大型の爬虫類といえば、ワニやヘビが有名どころですが、実はトカゲの仲間にも大型になる種類がいるんです。
オオトカゲと呼ばれる仲間で、中でもコモドオオトカゲはコモドドラゴンとも呼ばれる最大のオオトカゲです。
ドラゴンと呼ばれるだけあって、恐竜を思わせるほどの荒々しい見た目が特徴です。
さらに、コモドドラゴンは毒を持っていることも分かっています。
この毒を使って、自分より遥かに大きな動物を仕留めることもできるんです。
人間が食べられた記録も、、、恐ろしや!
まるで生きた恐竜と言われる「コモドドラゴン」とはどのような生態なのでしょうか?
今日は「伝説のドラゴン」とも呼ばれているコモドドラゴンのお話です。
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コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)の特徴大きさはどれくらい?
コモドドラゴン(コモドオオトカゲ) | |
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学名 | Varanus komodoensis |
英名 | Komodo Dragon |
生息地 | インドネシア (コモド島、フローレス島南部、リンチャ島) |
体長 | 70~130㎝ |
全長 | 200~300㎝ |
体重 | 70~160㎏ |
コモドドラゴンは有鱗目・オオトカゲ科・オオトカゲ属の爬虫類です。
正式な和名はコモドオオトカゲですが、英名の「Komodo dragon(コモドドラゴン)」が一般的にも広まっているため、こちらで紹介していきます。
平均的な体長(頭胴長)は70~130cmで、体重は70kgです。
しっぽまで含めた全長は200cm~300
cmにもなります。
ただし、食前と食後で体重の差が著しいようです。
観測された最大の個体は全長313cm、体重は166kgです。
全身の色は暗く、灰褐色です。
爬虫類特有の荒々しい野性味溢れる見た目ですね!
長いしっぽを叩きつけるように攻撃することもできます。
コモドドラゴンの生息地
コモドドラゴンはインドネシアのコモド島、フローレス島南部、リンチャ島に生息しています。
落葉樹林やサバンナ地帯、河辺などを住みかとしていて、明け方から活動を行います。
体温が低いと活動できない変温動物なため、明け方に日光浴をして体温をしっかり上げてから動き出します。
子どものコモドドラゴンほ木の上で生活することが多いのですが、大人も以外と木登りが上手なようです。
長く鋭い爪を使って木をよじ登ります。
基本的には巣穴で生活しています。
体が小さな個体は木の穴を住みかとしていますが、大きくなると自分で穴を掘ったり、イノシシやジャコウネコの巣穴を利用したりします。
コモドドラゴンはスピードも速い!?最速のトカゲ!
コモドドラゴンは四肢が発達していて、鋭い爪も備えています。
獲物を切り裂くのに使用します。
また、巨体に似合わず俊敏に動くことができます。
スピードは時速20kmにもなり、決して早くはありませんが、本気で走らないと追い付かれます。
持久力に優れていて、ひたすら追いかけることができるようです。
また、意外にも泳ぎを得意としていて、長距離を泳ぐこともできます。
さらに4mほど潜水した記録もあります。
マルチな才能ですね。
コモドドラゴンの嗅覚
コモドドラゴンは細長い頭部を持っています。
吻が長く、嗅覚が優れていることが分かりますね。
ただ、哺乳類のように鼻で匂いを嗅ぐのではなく、ベロを出し入れすることで空気中の匂い物質を感じることができます。
ヘビと同じ習性ですね。
実際に4km離れている死骸をかぎ分けることもできるそうです。
視覚よりも嗅覚を中心に行動していることが伺えますね。
コモドドラゴンの毒の成分と毒性の強さ!
コモドドラゴンは鋭い牙を持っています。
この牙はノコギリのようにギザギザで、さらに後方に湾曲しています。
鮫と同じような構造ですね。噛まれると簡単には引き抜くことができません。
さらにコモドドラゴンは毒も持っています。
今までは毒ではなく、口の中の食べ残しによって沸いて出てきたバクテリア(細菌)だと思われていました。
私も以前動物番組で「口の中のバクテリアが噛みついた獲物の肉を腐らしてしまう」ということを聞いたことがあります。
しかし、これは間違いだったんです。
近年の研究でバクテリアではなく「ヘモトキシン」という毒だということが判明しました。
ヘモトキシンは血液の凝固を阻害するような成分で、噛まれた相手は出血によりショックに陥ります。
最悪の場合死んでしまうほど強力な毒です。
ノコギリのような牙の隙間に毒線があり、噛みつくことで毒が流し込まれます。
ヘビも毒を持つ爬虫類ですが、毒の注入に特化しすぎて牙が脆くなっています。
その代わり、ヘビ毒は強力なものが多いです。
ヘビは噛みつくダメージよりも、その後の毒による神経のマヒや細胞の破壊、出血の方を重要視しているんですね。
一方のコモドドラゴンは強力な牙を保有しつつ、毒の注入にも特化しています。牙によるダメージと毒によるダメージの両方を相手に与えることができるんです。
まさに有毒生物の王者ですね!
