日本で一番大きいんだ!』
沖縄にそんなネズミがいるなんて知らなかったな~!』
絶滅危惧種なんだ!』
ケナガネズミという動物を聞いたことありますか?
沖縄に生息しているげっ歯目なのですが、あんまり聞きなれない動物ですよね。
沖縄と言えばヤンバルクイナやハブが有名で、なかなかケナガネズミのことを耳にすることもないのではないでしょうか。
今日は珍獣の宝庫、沖縄が誇る幻の樹上性ネズミ『ケナガネズミ』に迫ってみましょう。
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ケナガネズミって何者?特徴は大きさ日本一!?
ケナガネズミは『げっ歯目・ネズミ科・ケナガネズミ属』に分類される哺乳類です。
ケナガネズミのみで属を形成している、ちょっと珍しい動物です。
名前の通り、全身の毛が長いことが特徴です。
毛の長さは5~7cmにもなります。一般的なネズミの毛の長さが長くても3㎝ほどなので、ケナガネズミの体毛がいかに長いかがわかりますよね。
ハブなんかに食べられるのを防いでいるという説があるんだけど、まだまだ詳しいことは分かっていないんだ!
まさに珍獣って感じだな~!
ケナガネズミの体長(頭の先からおしりまでの大きさ)は22~33cm。さらにしっぽは24~37cmの長さになるため、しっぽまで含めた全長は40~70㎝にもなります。
これは日本にいるネズミの仲間では最大です。
毛の色は大人は茶色ですが、子どもは灰色です。
生息地の森林に溶け込みやすい色ですね。
ケナガネズミの特徴は長い毛と長いしっぽ、そしてしっぽの先が白いことです。
なんでなんだろう?』
しっぽの先が白い動物は他にもいます。
キツネなどがその代表例ですね。
理由としては、、、
・天敵の目線を定めさせない。
・オスがメスを追いかけるときに目印にする。
などがあげられます。
確かにしっぽの先が白いのは夜でも目立ちます。
これらの理由がケナガネズミにも当てはまるかもしれませんが、これも詳しくは分かっていないようです。
ケナガネズミの生息地!沖縄以外にも奄美大島に分布してる?
ケナガネズミは日本のみに生息している固有種です。
生息地は沖縄本島、奄美大島、徳之島に限られます。
つまり沖縄と鹿児島、2つの県にのみ生息しているってことだね!』
ケナガネズミは沖縄本島では、北部の原生林が生い茂る『やんばる』と呼ばれる地域のみに生息しています。
これは奄美大島や徳之島でも同じで、豊かな森林にのみで暮らしています。
ケナガネズミの生息地が限られているのは、彼らの体の大きさとその生態が関係していると考えられています。
ケナガネズミは主に樹上で生活しています。
完全に樹上性というわけではありませんが、1日のほとんどを木の上で過ごします。
そして子育てや休むためには樹洞(じゅどう)という木にできた穴が必要です。
ケナガネズミほどの大きさの動物が入れる樹洞はそれだけ大きな木にしかできませんよね。
大きな木がたくさんあるのはそれだけ大きな森林ということです。
ケナガネズミが、面積が大きい島にのみ生き残っているのはこういう理由なんですね。
ケナガネズミが好む穴はこんな感じ
ケナガネズミの鳴き声はどんな感じ?
ケナガネズミは一般的なネズミのチューチューとは鳴きません。文字であらわすなら『ギャーギャー』や『キーキー』といったところでしょうか。
夜のやんばるではいろんな動物の鳴き声が聞こえるようですが、結構聞き取りやすい鳴き声です。
こちらで鳴き声が紹介されています。
ケナガネズミの生態!食べ物は?木から降りるの?
ケナガネズミは樹上性です。1日のほとんどを木の上で過ごします。
ただ、全く木から降りないわけではありません。ときおり地上に降りてきます。
沖縄にはケナガネズミ以外にも地上性のネズミがいるため、すみわけているのかもしれません。
ケナガネズミは雑食性です。
ただ、限りなく草食性に近いと言えるかもしれません。
食べているものとして、種子、果実、葉っぱ、樹皮、昆虫などの小動物があげられます。
年間を通してよく食べるものは松ぼっくりです。
ケナガネズミが食べたあと、松ぼっくりはエビフライ状の、特徴的な状態になります。
本当にエビフライみたいだ!』
ケナガネズミが地上に降りるのはナメクジ、ヤモリ、ヤスデ、サワガニなどの小動物を食べるためです。
また、車にひかれた小動物の死骸を食べることもあるようです。
彼らは積極的に動物を食べるわけではないようです。
機会があれば食べますよってところでしょう。
ケナガネズミは夜行性です。
しかもよく見かけるネズミのようにすばしっこいわけではなく、のろのろと樹上や地上を歩きます。
ケナガネズミは絶滅危惧種!原因はやっぱり人間?
