でもなぜ、何のためにダムを作るのかは知っているかな?
詳しく解説していこうね!
ビーバーはダム作りの名人!
川をせき止めることで自分好みの湖を作っちゃいます。
しかし、ダムを作ることにメリットはあるのでしょうか?
また、そんなことして周りの生き物たちは迷惑しないのでしょうか?
森のダム職人『ビーバー』に迫ってみましょう。
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ビーバーってどんな動物?
ビーバーは齧歯目(げっしもく)・ビーバー科・ビーバー属の哺乳類です。
齧歯目は別名『ネズミ目』とも呼ばれる通り、ネズミやウサギの仲間です。
ビーバーが川で暮らしていることから『カワウソ』の仲間と勘違いされることが多いのですが、カワウソはイタチの仲間。
完全に別の動物ですね。
・アメリカビーバー
・ヨーロッパビーバー
見た目に大きな違いはありません。
現在、地球上に存在しているビーバーはこの2種類のみです。
ビーバーの生息地はどこ?種類ごとの違いは?
ビーバーは種類によって生息地が違います。
名前の通り、アメリカビーバーは北アメリカ大陸に、ヨーロッパビーバーはユーラシア大陸の北西部、ヨーロッパ地方に分布しています。
生活環境は川や湿地帯などの水辺です。
北アメリカではアメリカ合衆国やカナダなどに分布。
また、毛皮目当てでアルゼンチンに、絶滅した個体を復活させようと、イギリスにも導入されています。
一方のヨーロッパビーバーは、かつてはヨーロッパの各地に生息していましたが、現在では限られた国にしか存在しません。
毛皮目的の乱獲で数を減らしてしまったんです。
・平均的にヨーロッパビーバーの方が大きくなるが、発見された最大のものはアメリカビーバー
・東部はヨーロッパビーバーの方が大きく、丸みが少ない
・しっぽはヨーロッパビーバーの方が細長く、楕円形
ビーバーの特徴!大きさはどれくらい?
ビーバーは体長80~120㎝、体重は11~30㎏です。中型犬くらいの大きさですが、最大体重は大型犬ほどにもなります。
しっぽの長さは25~50㎝です。
僕たちが知ってるネズミと比べても、考えられないほど大きいよね、、、
特徴的なのはしっぽの形です。
ほとんど毛の生えていないこのしっぽは、船をこぐオールのように丸っこくて平らです。
このしっぽを上下に動かすことで推進力を得るうえ、後ろ足には水かきもあります。水中でも自由に動き回れるように進化しているんですね。
また、ビーバーの毛皮は水中で生活するのに適しています。
一見茶色っぽい毛しか目立ちませんが、その内側には白くて柔らかい毛がびっしりと密集していて、水が皮膚に触れるのを防ぎます。
このダブルコートの毛皮、さらに分厚い脂肪のおかげで、ビーバーは長時間水中にいても大丈夫なんです。
これはまた後で詳しく説明しようね!
ビーバーの歯がオレンジなのはなぜ?
齧歯目の動物は頑丈な前歯を持っていますが、ビーバーの前歯はとりわけ丈夫です。
なんと、大木すら10分ほどでかじり倒してしまうんだとか、、、
まさに必殺前歯ですね!
そしてもう1つ気になるのが、ビーバーの前歯がオレンジ色をしていることです。
虫歯とか?
あれでも正常なんだ!
ビーバーだけでなく、同じ齧歯類のヌートリアの前歯もオレンジ色です。
この2種類は木をかじることが多く、齧歯類の中でも特に頑丈な前歯を持っています。
丈夫な前歯の秘密は鉄分です。
多くの鉄分が含まれているため、オレンジ色に見えるというわけです。
また、食べ物の着色料が染み付いているという説もあります。
これが強い歯の証ってことなんだよ!
ビーバーの生態!食べ物は何?
ビーバーは基本的に夜行性です。
単独、またはペアとその子どもからなる家族で行動します。
子どもは次の年に兄弟が生まれても巣を離れず、その次の年に兄弟が生まれるとようやく巣立ちます。
丸々2年は親と共に生活するということになりますね。
食性は草食性。
木の皮や根、木の葉、草などを食べます。
かなり大食漢であることが知られていて、1日に2㎏ものエサを平らげます。
ビーバーが食べたあとだね!
