ツメバケイと似ているところがあるの?
詳しく説明していくよっ!
ツメバケイは南米アマゾンの奥地に生息している鳥類です。
樹上生活に適応していて飛ぶことはほとんどなく、そして子どもの頃は翼に爪を持っています。
翼に爪を持つ鳥類はツメバケイのみです。
まさに珍鳥!
ツメバケイの生態とは?
爪をもつ理由とは?
原始の姿を残す珍鳥「爪羽鶏(ツメバケイ)」に迫ります。
好きなところにジャンプできます
ツメバケイは一目一科一属一種!
ツメバケイは南米ペルーの奥地、アマゾン川周辺のジャングルに生息しています。
木の上を歩き回るようにして暮らしている、樹上性の鳥です。
この鳥が特に珍しいと言われている理由は、他に近い遺伝子を持った存在がいないからです。
動物でも植物でも、生き物は全て
「界・門・綱・目・科・属・種」という生物分類に当てはめられています。
例えばわたし達人間は
「動物界・脊索動物門・哺乳綱・霊長目・ヒト科・ヒト属・ヒト」という分類です。
哺乳綱が哺乳類と呼ばれる部分ですね。
霊長目には人間の他にサルやゴリラが含まれています。
このように人間ですら「目」の部分に、他にも生き物が存在しているんです。
昆虫(節足動物)は脊椎がないから「無脊椎動物」って呼ばれることもあるよね
生物の分類が「属」まで進めば、一種類しか属していない生き物も結構います。
「一属一種」と呼ばれるタイプですね。
人間のように「一科一属一種」となればさらに少なくなります。
そしてツメバケイはの分類は
「鳥綱・ツメバケイ目・ツメバケイ科・ツメバケイ属・ツメバケイ」です。
「一目一科一属一種」というとても珍しい、正真正銘の珍鳥なんです。
※過去にはキジ目に入れられるという説がありましたが、現在はツメバケイ目で独立しています。
鳥類の場合は「鳥綱」という幹からたくさん枝分かれして様々な種類になっていくんだ!
生き物は進化することで様々な種類に分類されていくのですが、ツメバケイは太古から姿を変えなかったのでしょう。
そのため、原始的な特徴を持っているとも言えます。
珍獣っぽくない名前だけどツメバケイと同じくらい珍しい動物なんだ!
ツメバケイの特徴!
ツメバケイは全長60cmほどです。
尾羽が長いのが特徴ですね。
そして青い顔に赤い目というかなり個性的な顔立ちです。
後頭部には冠羽(かんう)があり、ツンツン頭の派手な姿にしています。
翼は大きく飛べそうなイメージですが、飛行能力は低く、せいぜい木から木に滑空する程度です。
なんのための羽根なのかな?
詳しくは食べ物の紹介で説明するね!
ツメバケイは恐竜の生き残り!?始祖鳥に似ている!
鳥類が恐竜の進化系だという説は確実だと言われています。
その理由は骨格です。
発見されている恐竜の化石と、現存の鳥類の骨格には共通している部分が100ヶ所以上あるとされています。
気になるなら見てみてね!
また、ツメバケイは始祖鳥の生き残りだとも言われていました。
始祖鳥とは恐竜から鳥類に進化した最初の鳥で、鳥の祖先的な存在です。
彼らは翼が未発達で羽ばたく能力がほとんどなく、グライダーのような滑空のみしかできなかったと考えられています。
そして翼には指があり、鉤爪を持っていました。
ツメバケイはヒナのときに翼の先に鉤爪を持っています。
これが始祖鳥の特徴と一致していたんです。
足に強力な鉤爪を持つ鳥ならたくさんいますよね。
猛禽類はもちろん、鶏にも蹴爪(けづめ)があります。
獲物を捕らえたり、ケンカに使ったりするためのものです。
爬虫類もトカゲやイグアナが手足に爪を持っていますよね。
しかし鳥類に進化するとき、前足が翼に変化する過程で爪はなくなりました。
現存の鳥類で前足、つまり翼に爪を持っているのはツメバケイのみなんです。
さらにツメバケイがほとんど飛べないことも始祖鳥の特徴と似ていたため、両者は近い関係にあるとされていました。
しかし現在ツメバケイは、独自の進化により鉤爪を持つことが判明しています。
始祖鳥の生き残りではなかったようですね。
ツメバケイのヒナ鳥が鉤爪を持つ理由は!?