ケナガネズミは琉球諸島の固有種です。
この地域は天敵が少なく、彼らの動きがゆっくりなのもそのためなのかもしれません。
しかし、ケナガネズミは絶滅危惧種に含まれています。
国の環境省が設定しているレッドデータブックのカテゴリーは『絶滅危惧ⅠB類(EN)』です。
沖縄県が定めているカテゴリーは絶滅危惧ⅠA類、鹿児島県は絶滅危惧Ⅰ類です。
つまり、どこの地域でも『何も対策をしなければ近いうちに絶滅してしまう可能性が高い』ということです。
・生息地の開発
・外来種やペットによる捕食
・交通事故
ケナガネズミが生きていくためには大きな森が必要だということはお話しましたね。
しかも森といっても手つかずの『原生林』が必要です。
ケナガネズミは季節それぞれの食べ物を食べます。
人工的に植えられた植物だと、実をつける季節がずれてしまい、最適な食料だとは言えません。
いくら豊かに見える植物でも、人の手が加わっていると、動物たちにとって住みやすい環境ではなくなるんです。
住みかがなくなれば繁殖が行われず、あっという間に数が減っていきます。
やんばるをはじめとする琉球諸島は開発が進んでいる地域です。
ケナガネズミにとって、住みかが失われるのが数を減らす1番の原因なんです。
さらに、人間の手によって持ち込まれた動物も脅威となっています。
琉球諸島は大型肉食動物が少なかった地域です。
そのため、独自の生態系を作ってきたともいえます。
天敵の少ない地域で暮らしていたケナガネズミも動きが遅くなっています。
素早く動く必要がありませんからね。
天敵になりそうな動物はハブくらいですが、そのハブ対策としてマングースが持ち込まれました。
マングースはハブではなく、沖縄の希少な動物を食べるようになってしまいました。ケナガネズミもその一つです。
動きが遅い動物たちはマングースにとって格好の獲物だったんですね。
人間が人間のために持ち込んで、駆除するなんて勝手だよね、、、』
他にもペットとして飼われていたイヌやネコが逃げ出して野生化しているのも問題です。
野良ネコに捕食されることも多いですし、飼い犬に噛まれてけがをしているケナガネズミも報告されています。
そして極めつけが交通事故です。
沖縄本島の北部、やんばるは大きな道路が森を横切っています。
ケナガネズミは枝から枝を移動することを好みますが、道路のように枝が途切れてしまうと地上を横断するしか方法がありません。
そのせいで交通事故にあってしまうケースが年に数件あります。
ネズミの中では大型とはいえ、車にひかれるとどうなるか想像できますよね。
沖縄では2020年のケナガネズミとの交通事故は4件報告されています。その全てが死亡事故です。
奄美大島と徳之島では、2019年に過去最多となる21件(両島合わせて)報告されています。こちらもすべて死亡事故です。
やんばる、奄美大島、徳之島は観光客が増えています。しかも海外からもやってきます。
注意喚起しても事故を減らせないのが現状なのでしょう、、、
ケナガネズミは天然記念物!?守るためには何ができるの?
ケナガネズミは1972年に国の天然記念物に指定されています。
また、国内希少野生動植物種にも登録されています。
これだけで分かると思いますが、ケナガネズミは国をあげて守っていかなくてはいけない動物です。
森林伐採に関しては、戦後の大規模な伐採から70年ほどがたっているため、原生林も回復してきています。
ケナガネズミが暮らしやすい環境が整ってきているんですね。
また、マングースの駆除も進められています。
罠などで大多数のマングースは駆除できていると考えられているんです。
これらが実を結び、ケナガネズミの目撃情報は増えてきているんです。
ペットを飼ううえで、最も意識しなければいけないことは『最後まで責任を持って飼うこと』です。
しかし、無責任な飼い主が多いのが現状ですよね。イヌやネコだけでなく、ワニガメやアリゲーターガーなど、非常に凶暴で危険なペットも平気で捨ててしまう人がいます。
その被害は誰が受けるんですか?
身を守る術を持たない固有種たちですよね。ケナガネズミもその被害者です。
くれぐれも、流行やインスタ映えなど、ミーハーな気持ちで飼わないでね!』
そして交通事故も意識で減らせるはずです。
やんばるでは看板で注意を促しています。
少しスピードを落とすだけで動物との事故は防げます。
沖縄に観光に行く際は、このかわいいケナガネズミのことを頭に入れておいてください。
それだけで事故は減らせるはずです。
まとめ
ケナガネズミは日本が誇る希少動物です。
可愛らしい見た目と動きは、沖縄などの琉球諸島が生み出した奇跡ともいえますよね。
絶滅の危機にあるケナガネズミですが、わたしたちの意識で絶滅は防げます。
ペットには責任を持つ、運転は優しさを持って、これだけでもだいぶ救われる命が増えるはずです。
最後まで読んでくれてありがとう!またね~!』
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