スナドリネコって知ってますか?
スナドリネコといえば、ボノボノに出てくるあのかっこいい「スナドリネコさん」を想像するんじゃないでしょうか。
「あんなイケメンなネコがこの世にいるの?」
そう思いますよね!
スナドリネコは実際に存在している動物なんです。
東南アジアに生息し、ネコのなかでは珍しく泳ぎが得意なんです。
名前の由来は「漁る(すなどる)」からで、その名の通り漁をするネコです。
スナドリネコとはどんなネコなんでしょうか?
どのように漁をするんでしょうか?
自然界屈指のイケメン猫「スナドリネコ」に迫ってみましょう。
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スナドリネコの特徴
スナドリネコは食肉目・ネコ科・ベンガルヤマネコ属の哺乳類です。
名前には入っていませんが、原始的なネコ「ヤマネコ」の一種です。
体長は55~85cm、体重は5.5~8kgで、イエネコを一回り大きくしたようなサイズです。
ただ、住んでいる地域によって体の大きさが異なり、インド地方のものは体長80cm、インドネシアのものは体長60cmほどと、北の地域のものほど大きくなります。
体の色は灰色っぽく、体中に斑点模様が、頭から首の裏にかけては黒いラインが入ります。
全身の体毛が短く荒っぽいのは、水に濡れてもすぐに乾くためです。
体の模様と大きさはベンガルヤマネコそっくりです。
ベンガルヤマネコとスナドリネコは同じ系統から分離した上に生息地も被っているため、見た目も似ているのでしょう。
基本的にネコ科の動物は爪を引っ込めることができますが、スナドリネコはそれができません。
同じように爪を引っ込めることができないネコ科の動物にチーターがいます。
チーターは速く走るために、爪を引っ込めなくなりました。地面をしっかり爪でつかむ必要があったため、引っ込める機能がいらなくなったのでしょう。
チーターの場合は進化ですが、スナドリネコが爪を引っ込められない理由は分かっていないんです。
さらにスナドリネコには水かきもあります。
泳ぐことに特化した体だと言えますね。
スナドリネコの生息地
インドネシアやマレー半島、インドにかけてなど、東南アジアの熱帯雨林で暮らしています。
沼地やマングローブなどの水辺を好んで生活拠点にしているようです。
生息地の熱帯雨林はジャングルで、人が出入りすることは滅多にありません。
スナドリネコは一目に触れることが少なく、現地でも幻のネコだと言われています。
スナドリネコの食性
スナドリネコ完全に肉食性です。
冒頭でも紹介しましたが、スナドリネコを漢字にすると「漁り猫」です。
英名は「Fishing cat」で、漢字でも英語でも漁をするネコということですね。
主に魚類、カニやザリガニなどの甲殻類、両生類、貝類などを獲物としています。
潮が引いたマングローブの浅瀬、岩の上、岸辺などから器用に魚をすくって捕まえることができます。
同じ方法で甲殻類やカエルなども捕まえます。
スナドリネコの狩りのスタイルは、熊手で潮干狩りをするようなイメージなんです。
時には深いところにも潜って、貝や魚を捕ることもあります。
基本的に水を嫌がることはありません。
まさに漁をするネコですね。
ただし、陸地でも狩りをすることがあり、ネズミやヘビ、鳥類などの小型動物を獲物とします。
近年では餌場の減少で、人間の家畜を襲うようにもなっています。
スナドリネコの繁殖
スナドリネコは胎生で、妊娠期間は60日前後です。
1回の出産で2〜4頭、基本的には2頭の赤ちゃんを産みます。
出産は岩の隙間や藪の中、木の穴などで行われます。
スナドリネコの子どもは生後15日ほどで目が開き、50日が経つと肉類を食べ始めます。
9ヵ月が経過すると大人と見分けがつかないほどに大きくなり、生後10ヵ月ほどで独り立ちします。
スナドリネコは絶滅危惧種!
現在、スナドリネコは絶滅危惧種に指定されています。
年々数を減らしているんです。
スナドリネコが生きていくためには、魚などの水棲生物が生息できるだけの、きれいな水場が必要不可欠です。
しかし、こうした水場は開発や水質汚染でどんどん減っているんです。
水場が無くなるということは、スナドリネコにとって「大切なエサ場が無くなってしまう」ということです。
また、エサが少なくなってしまったことで、スナドリネコが家畜を襲う被害も増えています。
本来なら水棲生物を主な獲物としているスナドリネコですが、生きるために必死になることで、人間のテリトリーにも入ってきてしまうんです。
家畜を襲われた人間のほとんどは、襲った犯人を駆除してしまいます。
今後も家畜が襲われてしまうことを防止するためです。
スナドリネコも人間の報復で駆除されてしまうことが増えています。
生息地の開発、水質の汚染、害獣としての駆除によって、スナドリネコは数を激減させてしまっています。
現在スナドリネコは「絶滅危惧種(VU)」に指定されています。
スナドリネコはペットにできる!?
スナドリネコは絶滅危惧種に指定されていますが、ワシントン条約には記載されていません。
そのため個人的にも輸入することが可能なようです。
ただし、日本でスナドリネコは特定動物に指定されています。
特定動物とは、人やその財産に対して危害を加える恐れのある陸上生物のことで、飼育するためには各都道府県知事の許可が必要です。
許可を得るためには施設や動物の保管方法などを徹底しなくてはいけません。
個人がスナドリネコを飼育するのは現実的に考えて難しいと思います。
ロシアは動物に関する規制が緩い一面があるそうで、実際にスナドリネコも飼育されています。
爪を引っ込められないため、ケガをする恐れはあるそうです。
スナドリネコの野性的な姿や生態に興味のある方は、飼育環境や安全管理を徹底したうえで、都道府県知事に許可を求めてみてください。
飼うのは不可能ではありません。
スナドリネコが飼育されている動物園、水族館
動物園
・東山動物園(愛知県名古屋市)
・神戸どうぶつ王国(兵庫県神戸市)
水族館
・鳥羽水族館(三重県鳥羽市)
鳥羽水族館のスナドリネコ
スナドリネコは陸上動物なので、基本的に動物園が飼育しているものとばかり思っていました。
しかし、漁をするネコです。水族館が飼育していてもおかしくないですよね。
実際に三重県の鳥羽水族館でスナドリネコが展示されていて、とても人気なんです。
オスのサニーとメスのパールという2頭のスナドリネコで、実際に漁る(すなどる)様子も撮影されています。
運がよければスナドリネコのごはんの様子を見ることができるかもしれません。
まとめ
スナドリネコは東南アジアの熱帯雨林に生息しているヤマネコの一種です。
水辺で生活し、魚や甲殻類、両生類などを「漁る(すなどる)」ネコです。
水かきも持っていて、ネコの仲間では珍しく、水を嫌がりません。嫌がるどころか積極的に潜って泳ぐこともできます。
人間がなかなか踏み入ることのできないジャングルの奥地で暮らしているため、姿を見ることはまれです。
さらに、生息地の開発や水質汚染でどんどん数を減らしています。
名前だけじゃなく見た目もかっこいいネコです。
この不思議な生態を持つ動物を絶滅させてはいけませんよね。
保護活動が進むことを祈っています。
鳥羽水族館ではスナドリネコの飼育がおこなわれています。
本物を見たい方はぜひ遊びに行ってください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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