで摘まんで、ツノトカゲの目の前で揺らすと、エサを食べる意欲の向上に繋がります。
ちなみに、飼育下で血を飛ばすことは基本的にないようです。
まとめ
・ツノトカゲは北アメリカ大陸の砂漠地帯に分布している
・メジャーな種類は「サバクツノトカゲ」
・アリを主食としていて、周囲に擬態した状態で狩りをする
・以外にも天敵が多く、目から血を噴射することで身を守る
・血にはオオカミなどが嫌がる臭いが含まれている
・ペットとしても人気だが、飼育は難しい
ツノトカゲの防衛手段は動物界でも特に珍しい方法です。
体内の血液の3分の1を噴射するなんて、本当に捨て身ですね。
このたくましさで、過酷な環境を生き延びていたんです。
さすがは恐竜時代から生き延びている、爬虫類なだけありますね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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