その生態は分かっていないことが多く、謎に包まれているんだ!
日本のどこにいるのかな?
オオサンショウウオは川の上流のきれいな環境でしか生きることができません。
また、研究者も少なく、生態を解明するためにはさらに何十年も研究していく必要があります。
謎が多いのはこのためです。
生息数は少なく、絶滅の心配もされていて、国の特別天然記念物に指定されています。
オオサンショウウオはどこでどんな生活をしているの?
何歳まで生きるの?
日本が誇る摩訶不思議両生類「オオサンショウウオ」の知られざる生態をお話しします。
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オオサンショウウオの生息地、分布は?
オレンジの部分が生息地
オオサンショウウオは日本にのみ生息している日本の固有種です。
本州、四国、九州に分布しています。
ただ、本州は岐阜県よりも西の地域に生息していて、それよりも東北の河川では確認されていません。
オオサンショウウオが暮らしているのは川の上流です。しかもきれいな清流でしか生きていけません。
また、普段は岩の隙間などでじっとしているため、ある程度岩場のある環境でしか見ることもできないんです。
そのため、生息地域の川に行けば必ず見つけられるというわけではありません。
・標高400~600mの上流
・水がきれいで濁りのない川
・オオサンショウウオが好む岩場のある環境
これらの条件、つまり人工的な要素の一切ない、自然豊かな昔ながらの川でのみオオサンショウウオを見ることができるんです。
どうです?探すロマンがありますよね。
日本の清流には珍しい両生類がたくさんいます。
例えば、魚に抱き付くことで有名な「ナガレタゴガエル」もきれいな上流にのみ生息します。
オオサンショウウオの寿命はどれくらい?
オオサンショウウオはとても長生きすると言われています。
一説には「100歳以上生きる」とか「200歳以上の個体発見!」なんていう情報もあります。
しかし、オオサンショウウオの寿命に関して、詳しいことはまだ分かっていないんです。
というのも、オオサンショウウオはさっきも説明した通り、限られた地域の限られた環境にしか生息していません。
研究しようにも生息数が少なく、見つけるのも困難なんです。
最近ようやくマイクロチップを使った、個体の追跡調査が行われるようになりましたが、まだまだ始まったばかり。野生のオオサンショウウオの寿命までは判明していないんです。
研究者も少なく、寿命を調べるにはこの先何世代もかけて調査を行わないといけません。
人間の寿命を考えると、100歳以上生きるオオサンショウウオの寿命を調べるためには最低でも2~3世代は必要ですよね。
ただ、研究は確実に進んでいます。
これから調査を続ければ、オオサンショウウオの正確な寿命が判明する可能性があります。
期待は膨らみますね。
ちなみに飼育下のオオサンショウウオの最長年齢は116歳だとされていますが、これは正確な数字ではありません。
40cm以上で捕獲されたオオサンショウウオの年齢を割り出し、そこからの飼育期間で計算されているのですが、そもそもで最初の年齢もあやふやです。
また、食用として複数のオオサンショウウオが一緒に飼育されていたらしいので、途中で他の個体と入れ替わってしまった可能性もあります。
飼育下で最も長く生きた、正確な情報だと言われているのは意外にもオランダでのことなんです。
その子は51年間飼育されたそうです。
19世紀に来日したドイツ人の医者「シーボルト」がオオサンショウウオをヨーロッパに持ち帰り、オランダのアムステルダムの動物園で展示しました。
そのとき2頭が船に乗せられましたが、途中で1頭がもう1頭を噛み殺してしまいます。
噛み殺された方の標本は残っており、こちらは体長70cmあるそうです。
噛み殺した方の標本は残念ながら残っていませんが、普通に考えると70cmよりも大きかった可能性がありますよね。
純粋に考えて、体の大きい方が強いと思われますから。
それから51年間も展示されたということです。
70㎝になるのに何十年もかからことから、オオサンショウウオが100歳以上まで生きるのは十分に考えらるそうです。
こうなると、マイクロチップでの追跡調査が進んでほしいと祈るのみですね。
野生のオオサンショウウオの正確な寿命が分かる日は近いかもしれません。
オオサンショウウオは特別天然記念物!ペットにはできない!
