レッサーパンダと言えば、かわいい見た目と行動から、動物園でもトップクラスに人気です。
名前にパンダと入っているため、ジャイアントパンダと同じ仲間だと思っている人も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、レッサーパンダとジャイアントパンダは全くの別物です。
では、見た目が似ているアライグマならどうでしょう?
実は少し前までレッサーパンダは、アライグマの仲間だと思われていました。
しかし、現在はアライグマとも別物だとされています。
では、レッサーパンダはどのように分類されているのでしょうか?
また、パンダと呼ばれている理由とは?
動物界屈指のかわいさを持つ「レッサーパンダ」の秘密に迫ってみましょう。
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レッサーパンダとジャイアントパンダ
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パンダと聞けば、皆さんがイメージする動物は「ジャイアントパンダ」でしょう。
しかし、先に「パンダ」と名付けられていたのが、実はレッサーパンダだったことを知っていますか?
レッサーパンダがその存在を認められたのは1825年のことです。
西洋人がヒマラヤで発見したレッサーパンダのことを現地の人間に尋ねたところ「竹を食べるもの」という意味の「ネガリャポンヤ」だと教えられました。
その後「ポンヤ」が「パンダ」に変化していき、レッサーパンダはパンダと呼ばれるようになったんです。
一方のジャイアントパンダが発見されたのは1869年のことです。
当時パンダと呼ばれていたレッサーパンダと同じ食性で、同じような手の形をしていたため、区別するために「ジャイアント(大きい)」を付けて「ジャイアントパンダ」と呼ばれるようになりました。
しかし、ジャイアントパンダのインパクトが強く、「パンダ」と言えばジャイアントパンダのことを指すようになっていったんです。
そのため、レッサーパンダには「小さい」という意味の「lesser」を付けで、ジャイアントパンダと区別するようになったんです。
レッサーパンダもかわいくてインパクトがあるんですけど、ジャイアントパンダは「世界三代珍獣」のひとつにされるほど珍しい生き物だったんです。
認知度とか、インパクトという点ではジャイアントパンダの方が勝っていたんですね。
レッサーパンダとジャイアントパンダは違う仲間
物を掴める手の形や食べている物がほとんど同じということから、同じグループだとされてきたレッサーパンダとジャイアントパンダですが、その後の研究でジャイアントパンダがクマ科の動物だということが判明しています。
そのため、同じパンダという名前が付けられているにも関わらず、レッサーパンダとジャイアントパンダは別のグループに属していることが判明しました。
おそらく、同じ食生活をしているうちに、それぞれ手の形状が似ていったと考えられています。
このように、違う種類同士の体の造りが似ていくことを「収斂進化(しゅうれんしんか)」と呼びます。
レッサーパンダとアライグマ
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レッサーパンダは最近までアライグマの仲間であると言われていました。
外見がよく似ていたんです。
レッサーパンダは体長50㎝~64㎝、体重3~6kgほどで、アライグマは体長42㎝~60㎝、体重4~10kgほどです。
大きさはほとんど一緒ですね。
また、しっぽがシマシマなところや、目の周りに模様が入ることなんかも似ています。
ただし、レッサーパンダの体色が茶色っぽいのに対し、アライグマは灰色です。
さらに生息地もレッサーパンダが中国やチベット、ブータンなどであることに対し、アライグマはアメリカやカナダなどの北アメリカ大陸です。
レッサーパンダの分類
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レッサーパンダ | |
---|---|
学名 | Ailurus fulgens |
英名 | Lesser panda Red panda |
生息地 | 中国南部、インド北東部、ネパール、ミャンマー、チベット |
体長 | 50~64㎝ |
体重 | 3~6㎏ |
アライグマやイタチ、スカンクの仲間だと考えられていたレッサーパンダですが、現在はレッサーパンダ科・レッサーパンダ属として独立しています。
これはレッサーパンダのみが構成しています。
ただし、クマやアライグマなどと同じ食肉目に分類されています。
食肉目は別名「ネコ目」とも言い、その名の通り肉を食べるグループですね。
レッサーパンダの特徴
ではここからは、レッサーパンダの詳しい生態や特徴についてお話していきます。
レッサーパンダは体長50~64㎝で、体重は3~6㎏です。
実はレッサーパンダは生息地によって「シセンレッサーパンダ」と「ネパールレッサーパンダ」という2つの亜種が存在しています。
シセンレッサーパンダは体の色が濃く、体格も大きいです。
中国南部やミャンマーに生息していて、日本の動物園で飼育されているレッサーパンダはほとんどがシセンレッサーパンダです。
ネパールレッサーパンダは体色が薄いのが特徴で、インド北東部、ネパール、ブータンに生息しています。
日本で飼育しているのは熱川バナナワニ園のみです。
レッサーパンダの食べ物
食肉目のレッサーパンダは雑食性です。
竹やタケノコを主食としていますが、昆虫、爬虫類、鳥類の卵、動物の死骸なんかも食べているんです。
実は笹を主食としているジャイアントパンダも、レッサーパンダと同じ雑食性なんです。
飼育下では肉を与えることもあるようです。
もともと食肉目の体の造りをしているため、植物のみではエネルギーの効率が悪いはずです。
肉も食べることで、活動に必要なエネルギーを補っているのでしょう。
レッサーパンダには指が6本ある!?
