オオカミの仲間、つまりイヌ科の動物は世界中に幅広く分布していて、アジア大陸にも存在しています。
それが「ドール」です。
アジア大陸では食物連鎖の上位に君臨しています。
しかし現在、ドールは絶滅危惧種に指定されています。
そこにはやはり人間が関係しているとか、、、
アジアの赤いオオカミ「ドール」に迫ってみましょう。
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ドール(アカオオカミ)ってどんな動物?
ドールは食肉目・イヌ科・ドール属に分類される哺乳類です。
ドール属には1種類しか存在していません。一属一種ですね。
ただ、生息地によって同じ種でもそれぞれの生態を作っているようで、10亜種が存在しているようです。
例とえば北海道のエゾヒグマとアメリカのグリズリーは同じ「ヒグマ」という種類だけど体の大きさが全然違うんだ!
代表的な亜種の例だと言えるね!
ドールの特徴!別名アカオオカミ!?
ドールは体長75~110㎝、体重は10~21㎏です。
だいたい中型犬~大型犬の間ほどの大きさでしょうか。
肩から地面までの高さは40~55㎝ほどで、足が少し短い印象があります。
筋肉質でがっしりしているんです。
しっぽは40~50㎝と体長の半分ほどにまで長くなります。
ふさふさしていてキツネのしっぽにも見えますよね。
お腹と手足の先は白、しっぽの先は黒で、それ以外は赤っぽい体毛で被われています。
そのため別名「アカオオカミ」と呼ばれます。
ドールは犬?オオカミ?
どっちかっていうと僕たちと同じ飼い犬って感じがするけど、、、
ドール | タイリクオオカミ | 飼い犬 |
---|---|---|
動物界 | 動物界 | 動物界 |
脊索動物門 | 脊索動物門 | 脊索動物門 |
哺乳綱 | 哺乳綱 | 哺乳綱 |
食肉目 | 食肉目 | 食肉目 |
イヌ科 | イヌ科 | イヌ科 |
ドール属 | イヌ属 | イヌ属 |
ドール | タイリクオオカミ | タイリクオオカミ →イエイヌ(亜種) |
一般的に、オオカミと呼ばれている動物は「タイリクオオカミ」という種類です。
別名アカオオカミのドールですが、オオカミとは系統的に完全に別種です。
ドールは最初に説明した通り「ドール属」で、オオカミは「イヌ属」に分類されます。
イヌ科のみ共通で、そこから下の分類は完全に違うということですね。
また、私たちがペットにしている「イエイヌ」はイヌ属に分類されます。
オオカミと同じですね。
それもそのはず、イエイヌはオオカミを家畜化して飼い慣らしたことが始まりです。正確には「タイリクオオカミの亜種」ということになります。
そこから繁殖により様々な姿に人工的に変化させていったんです。
ドールはアカオオカミとも呼ばれますが、オオカミとも犬とも違う、完全に独立した動物なんです。
ドールは同じドールとしか子どもが作れないってことだね
ドールの生息地はどこ?
ドールはカザフスタンの東部を最西端として、東南アジア、中国、ロシア南東部にまで分布しています。
ジャワ島やスマトラ島といったインドネシアの島々にまで生息しているため、大陸が分裂する前には渡っていたことになります。
アジア地域に幅広く分布していると言えますね。
主に森林地帯で生活しています。
分布が広いということは、その環境も様々ですよね。
例えばインドネシアなどの東南アジアは熱帯地方ですが、ロシアは寒い地域です。
また、チベットの標高5000mの山岳地帯にも生息していることが分かっています。
熱い地域の亜種は体毛が短く、逆に寒い地域では体毛が長く密集しています。
体の特徴を変化させることで、いろんな環境に適応できているんですね。
寒い地方のドールはモフモフなんです。
この適応力の高さがドールの分布域が広まっている理由でもあります。
ヒョウもドールと同じくらい適応力に優れていて、幅広い地域に生息しているんだよ!
ドールの生態は?