ツメバケイが暮らしている南米アマゾンには危険生物がたくさんいます。
ジャガーやオセロットなどの肉食ネコ科動物はもちろん、ニシキヘビやサルは木を伝って襲ってきます。
空にはオウギワシなどの猛禽類も常に目を光らせています。
こんな過酷な環境で生き残るためにツメバケイのヒナが身につけた技が「巣から飛び込降りる」という技です。
ツメバケイの親鳥は天敵が近づいてくると、ある程度気を引いた後はさっさと逃げてしまいます。
その隙にヒナは巣からジャンプして、アマゾン川に飛び込むんです。
そして危険が去るまで草陰に隠れ、安全になると再び巣まで登っていきます。
このときに役に立つのが鉤爪です。
鉤爪は枝に引っかかるため、足腰の発達していないヒナでも木を登ることができます。
巣までたどり着くと何事もなかったかのように生活し始めます。
ツメバケイは鉤爪を駆使することで、確実に生き残る方法を身につけたんです。
さらに子育ては親だけでなく兄や姉も行います。
ヒナを生き残らせることが、種の保存にもかせないことを理解しているんですね。
ツメバケイの食べ物は葉っぱ!?
ツメバケイは鳥類で唯一葉っぱを主食としています。
ほとんどの鳥類は雑食性で、植物を食べる種類でも昆虫などの小型動物もエサとしています。
普通は植物だけで生きるために必要なエネルギーを得ることはできないんです。
しかしツメバケイは「素嚢(そのう)」という器官(通常は鳥類が一時的にエサを蓄えておく器官)が大きく発達していて、この中に葉っぱを分解してくれる微生物を共生させることで葉っぱをエネルギーに変えています。
こ素嚢が大きくなりすぎたため、竜骨突起(鳥類が大胸筋を発達させるために必要な骨)が小さくなり、飛ぶことができなくなっているんです。
葉っぱからエネルギーを獲得するため、飛ぶ能力を捨てたんですね。
昆虫食べれば飛ぶこともできたんじゃないの?
ツメバケイはアマゾンのジャングルを住処としています。
この地域には他にも鳥類がたくさん暮らしています。
つまり、ライバルが多いということですね。
ツメバケイはライバル達との生存競争に負けてしまい、葉っぱしか食べることができない地域にまで追いやられてしまったんです。
そこで、素嚢を発達させて葉っぱを消化するという手段を身につけたのでしょう。
さらにヒナが鉤爪を持つことで、飛ぶ能力がほとんどなくても繁殖することができています。
追い込まれてしまったツメバケイでしたが、進化によりたくましく生き残ってこれたんですね。
ツメバケイは臭い?
ツメバケイは現地住民でも食べられないと言われています。
その原因が臭いです。
ツメバケイは葉っぱを消化するために常に微生物による発酵が行われています。
そのためウシの糞のような強烈な臭いをまとっています。
興奮するとこの臭いは強くなり、とても食べられたもんじゃないようです。
麝香(じゃこう)のような香りとも言われます。
肉は食べられていませんが、卵を食べる人間もいるようで、生息地の開発も合わさってツメバケイの生息数は減少気味です。
まとめ
ツメバケイはヒナが鉤爪を持っているとても珍しい鳥です。
一目一科一属一種の動物は世界的に見てもほとんどいません。
太古から姿を変えていないのかもしれませんね。
生存競争に破れてしまいましたが、葉っぱを消化するという方法により現在まで生き残れているのは、すさまじい生命力ですよね。
ヒナが巣まで登る姿からも生き残る意思の強さを感じます。
生息地の開発は心配ですが、ツメバケイなら乗り越えてくれそうな気がします。
みんなで守っていこうね!
最後まで読んでくれてありがとうね~
冠羽と初列風切羽根がかわいい