でも中には北極と南極を渡っちゃう鳥もいるんだ!
それが「キョクアジサシ」だよ!
往復で地球1周しちゃうってこと?
しかも毎年渡るってなると、、、
渡り鳥っていう単語を聞いたことがあると思います。
日本で普通に見られる鳥でも、冬になると違う大陸に移動するものが意外と多いんです。
暖かくて過ごしやすい大陸で冬を越すんですね。
そんな渡り鳥の中で、最長の距離を移動するのが「キョクアジサシ」
なんと北極圏と南極圏を渡っちゃうんです。
その距離実に3万5000km!
どうしてこれほどまでの距離を移動するのでしょうか?
鳥類屈指の長距離飛行の達人「キョクアジサシ」に迫りましょう。
好きなところにジャンプできます
キョクアジサシは北極と南極を移動する渡り鳥!?
渡り鳥は春先の繁殖期を涼しい場所で過ごし、冬を暖かい場所で越します。
気温が低ければヘビなどの天敵が活動を開始するのが遅く、安心して卵を温めることができますからね。
そして、獲物が減らない暖かくて快適な地域で冬を迎えるんです。
日本でよく見られる鳥も、冬になると別の大陸に移動する種類がいます。
例えばハチの巣を襲うことで有名な「ハチクマ」も、冬は東南アジアで生活しています。
そんな渡り鳥の中で最長の距離を移動するのが「キョクアジサシ」です。
体長は35cm、体重は125gほどと、ハトと同じくらいの大きさです。
分類的にはカモメの仲間に含まれます。
彼らは北極圏のグリーンランドと南極大陸を渡ります。
極地を渡るため「極鯵刺(キョクアジサシ)」と名付けられました。
英語の名前は「Arctic Tern」といいます。
「Arctic」は北極という意味が、「Tern」にはアジサシという意味があります。
日本語の名前と同じような意味ですね。
キョクアジサシは6月~8月は北極圏のグリーンランドで、12月~2月までを南極大陸で過ごします。
北極圏ではクチバシや足は赤く、南極大陸では黒くなります。
キョクアジサシはなぜこんな距離を渡るの?
北極と南極の距離は直線距離でも往復3万5000kmあります。
一般的な渡り鳥は、隣り合った大陸を移動するのがほとんどです。
これほどの距離を渡るのはキョクアジサシのみです。
どうしてこんな超長距離を渡るのでしょうか?
これについて、確実な説はまだ分かっていないんです。
ただ、最近は小型の鳥に装着しても邪魔にならないような小さい追跡装置が開発され、キョクアジサシの詳細な動きが分かってきました。
いつ、どこで、どんな動き方をしているかを解析することで、長距離移動の理由が判明しつつあります。
追跡装置を解析すると、南極大陸周辺を1ヶ月ほど、繰り返し移動していることが分かりました。
この辺りはエサとなる魚や甲殻類が豊富な海域です。
春先の大移動に向けて、エネルギーを蓄えていると考えられています。
キョクアジサシは北極圏に留まる6月~8月が繁殖期です。
驚くことにヒナは孵化後1ヶ月で南極までの旅に出ます。
そして家族みんなで食べ物が豊富な南極まで移動し、春先の移動に備えるんです。
詳しくは分かっていないけど、キョクアジサシが太陽を求めているという説があるんだ!
キョクアジサシは太陽が好き!?白夜を求めている!
6月~8月の北極圏は夏です。
この期間は太陽が1日中沈まない「白夜」と呼ばれる現象が起こります。
ってことは南極にも白夜があるってこと?
南極は北極とは逆の時期に白夜を迎えるんだ!
南極は冬の時期に白夜が起こります。
キョクアジサシが留まっている時期と重なりますよね。
1日中太陽が出ているということは、ずーっと明るいということです。
その分獲物となる魚や甲殻類を空の上から見つけやすいですよね。
「キョクアジサシが太陽が沈まない時期を狙っているのではないか?」
こういう意見があるんです。
1.北極と南極の夏は獲物が豊富
2.白夜で1日中明るく、獲物を見つけやすい
3.極地にはそもそも天敵が少ない
キョクアジサシの生涯移動距離がすごい!
キョクアジサシの追跡装置ではさらにおもしろいことも分かりました。
北極と南極までの距離は直線距離で3万5000kmですが、実はキョクアジサシはまっすぐ飛んでいないんです。
アメリカ大陸やアフリカ大陸に沿うように、ジグザグに蛇行しています。
これは大陸間で発生する気流の渦を避けているからです。
また、卓越風という季節によって起こる風も利用しています。
キョクアジサシは体力の消耗を最低限に抑えられるように風を見極めているんです。
気流の渦に巻き込まれると疲れて死んでしまうかもしれないんだ!
一見すると遠回りのように見えますが、忍耐強く、確実に飛び続けられるコースを選んでいるんですね。
そして彼らが飛び続ける距離を測ると、予想していた距離の2倍以上もの長距離を移動してたことが判明しています。
中には往復9万6000kmもの距離を飛んでいる個体も確認されているんです。
キョクアジサシの寿命は30年です。
毎年この距離を移動しているとなると200万kmを優に越えます。
長いものは280万kmです。
地球と月までの距離が384400kmです。往復で768800kmですので、キョクアジサシは生涯に3往復くらいの距離を飛んでいることになりますね。
きっと月までの片道にすら満たないんだろうな、、、
キョクアジサシは日本でも見れるの?
キョクアジサシの渡りのルートには残念ながら日本が含まれていません。
彼らの長距離飛行を日本で目撃することは難しいでしょう。
ただ、これほどの距離を移動するため、中には迷子になってしまうものもいるようです。
日本でも度々目撃されています。
本来のコースから大きく外れているため、ちゃんと目的地に辿り着けているかは分かっていません。
もし見かけたら応援してあげよう!
まとめ
キョクアジサシは北極と南極という信じられない距離を移動する渡り鳥です。
1年で最長9万6000㎞を移動できる鳥はキョクアジサシしかいません。
これほどの距離を移動するのはエサが豊富な場所で過ごしたいからなんですね。
白夜という極地限定の現象を狙っているのも、獲物を見つけやすくするかもしれません。
長距離飛行をするためには風の流れを見極めないといけません。
間違えてしまえば、風で体力が削られ、下手をすれば死んでしまう可能性もあります。
命がけの長距離飛行をするためには、キョクアジサシの忍耐強さと飛行機顔負けの飛行技術が必要不可欠なんですね。
月まで何往復もできるほど遠回りするのにも、風を利用するという理由があったんです。
時々迷子になるのもしょうがないですよね。
わたしたちの想像をはるかに上回る距離を毎年移動しているんですから、、、
でも、本当は日本に来ちゃダメなんだけどね、、、
最後まで読んでくれてありがとうね~!
解説読ませていただきました。
その中で1つ疑問がありました。
>北極と南極までの距離は直線距離で3万5000kmですが、
という記述がありますが、地球の1周が約4万㎞ですから、直線距離なら約2万㎞ではないのでしょうか。
とすると他の数字も違ってきますが・・
ごんべえさん
コメントありがとうございます。
確かに地球1周の距離は約4万㎞です。
ただ、キョクアジサシが移動する南極と北極の距離は、片道約17500㎞です。
それを1年で往復するため、35000㎞もの距離を渡るとしています。
これからもよろしくお願いします。