危険が迫ると体を丸めて防御する動物なんだよ
仲間なの?
でも確かに共通点の多い動物だね!
詳しく見ていこうか!
センザンコウという動物を知っていますか?
アジアからアフリカ大陸に生息していて、全身にウロコを持つ奇妙な動物です。
ウロコは300枚以上あり、伝説のドラゴンを思わせるその姿はとても哺乳類には見えません。
センザンコウとはどんな動物なのでしょうか?
同じような身の守り方をするアルマジロとの関係は?
防御を極めた珍獣「センザンコウ」に迫りましょう。
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センザンコウってどんな動物?特徴を紹介!
センザンコウはセンザンコウ目・センザンコウ科の哺乳類の総称です。
現在センザンコウの仲間は中国、マレーシア、インド、フィリピン、台湾に4種類、アフリカ大陸に4種類の計8種類が存在しています。
8千年前から地球上に存在していたことが化石の発見により分かっていて、これまでに絶滅してしまった種類もいるようです。
アリを食べるという食性、長いベロを持つという特徴からアリクイの仲間とされていましたが現在は独立しています。
食肉目(ネコ科、イヌ科、クマ科などの肉を食べるグループ)と近い遺伝子を持っていることが判明しているんです。
センザンコウは全身にケラチン質(人間の爪と同じ成分)のウロコを300枚ほどびっしりとまとっています。これは哺乳類で唯一の存在です。
ウロコの重さは体重の20%にも及びます。
体を丸めることができ、やわらかいお腹をガードします。
こうなってしまえばたとえライオンやトラのような強力な牙を持っている肉食動物ですら手も足も出ません。
しかもウロコは先端が鋭くなっていて、天敵を攻撃することもできるんです。
さらに特徴的なのが爪です。
鋭く曲がった爪が前足に生えていて、穴掘りや木登りに役立っています。
センザンコウは漢字で「穿山甲」と書きます。
由来は「山を穿つ(うがつ)甲羅を持つもの」で、穴を掘る習性、硬いうろこを持つことからこのように呼ばれています。
英名は「Pangolin(パンゴリン)」で、こちらはマレー語のペンゴリン(巻き上がる)という言葉が由来のようです。
センザンコウがピンチのときに、体を丸める習性があることから名付けられました。
ウロコがあるから爬虫類や魚類みたいだけど、ぼく達と同じ哺乳類なんだよ!
センザンコウの生息地はどこ?
センザンコウの仲間はインド、東南アジア、台湾、アフリカ大陸に分布しています。
樹上性なため、ジャングルを住処としています。
夜行性で昼間は木の上か、地面に掘った巣穴で眠っています。
ジャラジャラと重たいうろこを持っていますが、意外にも木登りを得意としていて、爪を木に突き立てて何十メートルの高さまで登っていきます。
不安定な木の上でも器用に歩くことができ、そして眠ることもできます。
センザンコウはかなり省エネな動物で、1日の20時間を睡眠にあてているとも言われています。
食べ物を探している最中に眠ってしまうこともあるんだよ!
寝坊助さんだね、、、
センザンコウの食べ物は何?
センザンコウの主食はアリです。
長いベロでシロアリやアリをなめ取ります。
アリクイも同じような食べ方ですが、彼らは「貧歯目(ひんしもく)」とも呼ばれ、わずかに歯が存在します。
一方のセンザンコウには歯がありません。
噛まずに飲み込んでいるようです。
センザンコウのウロコを頑丈に維持するためにはアリの栄養が必要です。
しっかり食べないとボロボロになってしまうこともあるため、起きている時間は食べることに費やします。
例えばツチブタもアリを食べるしベロが長いけど、センザンコウとはまったくの別種なんだ!
このように違う種類の動物同士が、似たような体の特徴を持つことを『収斂進化』といいます。
同じような生活をするうちに、身体的な特徴が同じ方向に進化していくことは動物界では頻繁に起こっています。
有袋類とイヌ科は全く違う祖先を持つんだって!
センザンコウとアルマジロの違い
違いはあるのかな?
センザンコウとアルマジロの共通点
・頑丈な体で防御する
・アリを食べる
・長いベロを持つ
体を丸めるのも共通点じゃないの?
他のアルマジロは地面に体をうずめてお腹を守るスタイルで防御するんだよ!
センザンコウとアルマジロの違うところ
そもそも生息地が違う!
