熊と言えば、日本でも被害が出ている超危険生物ですよね。
見た目こそかわいいため、キャラクターのモデルになることがありますが、実際のところは大きくて本当に恐ろしい動物です。
世界中に分布しているため、成功しているグループの動物だと言えるのではないでしょうか。
一口に熊と言っても実際は大小様々な種類がいますよね。
危険生物の代表格、熊を全種類紹介します。
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クマの下位分類
熊は食肉目・イヌ亜目・クマ科に属する動物の総称です。
クマ科からさらに3種類の亜科に分類され、その内のクマ亜科はさらに3つの属に下位分類されます。
・クマ亜科
クマ属
マレーグマ属
ナマケグマ属
・メガネグマ亜科
メガネグマ属
・ジャイアントパンダ亜科
ジャイアントパンダ属
現存するクマの仲間で最も種類が多いのがクマ亜科の3属6種類です。
残りの2亜科にはそれぞれ1種類ずつが属しています。
クマ亜科
クマ属
ホッキョクグマ
Foto by Wikimedia
言わずと知れたクマ科最大の熊です。
オスの体長は最大で2.5m、体重は600kgにもなります。メスは少し小柄で体重は1.8m~2m、体重は200~350kgです。
地上最大の肉食動物とされています。
主に北極大陸に生息し、北アメリカ大陸やユーラシア大陸の北部にも生息しています。
北極圏という気温が低く厳しい環境でも生きていくため、特殊な体毛を持っています。
実はホッキョクグマの体毛は透明で、太陽光を通す造りになっています。これにより肌まで直接光が届きます。さらに皮膚の色は黒で、効率よく熱を吸収できます。
ホッキョクグマが白く見えるのは、体毛の中で光が乱反射しているからなんです。
分厚い脂肪が熱を逃がさないため、氷点下の海を何時間も泳ぐことができます。
また、他の熊に比べて顔が小さいのは、水の抵抗を抑えるためです。
雑食性ですが肉食性がとても強く、アザラシ、イッカク、シロイルカなどの哺乳類、魚類、鳥類などを捕食します。クジラの死骸も食べます。
意外にも雪が溶ける時期にはイチゴやコンブなどの植物も食べているようです。
熊の仲間でも屈指の知能を持っていて、飼育されているホッキョクグマが道具を使ってエサを取ることが確認されています。
地球温暖化によって北極の氷が溶けてしまうことで、ホッキョクグマの生息地が減少しています。
いくら寒さに強いホッキョクグマでも永遠に海の中にはいられません。
現在絶滅危惧種に指定されています。
ヒグマ
Foto by Wikimedia
ホッキョクグマに次ぐ大きさをもつ熊です。
オスの体長は最大で3m、体重は500kgにもなります。
メスの体長は2.5m、体重は300kgほどです。
肉食性に近い雑食性で、シカやイノシシ、ネズミなどの小型~中型哺乳類、サケやマスなどの魚類を好物としています。果実もよく食べます。
また、生息地によってはトラやオオカミが仕留めた獲物を横取りすることがあるようです。
ヨーロッパからアジア、北アメリカなどに幅広く分布していて、最も広い地方に存在している熊とも言えます。
分布域によってハイイログマ、エゾヒグマ、コディアックヒグマ、ヨーロッパヒグマなど、いくつかの亜種が存在しています。
特に北アメリカに生息するハイイログマは別名「グリズリー」といって、ヒグマの中でもかなりの大型になります。
グリズリーはアメリカグマを捕食することもある、まさに最強の熊です。
また、アラスカ北端の沿岸部、コディアック島周辺に生息しているヒグマの亜種「コディアックヒグマ」は体格的には最も大きくなります。
コディアック島周辺には産卵のためにサケが大量にやってきます。
このサケをたらふく食べられるため、コディアックヒグマは大型になるんです。
最大で1000kg以上の個体も確認されています。
日本には北海道の森林にエゾヒグマが生息していて、日本最大の哺乳類と言われています。
過去にはメキシコハイイログマ、カリフォルニアハイイログマ、カムチャッカオオヒグマなどの亜種が存在していましたが、毛皮目的による乱獲で絶滅してしまいました。
アメリカグマ(アメリカクロクマ)
Foto by Wikimedia
アメリカ合衆国、カナダ、メキシコに生息している熊です。
体重は最大で2m、体重は400kgになる比較的大型の熊です。
植物を中心に食べる雑食性で果実、植物の種、昆虫、魚類、小型哺乳類などを食べます。動物の死骸も食べています。
ハイイログマに比べると小柄なため、しばしば捕食されてしまうことがあります。
