日本には43種類のカエルが生息していますが、その中でも最も美しいと言われているのが「イシカワガエル」です。
沖縄本島や奄美大島に生息しているため、熱帯地方特有の派手さを持っています。
しかし、現在イシカワガエルは絶滅の危機に瀕しています。
イシカワガエルはどんなカエルなのでしょうか?
アマミイシカワガエルとオキナワイシカワガエの違いは?
そして、絶滅しそうな原因とは?
日本一美しい幻のカエル「イシカワガエル」に迫ってみましょう。
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カエル界で最も綺麗なイシカワガエル!
カエルといえばアマガエルとかガマガエルとかのイメージがありますよね。
色は緑や茶色一色って感じがします。
カエルは住んでいる環境によって体の色が違います。
基本的には擬態の役割を持っていて、草なら緑に、地面なら茶色に、岩ならグレーにっていうような感じです。
イシカワガエルはじめじめした湿度の高い森の中で生活しています。
そのため、コケが生えている岩や木の上にいることが多いため、コケの色に擬態できるように緑、黒、深い紫などが入り混じった独特のカラーを持っているんです。
自然の中にいると溶け込んでいるように見えますが、イシカワガエル単体で見るととっても派手ですよね。
日本のカエルでここまで派手な体色を持っているものはいません。
そのためイシカワガエルは「日本で最も美しいカエル」と言われています。
体長はオスが8.8~10.6㎝、メスが10.5~11.7㎝と、メスの方が少し大きくなります。
カエルの仲間では結構大型ですね。
背中には模様に合わせてデコボコとしたイボがあります。
目も大きくてかわいいし!
イシカワガエルの生息地はどこ?
イシカワガエルが生息しているのは沖縄県の北部、森や山が残っている「やんばる(山原)」と呼ばれている地域と鹿児島県の奄美大島です。
沖縄も奄美大島も南国特有の気候です。
年間を通して気温が10℃より下がることはないですし、降水量も多いです。
そして湿度も高くじめじめしています。
このような気候がイシカワガエルが暮らすには最適なんです。
森林の中のきれいな渓流近くを好んで住処とし、岩の上や木の上などに登っている姿がよく見られます。
夜行性なため昼間は岩の隙間などでじっと休んでいて、夜になると活発に動き出します。
「幻のカエル」と言われるわけだね!
イシカワガエルの生態
イシカワガエルの食べ物は昆虫やムカデ、カニなどです。
水辺の生き物を獲物としているんです。
繁殖期は沖縄では1~2月、奄美大島は4~5月と、春前~春先にかけてです。
川の最も上流、源流近くの岩場や水たまりに黄白色の卵を700個ほどを含んだ大型の卵塊(らんかい)を産みます。
オタマジャクシ(幼生)は産まれると渓流のよどみなどで生活し、8月ごろにはカエルに変態していきます。
ただ、一部のオタマジャクシは翌年に変態するようです。
アマミイシカワガエルとオキナワイシカワガエル
沖縄県と奄美大島のイシカワガエルは姿も似ているため、元々は同じ種類だと考えられていました。
しかし2010年に遺伝子の調査により別種であることが判明しています。
やんばるのイシカワガエルは「オキナワイシカワガエル」に、奄美大島のイシカワガエルは「アマミイシカワガエル」に、それぞれが独立した名前を与えられました。
オキナワイシカワガエルは沖縄県の固有種、アマミイシカワガエルは鹿児島県の固有種ということになります。
見た目の違いはほとんどありませんが、アマミイシカワガエルの方が鮮やかな緑色をしています。
こちらの方がきれいだという意見も多いようです。
どっちも本当にきれいだね!
イシカワガエルの鳴き声はどんな感じ?
見た目が独特なイシカワガエルは実は鳴き声も変わっているんです。
まずは聞いてみましょう!
遠くから聞こえてくる鳴き声の後に、目の前のイシカワガエルが反応するように鳴きます。
カエルとは思えない「クオックオッ!クルルルル」という鳥やネコみたいに高い鳴き声ですよね。
夜行性なため夜になると頻繁に泣き始めます。
生息地ではイシカワガエルの大合唱が聞こえるかもしれませんね。
この鳴き声も日本一美しいと言われています。
1晩中聞いていられるかも
イシカワガエルの天敵は?
イシカワガエルが生息している沖縄本島や奄美大島にはヘビが多いイメージがありますよね。
有名なのはハブですが、他にもヒバァというヘビも生息しています。
ヒバァも毒蛇です。
ヘビはイシカワガエルを捕食します。
さらにハブ対策で人の手によって持ち込まれたマングースもカエルを食べる恐れがあります。
ハブよりも安全に食べることができる獲物を狙うことが多いんです。
マングースは昼行性なため、イシカワガエルが隠れ切るのを祈るのみですね。
イシカワガエルは青いのもいる!?
イシカワガエルはさらに美しいと言われている「青い個体」が確認されています。
この青いイシカワガエルは突然変異によって色素細胞が足りずに生まれてきたそうです。
そもそもカエルが緑に見えるのは、皮膚の黄色の部分(黄色素胞)が、光の中の青色と混ざるからだそうです。
その黄色素胞が欠けてしまうことで青に見えているのだとか!
でもめちゃくちゃレアなんだって!
イシカワガエルは絶滅危惧種!?その理由は?
イシカワガエルは現在、日本の環境省が設定しているレッドデータブックで「絶滅危惧ⅠB類」に指定されています。
世界的に見てもかなり数が少ないとされているんです。
イシカワガエルが生きていくには、きれいな川が必要です。
それも森の深い場所にある渓流のみです。
しかし現在、道路工事やダム建設によってこのような自然豊かな地形が少しずつ減っているんです。
工事によって土砂が流れ込んでしまったり、川が汚染されてしまったりもします。
イシカワガエルはもともと生息数が多くないカエルです。
そのため、少しの環境変化でも一気に数を減らしてしまいます。
また、先ほど紹介したマングースによる被害もあるかもしれません。
水質汚染は最も深刻な問題だね、、、
イシカワガエルは販売されているの?飼育は?
アマミイシカワガエルは鹿児島県の天然記念物に、オキナワイシカワガエルは沖縄県の天然記念物に、それぞれ指定されています。
そのため、個人がペットとして飼育することはできません。
ここまでイシカワガエルの数が減ってしまったのは、ペット目的の乱獲も原因の1つです。
現在は勝手に捕獲することはもちろん、手を触れることも禁止されています。
もし見つけても温かく見守ってあげてください。
まとめ
イシカワガエルは間違いなく日本一美しいカエルです。
独特なカラーリングは見つけることを困難にしていてまさに幻です。
絶滅の心配もされています。
これだけきれいな日本の固有種を失うわけにはいきませんよね。
見つけても絶対に触らずに、優しく観察しましょう。
やんばるや奄美大島に行く際は、ぜひ探してみてください。
これだけレアで美しいカエルです。見つけたときの喜びはすごそうですよね。
また遊びにきてね~
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