皆さんはアザラシにどんなイメージを持っていますか?
海を自由に泳ぎ回る、小さくてかわいい動物なんて思っちゃいますよね。
そんなアザラシのイメージをぶち壊してくれるのがゾウアザラシです。
オスの鼻がゾウのように垂れ下がっているからこの名前がつけられましたが、体の大きさもゾウ並みです。
特大で強いオスには、何十頭ものメスが交尾を迫ることも、、、
強ければモテる!シンプルですね。
ゾウアザラシはどこで、どんな生活をおくっているのでしょうか?
世界最大のアザラシ「ゾウアザラシ」に迫ってみましょう。
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ゾウアザラシ属
ゾウアザラシは食肉目・アザラシ科・ゾウアザラシ属の海洋哺乳類の総称です。
食肉目は別名「ネコ目」とも言い、ネコ科やイヌ科、クマなどが含まれています。
また、下位に分類するとアシカ、オットセイ、アザラシ、セイウチなどは「鰭脚類(ききゃくるい)」と呼ばれることもあります。
ゾウアザラシ属は現在「ミナミゾウアザラシ」と「キタゾウアザラシ」の2種類が存在します。
ミナミゾウアザラシ
オスの平均的な体長は420㎝、体重は2200㎏です。
最大体長は620㎝、体重は4000㎏以上と、現存する鰭脚類では最大です。最大体重1700㎏のセイウチよりも大型です。
ただし、メスは体長270㎝、体重500㎏とかなり小柄になります。
ミナミゾウアザラシの生息地
ミナミゾウアザラシは南極圏を中心に分布しています。
ニュージーランドや南アフリカでもしばしば見られるようです。タスマニア島周辺はアザラシの乱獲によりほとんど見られなくなっています。
キタゾウアザラシ
オスの平均的な体長は380㎝、体重は1800㎏です。ミナミゾウアザラシに比べると小柄ですが、それでもセイウチよりも大型です。
こちらもメスは体長250㎝、体重は490㎏とオスに比べると小柄です。
キタゾウアザラシの生息地
キタゾウアザラシは、アメリカ大陸の太平洋側の海岸に生息しています。
アラスカからカリフォルニア、メキシコまで広く分布しています。
ゾウアザラシの特徴
ゾウアザラシのオスは長い鼻を持っています。
この象鼻が名前の由来ですが、キタゾウアザラシの方がミナミゾウアザラシよりも大きな鼻を持ちます。
その代わり、体の大きさはミナミゾウアザラシの方に軍配が上がっています。
この大きな鼻が、ゾウアザラシの体内の水分を逃がさないことに繋がっていることが、研究により明らかになっています。
鼻から息を吐くことで、温かい息が鼻で冷やされて液体と気体に分離するんです。
分離した液体は鼻に残って、水分として再び吸収されます。
呼吸によってどうしても排出してしまう水分を最小限に抑えているんですね。
ゾウアザラシの仲間は、アザラシやアシカなどの鰭脚類では最も体が大きくなります。
ただし、オスの方がメスよりもはるかに大きくなります。
オスとメスの対格差はこれほどまであります。
ゾウアザラシの生態
ゾウアザラシは一夫多妻制です。
しかも1頭のオスが50頭以上のメスと巨大なハーレムを作ることもあるんです。
オスのメスに対する独占欲はすさまじく、抱きかかえたり潰してしまったりします。
これは大丈夫なんですかね、、、?
激しい愛情表現ですね。メスは相当迷惑そうに見えますね。血出てますし、、、
ゾウアザラシの繁殖とオス同士のバトル
ゾウアザラシは冬場は海の中で過ごしますが、夏場の繁殖期は陸に上がります。
この時期のオスはメスをめぐって激しいバトルを展開するんです。
バトルには体の大きさはもちろんですが、鼻の大きさも関わってきます。
鼻と口で迫力満点の威嚇を行うんです。
コロコロと鼻でいびきのような音をたてたりもします。
勝負に勝ったオスは大量のメスを独り占めにできます。
すごい数の奥さんですね。
これほどの数のメスと交尾をするんです。並大抵の体力じゃないですね。
ちなみに、ゾウアザラシは鳴き声で個体を識別しています。
成熟したオスの鳴き声は一定のリズムを刻み、年月が経っても変化することがないようです。
まるで木管を叩くような音だそうですよ。
戦いに負けて立場が弱くなったオスが、強いオスの鳴き声を聞くと、戦わずに逃げていくことが分かっています。
オスの鳴き声を判別しているんです。
無駄な争いを避けるためにも、鳴き声を聞き分けることが大切なんですね。
ゾウアザラシの赤ちゃんはかわいい!
ゾウアザラシは大人が大きすぎてちょっと怖いですよね。
オスよりメスの方が小さいと言っても、普通に考えたらデカいです。
しかし、赤ちゃんはどうでしょう?