そのため、グリズリーがいない森林などの地域に生息しています。ただし、ハイイログマが絶滅した地域に分布域を広げることもあります。
ゴミを漁ることが多く、キャンプ場にもしばしば現れるため、人間が襲われる被害が増えています。
ツキノワグマ
Foto by Wikimedia
アフガニスタンなどの東アジアから東南アジア、日本や中国といったアジア地方に生息している熊です。
胸の辺りに三日月模様が入るのが特徴です。
「月の輪」ということですね。
体長120~180cm、体重は50~120kgと中型の熊といったところでしょうか。
ヒグマと同じく、生息地によって
・ニホンツキノワグマ
・タイワンツキノワグマ
・チベットツキノワグマ
・ヒマラヤツキノワグマ
・ウスリーツキノワグマ
・シセンツキノワグマ
・パラチスタンツキノワグマ
といった亜種が存在しています。
植物を中心とした雑食性で、果実や植物の種、昆虫、小型哺乳類、鳥類のヒナなどを食べます。
環境によっては肉食傾向が強くなるみたいです。
マレーグマ属
マレーグマ
Foto by Wikimedia
東南アジアに生息する、クマの仲間では最小の種類です。
体長100~150cm、体重は60kgほどにしかなりません。
別名「Dog bear(犬みたいな熊)」とも呼ばれます。
全身の体毛は短くて光沢があり、胸の辺りににはツキノワグマと同じような三日月模様が入ります。
視覚が衰えていて、逆に嗅覚が発達しています。
雑食性でトカゲや小型哺乳類、果実などを匂いで探し当てます。
そしてものすごく長い舌でペロリと食べちゃいます。
マレーグマはとても穏やかな性格をしていて、子熊は人間の子どもの遊び相手にもなります。
生息地ではペットとして飼育されるほど。
ただし、農作物を荒らすことから害獣扱いされ、駆除されることも、、、
個体数が減っているため、絶滅危惧種に指定されています。
ナマケグマ属
ナマケグマ
Foto by Wikimedia
インド、ネパール、バングラデシュ、ブータン、スリランカに生息しています。
体長は最大で180cm、体重は100kgほどの中型の熊です。
草原や雑木林に生息していて、曲がった爪で木にぶら下がることができます。
この姿が「ナマケモノ」に似ていることから「ナマケグマ」という和名がつけられました。
グータラしているわけではないんですね。
シロアリが大好物で、息を吹き掛けてゴミを飛ばし、シロアリのみを食べるという独特の食べ方を得意としています。
花やハチミツも好物なようです。
また、果実や昆虫、動物の死骸なども食べる雑食性ですね。
農地に出てきて人を襲ってしまうことがあり、現地では年間何名もの人がナマケグマの襲撃の被害にあっています。
ナマケモノと違って危険生物とされています。
人間による生息地の開発やハチミツの採集によって、住みかや食べ物が減っています。
しかも薬の材料になると今でも信じられていて、密猟者も後を絶ちません。
現在、生息数が激減していて、絶滅危惧種に指定されています。
メガネグマ亜科
メガネグマ属
メガネグマ
Foto by Wikimedia
南米ペルーやエクアドルといった、標高1000~3000mの熱帯ジャングルに生息しているかなり珍しい熊です。
体長は120~200cm、体重は150kgほどと、少し大型になります。
顔に白や黄色の線が入り、これが眼鏡に見えることがあるため、このような和名がつけられました。
果実や葉っぱなどの植物を好みますが、昆虫や小型哺乳類も食べる雑食性です。
毛皮目的の乱獲や害獣としての駆除、生息地の開発によって数が激減し、絶滅危惧種に指定されています。
個体数は850頭ほどとも言われ、保護が呼びかけられています。
ジャイアントパンダ亜科
ジャイアントパンダ属
ジャイアントパンダ
Foto by Wikimedia
世界3大珍獣のうちの1種類です。
中国の標高1200~4000mの山奥の竹林にのみ生息します。
体長120~150㎝、体重は100㎏ほどです。
耳、目の回り、両手足が黒い体毛で、残りは白い体毛で覆われています。
パンダが暮らす山奥は夏場は緑が豊富ですが、冬になると雪が降り積もります。冬には白い部分が、夏には黒い部分がそれぞれ保護色になっているから、このような色になったと考えられています。
骨が変形してできた第6、7の指が確認されていて、熊の仲間で唯一、手で物を掴むことができます。
笹を食べることは有名ですね。
食肉目のパンダは笹をあまり消化できないため、ずーっと食べ続けないと必要なエネルギーを得られません。そのため、ほとんど動かずにエネルギーを節約し、笹を食べ続ける生活をしています。食べた量の20%しか吸収できていないとも、、、