オオサンショウウオは現在、絶滅の心配があります。
世界的に見れば「準絶滅危惧種」ですが、日本の環境省が設定しているレッドデータブックでは「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されています。
数を減らしている理由は生息地のダム開発、岩を無くして人工的なコンクリート製の川に整備されていることなどです。
もちろん川自体の汚染も問題視されています。
また、中国に生息している「チュウゴクオオサンショウウオ」という亜種が人の手によって持ち込まれ、繁殖し、オオサンショウウオと交配してしまうことも実際に起こっています。
オオサンショウウオはワシントン条約に記載され、国際的に保護されています。
1951年には国の天然記念物に、そしてその翌年の1952年には特別天然記念物に指定されました。
これで一般人はペットとして飼育することはもちろん、触ることも禁じられています。
※ちなみに大雨の後にオオサンショウウオが下流に流されてしまうことがありますが、もし見つけても触らず、市町村役場に連絡してください。
オオサンショウウオの特徴!大きさは?
では改めて、オオサンショウウオの特徴を説明します。
オオサンショウウオは有尾目・オオサンショウウオ科・オオサンショウウオ属の両生類です。
オオサンショウウオ科の仲間は、世界に3種類が存在しています。
・オオサンショウウオ(日本)
・チュウゴクオオサンショウウオ(中国)
・ヘルベンダー(アメリカ合衆国)
※アメリカオオサンショウウオとも
この内、オオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオは同じ「オオサンショウウオ属」なため、子どもを作ることができます。
ヘルベンダーはヘルベンダー属として独立しています。
オオサンショウウオの特徴はその大きさです。
最大150cm、体重は30kg近くになることが確認されています。
実際に広島県の安佐動物公園で飼育されていたオオサンショウウオは全長151cm、体重は27.6kgあったそうです。
また、現在京都水族館で飼育されている個体は150cm、33kgあることが確認されています。
これは間違いなく両生類としては最大です。
アマゾン川やナイル川でもなく、日本の小さな清流に暮らしているオオサンショウウオが、地球上最大クラスの両生類だなんて不思議ですよね。
ここまで大きくなる理由はその「省エネ」な生活にあるそうです。
オオサンショウウオは川の中でほとんど動かずに生活しています。
肺呼吸なため、たまーに息継ぎをする程度です。
そして、目の前を通った小魚を大きな口でパクッ!
丸飲みにしちゃうんです。
多くても2日に1回、少ないものは1週間に1回しかご飯を食べないそうです。
普段は動かずにじーっとしていて、最低限の動きのみで獲物を捕まえる。
この省エネな生活が、オオサンショウウオをここまで大きな体にしているんです。
また、小さくつぶらな瞳も特徴ですよね。
模様にしか見えないくらい小さく、無いようにすら感じますが、しっかり目が開いています。
この目はほとんど機能していないそうで、明るいか暗いかの判断しかできないとも言われています。
暗くて居心地のいい岩の隙間を探すのに役立っているんです。
また、目にまぶたはありません。
完全に水中生活に適応しているんです。
指は前足に4本、後ろ足に5本あり、指先は吸盤みたいにプニプニしていて、触ると気持ちよさそうです。
この足で流れの早い上流の中でも踏ん張りながら歩くことができます。
太くて短い足はかわいらしいですよね。
オオサンショウウオの名前の由来!ハンザキって?
オオサンショウウオを漢字で書くと「大山椒魚」です。
これはオオサンショウウオがストレスを感じたり、身を守ろうとしたりするときに体から出すネバネバの粘液が、山椒の香りを発するからだそうです。
ただ、実際に匂いを嗅いでも無臭なことが多いようです。
「じゃあ何で?」って感じですね、、、
ちなみにオオサンショウウオは別名「ハンザキ」とも呼ばれます。
これは「大きな口が顔の半分ほどまで裂けているように見えるから」とか「オス同士のバトルで、相手の体を半分裂いてしまう」からなどが由来です。
ちょっと怖いですね、、、
オオサンショウウオの生態!食べ物は何?
