情熱大陸のテーマがこの曲名なんだけど、実は鳥の名前なんだ!
すっごくきれいな曲だよね!エトピリカもきれいなの?
それくらいきれいなんだよ!
エトピリカは北太平洋の寒い地域に生息している海鳥です。
派手なくちばしが特徴で、名前はアイヌ語で『エト(クチバシ)』『ピリカ(美しい)』を意味します。
日本でも北海道の一部で見られるエトピリカですが、この地域では絶滅の危機にあります。
エトピリカはどんな鳥なんでしょうか?
美しいくちばしが持つ意味は?
名前の通り美しいくちばし、、、
『エトピリカ』の生態に迫ってみましょう。
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エトピリカの名前の意味!アイヌ語が由来!?
エトピリカはアイヌ語の『Etupirka』が由来です。
これには『くちばし(etu)が美しい(pirika)鳥』という意味があります。
英語では『Tufted puffin』といい、これには「フサフサした」とか「飾った」という意味があります。
日本語の別名は『花魁鳥(おいらんちょう)』です。
どちらも顔の装飾が派手なことが由来ですね。
エトピリカってどんな鳥?ツノメドリとの違い!
エトピリカはチドリ目・ウミスズメ科・ツノメドリ属に分類されます。
ただ、エトピリカ属として独立するという説もあります。
ツノメドリはエトピリカにとても似ている海鳥で、度々比較されています。
大きな違いは目の周りにあります。
ツノメドリは名前の通り目から上にV字のツノみたいな模様が入ります。
ちょっと困った顔に見えますね、、、
エトピリカにはこの模様はありません。
また、ツノメドリのくちばしは縦に平たいのですが、エトピリカはこれに比べるとシュッとしたくちばしです。
そしてエトピリカのような飾り羽をツノメドリは持ちません。
エトピリカは全身真っ黒だけど、ツノメドリは胸が白いんだよ!
エトピリカの生息地!北海道にもいるって本当?
エトピリカは北太平洋の亜寒帯地域、つまり比較的寒い地域に分布しています。
大陸で言えばユーラシア大陸の東部、北アメリカ大陸の西部、あとは北海道の東に位置する島々が生息地です。
彼らは基本的に、1年の大半を陸地のない海上で過ごしています。
6月〜8月の繁殖期にのみ、陸地に降り立ちますが、巣を作るのは沿岸の断崖です。
天敵がほとんどいない環境を狙っているんです。
北海道はエトピリカの繁殖地としては最も南に位置しています。
かつては広い範囲で繁殖が確認されていましたが、現在はユルリ島、モユルリ島、浜中町浜中小島の3つの島のみです。
北海道の繁殖地は減少しつつあります。
これ以上繁殖地を減らさないことが重要ってことになるよ!
まずはエトピリカの基本情報を知っておこう!
エトピリカの特徴や大きさ!くちばしが美しい!
エトピリカはくちばしから足の先までの全長が約40cm、翼を広げた翼開長は約65cmです。
体重は平均750gで、全体的な大きさはカラスより小さく、ハトより大きいといったところです。
オスとメスに大きな違いはありません。
顔と足以外は黒い羽でおおわれ、足は鮮やかなオレンジ色です。
顔の色は夏と冬で大きく変わります。
冬羽は全体的に暗く、くちばしの根元も黒っぽい色です。
飾り羽もありません。
夏になると一変し、顔は白く、くちばしの根元はきれいな黄色に染まります。
飾り羽も発達するため、夏羽はまさに花魁ですね。
繁殖期に派手になることで、異性にアピールしているんだね!
エトピリカのくちばしは取れる!?
エトピリカのくちばしが派手になるのは繁殖期のみ。
冬になると暗い色に変わります。
どのように変化するかというと、くちばしが外れて取れちゃうんです。
派手なくちばしは大きくなった角質によって作られています。
そして繁殖期の終わりには上下ともに外れ、元の地味なくちばしに戻ります。
次の年の繁殖期になると、再び派手なくちばしが作られます。
エトピリカに限らず、ツノメドリなどのウミスズメ科の一部、ペリカンの仲間、ペンギンの一部はこのように派手なくちばしを持っていて、繁殖期の終わりに外れてしまいます。
ペアを見つけるための装飾ってことですね。
見つけたら観察してみたいな!
