ジンベエザメといえば、最大のサメにして、魚類最大の大きさを誇る長巨大生物です。
最大で10m以上の大きさにもなり、英名は「Whale shark」と、まさにクジラ並みに大きいです。
サメとは思えないほどゆったりした性格で、世界中から人気を集めています。
最近は飼育している水族館も増えているため、一般人でもその姿を観察できるようになってきました。
野生のジンベエザメはどんな生活をおくっているのでしょうか?
こんな大きなサメを食べる天敵はいるのでしょうか?
魚類最大の優しいサメ「ジンベエザメ」の知られざる生態をまとめていきます。
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ジンベエザメ(ジンベイザメ)
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ジンベエザメ(ジンベイザメ) | |
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学名 | Rhincodon typus |
英名 | Whale shark |
生息海域 | 亜熱帯の海域 |
全長 | 10~12m |
体重 | 1900㎏ |
ジンベエザメはテンジクザメ目・ジンベエザメ科・ジンベエザメ属の魚類です。
サメの仲間なため、全身の骨が軟骨でできている「軟骨魚綱」です。
より原始的な魚は軟骨魚綱です。
一方のアジやサバなどの骨が軟骨じゃなくて硬い骨でできている魚は「硬骨魚綱」です。
テンジクザメの仲間には「トラフザメ」がいます。
ちなみに、ジンベエザメは「ジンベイザメ」とも呼ばれます。
どちらでも良さそうなのですが、多くの書籍でも書かれている通り「ジンベエザメ」が正解なようです。
ジンベエザメの生息地
ジンベエザメは熱帯の海域であれば、幅広く生息しています。(緯度±30°以内)
浅瀬やサンゴ礁、河口付近でも目撃されています。
千葉県沖からグアムまで移動していたことも確認されています。
基本的には海の表面近くを回遊していますが、水深700mまで潜っていることも確認されています。
メスは自分が育った海域を出ることは少ないのですが、オスは世界中を回遊します。
ジンベエザメの大きさと特徴
Foto by Wikimedia
ジンベエザメの全長は10~12mにもなります、最大で20mの個体も記録されています。
体重は約19000㎏です。
現在は、13mを越えていれば、かなり大型です。
これはサメ最大ですが、魚類全体で見ても最も大きくなります。
ジンベエザメの名前の由来は体の模様です。
灰色の体に白い水玉模様が入ります。
全身に入る模様が、着物の「甚平」に似ていることから、こう名付けられました。
ちなみに英名の「Whale shark」を直訳すると「クジラサメ」です。
体の大きさがその辺のクジラより大きいため、こう呼ばれています。
最大で幅が1.5mにもなる巨大な口を持っていて、300~350本の細かい歯が並んでいます。
この歯はほとんど機能していないようです。
とても小さい目が顔の側面にあります。
三日月形の大きな尾ビレを持っていて、上部が少し長いです。
若い個体は、尾ビレの上部がとても長く、下部が目立たないそうです。
ジンベエザメの生態
ジンベエザメは基本的には単独で回遊しています。
ただ、エサが豊富な海域には数頭が集まることはあるようです。
日本近海には初夏~秋にかけて回遊してきます。
ジンベエザメの食べ物
ジンベエザメはサメですが、大型の動物を襲うようなことはしません。
ジンベエザメの獲物は小さな甲殻類などの「プランクトン」です。
プランクトンの群れを、海水と一緒に丸飲みにします。
そして、エラの奥にある櫛のような「鰓耙(さいは)」という器官でエサと海水を分離させて飲みこみます。
海水はエラから排出されます。
プランクトン以外にも海草や小魚も食べます。
また、サンゴの産卵期にはその卵も食べるようです。
海面近くのエサを飲み込む時は体を垂直にするという習性を持っています。
この習性を利用して、水族館ではエサを与えるときに垂直になるようトレーニングをしています。
運がよければ、エサやり中のジンベエザメの様子を生で見ることができます。
ジンベエザメの性格
ジンベエザメは小さなプランクトンを食べているため、性格がとても穏やかです。
大きい体だからと言って人を襲うことはまずないです。
ただし体が大きすぎるため、近づき過ぎるのは危険です。
少し体が触れただけでも、こちらが大ケガをしてしまうこともあるんです。
力の強さは桁違いですからね。手加減なんてしてくれません。
なめてかかると痛い目を見ます。
ちなみにフィリピンには群れのジンベエザメと一緒に泳ぐことができるポイントもあります。
ダイバーからの人気が増えているそうです。
ジンベエザメの赤ちゃんは300匹!?