大きな口のオオサンショウウオですが、その狩りも意外と豪快なんです。
顔を下流に向けて、岩の隙間などの川底に陣取り、ひたすら獲物が口の前を通るのを待ちます。
そしてわずかな水の動きも見逃さず、水と一緒に獲物を丸飲みにするんです。
まさに早業!
さらに特徴的なのはその食べ物です。
獲物としているのは川魚やサワガニ、カエルやヘビ、そしてカメなど、つまりなんでも食べちゃうんです。
固い甲羅を持つカメでも消化できます。
恐ろしい消化能力ですよね。
人間の手でも噛みついてきますし、流れている生ゴミが胃から出てきたこともあるそうです。
ゴミが原因で体長を悪くする子もいるかもしれませんね、、、
とにかく、オオサンショウウオは何でも食べる大食漢です。
ほとんど動かない省エネさ、大きな獲物でも食べられる消化能力と大食っぷり!
これがオオサンショウウオが巨体を維持できる理由です。
オオサンショウウオは共食いする!?
さて、大食漢なオオサンショウウオですが、全ての個体がいつもご飯にありつけるわけではないんです。
場所によっては全然獲物が通らないこともあります。
こうなるといい場所を確保できるだけの運と、そこを奪い取れるだけの実力が必要になってきます。
理想は湧き水が出ているような場所だそうです。
そんな場所は獲物も通りやすいとか。
魚やカニだけではありません。
いい場所はオオサンショウウオだって狙って通ります。
大型のオオサンショウウオが食べられるだけのサイズの個体が通ることだってあります。
つまり共食いするんです。
実際にオオサンショウウオの胃の辺りからマイクロチップの反応が確認されたこともあります。
マイクロチップを仕込んだ別の個体を飲み込んでいたんです。
信じられませんがカメでも丸飲みにしちゃうオオサンショウウオです。
共食いだって普通にしそうですよね。
オオサンショウウオの繁殖はどんな感じ?
オオサンショウウオの繁殖期は水が冷たくなる9月頃から始まります。
繁殖期にはオス同士がいい場所を巡って、頻繁に争い出すそうです。
この時期に首が裂けてしまうオオサンショウウオが増えるんだとか、、、
かなり激しくケンカするんですね。
そして勝ち残ったオスはメスを巣に迎え入れ、メスが産卵した卵に精子をかけるんです。
体外受精と呼ばれるスタイルですね。
このとき、他のオスもしれーっと精子をかけるみたいなんです。
最終的にはみんなに子孫を残すチャンスがあるってことですね。
卵は400~500個近く産まれ、孵化までの50日間はオスが保護します。
違うオスの子どもがいるかもしれないんですけどね。
孵化した子どもは最初はエラを持っています。
生後4~5年は川の中で暮らし、大人と同じ体に変態します。
カエルのオタマジャクシと一緒です。両生類の特徴ですね。
「ウーパールーパー」って知ってる?正式にはメキシコサラマンダーっていうんだ!
まとめ
オオサンショウウオは日本の限られた清流にのみ生息しています。
しかも上流の方にしかいないという、、、
完全に幻に近い動物ですよね。
寿命に関しては正確な数字が分かっていないのが現状なのですが、これからマイクロチップでの追跡が続けられればきっと判明するはずです。
100年以上生きるのは本当なのでしょうか?
可能性は十分ありますよね。
日本という小さな環境でこれほどまでに大きくなった珍しいオオサンショウウオです。
絶滅だけは避けなければいけません。
ゴミのポイ捨てなんて絶対にダメですよね。
環境の悪化で一気にいなくなってしまうかもしれません。
みんなで守っていきましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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