人間の被害もあり、死亡事故もあります。
しかも人間が食べられてしまったという記録もあるんです。
コモドドラゴンの狩り!噛まれたら?
コモドドラゴンは肉食性でイノシシ、シカ、スイギュウやヤギなどの大型哺乳類を獲物としています。
他にも鳥類やネズミの仲間、爬虫類など、食べられる肉なら、なんでも食べてしまいます。
空腹が限界に達すると共食いもしてしまうようです。
狩りは基本的に待ち伏せで行い、通りかかった獲物に噛みつきます。
コモドドラゴンは早く走ることができないのですが、1度でも噛みつくことができれば毒を注入することができます。
獲物はじわじわ出血が進み、最終的にはショック死してしまいます。
後はゆっくりと獲物の元まで嗅覚を頼りに辿っていき、食べるだけですね。
待ち伏せ、毒、嗅覚と、足の遅さをカバーするために進化していったのでしょう。
ちなみにこの地域には大昔に小型のゾウが生息していたと言われていて、コモドドラゴンはそのゾウを捕食するために大きくなったのではないかと考えられています。
コモドドラゴンの繁殖
コモドドラゴンは卵生です。
繁殖期は5~8月で、この時期にオスは後ろ足で立ち上がり取っ組み合いをします。「コンバットダンス」と呼ばれる行動で、強いオスのみがメスと交尾します。
9月ごろに10~30個の卵をツカツクリという鳥の巣穴に産み落とします。
卵はそのまま地面の中に保管され、4月ごろに孵化します。
生後4~5年で性成熟します。
単為生殖もできる!?
通常、生き物はオスとメスが揃って初めて子孫を残すことができます。
ただ、種によっては単為生殖と言って、メスのみでも子孫を残すことができる場合があります。
トカゲ類でも単為生殖をによって種を残すものがいますが、コモドドラゴンも2006年に単為生殖が確認されています。
イギリスの2つの動物園で、オスとの交尾無しでメスが卵を産み、うち1ヶ所では孵化までしているそうです。
コモドドラゴンで単為生殖が確認されたのはこれが初めてです。
コモドドラゴンは天敵無しの最強生物!?
コモドドラゴンは現在、絶滅危惧種に指定されています。
理由は生息地の森林の開発、密猟による獲物の減少です。
いかに最強のコモドドラゴンでも、人間の開発には勝てません。
コモドドラゴンの1番の天敵は人間です!
コモド島の1つ、パダール島にも生息していましたが、エサとなるシカを人間が狩りつくしてしまったため、パダール島のコモドドラゴンは絶滅しています。フロレス島の生息数も激減しています。
1920年に保護の対象とされ、1970年には生息地がコモド国立公園に指定され、懸命に保護されています。
1975年のワシントン条約制定から付属書Ⅰに記載され、国際的な取引が規制されています。
コモドドラゴンは飼育できる?
コモドドラゴンはワシントン条約に記載されているため、取引には国同士の許可が必要です。
インドネシアでは保護にかなりの力を入れているため、個人が飼育するのは現実的ではありません。
個人的にコモドドラゴンをペットにするのは不可能でしょう。
コモドドラゴンがいる動物園
現在、日本の動物園にはコモドドラゴンはいません。
過去にはインドネシアとの友好関係50周年を記念して、2008年から円山動物園で展示されたこともありました。
また、上野動物園でも1995年にインドネシアから贈られています。
ただし、いずれもレンタルだったため、上野動物園は2008年に、円山動物園は2010年に、インドネシアに返却されています。
これ以外の動物園でコモドドラゴンを飼育したケースはありません。
まとめ
・コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)は全長3mにもなる大型のトカゲ
・インドネシアのコモド島などにのみ生息している
・口の中にはのこぎり状の牙があり、毒も持っている
・肉食性で、大型の哺乳類も捕食する
・開発や獲物の数が減っていることで絶滅の恐れがある
コモドドラゴンは生きた恐竜とも言われるほど、迫力満点の見た目をしています。
毒もあるなんて、まさにドラゴンって感じですね。
絶滅の恐れがあるということで、伝説にならないためにも、保護を進めてほしいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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