動物園でも大人気、大きな口が特徴の動物と言えば「カバ」ですよね。
地球上で、現在カバと呼ばれている動物は2種類のみです。
過去には他の種類のカバも存在していたようですが、残念ながら絶滅してしまいました。
動物園でもよく見るのが普通の「カバ」です。
アフリカの水辺で暮らしていますよね。
そしてもう1種類が世界三大珍獣の1つ「コビトカバ」です。
アフリカのジャングルの奥地に生息している幻のカバと言われている種類です。
カバやコビトカバはどのような生態を持っているのでしょうか?
それぞれの特徴を交えながら紹介していきます。
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カバの種類
現在地球上に生息しているカバの仲間は2種類のみです。
どちらもアフリカ大陸にのみ生息しています。
過去には他のカバがアフリカ以外の大陸にも存在していたようですが、気候の変化によって絶滅しています。
カバ
偶蹄目・カバ科・カバ属の哺乳類です。
アフリカ大陸の南部の限られた水辺に生息しています。
ほとんどの動物園で飼育されているのもこの種類です。
コビトカバ
偶蹄目・カバ科・コビトカバ属の哺乳類です。
アフリカ大陸の森林にある沼地に生息しています。
カバよりもはるかに小型の種類で、その不思議な見た目から「世界三大珍獣」の1つとされています。
カバはイルカの親戚!?
カバは分類学上、偶蹄目に属しています。
偶蹄目の代表的な生き物がウシやブタの仲間です。
カバはもともとその見た目からブタの仲間だとされていましたが、遺伝子の研究が進むにつれて、ブタではなく違う生き物と近い系統だと判明しました。
それがイルカやクジラなどのクジラ目です。
イルカもクジラもこれまではクジラ目とされていましたが、偶蹄目と同じ子孫から分離したことが分かっています。
その中でもイルカ、クジラとカバは遺伝子的に近いものを持っています。
大昔にカバの一部が海に進出したと考えられているんです。
そのためイルカ、クジラ、カバは鯨偶蹄目(クジラ偶蹄目)に分類されるという考えもあります。
カバ
カバ | |
---|---|
学名 | Hippopotamus amphibius |
英名 | Hippopotamus |
生息地 | アフリカ大陸のサハラ砂漠より南の地域 |
体長 | 3.5~4m |
体重 | 1600~3000㎏ |
カバの特徴
現在存在しているカバ属の仲間はカバのみです。
体長は3.5~4m、オスの体重は1600~3200kg、メスは1400kgと、陸上生物の中ではゾウの次に大きくなります。
カバの生息地
カバはアフリカ大陸のサハラ砂漠より南の地域に生息しています。
過去には広い範囲に生息していましたが、現在は生息地が減少しています。
カバの皮膚
カバの皮膚は分厚い脂肪と真皮、上皮に被われていますが、一番表面の表皮はとても薄いんです。
そのため、常に水分が外に抜けてしまいます。
人間も、皮膚から水分が常に蒸発していますが、カバはこの3~5倍ものスピードで水分を消費していると言われています。
カバは血のような赤い汗をかく!?
カバの皮膚は乾燥に弱く、さらに水分消費のスピードも早いため、すぐにひび割れてしまいます。
カバには汗腺がないため、皮脂による皮膚の保護や汗による体温の調節ができません。
そのためカバは、「血の汗」と呼ばれるピンク色の粘液を分泌することができます。
血の汗の成分はヒポスドールとノルヒポスドールと名付けられているカバ特有の分泌物です。
血の汗には皮膚の乾燥の防止の作用があります。
また、赤い色が紫外線を通さないため、日焼け止めの効果もあります。
さらに殺菌効果もあるため、伝染病を予防します。
アフリカという厳しい環境を生き抜くために身につけた能力ですね。
カバの口
カバの代名詞とも言える大きな口には、発達した門歯と犬歯が並んでいます。
特に下顎の犬歯は50cmになるほど長く、オスなら2kg、メスでも1kg以上の重さがあります。
長すぎて上アゴに刺さってしまうことも有るんだとか、、、
口の関節と筋肉が発達していて、口を上下に150度も開くことができます。
オス同士のバトルはもちろん、他の生き物と戦うときにも口が最大の武器になります。
長い牙と目の前が塞がるほどに開いた口を見ると、大抵の動物は逃げていきます。
カバの頭の特徴
カバの頭は体に比べてとっても大きいです。
大半が口なため、目や鼻、耳は比較的小さく見えます。
カバの鼻、目、耳は頭の上部に一直線になるように配置されています。
これにより水中に顔をつけた状態でも陸上の状況を把握することができます。
また、鼻の筋肉が発達していて、鼻の穴を閉じることができます。
カバの体の特徴
大きな体には似合わない短い手足を持っています。
ただ、走るのが苦手と言えばそうでもなく、時速30~40kmで走ることもできます。
体重が重いため持久力は持ち合わせていないようです。
指には水かきを持っていて水中を泳ぐのに適しています。
水よりも比重が重い体なため、水の底を歩くこともできます。
陸上よりは水中の生活に適していると言えますね。
カバの生態
カバはメスとその子どもたちからなる10~15頭ほどの群れで行動しています。
乾季などの過酷な季節になると150頭以上の大きな群れを作ります。生き残る確率を上げているのでしょう。
基本的にはオスは単独か、メスの群れの回りに縄張りを作って生活しています。
メスの近くに住めるのは強く優位なオスで、糞をまき散らすなどして縄張りをアピールしています。
カバのオスのバトル
カバのオスは縄張りをめぐって、しばしば激しいバトルを繰り広げます。
基本的には口の大きさを競い合っているようです。
勢い余って牙が刺さってしまうこともあり、中には命を落とすものもいるようです。
多少のケガなら殺菌作用のある赤い汗で治すことができます。
一見鋭くなさそうに見える牙ですが、カバの口の筋肉はとても発達していて、どんな相手だろうと牙を突き刺すことができるんです。
人間なんかひとたまりもないですね。
カバの食性
カバは草食性です。
草、木の根、木の葉を食べています。
昼間は水中で生活していますが、夜になると陸に上がって草を食べます。
1日の食事の総量は40kgほどです。
ゾウは1日で200kg近いエサを食べるとされているため、いくらゾウより体が小さいとはいえ少なすぎますよね。
カバは1日の大半を水中で動かずに生活しています。
消費するエネルギーも少ないため、食事の量も少ないというわけです。
以外と省エネな生き物なんですね。
カバは肉食!?