レッサーパンダは竹を食べるときに、しっかり掴む必要があります。
そのため、指とは別に骨が変形してできた「第6の指」を持っています。
第6の指は他の指と向かい合うような位置にあるため、器用に物を掴むことができるんです。
これはジャイアントパンダと同じです。
ジャイアントパンダも笹を掴んで食べるため、第6の指を持っています。
最近ではジャイアントパンダに第7の指があるという情報も入ってきています。
この、指の共通点もレッサーパンダとジャイアントパンダが同じ仲間だと言われていた理由でもあります。
レッサーパンダの性格
レッサーパンダは意外にも凶暴な性格をしていると言われています。
これはもともと肉食性の動物だったことの名残とも言われていて、野生では特に気性が荒いようです。
少しの物音にも敏感に反応したり、オス同士がメスをめぐって威嚇し合うなど、気の強さも持ち合わせているようです。
めちゃくちゃかわいいですよね。
ただし、動物園で飼育されているレッサーパンダは、比較的人懐っこい部分もあるみたいです。
ツンデレなんですかね。たまりませんね。
レッサーパンダは絶滅危惧種!?
樹上生活をおくっているレッサーパンダにとって、森林は必要不可欠です。
しかし、レッサーパンダの生息地は農地開発、焼き畑などで減少しているんです。
住かを無くしたレッサーパンダの生息数も減少しつつあります。
また、毛皮やペット目的での密猟も行われています。
さらに、飼い犬から伝染してしまう犬ジステンパーの流行も、レッサーパンダに深刻なダメージを与えています。
レッサーパンダの生息地に人間が侵入してきて犬を飼うことで、レッサーパンダが耐性を持っていない病原菌を撒き散らしてしまうんです。
現在中国での生息数は2500頭、ネパールでは300頭しか確認されていません。
現在国際自然保護連合が発行しているレッドデータブックのカテゴリーは「絶滅危惧種ⅠB類(EN)」です。
近い将来絶滅してしまう可能性があるんです。
レッサーパンダはペットにできない
絶滅危惧種に指定され、ワシントン条約にも登録されているレッサーパンダは、ペットとして飼育することはできません。
取引には国同士の許可が必要なため、個人が仕入れるのは現実的に考えて不可能です。
レッサーパンダを飼育している動物園は意外と多いです。
見たい人はお近くの動物園にお問い合わせください。
まとめ
・レッサーパンダはジャイアントパンダよりも前に見つけられていた。
・ジャイアントパンダが「パンダ」と呼ばれるようになったため、「lesser(小さい)」をつけ足して区別している。
・もともとアライグマの仲間とされていましたが、現在は独立している
・食性は草食性に近い雑食
・竹を掴むために第6の指が存在している
・性格は意外にも凶暴
・森林伐採や密猟によって数を減らしている
レッサーパンダはパンダとついていますが、まったくの別種でした。
パンダの方がメジャーになるとは、、、
レッサーパンダもとてもかわいいんですけどね。
レッサーパンダは絶滅が心配されています。
日本の動物園が繁殖に成功しているのは、種の保全にも役立っているすばらしいことです。
この「世界トップクラスのカワイ子ちゃん」を守っていきたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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