ドールは昼行性です。
夜間は岩の隙間や自分が掘った穴などで休みます。
ときにはヤマアラシが掘った穴を再利用することもあります。
巣穴は広く、いくつかの部屋と出口が存在しているようです。
ドールは家族を中心とした群れで生活しています。
基本的には10頭ほどですが、ときには他の群れと合流して40頭以上になることもあります。
群れの割合はメスの方が多く、序列もあります。
最もランクの高いメスのみが子どもを作るとも言われています。
ドールは縄張り意識がとても高く、排泄物などの臭いによって主張します。
群れのメンバーが全員同じところで排泄することで臭いを強くし、他の群れにアピールするんです。
肛門周りや指の間の臭腺も縄張りの主張には必要です。
ちなみに寿命は野生では10年、飼育下では15年ほどです。
ドールも同じような習性を持っているんだね
そのため、臭いが最も重要なコミュニケーションのツールなんだよ
ドールの食べ物は何?
ドールは雑食性ですが、限りなく肉食性に近いと言われています。
食べ物は生息地によって異なりますが、哺乳類、鳥類、爬虫類、昆虫類、動物の死骸などが獲物です。
狩りは集団で行い、背の高い草に身を隠しながら近づき、四方から襲い掛かります。
比較的大型の獲物の場合は待ち伏せも行います。この場合、仲間が追い立てた獲物を別の仲間が待ち伏せし、肉のやわらかい箇所をピンポイントで噛み砕くという方法なようです。
また、トラやヒョウが仕留めた獲物を集団で奪う様子も観察されています。
これに関しては逆の場合もあり、トラがドールが仕留めた獲物を奪うこともあるようです。
お互い様ってことでしょう。
ドールは嗅覚が優れているため、離れた場所の獲物も見つけることができます。
さらにイヌ科特有の持久力も持っていて、しつこく追い回し獲物を仕留めます。
もし狩りが失敗した場合には大きな鳴き声によって仲間に知らせます。
狩りが始まる前にも同じように鳴き声を上げコミュニケーションをとっているようです。
群れの結束は固いようですね。
ドールに天敵はいるの?
群れで行動し、獰猛な性格も持っているドールには天敵はほとんどいません。
ただ、ヒョウやトラ、ツキノワグマ、ナマケグマなどは生息地が被っていることもあり、ドールを殺傷できるだけの存在とも言えます。
ただ、逆にこれらの動物にとってもドールは驚異です。
獲物を奪われることもありますし、子どもが襲われることもあります。
間違いなくドールはアジア地域で食物連鎖の頂点にいます。
名前とはイメージが全然違うね
ドールは絶滅危惧種!?
野生動物にほとんど天敵のいないドールですが、人間にはかなわないようです。
人間が唯一の天敵とも言えますね。
現在ドールは深刻的に数を減らしています。
絶滅危惧種にも指定され、レッドデータブックのカテゴリーは「絶滅危惧ⅠB類」です。
近い将来、絶滅してしまう可能性が高い状況です。
生息数を激減させている一番の理由は狩猟です。
ドールは家畜を襲うこともあり、懸賞金が欠けられるほどの嫌われものでした。
銃殺だけでなく、毒による罠も仕掛けられ一気に数を減らしました。
さらに追い打ちをかけるように生息地の開発は進み、森林伐採で獲物となる草食動物がいなくなってしまいました。
そうなるとドールは食べ物に困り、家畜を襲って再び駆除されるという悪循環に陥ります。
また、人間が持ち込んだ飼い犬からの伝染病(ジステンパー病、狂犬病)も広まり、ドールの生息数減少は加速しました。
人間の存在がドールの数を減らしてしまったんです。
森林伐採が進めば草食動物が減り、そして肉食動物が減る、、、
これはもう他人事だとは思えないよ。
まとめ
ドールは中型のオオカミという体格で、赤毛を持つイヌ科動物です。
別名「アカオオカミ」とも呼ばれ、アジア地域の食物連鎖の頂点にいます。
開発や狩猟、駆除による生息数の激減は深刻です。
近い将来ドールがいなくなる可能性はとても高いと言えます。
ドールがいなくなると今度は草食動物が増えすぎて農作物に被害が及ぶかもしれません。
そうなると人間の暮らしにも影響が出ますよね。
生態系はどの位置の動物が欠けても一気に崩れてしまうという絶妙なバランスで成り立っています。
人間の暮らしを守るためにも、ドールなどの肉食動物を保護する必要があるんですね。
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