聞いたことある?
かなり衝撃的な生き物なんだけど、、、
実は刺さらないんだ、、、
バビルサはインドネシアに生息しているとても珍しいイノシシの仲間です。
特徴的なのはその牙。なんと皮膚を突き破って生えてくるんです。
最終的には自分に刺さるということで『自分の死を見つめる動物』とも呼ばれます。
でも、これって本当なんでしょうか?
インドネシアが誇る謎多き珍獣『バビルサ』の真相に迫ってみましょう。
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バビルサって何者?生息地はどこ?
バビルサはイノシシ科・バビルサ属に分類される哺乳類で、イノシシやブタの親戚です。ただ、日本にもいるイノシシは『イノシシ属』です。バビルサ属にはバビルサしかいませんので、遠い昔に独立した種類だと言えますね。進化していく早い段階で他のブタの仲間から分かれたと考えられています。
イノシシ科という大きな枝からイノシシ属やバビルサ属が枝分かれしていっているんだ!
バビルサはインドネシアにのみ生息している固有種。インドネシアは大小1万以上もの島で構成される国です。
バビルサはインドネシアの複数の島に生息していますので、それぞれが種として独立しています。
現在確認されているバビルサ属には4種類が存在しています。
でも、正確な和名はつけられていないみたいだね!
・Buru babirusa
(B. babyrussa)
・North Sulawesi babirus
(B. celebensis)
・Togian babirusa
(B. togeanensis)
・Bola Batu babirusa
(B. bolabatuensis)
ここでは主にこの種類について説明していこうね!
バビルサは35,000年前の洞窟壁画にも描かれており、長い間インドネシアに存在していたことが分かります。
独特の外観が、地元の人々による悪魔のイメージを持たせていたのかもしれません。
バビルサの特徴!牙がすごい!
photo by wikimedia
バビルサは体長85〜105cm、体重は43kg〜最大100kgです。
見た目もイノシシと同じように丸い体、とがった鼻が特徴的です。
肩から地面までの高さ(肩高)は65〜85cmと、意外にもすらっと長い足を持っています。
バビルサの1番の特徴は牙です。
オスの上アゴの犬歯は生涯伸び続けます。
最初は下向きに成長しますが、後に回転し、上向きに伸び始めます。
そして上アゴの皮膚を貫通し、ひたいに向かって湾曲していきます。
また、オスの下の牙も長く伸び、目の近くまで達します。
バビルサの牙がどうしてこのような発達をみせるのか、、、
実は詳しいことは分かっていないんです。
ただ、メスへのアピールという説が有力なようです。
バビルサの牙は強い圧力に弱く、衝撃で簡単に折れてしまいます。
オス同士がバトルで使用するのには向いていないんです。
牙を使うことは無いんだ!
やっぱり優れたオスであることの証って説が有力だね!
このように、わたしたちが理解できないものがメスへのアピールにつながることは自然界では珍しくありませんよね。
余計な争いを生まないためにも、アピールポイントを見せることで相手の戦意をなくすことも大切なのかもしれません。
photo by wikimedia
バビルサの骨格はどうなってるの?
バビルサの上アゴの牙(犬歯)は一度下向きに生えた後、回転して上向きに成長します。
骨格で見ると分かりやすいですよね。
photo by wikimedia commons
すぐ上向きに生えるから皮膚を突き破るしかないんだね!
徐々には伸びるとはいえ怖いね、、、刺さりそう、、、
バビルサの牙は自分に刺さるって嘘?本当?
バビルサは牙が自分に刺さると言われていますよね。
『自分の死を見つめる動物』なんて呼ばれたりもします、、、
わたしも最初は『稲中卓球部』という漫画で見て『奴の寿命だ』という言葉に衝撃を受けたのを覚えています。
でも実はこれ、嘘なんです。
バビルサの牙は確かに脳天の方へ伸びていき、最終的に自分に刺さってしまいそうに見えます。
しかし、その後くるんとカーブして、ひたいには刺さらずに伸びていくんです。
photo by wikimedia commons
カーブして頭の上に乗っかっているだけなんだね!