センザンコウはアフリカ大陸~アジアを生息地としています。
一方のアルマジロの仲間は北アメリカ大陸から南米大陸に分布しています。
両者は生息地が違うんです。
それは祖先が違うこともあらわしています。
たまたま同じような進化を遂げたのでしょう。
このように全く違う生き物の見た目が似ていくことを「収斂進化(しゅうれんしんか)」といいます。
アリクイとフクロアリクイ、オオカミとフクロオオカミが収斂進化の代表例です。
センザンコウはウロコ、アルマジロは甲羅
センザンコウには綺麗に重なり合ったウロコがあります。
このウロコは先端が鋭くなっていて、防御だけでなく攻撃にも使えます。
一方のアルマジロは板状の皮膚(甲羅)による防御のみを行います。
センザンコウほどの硬さも無いため、ジャガーに噛み砕かれてしまうこともあるようです。
センザンコウは絶滅危惧種!理由は財布!?
センザンコウは全ての種類が絶滅危惧種に指定されています。
中には「絶滅危惧ⅠA類」にしていされている種類もいて、近い将来絶滅してしまう可能性が高いです。
理由は革目的の乱獲です。
ウロコを持つ哺乳類は珍しく、革製品の材料として人気が出てしまうんです。
革には独特のひし形模様があるため、財布のデザインとして人気です。
さらにウロコは漢方薬になると信じられています。
法的に規制されていますが密猟者は後を絶たず、現在も闇市場の20%はセンザンコウが占めているとも言われています。
センザンコウは防御手段が体を丸めるという方法のみです。
人間なら簡単に攻略できてしまうんです。
硬いうろこも人間の兵器の前では無力なんですね。
お願いだから買うのをやめてほしいよね、、、
センザンコウはペットにできる?
センザンコウはペットにできません。
現存の8種類すべてが絶滅危惧種に指定され、取引には国同士の許可が必要です。
ペットショップに出回ることはありませんし、万が一売られていたとしても正規ルートではありません。
間違っても買わないように注意しましょう。
センザンコウがいる日本の動物園
センザンコウが飼育されている動物園は日本に2ヶ所のみだよ!
・上野動物園(東京都)
・東山動物園(愛知県名古屋市)
上野動物園のセンザンコウ
上野動物園では1頭のミミセンザンコウ(♂)が飼育されています。
この子はワシントン条約違反により回収され、東山動物園が引き取った個体だそうで、2004年に上野動物園にお引越ししてきました。
東山動物園のセンザンコウ
こちらも同じくミミセンザンコウです。
密猟により出回ってしまった個体を引き取って飼育してくれているようです。
まとめ
センザンコウはウロコを持つ唯一の哺乳類です。
300枚ほどのウロコで確実に身を守っていますね。
ライオンも手出しできないとは脱帽です!
乱獲で数を激減させています。
「こんな珍しい生き物がいたんだ~」って未来の子どもたちが思わなくても済むように守っていきたいですね。
みんなが野生動物を守ろうっていう気持ちになることが大切なんだよ!
せんざんこうとアルマジロの違いが知りたくてここに来ました。鱗と甲羅の違いが分かるようにそれぞれの表皮をアップにしてほしかったかな。顔の違いも知りたかったです。
でも他に面白い記事もあって、せんざんこうを読んでる間、目移りしました。定期的に訪れて読んでみたいです。今からツチブタページに行きます(笑)ありがとうございました
そーさん
コメントありがとうございます。
センザンコウとアルマジロの違いを変更して更新しました。
これからも楽しんでもらえるような記事を投稿していきますのでまた遊びに来てください。
アルマジロとの違いを知りたくて
たどり着いたのですが よくわかって助かりました。漢方薬って 何にきくんでしょうね。
密猟までして漢方薬作るカルチャー根絶して欲しいです。絶滅してほしくないです…
平野 様
コメントありがとうございます。
センザンコウ以外にもサイのツノやゾウの牙など、何の根拠もなしに漢方薬の材料にされているものがたくさんありますよね。
医学が発達していなかった時代ならまだしも、現在も信じられているのが悔しくて仕方ありません。
わたし達にできることは少ないかもしれませんが、守ってあげたいと思わずにはいられませんよね。
とても分かりやすい説明で感謝してます。
また生き物の?がでたら伺わせてもらいます。
ありがとうございました。
しろくまさん
コメントありがとうございます。
これからも楽しい記事を更新しますので、また遊びにきてください。