1日の大半を水の中で生活していますが、川岸に上がることもあります。
前足に油を出す器官があり、それを体中に塗りたくっているんです。
天敵はコヨーテやアメリカグマ、オオヤマネコにピューマなどで、幅広い肉食動物に狙われます。
そのためビーバーは岸にいる時間が短く、ほとんど巣で生活しています。
ビーバーの巣はどんな感じ?ダムを作るのはなぜ?
ビーバーの代名詞と言えば『ダム』ですね。
実際にビーバーは木の枝などを駆使して川をせき止め、ダムを作り上げます。
一体どうして、ダムを造る必要があるのでしょうか?
ビーバーの巣は川の中心にドーム状に作られます。
この巣の中には陸地があるのですが、複数の入り口は水の中にあいています。
つまり水に潜らなくては、中の陸地に上がれないんです。
この巣は、天敵の多い環境で暮らすビーバーが、安全に暮らすために考案した形状というわけです。
しかし、川の水は常に一定の深さを保てるわけではありません。
流れによって水深が上下し、その結果入り口が水から出てしまったり、中の陸地が水に沈んでしまったりしてしまいます。
そこでビーバーは川をせき止めることで、川の水深を巣にとって最適な状態にキープしているんです。
もちろん、ダムのメンテナンスは欠かせません。
ビーバーにとって巣は、命をかけるほど大切なものなんだね!
流れが止まると迷惑する動物もいるんじゃない?
でも悪いことばかりじゃないんだよ!
ビーバーのダムは生き物にとって有益なことが多いんです。
・水が流れないことで水草が増え、魚も増える
・その魚を狙って渡り鳥も増える
・ダムから水がなくなると、そこは栄養豊富な大地となる
・大地は草花に覆われ、草食動物が増え、他の動物も集まってくる
ビーバーのダム作りは、一見すると環境を大きく変えてしまっている印象ですが、結果としてその地域を豊かにしているんです。
人間以外でこれほど環境を変えられる動物はビーバーだけですが、人間のような環境破壊ではないんですね。
便利の裏側には犠牲が付いて回るんだよ、、、
ビーバーが外来種として問題視されてる!?
ビーバーのダムが環境に良い影響を与えるのは、あくまで本来生息している環境に限った話です。
天敵の多い環境ならビーバーの数は増えすぎず、ダムも一定数に留まります。
しかし、天敵が全くいなくなればどうなってしまうのでしょう?
実際にアルゼンチンが領地としているフエゴ島には、毛皮目的でビーバーが持ち込まれました。天敵のいない環境で彼らはあっという間に数を増やし、現地の木々をものすごいペースでかじり倒してしまいました。
ビーバーに問題はありません。人間の手が招いた環境破壊ですね。
それが10万匹まで増えたってことだから驚きだね、、、
現在アルゼンチン政府はビーバーを駆除の対象とし、大規模な駆除作業も行われました、、、
沖縄のマングースと同じような状況だな~、、、
ビーバーは絶滅寸前だった!?
フエゴ島では外来種として問題視されているビーバーですが、ヨーロッパでは絶滅してしまった地域もあります。
原因は毛皮目的の乱獲です。
ビーバーの毛皮は水の侵入を防ぐためにびっしりと毛が密集していて、かなり上質なんです。高級毛皮ってことです。
シルクが出回る前はビーバーの毛皮がハットの材料とされ『ビーバーハット』として人気でした。
19世紀前半には50万匹ものビーバーが乱獲され、一時絶滅寸前まで追い込まれたんです、、、
その後シルクが流通することで人々のビーバー熱は冷め、保護条約が制定されたこともプラスになって、ビーバーの激減はストップしました。
現在、生息数は安定しているものの、ヨーロッパの生息地は激減。絶滅してしまった地域すら存在します。
それで他の地域から持ち込んで回復させる運動も行われたんだよ!
ビーバーは保護活動により生息数を回復させることができましたが、中には乱獲が原因で絶滅してしまった動物もいます。
例えば日本に生息していた『ニホンカワウソ』は、上質な毛皮を求めた人間によって狩りつくされてしまいました。
まとめ
ビーバーはダムを作ることでその地域の環境をガラッと変えてしまえる動物です。
こんなことができるのは人間の他にビーバーしかいません。
過去には乱獲により絶滅の危機にも瀕していましたが、現在は他の地域で外来種となるほど生息数が安定しています。
必殺前歯が今でも見られるのは嬉しいですね。
過去の人間は良い素材を見つけると容赦なく狩りつくしてしまいます。
それが原因で絶滅してしまった動物がどれほどいたでしょう、、、
最後まで読んでくれてありがとう!
またね~!
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