サメの仲間は約3割が卵生で7割が胎生だと言われています。
胎生と言ってもお腹の中で卵を孵す「卵胎生」と呼ばれる繁殖方法なのですが、ジンベエザメも卵胎生です。
1995年に捕獲されたメスのジンベエザメのお腹の中から300匹以上の赤ちゃんが出てきたという記録もあります。
これはサメの仲間では最も多い出産数です。
子どもの大きさは60㎝前後です。
これがあれほど大きくなるなんて信じられませんよね。
サメは一度に出産する子どもの数が極端に少ないという特徴を持っています。
少数精鋭を貫いて、強い遺伝子のみを残していくためだと考えられています。
ジンベエザメはたくさん出産することで、より多くの遺伝子を残すことを選んだんですね。
ジンベエザメに天敵はいるの?
これほど巨大なジンベイザメを食べることができる動物は限られていきます。
唯一ジンベイザメを捕食することができるのはシャチです。
シャチはオスの体重が最大で5トンほどにもなる獰猛な生き物です。
シャチであれば、ジンベイザメの巨体を仕留めることができるはずです。
ただ、シャチとジンベエザメの生息地はほとんど被らないため、出会うことは少ないようです。
他のサメならどうかと思いますが、まず皮膚が分厚いため、肉まで牙を届かせることが難しいようです。
ジンベイザメの子どもであれば、結構食べられてしまうようです。
300頭産んだ赤ちゃんの内、無事大人になれるのはほんの一握りのみです。
これは海で子孫を残していくためには必要な犠牲ですね。
現在確認されているジンベエザメの天敵はシャチのみと考えて良さそうです。
ジンベエザメは絶滅の危険性が!?
ジンベエザメは現在レッドデータブックのカテゴリーは「絶滅危惧種ⅠB類(EN)」です。
近い将来絶滅してしまう危険性があります。
理由としては、他の魚との混獲です。
例えば、アフリカや東南アジアで行われている「ダイナマイト漁」は、爆発によって気絶した魚を捕獲していく漁の方法です。
ジンベイザメが近くにいれば、もちろん被害を受けてしまいます。
また、船のスクリューとの衝突や水質汚染でも生息数は減少しています。
海水ごとエサを丸飲みするジンベエザメは、ゴミが浮いていればそれも一緒に吸い込んでしまいます。
最悪の場合はエサを食べなくなって死んでしまうこともあります。
「ワシントン条約付属書Ⅱ」にも登録され、捕獲が禁止されています。
ただし、ジンベイザメは回遊などに謎の多い魚でもあります。
詳しい生息数は分かっていないのが現状なようです。
まとめ
・ジンベイザメは平均10~12m、最大が20mにもなる世界最大の魚類
・世界中の熱帯海域に生息している
・名前の由来は甚平のような模様を持つ
・エサはプランクトンで、海水ごと吸い込み、エサのみを分離させて飲み込む
・性格はとてもおとなしく、人間は襲わない
・ジンベエザメの天敵はシャチ!
・繁殖形態は卵胎生(お腹の中で卵を産んで孵化させる)
・ジンベエザメは絶滅の恐れがある
ジンベエザメについてお話してきました。
世界最大の魚類というだけあって、規格外の大きさですね。
優しい性格で人を襲うことはないので、いつか一緒に泳いでみたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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