そんな牙ならむしろ退化すべきだと思うし、、、
バビルサの生態!食べ物には毒がある!?
バビルサは雑食性です。
葉っぱ、果物、果実、ナッツ、キノコ、樹皮、昆虫、魚、そして小さな哺乳類など、なんでも食べます。頑丈で強力なアゴは固い木の実やナッツも砕いてしまうんです。
さらに子どものバビルサを食べるという情報もあるんだとか、、、
他にもヒヅメで地面を掘って木の根や虫の幼虫を食べたり、後ろ足で立ち上がって高い位置にある葉っぱを食べたりもします。
そして驚くべきことに、バビルサは有毒植物である『パンギノキ』も主食としています。
パンギノキの果実や種子には青酸化合物(シアン化水素)という猛毒が含まれています。
バビルサはこの毒を温泉や泥を食べることで中和してしまうんです。時には何㎞も歩いてまで食べるのだそう、、、
危ないじゃん!
ハイリスクハイリターンだね!
でも何時間も加熱したり流水にさらしたりしないといけないんだとか、、、
photo by wikimedia
バビルサの寿命どれくらい?赤ちゃんはどんな感じ?
バビルサは野生では10年ほど生きます。飼育下では長生きで、平均して20年は生きるようです。
飼育は比較的簡単で、人間に対してしっぽや頭を振り、ジャンプなどであいさつする行動がみられるそうです。
穏やかな性格ですね。
シンガポール、ヨーロッパやアメリカの動物園で飼育されているんだよ!
飼育された記録もないんだって!
バビルサは1回の出産で1~3頭の赤ちゃんを産みます。
赤ちゃんは成長が早く、生後10日ほどで固形物を食べ始めます。
しかもイノシシの赤ちゃんに見られるような縞模様もなく、母親にべったりくっ付く様子もないようです。
これはバビルサの生息地、インドネシアに天敵がいないことをあらわしています。
縞模様は周りの景色に溶け込む効果があるのですがバビルサには必要ないということですね。
少なくても種を保存できていたんだ!
バビルサは絶滅危惧種!食用にされる!?
バビルサは絶滅危惧種です。
レッドデータブックに登録されており、カテゴリーは『絶滅危惧Ⅱ類(VU)』です。なんらかの対策を決行しないと、近い将来絶滅してしまう可能性が考えられるレベルです。
さらにワシントン条約の対象でもあり、個体の取引は禁止されています。
天敵がいないバビルサですが、その温室育ちなところが逆に数を減らしてしまっているんです。
まず1番の問題が住みかの開発です。
インドネシアは農地開発が進んでおり、バビルサの住む場所が奪われ続けているんです。
さらに肉や牙目的の密猟も問題です。
イスラム教徒は豚肉を食べませんが、非イスラム教徒はバビルサを食用としてしまいます。
インドネシアの法律により守られてはいますが、密猟は後を絶たないようです、、、
バビルサは出産数が少ないので、一度生息数が減ってしまうとなかなか元の数に戻れません。
現在のバビルサの生息数は1万頭以下とも言われています。
バビルサの減少をあらわしたグラフ(1998~2016)
まとめ
バビルサは見た目こそいかついですが、実際はかなり温厚な性格で、人間にもなつく可愛らしい動物なんです。
牙が自分に刺さって死ぬという噂が出回っていましたが、嘘だったんですね。
オスがメスにモテるためのツールです。それで死んでしまっては元も子もないですよね。
インドネシアが誇る珍獣ですが、絶滅の危機に瀕しています。
密猟や開発、、、バビルサは深刻な状況にあります。
天敵がいない環境で生きてきた彼らです。環境の変化には弱いでしょう。
わたし達人間の考え方を変える以外に、バビルサが生き残るすべはないのかもしれません。
ぼくらの生活の中にも、バビルサに関係していることはあるはずだ!
まずは小さなことからでもいいから、始めてみようよ!
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