カバは基本的に草食性ですが、たまーに肉を食べることがあります。
過去にはインパラやシマウマなどの草食動物を襲って食べてしまったという記録もあります。
また、同じカバの死骸を食べているところも目撃されています。
ただ、これらは本当に過酷な環境の場合のみだとされています。
干ばつによってエサとなる草類がなくなってしまったときに、最後の手段として肉を食べてしまうんだとか。
実際にカバ以外の草食動物が他の動物を食べたことは結構あります。
キリンやウシが鳥を食べるシーンが目撃されているんです。
草食動物が肉を食べるのは、足りない栄養素を補う目的だそうです。
普段は肉に興味すら示しませんからね。
カバも追い込まれると他の動物を食べてしまうことがあるんです。
コビトカバ
コビトカバ | |
---|---|
学名 | Choeropsis liberiensis |
英名 | Pygmy hippopotamus |
生息地 | リベリア、ギニア、コートジボワール、シエラレオネ |
体長 | 150~175㎝ |
体重 | 180~275㎏ |
コビトカバの特徴
コビトカバ属にはコビトカバのみが属しています。
体長150~175cm、体重は180~270kgとカバに比べると圧倒的に小さいです。
体長はヤギくらいの大きさです。
また、目がカバのように飛び出していないのも特徴です。
水かきもカバほどは発達していません。
小さなカバという不思議な見た目から、世界三大珍獣の1種とされています。
コビトカバの生息地
コビトカバらギニア、リベリア、コートジボワールの森林や沼地に生息しています。
ナイジェリア、マダガスカルに生息していたコビトカバは絶滅したとされています。
コビトカバの生態
コビトカバは単独で行動しています。
これは、群れで行動してしまうと他の動物に見つかってしまうリスクが高くなるからです。
カバのように大型になると狙う動物も減るため、群れで行動しても安心なんですね。
ただし、コビトカバもペアや子どもと一緒に行動することはあるようです。
コビトカバは夜行性ですが、昼間に水中で生活しているわけではなく、基本的には陸の上で活動します。
皮膚は乾燥に弱いのですが、生息地域が湿度の高い場所なため、水浴びをあまりしなくても平気なようです。
ただ、水の中で行動するのは上手なようです。
この辺はさすがカバって感じですね。
コビトカバの食性
コビトカバは草食性です。
カバと同じように、草、木の葉、草の茎、果実などを食べます。
カバよりも葉っぱを食べる頻度が多いのが特徴です。
コビトカバ発見の経緯
実はコビトカバがきちんと発見されたのは1913年という、比較的最近なんです。
1800年代に頭蓋骨の発見があったそうですが、カバの奇形などと言われその存在が信じられることはありませんでした。
内戦の多い地帯に生息しているため、研究者もなかなか近づけず、発見が遅れてしまったんです。
カバとコビトカバは絶滅危惧種
カバとコビトカバは現在「絶滅危惧種」に指定されています。
主な理由は生息地の開発です。
カバはアフリカの南地方に幅広く生息していたのですが、現在は限られた地域にしかいません。
また、コビトカバが生きていくためにはきれいな水辺が必要ですが、汚染が進んでいて生息数がどんどん減少しています。
さらに、カバは牙目的の密猟の対象ともなっています。
ワシントン条約に記載されるまでの間に、何トンものカバの牙が密猟により奪われています。
まとめ
地球上には2種類のカバの仲間が生息しています。
ただ、両者は大きさが全く違うため、生態も違っています。
開発によってどちらのカバも絶滅の恐れがあります。
絶滅危惧種に指定されていますが、密猟者は後をたたないようです。
カバは動物園の人気者です。
いなくなるのは寂しいですね。
環境破壊を止めないと、取り返しのつかないことになりそうです。
守っていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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