うわー!めちゃくちゃかわいいですね。
しかも赤ちゃんは好奇心旺盛で、現地では観光客にすり寄って来るみたいですよ!
たまりませんね。
でもこれがあんな鼻の怪物になるんですね、、、
ちなみにゾウアザラシは意外にも陸上を人間より早く動けるみたいです。
轢かれると車並みに危険らしいので、観光ツアーに参加してない人は近くまで寄っちゃダメなんですって。
走り方はこんな感じだそうです。
ライバルのオスがハーレムの縄張りに入ってくると暴走ダンプカーと化して追い払います。
キレたオスはメスや子どもがいても目に入りません。
ゾウアザラシの赤ちゃんの死因は、ほとんどが暴走したオスにひかれてしまうからなんだとか、、、
キレると手がつけられないんですね。
ゾウアザラシの食べ物
ゾウザザラシは肉食性です。
主に魚を食べています。
ゾウアザラシは狩りの場所がちょっと変わっています。
なんと深海まで潜っていくんです。その深さなんと1700m!
時間にして最長120分も潜水していられるんです。
でもなぜわざわざ深海まで魚を捕りに行くんでしょうか?
魚ならどこにでもいそうですが。
実はゾウアザラシが生息している海域は大陸がすぐに沈んでいて、ちょっと沖に出るだけで水深が深くなるんです。
このような海域の場合、魚は深海深くに潜ってしまう場合が多いんです。
また、ここまでの深さまで魚を捕まえに行く動物はそうそういません。
ライバルが少ないんですね。
深海まで行けば、魚が安全に食べ放題です。
他の肉食動物との生存競争に勝つためにも、深海まで泳いでいった方が効率が良いんですね。
ゾウアザラシは深海で眠る!?
キタゾウアザラシがカリフォルニアの繁殖地からアラスカの越冬地へ向かう5000㎞もの間、どこにも上陸しないことが、取り付けた装置による追跡で明らかになっています。
ではゾウアザラシはどこで眠っているのでしょう?
イルカやクジラなどは片方ずつの脳を交互に眠らせることで、泳ぎながら眠ることができます。
こうすることで、天敵に襲われることなく睡眠をとることができます。
しかし、ゾウアザラシにはこのような器用な芸当ができないようです。
そこで、ゾウアザラシは深海に潜水して休みます。
これも追跡により明らかになっているのですが、ゾウアザラシが長距離移動中に、何度もひらひらと海底300mまで潜っているのが分かっています。
深海は天敵が少なく、安心して眠ることができるんです。
危険がいっぱいの海を生き抜くために身に付けた芸当ですね。
ゾウアザラシの天敵
大人のオスに天敵はいません。
あれほどの巨体を食べようとする生き物はさすがにいないんですね。
返り討ちに合うかもしれませんからね、、、
しかし、若い個体やメス、子どもなどはシャチやホオジロザメに捕食されてしまうことがあります。
ゾウアザラシの寿命
キタゾウアザラシの寿命は9年ほどです。
一方のミナミゾウアザラシの寿命は22年ほどとキタゾウアザラシより長いようです。
ゾウアザラシの保護状況
ゾウアザラシは19世紀までは人間による乱獲の被害に合ってきました。
一時ほぼ絶滅寸前まで狩りつくされてようです。
肉や脂、毛皮が重宝されたんです。
これは1760年代に絶滅してしまったステラーカイギュウと同じ状況ですね。
しかしその後、ゾウアザラシの絶滅の危機を感じた人間側は、アザラシ漁を禁止します。
現在は個体数が60万頭になるまで回復しています。
ゾウアザラシは数を減らしている!?
保護されているゾウアザラシですが、近年数が減っているとも言われています。
これは、増えすぎたゾウアザラシの数が、個体数維持の限界値を越えてしまったからだと言われています。
要は増えすぎて食べ物が無くなってしまった、ということでしょう。
増えすぎも良くないのですね。
ゾウアザラシがいる水族館
残念ながら、現在ゾウアザラシを飼育、展示している水族館ありません。
ただし、過去には日本の水族館でも飼育されていました。
特に江ノ島水族館で1995年~2005年まで飼育されていたオスのミナミゾウアザラシ「みなぞう」は自分でエサのバケツを持つなど、数々の芸を覚えていたためとても人気でした。
みなぞうは2005年、肺気腫により亡くなっています。享年11歳でした。
まとめ
ゾウアザラシは世界最大のアザラシです。
ゾウのような鼻はオスしか持っていませんが、とても迫力がありますね。
強いオスは何十頭ものメスとハーレムを作ります。
大きくて強いオスがモテるんですね。
日本では見ることができませんが、現地ではツアーもあるようです。
1度は近くで見てみたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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