ブロブフィッシュは別名「ニュウドウカジカ」とも呼ばれる深海魚です。
ブサイクな魚としてメディアで取り上げられてから、じわじわ人気を持ち始めているこの魚は、なんと「世界で最も醜い生き物コンテスト」で堂々の1位に輝いたんです。
実はこのブロブフィッシュ、水中と外にいる時では見た目が全然違うんです。
水中にいる時はぶよぶよしていないんだとか、、、
ブロブフィッシュはどんな姿で生活しているのでしょうか?
どうして水中から出てしまうと、あんなに醜くなるんでしょうか?
世界一ブサイクだけど、よ~く見たらかわいい(?)深海魚「ブロブフィッシュ(ニュウドウカジカ)」に迫ってみましょう。
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ブロブフィッシュ(ニュウドウカジカ)ってどんな魚?
ブロブフィッシュはカサゴ目・ウラナイカジカ科の仲間です。
ウラナイカジカ科の深海魚は現在、全部で35種ほどが見つかっています。
ブロブフィッシュはこのグループの中で最も大きく、最大で30㎝ほどに成長します。
名前の「ブロブフィッシュ(Blobfish)」は「フニャフニャした魚」という意味があります。
また、和名の「ニュウドウカジカ」はこの魚の真ん丸とした頭がお坊さん(入道)に見えたので付けられた名前です。要は人面に見えたんです、、、
どちらもブロブフィッシュの見た目からつけられた名前ですね。
ブロブフィッシュの特徴!体が溶けちゃってる!?
この画像、よく見たことありますよね。
ブロブフィッシュが海から出された状態の画像です。
ブロブフィッシュは深海魚です。
そのため体内にたくさんの水分が充満しています。
筋肉が全くない代わりにゼラチン質でできている体は、浮袋がない体でも浮き沈みを調節することができます。
しかし水から出されると、いつも生活している深海の水圧とは異なるため、体がドロドロに溶けてしまいます。
もちろん、空中に出たことによる気圧の影響も関係しているようです。
最終的には重力に負けて、体全体が潰れてしまいます。
上の画像で鼻のように見えるところは額の位置の皮膚です。
ブロブフィッシュはオタマジャクシのように頭が大きいため、額の皮膚が鼻みたいに垂れ下がってきたんです。
2013年に「醜い動物保存協会(Uglu Animal Preservation Society)」というマニアックな組織が「世界で最も醜い生き物コンテスト」を開催しました。
ブロブフィッシュは堂々の1位に輝いています。
不名誉とか言われてますが、私はすごいことだと思います。
だって、「醜い」は「かわいい」の裏返しじゃないですか!
えっ!?違いますか?
ちなみに第5位には鼻が特大になる「テングザル」がランクインしています。
絶滅も心配されているとっても珍しいサルです。
ブロブフィッシュ(ニュウドウカジカ)は水中ではかわいい!?
こんな感情のないおっさんみたいな表情のブロブフィッシュですが、深海ではどんな姿なのでしょうか?
何度も言いますが、ブロブフィッシュは水の外に出たからこんなドロドロのブサイクな状態になっているんです。
本来生活している深海では、もちろんこんな姿ではありません。
水中では魚の形を維持できていて、オタマジャクシやナマズみたいな見た目をしています。
by Wikimedia
どうですか?
あのおっさんフェイスとは似ても似つかない凛々しい顔つきですよね。
この姿を見て「世界で最も醜い生き物」なんて誰が思いますかね!
これが本来のブロブフィッシュの姿です。
全く「Blob(フニャフニャ)」していません。
ブロブフィッシュは筋肉がほとんどないため、基本的にあまり泳ぎません。
海底で少しの浮力調節によって最低限のエネルギー消費で生きているんです。
ブロブフィッシュが卵を見守る映像が初公開!
海洋学者「ロバート・バラード博士」率いる海底探査船「ノーチラス号」の研究チームは、カリフォルニア州南の沖合の深海でブロブフィッシュに遭遇しました。
このブロブフィッシュは産卵したばかりのようで、ただひたすら自分の卵を見守っていたようです。
光が届かない深海なのに、卵は鮮やかなピンクで、岩にきれいに産み付けてあったそうな、、、
深海にはタコなどの天敵も多いため、ブロブフィッシュの親は卵に寄り添って見守り続けます。
意外な生態ですよね。
ブロブフィッシュは食べるとおいしい!?調理できる!
by Wikimedia
ブロブフィッシュは海底でカニなどの甲殻類をエサとしています。
そのため、肉にうまみが凝縮されているとか、、、!
グロテスクな見た目とは裏腹に「意外に美味い!」みたいですよ。
海外ではかなり人気なんだとか。
しかしゲテモノ感がありますよね。
おいしいなら食べる価値はあるかもしれません。
私はちょっと勇気が足りませんが、、、
ゼラチン質なので触感はプルプルなんでしょうか?
焼いたら固まりそうですけど。
調理方法は全く分かりません。すいません。
ブロブフィッシュはどこに生息しているの?
ブロブフィッシュはオーストラリアやニュージーランドの水深600~2800mの深海に生息しています。
この海域にはカニやロブスターも生息しています。
しかも、彼らはブロブフィッシュと同じく海底で生活している動物です。
そのため、カニやロブスターの漁でブロブフィッシュが網にかかってしまうこともあるんだとか。
混獲の影響は大きいようで、ブロブフィッシュはこのまま数を減らしてしまう可能性があるとも、、、
幸いにもブロブフィッシュのみを狙った漁は行われていません。
ブロブフィッシュがいる施設は日本にあるの?
深海魚の水族館と言えば「沼津深海水族館」です。
実は以前までこの水族館でブロブフィッシュが飼育されていました。
沼津深海水族館の「石垣 幸二館長」が、深海魚を捕獲する漁で生きたブロブフィッシュを入手することができたんです。
水深300mほどの位置で確保したそうです。
生きたブロブフィッシュの捕獲は世界初のできごと!
瞬く間に世界中から注目を集めることになりました。
早速水族館に持ち帰り、ブロブフィッシュの飼育がスタートしましたが、残念ながら2日後に死んでしまいました。
かなり神経質な魚だったのでしょうか。
まだ飼育するのは難しかったようです。
石垣館長は「これからも深海魚の捕獲を進め、かならず皆さんの前に登場させます」
というコメントを残していました。
楽しみに待っていましょう。
ブロブフィッシュには種類がいっぱい
今回、石垣館長が見つけたブロブフィッシュは、新種である可能性があったみたいです。
ウラナイカジカの仲間には、複数の種類が存在し、それらの総称がブロブフィッシュという名前です。
今回見つけたブロブフィッシュの特徴はこれまでに発見されているブロブフィッシュとは異なっていたため、新種であった可能性が高いそうです。
ただ、ブロブフィッシュの種の判断は簡単ではなく、時には顕微鏡を見ながら判別していかないといけないほどだそうです。
今回発見されたブロブフィッシュは現在、新種かどうかの調査中です。
調査には時間がかかりますが、新種発見という希望は持てそうですね。
まとめ
ブロブフィッシュは水中では普通にかわいい魚なのに、水から出してしまうとおっさんになってしまう、ちょっと珍しい動物です。
全身がゼラチンでできているため、気圧や水圧の変化に弱いんです。
初めて撮影された水中のブロブフィッシュの様子は、結構衝撃を受けました。
あんな風に卵を守っていたんですね。
もしかしたら食べられるかもしれません。
かなり美味しいらしいので「いつかは試してみたいかな~」という軽い気持ちで考えてみたいと思います。
沼津深海水族館で飼育される日が訪れることを祈っておきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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