また、植物食が強いのですが、小型哺乳類、魚類、昆虫類などの肉類を食べることもあります。
パンダは他の肉食動物との生存競争に敗れて、現在の生息地に追いやられてと考えられています。
エサが少ない地域でも生き残るために笹を食べ始めた、ということなんです。
生息地の開発により個体数が激減しています。
現在、野生の個体数は1500頭ほど、もちろん絶滅危惧種に指定されています。
中国の四川省などにパンダ育成センターが存在し、国をあげてパンダの保全に力が入れられています。
日本に生息している熊
日本にはヒグマの亜種である「エゾヒグマ」とツキノワグマの亜種である「ニホンツキノワグマ」の2種類が生息しています。
エゾヒグマ
Foto by Wikimedia
北海道の森林や野原に生息している、日本最大の哺乳類です。
ヒグマとしては比較的小柄な亜種ですが、それでも最大で2mを超える大型動物です。
体重は最大で200㎏を越えることがあります。
昆虫類や魚類、哺乳類や鳥類の死骸を中心にエサとしていて、狩りをすることはまれです。共食いすることもしばしば。
栄養摂取目的の他に、便秘解消の目的として植物を食べることもあります。
基本的に単独で行動していますが、繁殖期になると母熊と小熊が行動を共にするため、出くわす危険性があります。
農業被害や人身被害も多く発生し、人間を捕食対象とすることもあります。
過去にも大規模な人身被害が起きている事件もあるんです。
ニホンツキノワグマ
Foto by Wikimedia
本州と四国に生息しています。過去には九州にも存在していましたが、現在絶滅したとされています。
体長120~150㎝、体重は60~120㎏とヒグマに比べると小柄です。
果実、昆虫、魚、動物の死骸を主に食べていますが、シカなどの哺乳類を狩りで仕留めることもあります。
日本の固有種『ニホンカモシカ』を捕食できる唯一の存在でもあります。
近年人身被害が増えていることが問題視されています。
ツキノワグマは一度食べた獲物はまた食べることができると覚えてしまう、とても学習能力の高い動物。
何度も人間を襲う恐れもあります。
『ツキノワグマがいそうな場所にはいかない』と、徹底した方が身のためですが、もし出会ってしまった際は背中を見せず、急な動きをしないのが絶対です。
まとめ
現在世界にいる熊の仲間は8種類です。
世界各地に生息しているため、地球上でも成功している動物だと言えますね。
ジャイアントパンダという珍獣も生まれているため、環境に対する適応力が優れているのでしょう。
現在、絶滅危惧種に指定されている熊が多くなっています。
開発や駆除などが原因なので、何とか保護を進めてほしいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
北米大陸を自転車で旅しています。
よく道端で熊に遭遇するので勉強になりました!
僕がよく見るのはアメリカグマだったんですね!
グリズリーも見てみたいものです。
すぎたさん
コメントありがとうございます。
自転車で北米大陸を旅しているなんてすごいですね!
熊に遭遇ってびっくりですね、、、気を付けてください。
私は沖縄に住んでいますので、機会があれば自転車で遊びに来てください!
また違う大陸の動物が気になったら何でもコメントください。
お待ちしています!
これは僕が遭遇したカナダのクマですが、二頭で行動していたのはどちらもブラックベア(アメリカグマ)でしょうか?
グリズリーとブラックベアの見分け方を調べていてこのブログにたどり着きました(^^;
単独で行動しないクマもいるんだな〜と思いました。
すぎたさん
コメントありがとうございます。
お写真拝見しました!すごく間近ですね!
どちらもアメリカグマ(アメリカクロクマ)です。
アメリカグマの体の色には個体差がすごくあるんです!
中には白いものまでいるんですよ。
この写真はおそらく、つがいではないでしょうか。
https://ikimono-matome.com/american-black-bear/
こちらの記事も見てみてください。
グリズリーは灰色っぽい毛で、森林はあまり好まないようです。
本当にあなたは、くまに、くわしいし、えも、気持ちがわかるので、とても、真剣な感覚はよくわかりました。ありがとうございます
ゆめさん
コメントありがとうございます。
クマは種類によって性格や姿が全然違うのでおもしろいですよね。
また遊びにきてください。