ウーパールーパーはペットとしても人気ですよね。
みなさんも一度はこの名前を聞いたことがあると思います。
ですが、ウーパールーパーの正体を知っている人は少ないんじゃないですか?
ウーパールーパーはどんな生き物?
陸に上がることはあるの?
などなど、疑問も多いことでしょう。
今日は未確認生物のような不思議な見た目「ウーパールーパー」に迫ってみましょう。
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ウーパールーパーの生態
・ウーパールーパーはサンショウウオの幼体(子ども)
・幼体はエラで呼吸する水生
・幼体のまま子どもを作れる「幼生成熟(ネオテニー)」という特徴を持つ
・条件によっては肺呼吸(陸タイプ)に変態する
・手や足がちぎれても回復することができる
それぞれ詳しく解説していきます。
ウーパールーパーはサンショウウオの子ども!
ウーパールーパーは両生類です。
両生類と言えばカエルが有名ですね。
カエルの子ども(幼体)はオタマジャクシで、エラで呼吸している水生です。
大人(成体)になるとカエルになり肺呼吸に変化します。
これを両生類の「変態」と呼びます。
水中(エラ)と陸(肺)、両方で生活する時期があるため「両生類」なんです。
ウーパールーパーも両生類なので、幼体から成体に変化します。
ただ、実はウーパールーパー自体が幼体なんです。
オタマジャクシとは見た目が違いますが、ウーパールーパーの仲間「サンショウウオ」の幼体は手足がある見た目を持っています。
そして顔の横側に3本ずつ「外鰓(がいさい)」と呼ばれるエラを持っています。
外鰓は魚が持っているようなエラとは全然違いますが、水の中の酸素を心臓に運ぶ役割を持っています。
そして成体に変態し、肺呼吸になることで、エラは自然に消えていきます。
手足の力は弱く、陸で歩けるほどの筋力はありません。
水の底をはう程度に使用されます。
ウーパールーパーは幼生成熟(ネオテニー)する!?
普通、両生類は幼体から成体に変態することで、繁殖できるようになり子孫を残していきます。
しかし、ウーパールーパーはとてもおもしろい特徴を持っているんです。
なんと、幼体のままでも繁殖できるんです。
「幼生成熟(ネオテニー)」と呼ばれるとても珍しい生態です。
カエルで例えると、オタマジャクシが繁殖できちゃうってことになります。
オタマジャクシはカエルの子どもです。普通なら考えられませんよね。
ウーパールーパーはネオテニーによって、変態することなく繁殖していけるんです。
ウーパールーパーは陸生化(変態)する!?
ウーパールーパーがサンショウウオの幼体で、ネオテニーによって幼体のまま繁殖することは分かりました。
では、ウーパールーパーは肺呼吸の陸生タイプには変態しないのでしょうか?
野生のウーパールーパーは変態しません。
両生類が変態するために必要とされる「サイロキシン」という甲状腺ホルモンの一種を体内で作り出すことができないんです。
これがウーパールーパーの特徴でもあります。
ただ、飼育下では条件を満たすことでウーパールーパーも変態することが分かっています。
条件は2つあります。
・変態を促す甲状腺ホルモン(サイロキシン)を注射する
・陸に少しずつ慣れさせる
サイロキシンを作り出せないのであれば、人工的に投与すれば解決しますよね。
また、陸に少しずつ慣れさせて、肺呼吸を促すことでも変態するようです。
また、偶然水槽の水が抜けたり、水質が悪化したりしてしまっても陸生化することがあります。
ただし、元々変態せずに繁殖してきたウーパールーパーです。
条件を満たせば必ずこの姿になる、というわけではないようです。
通常、ウーパールーパーの寿命は10年ほどですが、変態することで3分の1~2分の1にまで短くなってしまいます。
ウーパールーパーという名前は日本の「ある企業」が付けたあだ名!?
日本人が一般的に使っている「ウーパールーパー」という名前は、実は正式名称じゃないんです。
ウーパールーパーの本名は「メキシコサラマンダー」といいます。
ウーパールーパーという名前が広まったきっかけは、1985年に放送された「日清UFO」のCMなんです。
ウーパールーパーというキャラクターが登場します。
そしてこのCMがウーパールーパーの大ブームを引き起こします。
たった1つのCMで大ブームが起こり、その名前が今でも使われているなんてすごいですよね。
ブームが終わっても名前は定着しています。
今では正式名称を知っている人の方が少ないくらいです。
ウーパールーパーの生息地はどこ?
ウーパールーパーことメキシコサラマンダーはその名の通り、メキシコにのみ生息している固有種です。
メキシコの首都メキシコシティにあるソチミルコ湖を住処としています。
ただ、ウーパールーパーのような白い体の個体は突然変異によって現れたものです。
通常のメキシコサラマンダーは黒っぽい色をしています。
突然変異で生まれた白いメキシコサラマンダーを人工繁殖し、量産されたのがウーパールーパーです。
つまり、人工的に作られた生物ということですね。
ウーパールーパーは脳ですら回復してしまう再生能力を持つ!?
メキシコサラマンダーの白い個体、ウーパールーパーが生まれた経緯に「ウーパールーパーが実験動物として扱われていた」ということがあります。
ウーパールーパーはネオテニーという性質を持っているため、極端な話「子どものままの姿」を維持しています。
つまり、細胞がまだまだ成長段階のままなんです。
この状態の細胞は、失われても回復できる可能性が高いんです。
手がちぎれても、脳が失われても、すぐに細胞が傷口に集まり再生させます。
ウーパールーパーの驚異的な回復能力は科学の世界で注目され、実験に使われるようになりました。
そして無理矢理な繁殖も行われ、突然変異の白い個体が産まれたんです。
ウーパールーパーは絶滅危惧種!?
実験動物としての乱獲でウーパールーパーは数を激減させます。
さらに生息地ソチミルコ湖は、現在開発や埋め立てが進みほとんど残っていません。
もはや湖とも呼べないほどにまでなってしまったんです。
左が以前までのソチミルコ湖、右が現在
メキシコサラマンダーはわずかに残った水路などに生息している程度、、、
さらに水質汚染も進んでいます。
現在絶滅危惧種に指定されていて、レッドデータブックのカテゴリーは「絶滅危惧ⅠA類」です。
近い将来絶滅してしまう可能性はとても高いです。
野生動物を保護する国際条約「ワシントン条約 附属書Ⅱ」に指定され、取引には輸出国の許可が必要です。
野生のウーパールーパーを商業目的で取引するのは不可能だと言えますね。
懸命に保護されているんです。
ウーパールーパーがペットにできる理由!
実はワシントン条約での規制の対象は「輸出入」のみで、国内で繁殖させている個体に関しては規制の対象外なんです。
現在ペットショップで販売されている個体は日本で繁殖、流通させたものです。
罪に問われることはありません。
まとめ
・ウーパールーパーはサンショウウオの幼体
・幼体のまま繁殖できる「ネオテニー」という特徴を持っている
・ホルモン投与や陸に慣れさせることで「陸タイプ」に変態する
・ウーパールーパーという名前はCMで付けられたあだ名
・正式名称は「メキシコサラマンダー」で、メキシコの固有種
・生息地ソチミルコ湖はほとんど残っていない
・驚異的な回復力で実験に使われていた
・偶然産まれた白い個体を人工繁殖したのがウーパールーパー
野生のウーパールーパーは絶滅の危機に瀕しています。
飼育している人が多くても安心はできませんね。
保護が進められることを祈るのみです。
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