エトピリカの生態!食べ物は何?
エトピリカは肉食性です。
主にイカナゴやニシンといった魚類を獲物としています。
イカやオキアミを食べることもあります。
エトピリカは泳ぎの達人。
羽と足を巧みに使って、なんと10mも潜水できます。
水の抵抗が少なくて済むんだね!
エトピリカは一度の潜水で大量の獲物を口にくわえられます。
太くて幅広いくちばしは、たくさんの魚をくわえることに適しているんですね。
さらにベロを上のくちばしに押さえつけることで、くわえた獲物を固定していることも分かっています。
ただ、エトピリカの短い羽は泳ぐのには便利ですが、飛ぶのにはあまり適していません。
水面近くを直線的にしか飛べないんです。
そのため、口いっぱいにくわえたエサを、バタバタ飛んでいるときに落としてしまうこともしばしば、、、
飛ぶことと泳ぐこと、両方上手になるのは難しいんだね!
1番長距離を渡る『キョクアジサシ』はとっても幅広い羽を持っている、ということになるね!
エトピリカの繁殖!ヒナはどんな姿?
エトピリカの繁殖期は夏場の6〜8月。
この時期、求愛行動としてくちばしをコツンと合わせているカップルが多く見られます。
ペアができると沿岸の断崖に巣を作ります。
巣はくちばしや足で掘った巣穴、または岩の間を利用します。
そしてメスは1個の卵を産みます。
産卵後、ペアが交互に卵を温め、45日ほどでヒナが孵化します。孵化から40〜55日ほどで、ヒナは巣立っていきます。
大量にくわえるのはヒナのためだったんだ!
エトピリカは北海道では絶滅危惧種!?その理由は?
世界的に見れば、エトピリカの生息数は240万羽以上と安定しています。
国際保護連合が設定しているレッドデータブックのカテゴリーも『低危険種、低懸念種(LC)』です。絶滅の心配はありません。
ただ、北海道ではその数を減らしています。
日本の環境省が設定しているレッドデータブックでは『絶滅危惧IA類(CR)』と、最も絶滅に近いカテゴリーに指定されています。
1960年頃には250羽ほどが繁殖に訪れていましたが、現在は30〜40羽ほどしか確認されていません。
つまり日本ではヒナがあんまり産まれてないってことだね、、、
全部人間が関係しているんだ、、、
・人間がテリトリーに入ってくる
・人間が魚を捕りすぎているためのエサ不足
・漁網に引っかかってしまう混獲
・人間が持ち込んだネズミなどによる捕食
・船が沿岸に近づき過ぎるため、繁殖できない
・沈没船による油の流出
また、天敵『オオセグロカモメ』にエサを取られたり、ヒナを食べられたらすることもあります。
ただ、天敵による被害は本来、数を減らす原因にはなりません。
人間の影響で数を減らしてしまったため、天敵によるダメージが大きくなってしまったんです。
エトピリカの保護のために、、、
北海道で壊滅的に数を減らしてしまったエトピリカですが、再び彼らに戻って来てもらうための運動が行われています。
エトピリカには仲間がいるところに寄ってくる習性があります。
そのため、エトピリカそっくりの人形を設置したり、録音した鳴き声を流したりする活動が広まっています。
彼らの習性を利用した、安全で効果的な方法ですね。
また、海上パトロールを強化し、観光船が沿岸に近づき過ぎることを防ぎ、漁業関係者と協力して漁網による混獲を減らすことも積極的に行われています。
漁業は地域住民の重要な生活資源だから、やめさせることはできないんだ、、、だから協力することが大切なんだね!
まとめ
わたしはエトピリカという名前を始めて聞いたとき『とってもきれいな名前だな〜』と心から思いました。
名前の響きに本当に癒されたのを今でも覚えています。
名前の意味、そしてその姿も、名前負けしてないくらい本当に美しいですよね。
北海道のエトピリカは減りつつあります。
「過去にはこのきれいな鳥がたくさんいたのに、、、」そう思うと切なくなりませんか?
なんとか保護活動が身を結び、そしてエトピリカがずーっといられるような国を目指したいですよね。
最後まで読んでくれてありがとう!
最初の説明のエトとピリカの意味が逆になってます。
コメントありがとうございます。修正致しました。