クロヒョウ(黒豹)って聞いたことありますよね?
動物園で飼育されていることもあるため、もしかしたら見たことがある人も多いのではないでしょうか。
クロヒョウとヒョウは違う動物だと思いますよね?
私も元々は別の生き物だと思っていました。
しかし調べてみると、クロヒョウは普通のヒョウから産まれるんだそうです!
「黒変種(コクヘンシュ)」と呼ばれる現象で、ヒョウ以外にも起こっている突然変異だそうです。
クロヒョウが生まれる条件とは?
また、普通のヒョウと同じ生活ができるのでしょうか?
今日は、ダークに染まったかっこいいヒョウ「黒豹」についてのお話です。
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クロヒョウ(黒豹)はヒョウの突然変異!?「黒変種(メラニズム)」とも!
クロヒョウは普通の、つまり黒くないヒョウから生まれます。
親、兄弟がクロヒョウじゃなくても、1頭だけがクロヒョウで生まれることもあります。
つまりクロヒョウは、ヒョウの突然変異により生まれるんです。
これを「黒変種(コクヘンシュ)」と呼びます。
英語では「melanism(メラニズム)」と言います。
メラニズムは「メラニズムの遺伝子」を持つ親同士が交配することで、低確率で産まれます。
メラニズムは劣性遺伝
優性遺伝、劣性遺伝という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
中学校の理科の授業で習う、ソラマメのシワの話がこれです。
優性遺伝は子どもに遺伝しやすく、劣性遺伝は遺伝しにくい遺伝子のことですね。
クロヒョウの遺伝子は劣性遺伝子です。
両親共に「クロヒョウの劣性遺伝子」を持っていないと、クロヒョウは生まれないんです。
そもそもでヒョウが劣性遺伝子持っている可能性が低いうえに、持っている同士がペアにならないといけないんです。
クロヒョウが生まれる可能性はものすごく低いと言えますね。
クロヒョウにはしっかり柄が入っている!
真っ黒な印象のクロヒョウですが、実はヒョウ柄模様がちゃっかり入っているんです。
ぱっと見ただけではわかりませんが、強い光が当たると模様が見えます。
赤外線を当てるとはっきり見えるみたいですよ。
ヒョウとしての遺伝子はしっかり受け継いでいるんですね。
クロヒョウの生息地は?
クロヒョウの生息地はヒョウと同じです。
アフリカ大陸、アラビア半島、インドや東南アジア、中国北東部、ロシア極東部に幅広く分布しています。
この広い生息地により、ヒョウは「ネコ科で最も成功している動物」とも言われています。
アフリカの熱帯地方やロシアの寒い地域、キリマンジャロやヒマラヤなどの高山地帯まで、様々な環境に適応することができます。
クロヒョウの生態や食べ物は?
クロヒョウは単独で生活しています。
夜行性で、昼間の熱い時間帯は木の上や岩の隙間、草の中などで休んでいます。
ヒョウは体の模様がカムフラージュになっていて、草の中や木の上にいると見えづらくなっています。
クロヒョウはそれをさらに見えづらくしたような色をしていますが、木の上では目立ってしまうなど、必ずしも優れているわけではないんです。
劣性遺伝なので、普通のヒョウの方が生きていくには都合が良い場合が多いのかもしれません。
クロヒョウはシカやインパラなどの中型哺乳類、げっ歯類などの小型哺乳類、鳥類や爬虫類など、幅広い獲物をターゲットとしています。
時には900㎏にもなる大型のエランドを仕留めることもあります。
ヒョウの狩りはネコ科でもトップクラスに上手いです。
身体能力も高いため、様々な地域で獲物を捕まえることができるんです。
「かたあしだちょうのエルフ」にもクロヒョウが!
私が初めてクロヒョウの存在を知ったのは、小学生の時です。
「かたあしだちょうのエルフ」という絵本にクロヒョウが登場しました。表紙にもなっています。
この絵本は「仲間を守るためにライオンと戦ったダチョウのエルフが片足を無くし、最後は片足のみで、クロヒョウから再び仲間を守る」という内容なのですが、20年近くが経った今でも忘れることができない名作です。
クロヒョウの登場シーンは衝撃的でしたし、ラストシーンは大人になった今でも泣けます。
不朽の名作と言えるのではないでしょうか。
おすすめです。
まだまだいた!メラニズムの動物
クロヒョウはヒョウの「黒変種(メラニズム)」です。
実は動物界には、ヒョウ以外にもメラニズムの動物がいるんです。
例えば、ヒョウに似ているジャガーですが「クロジャガー」と呼ばれる変異個体が存在しています。
さらに、ライオンにもメラニズムが存在しているんです。
アルビノと白変種は違う!
黒変種の反対、つまり「白変種」と呼ばれる動物も存在します。
ホワイトタイガーやホワイトライオンが代表で、生まれつき体毛が白化している動物です。
白変種も劣性遺伝により誕生しています。
黒変種と同じように、両親が持っていないと誕生しないんです。
白変種と間違われやすいのが「アルビノ」です。
アルビノは生まれつき皮膚のメラニン色素を持っていない動物のことです。
遺伝的な病気です。
アルビノの動物は、瞳などは血の色が透けるため真っ赤です。
紫外線にも弱く、日光による影響を受けやすいのもアルビノの特徴ですね。
白変種は毛だけが白くなっているため、メラニン色素はちゃんと存在しています。
瞳は赤くはならず、しっかり黒色をしています。
日光への耐性も通常です。
アルビノと白変種を混同しないように注意しましょう。
キングチーターも劣性遺伝!?
ヒョウと同じ大型ネコ科動物、チーターにも劣性遺伝が存在しているんです。
それが「キングチーター」です。
通常のチーターの模様は、黒い斑点がきれいな水玉模様を作っています。
しかし、キングチーターの斑点は形が崩れています。隣の模様とくっついていることもあります。
水玉模様とは言えませんね。
キングチーターは飼育されているものを含めても、世界で数頭しか確認されていない、とても珍しい動物です。
野生のキングチーターはアフリカ大陸の南、ジンバブエ周辺で確認されています。
この辺りに「キングチーターの劣性遺伝子」を持ったチーターが数多く存在しているのかもしれません。
ちなみに日本でもキングチーターを飼育している動物園があります。
多摩動物公園と姫路セントラルパークです。
多摩動物公園では過去に4頭のキングチーターが生まれています。
姫路セントラルパークでも、2018年にキングチーターの子どもが誕生しています。
ただでさえ珍しいキングチーターが、日本の動物園で誕生しているんです。
奇跡に近いですよね。
まとめ
・クロヒョウはヒョウの突然変異なため、種類的にはヒョウに含まれる
・クロヒョウの遺伝子は遺伝しにくい劣性遺伝子
・クロヒョウが生まれるためには、両親が劣性遺伝子を持ってないといけない
・ほとんどのヒョウは劣性遺伝子を持っていないため、クロヒョウが生まれる可能性はとても低い
・体が黒い以外は普通のヒョウと同じ生態を持っていて、生息地も同じ
・クロヒョウ以外にも、黒変種は存在している
・黒変種の反対「白変種」も存在している
・白変種はアルビノとは違い、メラニン色素は正常
・キングチーターもクロヒョウと同じ劣性遺伝子により誕生している
クロヒョウは遺伝しにくい遺伝子によって誕生する珍しい動物だったんですね。
クロヒョウ以外にも黒くなってしまった動物がいたのは驚きです。
もし機会があれば、近くでクロヒョウのヒョウ柄模様を見てみたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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